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ずっとふたりで①

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 クリスマスが終わり、年の瀬を迎えて仕事が忙しい中、桔平さんは会長であるお爺様に私との結婚の話をしてくれたそうだ。
 その時お爺様にどういう反応をされたのか、正直にすべてを話してほしいと桔平さんにお願いした。
 私が悲しまないようにと、思いやる気持ちからのウソはやめてほしい、と。

 すると桔平さんは困った顔をして、正直なところ良い顔はされなかったと話してくれた。
 お爺様としてはもっと家柄の良い令嬢と結婚してほしかったそうだ。
 たしかに私では釣り合わないから、そう思われても仕方がない。
 だけどかわいい孫が真剣に頼んで引かないものだから、最後は結婚を認めてくれたようだ。

 年が明けて、改めて私もご挨拶に行った。
 そのときにはもう、大企業の会長とは思えないくらい気さくに私たちの結婚を祝福してくれた。
 そこからはお互いの両家に報告に行き、結納のことや結婚式はどうするのかと、どんどん話が進んでいくので、私自身ついていくのが大変だ。
 一月は記憶がないくらい日が経つのが早くて、気がつけばもうすぐ二月がやってくる。

「めちゃくちゃ疲れた顔してんな。老け込むぞ?」

 ビルの1Fのエレベーターホールで、いきなり後ろからそう声をかけられた。
 久しぶりにこの人に会った気がする。
 ズケズケと私にこんな言葉を言う人は、ここではこの人しかいない。

「久しぶり」
「お久しぶりです、川井さん。ていうか、老け込むって失礼ですよ」
「結婚準備に振り回されてるんだろ?」

 まだ正式に桔平さんの結婚は発表になっていなくて、内輪しか知らない話なのに、なぜこの人は知っているのだろう。
 川井さんと連絡を取り合っている蘭にも、私の結婚のことは誰にも言わないでと口止めしておいたから彼女から聞いたわけではないと思う。
 この人の情報源はいくつもあるだろうから、きっと別ルートだ。

「俺に盛大に感謝しろよ?」
「突然なんの話ですか」
「誰のおかげで結婚まで漕ぎつけたんだよ」

 隣に並ぶ川井さんの顔をうかがい見ると、からかうようにニヤニヤと私を見下ろしている。
 母と一馬さんの関係を、桔平さんに話せとアドバイスしてくれていたことだろうか。
 たしかにあのまま私が逃げ続けていても不毛だったし、ずっと辛いままだったかもしれない。
 けれど、俺のおかげだろ、と言われるほどのことでもないと思う。

「あのときはアドバイスありがとうございました! でも、アイツは辞めとけとか最初は頭ごなしに言ってませんでしたっけ? 結局は仕方なしに応援側に回ってくれた感じが否めませんけど?」
「はは。そのことじゃないんだけどな」

 話がかみ合ってない、と川井さんが穏やかに言う。
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