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出会い
5・記憶の中で…
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「ねぇ……お母さん」
視界がぼやけて,母の姿も次第にはっきりと見えなくなってくる。
「嫌だ。いなくならないで……」
声が震えて,もう言葉にもならなくなってきた頃。母の心臓の音が弱くなっているのを感じた。
(さっきまで,朝までずっと元気だったのに……ねぇ,どうして?僕を置いていかないで……)
そう願っても,心拍は弱まっていくばかりで,もうよくなることはなかった。それでも,アウスは何度も母に話しかける。もう一度,目が覚めると信じて。
「ねぇ,起きてよ。ねえってば」
アウスがそう叫んだ瞬間だった。アウスの視界がぐるりと目が回ったかのように天井を向いていた。
(えっ……何?)
考えてもわからなくて,お腹の痛みだけが追ってやってきた。
「痛い……」
男たちに腹を思いっきり蹴られたのだ。そうわかっても痛みで動けず,逃げることもできなかった。
「さっきからうるさいな。いい加減黙って」
男の1人がそう言って,髪の毛を掴まれて身体を持ち上げられる。
「嫌だ……やめて……」
涙声で,囁くようにアウスは懇願したが,やめてくれるはずもなく,そこから何度も何度も腹や腕や足,全身を蹴られたり,踏みつけられたりした。それに顔は鼻血は出て,息も苦しくなるくらいに散々痛めつけられた。
ようやく男たちに解放された頃。
全身に痛みが走って動けず,母の近くに行くことも叶わなくなっていた。
「どうします?この子ども」
「このままでも死ぬだろ」
なんて,会話をしながら男たちはアウスの元から去っていった。
(どうかしなきゃ)
起きあがって母の元へと向かおうとどうにか力を振り絞る。
けれど,起き上がることなんてできず,這いながら母の手をどうにか握った。もう時がたっていたのか,体温が下がりはじめていた。
この時,母がもういないということが嫌でもわかってしまった。もう戻っても来ないと。
(きっと,僕も,すぐに行くよ……待ってて。お母さん)
身体全身が痛くて,母の手を握りしめて,アウスは目を閉じた。もう何もしたくないし,何も感じたくなかった。
ただただ,母に父にすぐに会いたいと思った。
視界がぼやけて,母の姿も次第にはっきりと見えなくなってくる。
「嫌だ。いなくならないで……」
声が震えて,もう言葉にもならなくなってきた頃。母の心臓の音が弱くなっているのを感じた。
(さっきまで,朝までずっと元気だったのに……ねぇ,どうして?僕を置いていかないで……)
そう願っても,心拍は弱まっていくばかりで,もうよくなることはなかった。それでも,アウスは何度も母に話しかける。もう一度,目が覚めると信じて。
「ねぇ,起きてよ。ねえってば」
アウスがそう叫んだ瞬間だった。アウスの視界がぐるりと目が回ったかのように天井を向いていた。
(えっ……何?)
考えてもわからなくて,お腹の痛みだけが追ってやってきた。
「痛い……」
男たちに腹を思いっきり蹴られたのだ。そうわかっても痛みで動けず,逃げることもできなかった。
「さっきからうるさいな。いい加減黙って」
男の1人がそう言って,髪の毛を掴まれて身体を持ち上げられる。
「嫌だ……やめて……」
涙声で,囁くようにアウスは懇願したが,やめてくれるはずもなく,そこから何度も何度も腹や腕や足,全身を蹴られたり,踏みつけられたりした。それに顔は鼻血は出て,息も苦しくなるくらいに散々痛めつけられた。
ようやく男たちに解放された頃。
全身に痛みが走って動けず,母の近くに行くことも叶わなくなっていた。
「どうします?この子ども」
「このままでも死ぬだろ」
なんて,会話をしながら男たちはアウスの元から去っていった。
(どうかしなきゃ)
起きあがって母の元へと向かおうとどうにか力を振り絞る。
けれど,起き上がることなんてできず,這いながら母の手をどうにか握った。もう時がたっていたのか,体温が下がりはじめていた。
この時,母がもういないということが嫌でもわかってしまった。もう戻っても来ないと。
(きっと,僕も,すぐに行くよ……待ってて。お母さん)
身体全身が痛くて,母の手を握りしめて,アウスは目を閉じた。もう何もしたくないし,何も感じたくなかった。
ただただ,母に父にすぐに会いたいと思った。
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