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Study28: same「同じ」
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「………すっげー会いたかった」
艶気を含んだ低い声が、切実に告げる。
濡れた頬に真崎の温かい手の平が触れ、夢月は目蓋を閉じた。
重ねられる真崎の唇が啄ばむように夢月の上唇や下唇の感触を確かめる。
そしてそっと唇が舐められた。
唇に触れた舌の感触に、ぞくりと熱が込み上げ夢月は吐息を漏らし、唇を開く。
真崎の舌先を受け入れるように。
そうだったんだ………
ずっと以前に出会っていた。
本当に初めて会ったのは、本屋だった。
クラスメイトの染谷 悠太と偶然かち合い、参考書を一緒に選んだ。
その悠太の横に当時小学生だった有都がいた。
その時に名前を聞いたかもしれないが、悠太が「あっくん」と呼んでいたので夢月も「あっくん」と呼んだ。
それから近所の公園で宿題をする「あっくん」を見かけるようになり、夢月は声をかけた。
塾に行くまでの時間を潰しているのだと言う。
見かける度、夢月は声をかけていた。
大学生となり家も引っ越し、それを忘れた頃に悠太と遭遇。
「あっくん」の家庭教師をと打診され二つ返事で引き受けた時、とても嬉しく思ったのを覚えている。
再会した「あっくん」は小学生の頃の面影を残し、眼鏡の向こうから遠慮がちに目を合わせるような純情な少年のままだった。
純情で控えめ、綺麗な敬語を使う、可愛らしい男の子。
兄弟のいない夢月からするとただただ可愛かった。
可愛らしく………
「真崎くん、待って」
真崎の手が濡れて貼りついた夢月の服を脱がしていく。
「お風呂入るって言ったよねっ、……あっ」
首筋から胸元へと労わるような口付けが濡れた肌には熱い。
「………入るよ、終わったら」
真崎がシャツを脱ぎ捨てる。
引き締まった身体が洗面所から漏れ入る灯りにぼんやりとした印影を落とし、普段よりも色香を孕む。
可愛らしい「あっくん」はどこにいったのか………
「夢月、挿れていい?」
秘部に指を埋らせ真崎が乞う。
指から受ける快感で高みが近い夢月は、荒い息遣いで真崎の首筋にしがみついた。
濡れた肌がしっとりと重なる。
真崎の手が太腿を掴み上げると、待ち構えた快感が中へと押し込まれた。
「ああ、あ………」
じんじんと入り口近くを巡る熱さに、衝動が込み上げる。
夢月の感触を味わうように、ゆっくりと柔らかく真崎の腰が動いた。
奥底まで愛撫されているような抽挿に夢月は小さく喘ぐ。
今までも決して乱暴なsexではなかったし、優しくはあった。
だけれど、何かを訴え求め、貪るように熱く、持て余した気持ちをぶつけられているようだった。
だけど今は違いを感じる。
快楽の中で会話を交わすように、互いの体温の中に落ちる。
粘膜がゆっくり擦れ合う度、真崎を感じた。
「………気持ちい、い」
自然と口を突いて出た。
昂まる快感に吐息が早まる。
「好きだよ、夢月」
いつもより甘く熱い真崎の声に、体中が震えた。
今までで一番、真崎を近くに感じたsexだった。
温かいお湯に体の気だるさが溶けていく、はずだけど。
夢月は湯船の一番右端に座り、縁に腕を置いて顔を埋めた。
「夢月………」
湯船の左端から真崎の声を聞く。
「夢月、ゆーづき」
つんつんと真崎の爪先がお腹に当たり、夢月は慌てて顔を上げた。
「今更照れんなよ」
湯船に背を預け、真崎が口元に笑みを浮かべる。
「オレは夢月より夢月の体知ってるし」
「だけど、一緒にお風呂なんてっ」
どうしても一緒にと強引に湯船に入れられた。
同じお湯に浸かるなんて、恥ずかしいにも程がある。
『あれからずっと好きだった』
しかも、良く考えると凄い告白を受けた気がする。
明るいところで顔を見るのも照れ臭い。
14才の頃からなら4年間、家庭教師をしている頃からなのだろうか。
真崎が高校に入学した年に、夢月も着任している。
すぐに気づいていたのだろうか。
もっと早く名乗り出なかったのは何故だろう。
つらつら考えていると、水音がして真崎が動き夢月の体に腕を回してきた。
「ひゃっ!」
なんとも言えない悲鳴を上げ、夢月の体が真崎の腕の中に収まる。
「そんでさ、クラス会っていつの何時?」
真崎が背後から夢月の肩に顎を乗せた。
あれ以来話題に上がらないからタチの悪い冗談かと思っていたが、本気らしい。
「真崎くんは来ちゃダメよ」
「は?行くし」
「行かないし………」
クラスでも堅物と言われ恋愛事には疎遠なキャラだっただけに、彼氏を連れて参加するなんてハードルが高過ぎる。
話題の中心になりたくないし、注目も浴びたくない。
第一に真崎の見た目は絶対に標的にされる。
欲目とかそう言う訳ではなく、真崎はどう見てもモテる。
クラスメイトに擦り寄られる真崎の姿なんて見たくない。
それに確か、染谷家は夢月が通っていた高校から近い。
今の職場からは離れているし、真崎が夢月の生徒だとバレることはないかもしれないが………
「兄貴も来んだろ?」
「染谷くん?どうかな………」
クラス会には悠太が来る可能性があるのだ。
悠太には確実にわかる。
18才の高校生を彼氏にしていることを。
悠太は言い触らすようなタイプではないだろうけど、反対を受ける可能性が高い。
「兄貴には離婚してからほとんど会ってねーし」
「あ、そっか………離婚してたんだよね」
兄弟仲は悪くは見えなかった。
悠太は結婚してるようだし、色々と忙しくて会えてないのだろうか。
「じゃあ、こっそり着いてくる感じで」
「………こっそり着いていくって、どうやんの?」
「外で待ってる的な?」
「へー、夢月はオレが邪魔なワケか?」
真崎の右手が胸の膨らみを掴む。
「違うよ、生徒ってバレたら困るし」
「そんだけ?」
真崎の指が尖に触れた。
「あっ………違うけどっ」
頸や耳朶、耳の裏までキスをされる。
ちゅ、ちゅ、と浴室に口付ける音が響いて、首の後ろを舌が這った瞬間に、吐息が漏れた。
逞ましく体に回される腕、優しい指先、肌に熱を刷り込ませる様な口付けや舌遣い、自分を求める真崎の情欲を独り占めしている確たる瞬間。
誰にも渡したくない。
「同窓会、婚活の一環って………美咲が」
お湯の中で真崎の指が肌を滑る度に、体の奥底が疼いた。
「皆んな必死なの、餌食になっちゃう」
言える訳がないと思っていた危惧が口を突いて出てくる。
「………真崎くん、狙われちゃう」
どう思われるか考える余裕もなく、口にしてしまったけれど、何故かスッキリ出来た。
耳元で真崎の熱い吐息を聞く。
呆れたものでもない、溜め込んだ愛欲をやっと吐き出した様なものだった。
真崎の両肩に真崎が手を置く。
肩がすっぽり収まるような大きな手の平が、肌の産毛を撫ぜるように腕に降り、夢月の手を握り締めた。
「婚活なら仕事や年収目安なんだから、稼いでる奴が対象であって、学生には興味もたねーよ」
包み込むような柔らかい抱擁と、諭すような真崎の声で磨り減った心の中が満たされていく感覚。
「それに、オレは夢月にしか興味ない。もう夢月を知ったから他は抱けないし、いらねー………夢月がいい」
同じ想いだと感じた。
艶気を含んだ低い声が、切実に告げる。
濡れた頬に真崎の温かい手の平が触れ、夢月は目蓋を閉じた。
重ねられる真崎の唇が啄ばむように夢月の上唇や下唇の感触を確かめる。
そしてそっと唇が舐められた。
唇に触れた舌の感触に、ぞくりと熱が込み上げ夢月は吐息を漏らし、唇を開く。
真崎の舌先を受け入れるように。
そうだったんだ………
ずっと以前に出会っていた。
本当に初めて会ったのは、本屋だった。
クラスメイトの染谷 悠太と偶然かち合い、参考書を一緒に選んだ。
その悠太の横に当時小学生だった有都がいた。
その時に名前を聞いたかもしれないが、悠太が「あっくん」と呼んでいたので夢月も「あっくん」と呼んだ。
それから近所の公園で宿題をする「あっくん」を見かけるようになり、夢月は声をかけた。
塾に行くまでの時間を潰しているのだと言う。
見かける度、夢月は声をかけていた。
大学生となり家も引っ越し、それを忘れた頃に悠太と遭遇。
「あっくん」の家庭教師をと打診され二つ返事で引き受けた時、とても嬉しく思ったのを覚えている。
再会した「あっくん」は小学生の頃の面影を残し、眼鏡の向こうから遠慮がちに目を合わせるような純情な少年のままだった。
純情で控えめ、綺麗な敬語を使う、可愛らしい男の子。
兄弟のいない夢月からするとただただ可愛かった。
可愛らしく………
「真崎くん、待って」
真崎の手が濡れて貼りついた夢月の服を脱がしていく。
「お風呂入るって言ったよねっ、……あっ」
首筋から胸元へと労わるような口付けが濡れた肌には熱い。
「………入るよ、終わったら」
真崎がシャツを脱ぎ捨てる。
引き締まった身体が洗面所から漏れ入る灯りにぼんやりとした印影を落とし、普段よりも色香を孕む。
可愛らしい「あっくん」はどこにいったのか………
「夢月、挿れていい?」
秘部に指を埋らせ真崎が乞う。
指から受ける快感で高みが近い夢月は、荒い息遣いで真崎の首筋にしがみついた。
濡れた肌がしっとりと重なる。
真崎の手が太腿を掴み上げると、待ち構えた快感が中へと押し込まれた。
「ああ、あ………」
じんじんと入り口近くを巡る熱さに、衝動が込み上げる。
夢月の感触を味わうように、ゆっくりと柔らかく真崎の腰が動いた。
奥底まで愛撫されているような抽挿に夢月は小さく喘ぐ。
今までも決して乱暴なsexではなかったし、優しくはあった。
だけれど、何かを訴え求め、貪るように熱く、持て余した気持ちをぶつけられているようだった。
だけど今は違いを感じる。
快楽の中で会話を交わすように、互いの体温の中に落ちる。
粘膜がゆっくり擦れ合う度、真崎を感じた。
「………気持ちい、い」
自然と口を突いて出た。
昂まる快感に吐息が早まる。
「好きだよ、夢月」
いつもより甘く熱い真崎の声に、体中が震えた。
今までで一番、真崎を近くに感じたsexだった。
温かいお湯に体の気だるさが溶けていく、はずだけど。
夢月は湯船の一番右端に座り、縁に腕を置いて顔を埋めた。
「夢月………」
湯船の左端から真崎の声を聞く。
「夢月、ゆーづき」
つんつんと真崎の爪先がお腹に当たり、夢月は慌てて顔を上げた。
「今更照れんなよ」
湯船に背を預け、真崎が口元に笑みを浮かべる。
「オレは夢月より夢月の体知ってるし」
「だけど、一緒にお風呂なんてっ」
どうしても一緒にと強引に湯船に入れられた。
同じお湯に浸かるなんて、恥ずかしいにも程がある。
『あれからずっと好きだった』
しかも、良く考えると凄い告白を受けた気がする。
明るいところで顔を見るのも照れ臭い。
14才の頃からなら4年間、家庭教師をしている頃からなのだろうか。
真崎が高校に入学した年に、夢月も着任している。
すぐに気づいていたのだろうか。
もっと早く名乗り出なかったのは何故だろう。
つらつら考えていると、水音がして真崎が動き夢月の体に腕を回してきた。
「ひゃっ!」
なんとも言えない悲鳴を上げ、夢月の体が真崎の腕の中に収まる。
「そんでさ、クラス会っていつの何時?」
真崎が背後から夢月の肩に顎を乗せた。
あれ以来話題に上がらないからタチの悪い冗談かと思っていたが、本気らしい。
「真崎くんは来ちゃダメよ」
「は?行くし」
「行かないし………」
クラスでも堅物と言われ恋愛事には疎遠なキャラだっただけに、彼氏を連れて参加するなんてハードルが高過ぎる。
話題の中心になりたくないし、注目も浴びたくない。
第一に真崎の見た目は絶対に標的にされる。
欲目とかそう言う訳ではなく、真崎はどう見てもモテる。
クラスメイトに擦り寄られる真崎の姿なんて見たくない。
それに確か、染谷家は夢月が通っていた高校から近い。
今の職場からは離れているし、真崎が夢月の生徒だとバレることはないかもしれないが………
「兄貴も来んだろ?」
「染谷くん?どうかな………」
クラス会には悠太が来る可能性があるのだ。
悠太には確実にわかる。
18才の高校生を彼氏にしていることを。
悠太は言い触らすようなタイプではないだろうけど、反対を受ける可能性が高い。
「兄貴には離婚してからほとんど会ってねーし」
「あ、そっか………離婚してたんだよね」
兄弟仲は悪くは見えなかった。
悠太は結婚してるようだし、色々と忙しくて会えてないのだろうか。
「じゃあ、こっそり着いてくる感じで」
「………こっそり着いていくって、どうやんの?」
「外で待ってる的な?」
「へー、夢月はオレが邪魔なワケか?」
真崎の右手が胸の膨らみを掴む。
「違うよ、生徒ってバレたら困るし」
「そんだけ?」
真崎の指が尖に触れた。
「あっ………違うけどっ」
頸や耳朶、耳の裏までキスをされる。
ちゅ、ちゅ、と浴室に口付ける音が響いて、首の後ろを舌が這った瞬間に、吐息が漏れた。
逞ましく体に回される腕、優しい指先、肌に熱を刷り込ませる様な口付けや舌遣い、自分を求める真崎の情欲を独り占めしている確たる瞬間。
誰にも渡したくない。
「同窓会、婚活の一環って………美咲が」
お湯の中で真崎の指が肌を滑る度に、体の奥底が疼いた。
「皆んな必死なの、餌食になっちゃう」
言える訳がないと思っていた危惧が口を突いて出てくる。
「………真崎くん、狙われちゃう」
どう思われるか考える余裕もなく、口にしてしまったけれど、何故かスッキリ出来た。
耳元で真崎の熱い吐息を聞く。
呆れたものでもない、溜め込んだ愛欲をやっと吐き出した様なものだった。
真崎の両肩に真崎が手を置く。
肩がすっぽり収まるような大きな手の平が、肌の産毛を撫ぜるように腕に降り、夢月の手を握り締めた。
「婚活なら仕事や年収目安なんだから、稼いでる奴が対象であって、学生には興味もたねーよ」
包み込むような柔らかい抱擁と、諭すような真崎の声で磨り減った心の中が満たされていく感覚。
「それに、オレは夢月にしか興味ない。もう夢月を知ったから他は抱けないし、いらねー………夢月がいい」
同じ想いだと感じた。
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