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◇ストーカー被害⑩
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「やっ! やめて!!」
ここでようやく震えた声を出すことができた。
だけどすぐに男は捻りあげた右腕にさらに力を加える。右肩が痛くて関節が外れそう。
「おとなしくしろって。すぐ済む」
その言葉で今からなにをされるのか察しがついた。
貴重品目当てならバッグをひったくれば済むことだ。だからこの男の目的は金銭ではない。
きっと……私をはずかしめるのが目的なのだろう。
その証拠に今度はスカートの中に手を入れてきた。そしてさらに私を脅す。
「騒いだら、あられもない姿を人に見られるぞ?」
抵抗すればもっと怖い目に合う。殺されるかもしれない。
だけどこんな卑劣なことをするやつに好き勝手されるのは嫌。
このまま黙って犯されるくらいなら、死んだほうがマシだ。
太ももやお尻を触られて気持ち悪さに吐き気を覚えつつ、私はスーッと息を吸い込んだ。
「だ、誰かっ! 助けてーー!!」
今出せる精一杯の声で助けを呼んだ。その声が誰かに届くことを祈って。
「うるせぇーよ」
真後ろで怒りに満ちた声が聞こえ、私は自然にブルッと身体が震えた。
その瞬間、頭を目の前の壁に勢いよくガツンと押し当てられて痛みが走る。
涙も出ない。出たのは「うっ」という呻き声だけだ。
そしてまた、恐怖に支配される。
……もうダメだ。犯されて殺される。
諦めにも似た感情が頭をかすめたとき ――
「おい! なにやってんだ!!」
私の声が誰かに届いたのか、助けに来てくれた人がいた。
真後ろでチッという舌打ちが聞こえ、それと同時に捻り上げられていた右腕が解放される。
ずるずるとその場にへたりこみながらも振り返ると、走り去る犯人の後姿が見えた。
「大丈夫ですか?!」
助けに入ってくれた見知らぬ男性が、しゃがんで私に声をかけてくれる。
私は震えながらもコクリとうなずいた。精神的には全然大丈夫ではないけれど身体は無事だ。
「俺、犯人を追いかけます! とりあえず警察に電話して!」
彼はそう言いながら犯人が逃げた方向へと走って行ってしまった。
私は近くに転がっていた自分のバッグを掴み、あわててスマホを取り出す。
よく考えたら、こんな真っ暗な路地に私は今ひとりきりだ。
それを認識してしまうと怖くて両手がブルブルと勝手に震えだした。
今はスマホの液晶の灯りだけが頼り。
『もしもし』
「もしもし、あの……い、今、路上で……」
声が震える上に、時折喉も詰まってしまう。なんせ気が動転していてうまく話せない。
警察の人に今どこにいるか、状況を説明しなければならないのに。きちんと伝えて早く来てもらわなくては。
『どうした? なにかあったのか?!』
耳に届いたその声で……電話の向こうにいる人が誰だかわかってしまった。
ここでようやく震えた声を出すことができた。
だけどすぐに男は捻りあげた右腕にさらに力を加える。右肩が痛くて関節が外れそう。
「おとなしくしろって。すぐ済む」
その言葉で今からなにをされるのか察しがついた。
貴重品目当てならバッグをひったくれば済むことだ。だからこの男の目的は金銭ではない。
きっと……私をはずかしめるのが目的なのだろう。
その証拠に今度はスカートの中に手を入れてきた。そしてさらに私を脅す。
「騒いだら、あられもない姿を人に見られるぞ?」
抵抗すればもっと怖い目に合う。殺されるかもしれない。
だけどこんな卑劣なことをするやつに好き勝手されるのは嫌。
このまま黙って犯されるくらいなら、死んだほうがマシだ。
太ももやお尻を触られて気持ち悪さに吐き気を覚えつつ、私はスーッと息を吸い込んだ。
「だ、誰かっ! 助けてーー!!」
今出せる精一杯の声で助けを呼んだ。その声が誰かに届くことを祈って。
「うるせぇーよ」
真後ろで怒りに満ちた声が聞こえ、私は自然にブルッと身体が震えた。
その瞬間、頭を目の前の壁に勢いよくガツンと押し当てられて痛みが走る。
涙も出ない。出たのは「うっ」という呻き声だけだ。
そしてまた、恐怖に支配される。
……もうダメだ。犯されて殺される。
諦めにも似た感情が頭をかすめたとき ――
「おい! なにやってんだ!!」
私の声が誰かに届いたのか、助けに来てくれた人がいた。
真後ろでチッという舌打ちが聞こえ、それと同時に捻り上げられていた右腕が解放される。
ずるずるとその場にへたりこみながらも振り返ると、走り去る犯人の後姿が見えた。
「大丈夫ですか?!」
助けに入ってくれた見知らぬ男性が、しゃがんで私に声をかけてくれる。
私は震えながらもコクリとうなずいた。精神的には全然大丈夫ではないけれど身体は無事だ。
「俺、犯人を追いかけます! とりあえず警察に電話して!」
彼はそう言いながら犯人が逃げた方向へと走って行ってしまった。
私は近くに転がっていた自分のバッグを掴み、あわててスマホを取り出す。
よく考えたら、こんな真っ暗な路地に私は今ひとりきりだ。
それを認識してしまうと怖くて両手がブルブルと勝手に震えだした。
今はスマホの液晶の灯りだけが頼り。
『もしもし』
「もしもし、あの……い、今、路上で……」
声が震える上に、時折喉も詰まってしまう。なんせ気が動転していてうまく話せない。
警察の人に今どこにいるか、状況を説明しなければならないのに。きちんと伝えて早く来てもらわなくては。
『どうした? なにかあったのか?!』
耳に届いたその声で……電話の向こうにいる人が誰だかわかってしまった。
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