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6日目(土) ぶち猫4
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「……あ……れ……?瀬良……ちゃん?」
「あっ!彗くん。起きたんだね」
彗くんが目を覚ました。彗くんは私の方を見るなり、にこっと微笑んでくれたが、やはり力なかった。私はそんな彗くんに向けて、元気づけさせるように、微笑み返した。
「何か飲みたいものはある?」
「えっ……と……お茶が飲みたいかな……」
「うん、分かった。今持ってくるから待ってて」
と、私は椅子から立ち、部屋を出た。それから夕佳さんに事情を話し、お茶がほしいんです と頼んだ。すると夕佳さんは「いいわよ」と頷いてくれた。冷蔵庫からお茶を取り出し、コップに注いだ。彗くんの分だけかと思いきや、気を利かせて私の分も注いで、お盆に乗せた。私は「ありがとうございます」とぺこりとお辞儀をした。夕佳さんは「いえいえ」と郎らかな笑顔で言った後、「私も後で様子を見に行くわね」と言った。
私は部屋に戻り、彗くんをゆっくり起こしてから、お茶を飲ませた。そして、飲み終わった後、ふにゃっとした笑顔で「ありがとう」と言った。私もお茶を飲みながら、くすっと笑った。私達はお茶を飲み終え、持っていこうとした時、ちょうどノックする音が聞こえてきた。「入るわよー」という声がしたので、私は「はーい」と返事をした。入って来たのは夕佳さんだった。
「あ、瀬良ちゃん。彗くんの体調はどう?」
「とりあえず何とか……」
「あ、僕のことは大丈夫ですよ。迷惑かけてすみません。体調もだいぶ良くなったと思います」
「あら、そうなのね。よかったわ~」
夕佳さんは ほっ とした様子で胸に手を当てた。私も夕佳さんの様子を見て、ひと安心した。そして、ふとドアのところを見てみると、私はあることに気づいた。
誰かがいる……
とは言っても、思い当たる人物は一人しかいなかった。
「零さんも心配で見に来てくれたんですか?」
「あら?零くんもいるの?」
夕佳さんが後ろを振り返ると、零さんが「なんだよ」と低く唸るような声で言ってきた。それに対して夕佳さんは「ひゃぁああ」と驚いて、奇声を上げた。私はそのやり取りを見て、彗くんと顔を見合わせて、ぷっと吹き出してしまった。すると零さんから鋭い視線を向けられ、「おい、そこ」と怒られた。私も彗くんも思わず、ぴんと背筋を伸ばした。すると、夕佳さんが何かを見つけたのか、にんまりして零さんに問いかけた。
「あ、零くん、りんごなんて持ってきゃって……やっぱり内心で凄く心配して来たのでしょう……?」
りんご?と私は疑問に思い、零さんの手元を見た。そこには、うさぎりんごが皿に乗っかっていた。
「もっと素直になってもいいと思うけどねえ~」
「うっせ……彗さん、これやる。早く元気になれよ」
と夕佳さんに手渡し、すたすたと歩いて行った。零さんの姿が遠くなった時、夕佳さんは「だって」と仕方ないように微笑んだ。
「根は優しいんだけどねえ~」
「まぁ、いいんじゃないかな。彼なりのやり方だろう」
と彗くんは言うと「それでも嬉しいよ」とはにかんだ。夕佳さんも「そうね」と少しため息混じりに言った。
「じゃ、食べましょうか」
と夕佳さんは彗くんの近くに行き、「あ、瀬良ちゃんもどうぞ」とにこにこしながら促した。
私達は零さんが切ってくれたうさぎりんごを頂くことにした。
「あっ!彗くん。起きたんだね」
彗くんが目を覚ました。彗くんは私の方を見るなり、にこっと微笑んでくれたが、やはり力なかった。私はそんな彗くんに向けて、元気づけさせるように、微笑み返した。
「何か飲みたいものはある?」
「えっ……と……お茶が飲みたいかな……」
「うん、分かった。今持ってくるから待ってて」
と、私は椅子から立ち、部屋を出た。それから夕佳さんに事情を話し、お茶がほしいんです と頼んだ。すると夕佳さんは「いいわよ」と頷いてくれた。冷蔵庫からお茶を取り出し、コップに注いだ。彗くんの分だけかと思いきや、気を利かせて私の分も注いで、お盆に乗せた。私は「ありがとうございます」とぺこりとお辞儀をした。夕佳さんは「いえいえ」と郎らかな笑顔で言った後、「私も後で様子を見に行くわね」と言った。
私は部屋に戻り、彗くんをゆっくり起こしてから、お茶を飲ませた。そして、飲み終わった後、ふにゃっとした笑顔で「ありがとう」と言った。私もお茶を飲みながら、くすっと笑った。私達はお茶を飲み終え、持っていこうとした時、ちょうどノックする音が聞こえてきた。「入るわよー」という声がしたので、私は「はーい」と返事をした。入って来たのは夕佳さんだった。
「あ、瀬良ちゃん。彗くんの体調はどう?」
「とりあえず何とか……」
「あ、僕のことは大丈夫ですよ。迷惑かけてすみません。体調もだいぶ良くなったと思います」
「あら、そうなのね。よかったわ~」
夕佳さんは ほっ とした様子で胸に手を当てた。私も夕佳さんの様子を見て、ひと安心した。そして、ふとドアのところを見てみると、私はあることに気づいた。
誰かがいる……
とは言っても、思い当たる人物は一人しかいなかった。
「零さんも心配で見に来てくれたんですか?」
「あら?零くんもいるの?」
夕佳さんが後ろを振り返ると、零さんが「なんだよ」と低く唸るような声で言ってきた。それに対して夕佳さんは「ひゃぁああ」と驚いて、奇声を上げた。私はそのやり取りを見て、彗くんと顔を見合わせて、ぷっと吹き出してしまった。すると零さんから鋭い視線を向けられ、「おい、そこ」と怒られた。私も彗くんも思わず、ぴんと背筋を伸ばした。すると、夕佳さんが何かを見つけたのか、にんまりして零さんに問いかけた。
「あ、零くん、りんごなんて持ってきゃって……やっぱり内心で凄く心配して来たのでしょう……?」
りんご?と私は疑問に思い、零さんの手元を見た。そこには、うさぎりんごが皿に乗っかっていた。
「もっと素直になってもいいと思うけどねえ~」
「うっせ……彗さん、これやる。早く元気になれよ」
と夕佳さんに手渡し、すたすたと歩いて行った。零さんの姿が遠くなった時、夕佳さんは「だって」と仕方ないように微笑んだ。
「根は優しいんだけどねえ~」
「まぁ、いいんじゃないかな。彼なりのやり方だろう」
と彗くんは言うと「それでも嬉しいよ」とはにかんだ。夕佳さんも「そうね」と少しため息混じりに言った。
「じゃ、食べましょうか」
と夕佳さんは彗くんの近くに行き、「あ、瀬良ちゃんもどうぞ」とにこにこしながら促した。
私達は零さんが切ってくれたうさぎりんごを頂くことにした。
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