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第四章「アイリスの節」
005#世界と昔の世界と出会い
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「今、この世界は戦争が起きているんだ」
辺りには蒸したパイプの匂いが漂い始めている。
そんなことをお構い無しにジョンは話の続きをする。
「俺の国、そしてゼラニウム国でだ。奴らの目的はひとつ。リリの奪取」
何が起こっているかが分からない。
自分の奪還なら、あの人は関係ないのではないかとも少し考えた。
だけど、その後すぐにこの世界に来たきっかけの事を思い出した。
「やっぱり……あいつは……拓也はとんだクソ野郎なんだわ……悪いことは言わない。あいつと平和にしようなんて考えない方がいいわ」
思い出したのは前世の記憶だった。
「好きだよ……舞香」
最初はとてもいい人なんだと思った。
「うん……私も」
あるクリスマスの夜だった。
惚れていた人に告白をされ、あっさりとOKを出した自分がいた。
優しいし気が利くし。
それに、笑う顔がとても素敵だった。
ただ、1週間もすると豹変し始めた。
最初はメールの返信はすぐに返すとか、その程度だった。
よくあることなのだろうと思い、返信をしていた。
週を超える度、酷くなり始めていた。
暴力すら飛んできていたと思う。
いつの間にか自分は笑うことすらも出来なくなった。
中学の頃に巻き込まれ、次第に学校にすら足を運ばなくなっていた。
友人もみんな次第に気にかけ始めたが、偽りの笑顔で何とか遮る状態が続いた。
暗い世界のまま高校へと進んだ。
誰も知り合いの居ない電車で数時間かかる所だった。
そこで私はあるひとりの男のこと出会った。
彼はどちらかと言えば静かな方で、毎日教室の片隅で本を読んでいた。
偶然電車の中でも出会う機会はあったのだが、話さずにそのまま時間は経過していた。
ある日の事だった。
私は電車の中で定期券を落とし、探している最中だった。
肩をそっと叩かれ、顔を上げると教室では本を読むところしか見たことの無い彼が立っていた。
「これ……落としたよ……」
手渡しをし、2人頷き合う。
彼はそのまま読書へと戻ろうとした。
その時、何故か今話さないと後悔するのではないかという考えに陥ってしまう。
「ありがとう。君って同じ学校だよね? 」
声がすでに出て生きていた。
「うん。確か同じクラスの……よしむ……」
苗字はうっすらと覚えていたようだ。
それでも突っかかりはあったようで、悩んでる様子はあった。
「吉村舞香。舞香でいいよ」
「僕は雨音怜也。僕も下の名前でいいよ」
話はとても盛りあがっていた。
最初に本の話や彼の好きな物、自分の好きな物までなんでも話し合った。
偶然にも、降りる駅までも一緒だった。
「それじゃあ、また明日」
私は怜也に手を振った。
彼は軽く会釈をしてその場を去った。
少し愛想がないのかなと思いつつも朝また出会えることを信じて、その日は帰路についたのだった。
辺りには蒸したパイプの匂いが漂い始めている。
そんなことをお構い無しにジョンは話の続きをする。
「俺の国、そしてゼラニウム国でだ。奴らの目的はひとつ。リリの奪取」
何が起こっているかが分からない。
自分の奪還なら、あの人は関係ないのではないかとも少し考えた。
だけど、その後すぐにこの世界に来たきっかけの事を思い出した。
「やっぱり……あいつは……拓也はとんだクソ野郎なんだわ……悪いことは言わない。あいつと平和にしようなんて考えない方がいいわ」
思い出したのは前世の記憶だった。
「好きだよ……舞香」
最初はとてもいい人なんだと思った。
「うん……私も」
あるクリスマスの夜だった。
惚れていた人に告白をされ、あっさりとOKを出した自分がいた。
優しいし気が利くし。
それに、笑う顔がとても素敵だった。
ただ、1週間もすると豹変し始めた。
最初はメールの返信はすぐに返すとか、その程度だった。
よくあることなのだろうと思い、返信をしていた。
週を超える度、酷くなり始めていた。
暴力すら飛んできていたと思う。
いつの間にか自分は笑うことすらも出来なくなった。
中学の頃に巻き込まれ、次第に学校にすら足を運ばなくなっていた。
友人もみんな次第に気にかけ始めたが、偽りの笑顔で何とか遮る状態が続いた。
暗い世界のまま高校へと進んだ。
誰も知り合いの居ない電車で数時間かかる所だった。
そこで私はあるひとりの男のこと出会った。
彼はどちらかと言えば静かな方で、毎日教室の片隅で本を読んでいた。
偶然電車の中でも出会う機会はあったのだが、話さずにそのまま時間は経過していた。
ある日の事だった。
私は電車の中で定期券を落とし、探している最中だった。
肩をそっと叩かれ、顔を上げると教室では本を読むところしか見たことの無い彼が立っていた。
「これ……落としたよ……」
手渡しをし、2人頷き合う。
彼はそのまま読書へと戻ろうとした。
その時、何故か今話さないと後悔するのではないかという考えに陥ってしまう。
「ありがとう。君って同じ学校だよね? 」
声がすでに出て生きていた。
「うん。確か同じクラスの……よしむ……」
苗字はうっすらと覚えていたようだ。
それでも突っかかりはあったようで、悩んでる様子はあった。
「吉村舞香。舞香でいいよ」
「僕は雨音怜也。僕も下の名前でいいよ」
話はとても盛りあがっていた。
最初に本の話や彼の好きな物、自分の好きな物までなんでも話し合った。
偶然にも、降りる駅までも一緒だった。
「それじゃあ、また明日」
私は怜也に手を振った。
彼は軽く会釈をしてその場を去った。
少し愛想がないのかなと思いつつも朝また出会えることを信じて、その日は帰路についたのだった。
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