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最終章「スターチスの節」
最終回「15年後のスターチス」
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あれから気が付けば半年が経過していた。
その後、ミラは世界のどこかへ消えた。
そして、ジョンは世界の戦争を終わらせた希望の王と呼ばれるようになった。
そんな表舞台とは裏に静かに眠る人がいた。
始めて出会った木の下に、彼女は眠っている。
「ありがとう……なんてずるいよ。でも……」
自然と泣いていた。
リリが目を閉じてから始めてくる墓参りでは泣かないようにと決めてきたのに、あのことを思い出すと自然と泣けてきた。
「次会った時、僕はどんな言葉を彼女に掛けるのだろうか。それは分からない。彼女が遺してくれた愛を……僕は忘れずに生きていきたい」
彼女の墓石の前でゆっくりと目を閉じた。
生憎にも、空は透き通ったように蒼く、彼女の笑顔みたいに美しかった。
「待ってて。いつかは分からないけど、そっちにはいずれ行くよ。……うん」
今日も何も無い一日が終わった。
一人の時間が止まったというのはこの世界にとっては小さいことで、どんだけ大きな大戦が起きようが回り続けているという事を実感した。
どこかで聞いた事がある。
運命の人は3人居ると。
1人目は恋を教えてくれる。
2人目は失恋や別れの悲しさを教えてくれる。
3人目は永遠の愛を教えてくれる。
自分にとって、彼女が2人目の人なのだとしても、僕にとっては忘れることの無い1番の人なのだろうか。
今日もどこかで花は咲く。
また……あの丘で会えたら。
大きな木がある丘の上では、今日も一生懸命にスターチスの花が咲き誇っていた。
15年後のスターチス[完]
その後、ミラは世界のどこかへ消えた。
そして、ジョンは世界の戦争を終わらせた希望の王と呼ばれるようになった。
そんな表舞台とは裏に静かに眠る人がいた。
始めて出会った木の下に、彼女は眠っている。
「ありがとう……なんてずるいよ。でも……」
自然と泣いていた。
リリが目を閉じてから始めてくる墓参りでは泣かないようにと決めてきたのに、あのことを思い出すと自然と泣けてきた。
「次会った時、僕はどんな言葉を彼女に掛けるのだろうか。それは分からない。彼女が遺してくれた愛を……僕は忘れずに生きていきたい」
彼女の墓石の前でゆっくりと目を閉じた。
生憎にも、空は透き通ったように蒼く、彼女の笑顔みたいに美しかった。
「待ってて。いつかは分からないけど、そっちにはいずれ行くよ。……うん」
今日も何も無い一日が終わった。
一人の時間が止まったというのはこの世界にとっては小さいことで、どんだけ大きな大戦が起きようが回り続けているという事を実感した。
どこかで聞いた事がある。
運命の人は3人居ると。
1人目は恋を教えてくれる。
2人目は失恋や別れの悲しさを教えてくれる。
3人目は永遠の愛を教えてくれる。
自分にとって、彼女が2人目の人なのだとしても、僕にとっては忘れることの無い1番の人なのだろうか。
今日もどこかで花は咲く。
また……あの丘で会えたら。
大きな木がある丘の上では、今日も一生懸命にスターチスの花が咲き誇っていた。
15年後のスターチス[完]
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