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1日目(月) 帰ってきた、私の実家5

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……あれからどれくらい時間が経っただろうか。私はちらりと自分の腕時計に目をやった。今の時間は午後二時。もう、そんな時間か。時が過ぎるのは早いなぁと少し驚いていると同時に、ぐうぅぅうとお腹がなった。そういえば、まだ昼ご飯を食べていなかった。その音に気づいたのか、美香ちゃんは ふふ 
と少し笑った。

「そう言えば、私達、まだ昼ご飯食べてなかったね」
「うん……ついつい、仕事に集中しちゃってねぇ……」
「どうする?私、なんか作ってあげようか?」
「え!?いいの!?」

私は椅子からガタッと音を立てて立ち、目を大きく見開いて、居間中に響く声で言った。それから少しして冷静さを取り戻し、「ごめんね……」と少しほてているほっぺに手を当てて、目を逸らしながら言った。それから、静かに椅子に座った。

「ふふ、大丈夫だよ。じゃ、今作ってくるから、ちょっと待ってて。あ、瀬良ちゃんは仕事進めててもいいよ。作ったら持っていくから」
「うん、分かった。ありがとう」

私は多分今までにないくらい、満面の笑みを浮かべ、ぺこっとお辞儀をした。

あぁ……美香ちゃんの手料理……
楽しみだなぁ…… 絶対美味しいんだろうな……

と考えながら、仕事の手を進めていった。


そして、何分か経ち、「出来たよー」と言う声がしてから、私の目の前にはほかほかと湯気をたてている綺麗な形のオムライスが出てきた。

「わぁ……!!! 美味しそう……!!いただきます!」
「それじゃ、私も。いただきます」

私はオムライスを一口ほおばった。

「んっ……!!美味しい!!卵ふわっふわ!」
「よかった~ 私も今回は上手くいったと思うんだよね~」
「いいなぁ~ こんなに料理が上手くて!」
「ふふ、ありがとう」

と私に微笑みながら言った。

こんなに美人で、料理上手。しかも家も綺麗で清潔感がある。そう言えば、美香ちゃんって、付き合ってる人とかいるのかなぁ……

私はオムライスを食べながら考えていたが、今は聞かないことにした。今日はもうそろそろ帰らなくては行けないし。

私はお皿に米一粒も残さずにオムライスを平らげた。そして、「ごちそうさまでした」としっかり手を合わせて言った。

「あ、食器ってどうすればいい?」
「置いといていいよー」

と言われたので、私は帰る支度をすることにした。
今日は楽しかったなぁ と少し微笑んでから、支度の手を進めた。



「今日は来てくれてありがとうね」
「いえいえ!こちらこそありがとうございました!また今度空いてる時あったら、行ってもいいかな?」
「うん、いいよー。でも、瀬良ちゃんの家にも行ってみたいな~」
「えっ!? 私の家、汚いよぉ~?」

あはは とお互いに笑いあってから、じゃあね
と言って手を振り、私達は解散した。

もう、帰ろうかなぁ……って思ったけど、ちょっと寄り道していこうかな?

私が寄り道する場所、それは公園だった。

あの猫、まだあの公園にいるのかな?
後、喫茶店 まりも はどうなったのかな……?

私はまだあの声と顔をはっきりと覚えていた。そして、名前は大空彗。
今思い返してみると、かっこよくて、明るく、優しい人だなと思った。それとは裏腹に私は少し惹かれていた。今考えてみると、私好みの性格だった。そして、初めて話をしてみてとても楽しいなって思った。まだ一緒にいたいなって思った。

もしかして、私はあの時から恋をしていたのかなぁ……?

私はそう思ってから、そんなわけないよね、と自分に言った。私はあの公園を目指して、前を向き、歩いていった。


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