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日々を作る
3 おはよう
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「大丈夫。ほんとに、大丈夫」
アウスは自分に言い聞かすように言った。
(大丈夫なんだ)
心の中でも呟く。何回も、何十回も。必死に不安を隠すように。
「大丈夫か」
アクラムは、ボソッと言葉を繰り返した。
アウスにもその声は聞こえ、何をいうのか身構えた。
しかし、その後、全く喋らなくなって、沈黙が長い間続き、アウスは何を考えているのか分からなくて、不安でいっぱいになる。
それでも、何回も心で繰り返した。大丈夫と。
「じゃあ、アウス。嫌だとか、悲しいと思ったことはないか?」
黙っていたアクラムが、急に口を開いた。
「……わからない。そ、そんなの知らない。どうすればいいのか、ずっとわからない。だけど、僕は、大丈夫。いい子だから」
両親に言われたことを思い出して、アウスは答えた。
それに、アクラムの言っていることを、アウスなりに考えた。けれど、何を言えばいいのか分からなかった。嫌とか辛いとかそんなこと考えないようにこの3ヶ月暮らしてきた。それにこの生活にも慣れたはずなのだ。
なのに、どうしても、前の生活を思い出してしまう。そのことが嫌だった。もう忘れてしまいたいと思っていた。
もうきっと、あの生活には戻れないとどこかで知っていたから。
「……わかった。わからないな。難しいな……。でも、それで、いい」
アクラムは、アウスの頭を撫でながら、ニコッと優しく微笑んだ。そして、加えてこう続ける。
「ただ、一つだけ、分からなくてもいいんだ。でも、嫌なこと、いいと思ったこと。それから、アウス、お前が思ったことを俺は知りたい。それが、いい子と言われるものじゃなくてもいい。だから、今思っていることはなんだ? 答えられないならそれでいい。でも、言えるのなら、教えて欲しい」
次第に声色は優しく、ゆったりとしていき、アウスの耳にスッと入ってくるようになった。
それから、数分の間。沈黙が続き、辺りはシーンと静まり返っていた。
アウスは自分に言い聞かすように言った。
(大丈夫なんだ)
心の中でも呟く。何回も、何十回も。必死に不安を隠すように。
「大丈夫か」
アクラムは、ボソッと言葉を繰り返した。
アウスにもその声は聞こえ、何をいうのか身構えた。
しかし、その後、全く喋らなくなって、沈黙が長い間続き、アウスは何を考えているのか分からなくて、不安でいっぱいになる。
それでも、何回も心で繰り返した。大丈夫と。
「じゃあ、アウス。嫌だとか、悲しいと思ったことはないか?」
黙っていたアクラムが、急に口を開いた。
「……わからない。そ、そんなの知らない。どうすればいいのか、ずっとわからない。だけど、僕は、大丈夫。いい子だから」
両親に言われたことを思い出して、アウスは答えた。
それに、アクラムの言っていることを、アウスなりに考えた。けれど、何を言えばいいのか分からなかった。嫌とか辛いとかそんなこと考えないようにこの3ヶ月暮らしてきた。それにこの生活にも慣れたはずなのだ。
なのに、どうしても、前の生活を思い出してしまう。そのことが嫌だった。もう忘れてしまいたいと思っていた。
もうきっと、あの生活には戻れないとどこかで知っていたから。
「……わかった。わからないな。難しいな……。でも、それで、いい」
アクラムは、アウスの頭を撫でながら、ニコッと優しく微笑んだ。そして、加えてこう続ける。
「ただ、一つだけ、分からなくてもいいんだ。でも、嫌なこと、いいと思ったこと。それから、アウス、お前が思ったことを俺は知りたい。それが、いい子と言われるものじゃなくてもいい。だから、今思っていることはなんだ? 答えられないならそれでいい。でも、言えるのなら、教えて欲しい」
次第に声色は優しく、ゆったりとしていき、アウスの耳にスッと入ってくるようになった。
それから、数分の間。沈黙が続き、辺りはシーンと静まり返っていた。
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