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第四章「アイリスの節」
001#目覚め
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……。
最悪の目覚めだ。
石と水の冷たい匂いで目が覚め、とても硬いベットの上に寝転がっていた。
「あ……ぅ……ジョン……は……? 」
何故か喉に力が入らない。
乾ききった喉は、風を通さずに張り付いていく感覚がして上手く発生が出来ない。
「お……起きな……あぅ……」
腰に力を入れても抜けていくような感覚が分かる。
とりあえず自分の手を見て見よう。
それで何かわかるかもしれないという謎の確信があった。
目に入ったのは、痩せ細った腕だった。
理解が追いつかない。
それと同時に立ち上がれるのかと言う疑問が浮かんできた。
幸いな事に足の筋力は衰えが遅かった。
少しの力を振り絞り、ゆっくりとバランスを取りながら立ち上がる。
辺りを見渡してみると石造りの暗く湿った世界が広がっているということしか分からなかった。
近くにあった壁にもたれ掛けながらではあるが、ゆっくりと1歩ずつ前へと進んで行った。
足が重い。
衰えというものが来ていたのか、上手く上がらない。
それでもと辺りを見渡しながら今の現状を考える事にした。
とりあえず、わかったことといえばジョンの前で気絶をしてこの部屋に運ばれてたということ。
そして、とてつもない年月が経っているということだ。
数日寝ていただけでは相当歳を取っていない限り、ここまで重いだの力が入らないだのということは起きない。
それなら今ここはどこだろう。
そんな疑問が浮かんできた。
近くにあったランタンを確認すると、まだ少しの温かさがあった為、近くに人がいたというのは確認できた。
外に出る手段も分からない。
それならと、今凝り固まった体を動かしながら周囲を探索した。
ちょうど近くには水が置いてあった。
喉の痛みを無くすにはこれしかないと考えたが、いつの水かは分からない。
それならとグッと抑え、なんとか我慢できた。
探索を再開する。
数分が経ち、近くに扉みたいなのがあったのを発見した。
ゆっくりと押しても、引いても一向に動く気配はなく、ここからの脱出は不可能ということを理解した。
入口であろう場所の近くに、何かしらの紙切れが置かれていた。
ゆっくりと持ち上げ、中を確認する。
「リリ……? ジョン……何故……? 」
思わず声が出てしまった。
追いつかなかった理解はさらに分からなくなっていた。
「どうし……よ……う……」
掠れた声でしか喋れなかった。
今はこの時間を待つことしか出来ないが、何となくそれでいいという思いがあった。
そしてそこからどれぐらいの時間が経過したか分からない。
ゆっくりと寝ていると扉が開く大きく重い音がした。
「……誰? 」
最悪の目覚めだ。
石と水の冷たい匂いで目が覚め、とても硬いベットの上に寝転がっていた。
「あ……ぅ……ジョン……は……? 」
何故か喉に力が入らない。
乾ききった喉は、風を通さずに張り付いていく感覚がして上手く発生が出来ない。
「お……起きな……あぅ……」
腰に力を入れても抜けていくような感覚が分かる。
とりあえず自分の手を見て見よう。
それで何かわかるかもしれないという謎の確信があった。
目に入ったのは、痩せ細った腕だった。
理解が追いつかない。
それと同時に立ち上がれるのかと言う疑問が浮かんできた。
幸いな事に足の筋力は衰えが遅かった。
少しの力を振り絞り、ゆっくりとバランスを取りながら立ち上がる。
辺りを見渡してみると石造りの暗く湿った世界が広がっているということしか分からなかった。
近くにあった壁にもたれ掛けながらではあるが、ゆっくりと1歩ずつ前へと進んで行った。
足が重い。
衰えというものが来ていたのか、上手く上がらない。
それでもと辺りを見渡しながら今の現状を考える事にした。
とりあえず、わかったことといえばジョンの前で気絶をしてこの部屋に運ばれてたということ。
そして、とてつもない年月が経っているということだ。
数日寝ていただけでは相当歳を取っていない限り、ここまで重いだの力が入らないだのということは起きない。
それなら今ここはどこだろう。
そんな疑問が浮かんできた。
近くにあったランタンを確認すると、まだ少しの温かさがあった為、近くに人がいたというのは確認できた。
外に出る手段も分からない。
それならと、今凝り固まった体を動かしながら周囲を探索した。
ちょうど近くには水が置いてあった。
喉の痛みを無くすにはこれしかないと考えたが、いつの水かは分からない。
それならとグッと抑え、なんとか我慢できた。
探索を再開する。
数分が経ち、近くに扉みたいなのがあったのを発見した。
ゆっくりと押しても、引いても一向に動く気配はなく、ここからの脱出は不可能ということを理解した。
入口であろう場所の近くに、何かしらの紙切れが置かれていた。
ゆっくりと持ち上げ、中を確認する。
「リリ……? ジョン……何故……? 」
思わず声が出てしまった。
追いつかなかった理解はさらに分からなくなっていた。
「どうし……よ……う……」
掠れた声でしか喋れなかった。
今はこの時間を待つことしか出来ないが、何となくそれでいいという思いがあった。
そしてそこからどれぐらいの時間が経過したか分からない。
ゆっくりと寝ていると扉が開く大きく重い音がした。
「……誰? 」
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