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第二章 冒険者ギルドと神々の遺産(アーティファクト)
第九話「ダンジョン~邂逅~」
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翌朝、装備を整えた調査隊の面々は、気持ちも新たに十一階層以下の調査に乗り出した。
前日と同じく、ラルフを先頭に注意深くダンジョンを進んでいく。普通、ここまで進んでくるとオークやトロール等の強力な魔物と遭遇することが多くなるのだが、既に十四階層まで進んでいるにもかかわらず、まだ魔物との遭遇は一度もない事がより強く調査隊に緊張を強いていた。既に、本来あるべきモリーユのダンジョンの有様とは明らかに違う様相だった。
「もう間違いなく、何かとんでもないものがここに住み着いてるねぇ~。ホントなら調査を打ち切って、もっと大規模な部隊を連れて戻ってきた方が良いと思うけど、相手がどんな奴なのかを突き止めないうちには動きの取りようが無いよねぇ~。ただ、私の勘はすごくヤバいって言ってるんだよね~」
普段は飄々とした雰囲気で場を和ませるレイシャをして、こう言わしめる何かがそこには漂っていた。
相手の正体に薄々気づいている黒猫と従者は、出来ればここでいったん調査を終わらせてくれた方が都合がいいのだが、その後の対応をどうするかについては、やはり相手の正体を突き止めてからでないと手が打てないというエルミアのごもっともな意見で、先に進むこととなった。
そして十五階層に降り立った調査隊が目にしたものは、これまでの階層とはまるで違う地獄絵図だった。
最初にその異変に気付いたのは、先頭を歩くラルフだった。
「ちょっと待ってください!……何だろう?すごく変な感じがします。この先、何かがあります。」
「何かって、魔物じゃないの?」
「いや、それがよく分からないんですよ。魔物であれば、何らかの動きや察知できるものがあるんですけど、今感じるのは何かがいた痕跡のようなものとしか言いようがないです。その角の先です」
ラルフの持つ斥候の特殊技能は、ある程度離れた場所について、何がどの程度いるのか、それは人でも魔物でも同じだが、ある程度の数と相手までの距離を凡そ知ることが出来る技能だった。この技能により、不意打ちや待ち伏せによる攻撃を察知することが出来、事前に対処をすることが出来るのだった。
だが、今ラルフが感じているのはそういった明確な指標では無く、漠然とした不安だった。
「とりあえず、行ってみないと分からないから、慎重に進みましょう」
そうエルミアが言うと、皆、得物を握りしめ、ゆっくりと曲がり角に差し掛かった。
ラルフが先に様子を見、何もいない事を確認したうえで、
「みんな、呼吸を合わせていくわよ」
いざという時の魔法の発動準備を整えたエルミアが声をかけ、一気に曲がり角に飛び出した。
はじめは、何の変哲もないただの通路だと思った。ただ、辺りに焦げ臭いにおいや生臭いにおいが充満している事に気づき、周りと見渡した調査隊は、壁一面に無数の肉片がこびり付いている事に気づいた。
それは、明らかに魔物の残骸だが、何だったのか分からないただの肉片もあれば、目玉が飛び出したトロールの頭部の一部がそのまま残っていたり、また、ある場所は一面に炎で焼き尽くされた痕跡があり、木炭化した様々な部位が転がっていた。
「うぇっぷ……」
クラークは、思わずその場に胃の中のものをぶちまけていた。ラルフも口を押えていたが、何とか耐えている様子だった。辺りの様子を見まわしたエルミアとレイシャは、
「つまり、こんな事が出来る奴が相手ってわけだね」
「これは、もうこれ以上の調査は必要ないわね。すぐにでも討伐隊を編成して、対処しないと手遅れになるわ」
と言葉を交わし、急ぎギルドへ戻る事を考え始めていた。
そんな中、アリスは辺りを見回し、小声で肩に乗る黒猫に話しかけた。
「タロ様、敵の気配が掴めませんが、どこにいるのでしょうか?」
『確かに、これだけの痕跡があるなら、近くにいそうなものだがな。全方位探査を使っても引っかからないのか?』
「やってみましたが、当たりはありませんね」
そんな主従のやり取りをよそに、エルミアが行動方針を決めメンバーに伝えた。
「本当は来た道を戻る方が安全なんだけど、今回は時間が惜しいの。危険なのは承知だけど、この階層を先へ進みフロアマスターを倒して転送で地上に出ましょう。ラルフの話では、ここからフロアマスターの部屋がある辺りまでは魔物の気配が無いそうだから、急いで先に進んでフロアマスターを討伐するわよ」
「アリスちゃん、心配しなくても大丈夫だよ。ここのフロアマスターはオークジェネラルだったから、今回のメンバーならすぐに片付くからね」
そう言う二人の意見に特に反論は出ず、急いでその場を離れることにしたメンバーはフロアマスターの部屋へと急ぐのだった。さほど時間をかけずその部屋の前に到着すると、
「前回の討伐報告からは既に三ヵ月経ってるし、この前異変の報告を上げてくれた子たちも十階層のフロアマスターまでしか討伐してないって話だったから、間違いなくここは討伐する必要があるわ。さっきもレイシャが言った通り、このパーティーなら瞬殺出来るから急ぎましょう」
とエルミアが皆に言葉をかけ、
「じゃ、行くよ」
というレイシャの言葉と共にフロアマスター部屋の扉が開かれ、一斉に部屋に飛び込んだ。
その部屋に入った瞬間、調査隊のメンバーは違和感に襲われた。
通常、フロアマスターがいる部屋は通路とは違い比較的明るい部屋になっている。フロアマスターを討伐することにより、その部屋の光量は通路のそれと同程度にまで落ちる。つまり、フロアマスターが居るかいないかは、部屋の明るさで判断できるのだ。そして今、この部屋は通路と同じ程度の光量しかないのだった。
「えっ?なんで??」
レイシャの間の抜けた声が響く。
「そんなはずは……討伐報告は受けていないのに……」
エルミアの言う通り、フロアマスターを討伐した場合はギルドへの報告義務が冒険者にはあった。当然、報酬も他の魔物とは違い高額だったため、報告をしない事など無いのだが。そして、今の状況を生み出した原因に次第に気づきだすのである。
その事に最初に気づいたのは、やはりラルフだった。
若干うす暗い部屋の中央に位置する場所にそれは居た。それはその場所でおもむろに立ち上がった。
「皆さん!中央に何かいます!」
ラルフが叫びをあげる前に、調査隊の面々もそれを視認することが出来た。そしてそれを見た瞬間、全員の動きが止まった。
初めて見るその凶悪な外見に、瞬間的に思考がフリーズしてしまった調査隊の面々をよそに、アリスとタロだけが、自分達の予想が正しかったと納得したのだった。
タロは、思わずアリスに叫んだ。
『アリス、気をつけろ!こいつは以前に俺が対峙した奴より数倍デカイ!なんでこんな奴が地上にいるんだ!』
興奮してそうまくし立てる自らの主人に、しかしアリスは小さな声でこう答えた。
「ご安心ください、タロ様。タロ様ご自身の身体が小さくなっているためにそう感じるだけですから」
そう冷静に返されたタロは一瞬固まり、自分の身体と対する魔物の身体を見比べた後、こほんと小さく咳払いすると、何事もなかったように続けた。
『間違いなく、裏に誰かがいるな・・・・・・』
「・・・・・・ご安心ください、タロ様。タロ様の身体が・・・・・・」
『分かったよ!俺が黒猫になったから大きさを間違えたんだよ!なんでスルーしたのに二回も言おうとするかな!』
「ひょっとしたらご主人様がお気づきでないかと思いまして」
『そんな訳あるか!』
今からまさに死闘が始まろうという時にも主人へのツッコミを忘れない従者であった。
前日と同じく、ラルフを先頭に注意深くダンジョンを進んでいく。普通、ここまで進んでくるとオークやトロール等の強力な魔物と遭遇することが多くなるのだが、既に十四階層まで進んでいるにもかかわらず、まだ魔物との遭遇は一度もない事がより強く調査隊に緊張を強いていた。既に、本来あるべきモリーユのダンジョンの有様とは明らかに違う様相だった。
「もう間違いなく、何かとんでもないものがここに住み着いてるねぇ~。ホントなら調査を打ち切って、もっと大規模な部隊を連れて戻ってきた方が良いと思うけど、相手がどんな奴なのかを突き止めないうちには動きの取りようが無いよねぇ~。ただ、私の勘はすごくヤバいって言ってるんだよね~」
普段は飄々とした雰囲気で場を和ませるレイシャをして、こう言わしめる何かがそこには漂っていた。
相手の正体に薄々気づいている黒猫と従者は、出来ればここでいったん調査を終わらせてくれた方が都合がいいのだが、その後の対応をどうするかについては、やはり相手の正体を突き止めてからでないと手が打てないというエルミアのごもっともな意見で、先に進むこととなった。
そして十五階層に降り立った調査隊が目にしたものは、これまでの階層とはまるで違う地獄絵図だった。
最初にその異変に気付いたのは、先頭を歩くラルフだった。
「ちょっと待ってください!……何だろう?すごく変な感じがします。この先、何かがあります。」
「何かって、魔物じゃないの?」
「いや、それがよく分からないんですよ。魔物であれば、何らかの動きや察知できるものがあるんですけど、今感じるのは何かがいた痕跡のようなものとしか言いようがないです。その角の先です」
ラルフの持つ斥候の特殊技能は、ある程度離れた場所について、何がどの程度いるのか、それは人でも魔物でも同じだが、ある程度の数と相手までの距離を凡そ知ることが出来る技能だった。この技能により、不意打ちや待ち伏せによる攻撃を察知することが出来、事前に対処をすることが出来るのだった。
だが、今ラルフが感じているのはそういった明確な指標では無く、漠然とした不安だった。
「とりあえず、行ってみないと分からないから、慎重に進みましょう」
そうエルミアが言うと、皆、得物を握りしめ、ゆっくりと曲がり角に差し掛かった。
ラルフが先に様子を見、何もいない事を確認したうえで、
「みんな、呼吸を合わせていくわよ」
いざという時の魔法の発動準備を整えたエルミアが声をかけ、一気に曲がり角に飛び出した。
はじめは、何の変哲もないただの通路だと思った。ただ、辺りに焦げ臭いにおいや生臭いにおいが充満している事に気づき、周りと見渡した調査隊は、壁一面に無数の肉片がこびり付いている事に気づいた。
それは、明らかに魔物の残骸だが、何だったのか分からないただの肉片もあれば、目玉が飛び出したトロールの頭部の一部がそのまま残っていたり、また、ある場所は一面に炎で焼き尽くされた痕跡があり、木炭化した様々な部位が転がっていた。
「うぇっぷ……」
クラークは、思わずその場に胃の中のものをぶちまけていた。ラルフも口を押えていたが、何とか耐えている様子だった。辺りの様子を見まわしたエルミアとレイシャは、
「つまり、こんな事が出来る奴が相手ってわけだね」
「これは、もうこれ以上の調査は必要ないわね。すぐにでも討伐隊を編成して、対処しないと手遅れになるわ」
と言葉を交わし、急ぎギルドへ戻る事を考え始めていた。
そんな中、アリスは辺りを見回し、小声で肩に乗る黒猫に話しかけた。
「タロ様、敵の気配が掴めませんが、どこにいるのでしょうか?」
『確かに、これだけの痕跡があるなら、近くにいそうなものだがな。全方位探査を使っても引っかからないのか?』
「やってみましたが、当たりはありませんね」
そんな主従のやり取りをよそに、エルミアが行動方針を決めメンバーに伝えた。
「本当は来た道を戻る方が安全なんだけど、今回は時間が惜しいの。危険なのは承知だけど、この階層を先へ進みフロアマスターを倒して転送で地上に出ましょう。ラルフの話では、ここからフロアマスターの部屋がある辺りまでは魔物の気配が無いそうだから、急いで先に進んでフロアマスターを討伐するわよ」
「アリスちゃん、心配しなくても大丈夫だよ。ここのフロアマスターはオークジェネラルだったから、今回のメンバーならすぐに片付くからね」
そう言う二人の意見に特に反論は出ず、急いでその場を離れることにしたメンバーはフロアマスターの部屋へと急ぐのだった。さほど時間をかけずその部屋の前に到着すると、
「前回の討伐報告からは既に三ヵ月経ってるし、この前異変の報告を上げてくれた子たちも十階層のフロアマスターまでしか討伐してないって話だったから、間違いなくここは討伐する必要があるわ。さっきもレイシャが言った通り、このパーティーなら瞬殺出来るから急ぎましょう」
とエルミアが皆に言葉をかけ、
「じゃ、行くよ」
というレイシャの言葉と共にフロアマスター部屋の扉が開かれ、一斉に部屋に飛び込んだ。
その部屋に入った瞬間、調査隊のメンバーは違和感に襲われた。
通常、フロアマスターがいる部屋は通路とは違い比較的明るい部屋になっている。フロアマスターを討伐することにより、その部屋の光量は通路のそれと同程度にまで落ちる。つまり、フロアマスターが居るかいないかは、部屋の明るさで判断できるのだ。そして今、この部屋は通路と同じ程度の光量しかないのだった。
「えっ?なんで??」
レイシャの間の抜けた声が響く。
「そんなはずは……討伐報告は受けていないのに……」
エルミアの言う通り、フロアマスターを討伐した場合はギルドへの報告義務が冒険者にはあった。当然、報酬も他の魔物とは違い高額だったため、報告をしない事など無いのだが。そして、今の状況を生み出した原因に次第に気づきだすのである。
その事に最初に気づいたのは、やはりラルフだった。
若干うす暗い部屋の中央に位置する場所にそれは居た。それはその場所でおもむろに立ち上がった。
「皆さん!中央に何かいます!」
ラルフが叫びをあげる前に、調査隊の面々もそれを視認することが出来た。そしてそれを見た瞬間、全員の動きが止まった。
初めて見るその凶悪な外見に、瞬間的に思考がフリーズしてしまった調査隊の面々をよそに、アリスとタロだけが、自分達の予想が正しかったと納得したのだった。
タロは、思わずアリスに叫んだ。
『アリス、気をつけろ!こいつは以前に俺が対峙した奴より数倍デカイ!なんでこんな奴が地上にいるんだ!』
興奮してそうまくし立てる自らの主人に、しかしアリスは小さな声でこう答えた。
「ご安心ください、タロ様。タロ様ご自身の身体が小さくなっているためにそう感じるだけですから」
そう冷静に返されたタロは一瞬固まり、自分の身体と対する魔物の身体を見比べた後、こほんと小さく咳払いすると、何事もなかったように続けた。
『間違いなく、裏に誰かがいるな・・・・・・』
「・・・・・・ご安心ください、タロ様。タロ様の身体が・・・・・・」
『分かったよ!俺が黒猫になったから大きさを間違えたんだよ!なんでスルーしたのに二回も言おうとするかな!』
「ひょっとしたらご主人様がお気づきでないかと思いまして」
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