上 下
41 / 155
第一章

1の41 聖女の依頼

しおりを挟む
「それにしても、『魅了』が効かない人間なんていたんだね?
まさか魔力持ちじゃないでしょう?」



妖しの森の魔女の家。


黒目黒髪の美少女、魔女になってほどないマレットが訊ねる。

金目銀髪の美少女、聖女になってほどないマーリンが答える。



「まさか!
人間に魔力持ちはいないわ。
人間の脆弱な身体は魔力の保持に耐えられないもの」

「アレじゃないの?
僕達の先祖が魔力を得たのと同じ理由!
『一度死にし王は蘇る事で強靭な肉体を得、聖なる魔力を覚醒させる』
――ってやつ!
僕達の先祖も、薬で仮死状態になって、その一度死んだ状態から目覚めて復活した時に肉体が強くなって魔力を得たんでしょう?」

「彼に魔力は無いわ。
儚く美しいから欲しいのよ。
何で『魅了』が効かないのかは分からない。
でも絶対諦められない!
だから‥‥
彼に魔法を掛けて欲しいの」

「対価を払う気あるの?」

「もちろんよ」

「心臓を差し出すんだよ?」

「本当なら出来ない事を起こすんですもの。
魔法を掛けてもらう対価が心臓いのちなのは当然だわ。
幸い私達魔女の娘は心臓が二つある。
一つ取られたって‥‥さあ、取って頂戴」



強い目でそう言うと、銀髪の美少女マーリンはスルリとドレスの上半身を開ける。

白く形のいい乳房が露わになる。

着痩せする為意外なほど大きい。

まだ男を知らない堅さが独特の色気を放つ白い胸は、心臓を取られる恐怖からか、小刻みに震えている。



「綺麗だね‥‥
まあ、僕と同じだけど‥‥
こんな事をしてまで手に入れる価値がその男に有るの?」

「もちろんよ。
早くやっ‥
ウッ!?」



ズムッ‥
グリッ、ガシッ!



黒髪の美少女マレットの手がマーリンの素肌を突き抜け心臓を掴む。

そして、



「ギャアァァァーーッ
アァァァァーーーッ
アーーーッ
ーーーッ
ーー‥」



心臓を抉り出す。

断末魔の悲鳴が妖しの森に響き渡り、魔鳥すらも恐れをなして逃げ出す。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

片想い

あんず
恋愛
切ない片想い。

私は聖女じゃない?じゃあいったい、何ですか?

花月夜れん
恋愛
ボクは君を守る剣になる!私と猫耳王子の恋愛冒険譚。――最終章 ここはいったいどこ……? 突然、私、莉沙《リサ》は眩しい光に包まれ、気がつけば聖女召喚の魔法陣の上に落っこちていた。けれど、私は聖女じゃないらしい。私の前にもう呼び出された人がいるんだって。じゃあ、なんで私は喚ばれたの? 魔力はあるから魔女になれ? 元の世界に帰りたいと思っている時に、猫耳王子が私の前に現れた。えっと、私からいい匂いがする? そういえば、たまたま友達の猫にあげるためにマタタビ棒(お徳用10本入り)を持っていたんだった。その中から一本、彼にプレゼントすると、お返しに相棒になって帰る方法を探してくれるって! そこから始まる帰る方法を探す異世界冒険の旅路。 私は無事もとの世界に帰れるのか。彼がいるこの世界を選ぶのか。 普通の人リサと猫耳王子アリス、二人が出会って恋をする物語。 優しい物語をキミへ。 ――本編完結―― 外伝を少し追加します。(21,2,3~) 本編番外編投稿(21,3,20) この作品は小説家になろう様カクヨム様でも連載中です。 セルフレイティングは念のためです。

【完結】引きこもり令嬢は迷い込んできた猫達を愛でることにしました

かな
恋愛
乙女ゲームのモブですらない公爵令嬢に転生してしまった主人公は訳あって絶賛引きこもり中! そんな主人公の生活はとある2匹の猫を保護したことによって一変してしまい……? 可愛い猫達を可愛がっていたら、とんでもないことに巻き込まれてしまった主人公の無自覚無双の幕開けです! そしていつのまにか溺愛ルートにまで突入していて……!? イケメンからの溺愛なんて、元引きこもりの私には刺激が強すぎます!! 毎日17時と19時に更新します。 全12話完結+番外編 「小説家になろう」でも掲載しています。

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

元侯爵令嬢は冷遇を満喫する

cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。 しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は 「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」 夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。 自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。 お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。 本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。 ※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

処理中です...