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3章
6話 パレード
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そんな中,坊ちゃんは,集まってくる人たちを見ながらキラキラと瞳を輝かせている。
「どうしたのですか?」
「なんか、みんな楽しみにしているのかと思うと僕ものすごく楽しみになって,今からすごくワクワクするなって」
「ワクワク,私もしています。レオさんはそうではないのですか?」
メアリさんも楽しそうにそう話した。
「いえ,楽しみなのですが,それと同時に,緊張感もあるような…」
どこかピリつく空気がここには漂っている。
この国一番のお祭り。それに,騎士のパレードとくれば漂わないわけがないのだけれど,その空気は重く自分の生きている世界とは違うのだと否が応でも感じさせられている気分だった。
自分がいけなかった場所,そんなふうに感じてはほんの少し悲しくなるのは,人には言えないこと。
「でも,私たちは緊張しなくていいんですよ。私たちは,楽しめばいいのですから」
「そうですね」
「うん。楽しも。レオも」
僕たちは,その場にしゃがんでパレードを始まるのを待つことにした。
というのも,後ろの人たちにも見えるようにと。
そうして,1時間が過ぎていき,パレードが幕をあけた。
最初は,騎士団の人々ではなく,一般の人たちがいろんなことをして歩いていく。
そして,最後に騎士の人たちが,歩くというような感じだった。
兄も旦那様も凛とした表情でいつもの感じが嘘なのではないかと思うほどかっこよかった。
(いいな…)
心の中で僕はそんな感情が浮かんできていた。
そんな時,手を引っ張り,坊ちゃんは僕たちを呼ぶ。
「ねえねえ」
『どうしたんですか?』
メアリさんと僕は同時に反応する。
「なんか,かっこいいね。僕は…将来,あんなふうになれるかな?」
てっきり,剣術が嫌いだったので,将来は旦那様とは違う道に行きたいと思っているのではないかと思っていた。
だから,正直,驚いて,言葉を失いつつも,どこか嬉しくもなる。
「そう,ですね…坊ちゃんの努力次第だと思います。だから,これからは剣術もちゃんとやってください」
「…う,うん。もう少しだけ,頑張ってみようかな…」
「その調子です。応援してます」
「私も応援してますよ」
メアリさんもそう声に出して,坊ちゃんは嬉しそうに頬を赤く染めた。
「ありがとう。僕,明日から頑張るね」
そう意気込む坊ちゃんの目は確かに,真剣な眼差しそのものだった。
「ところで,このあとはどうしますか?もう帰るという感じですか?」
「それが,まだどうしても行きたいところに行けてなくて…」
メアリさんが,そう声に出して,案内の紙を僕たちに見せた。
「あ,なるほど…確かにここは…」
僕は,メアリさんが地図で示した場所を見て納得する。
メアリさんが指さしていた場所は行列の絶えない人気店のお祭りバージョンで,お祭り限定の食べ物を売っている場所だった。
「…ほんと,お二人には申し訳ないのですが,どうしても行ってみたくて…売り切れ覚悟で行こうかなと…お二人は,変えてもらってもいいので…」
そのお店のあるあたりは,確か休憩できるスペースがあるはず。だから,待つにはいいところでもある。
「待っておりますよ。ね,坊ちゃん?もう少しお祭り楽しみたいですよね?」
「うん,僕も,メアリのこと待ってる」
「ほんとですか。嬉しいです。ありがとうございます。ほんとは,お二人と一緒にもう少し回りたいと思っていたので…」
照れながら言うメアリさんを見て僕までもどこか嬉しくなってしまう。
そうして,僕たちは地図の場所へと向かった。
やはり,その店はまだまだ行列を作っていた。
「…はぁ,やっぱりまだ多くの人たちが並んでいますね…なんか,ほんと申し訳ないです…」
「気にしないでください。僕たちは座ってそこで待ってます」
「うん,気にしないで,僕もレオと待ってる」
「…ほんっとありがとうございます」
メアリさんは,そう言って,列へと並んで行った。
「じゃあ,僕たちは,あそこで座ってましょうか?」
ちょうど2人分の席が空いて,手を繋いでいる僕たちはそこへと向かった。
座って少しすると,坊ちゃんがソワソワしてきた。その様子を見て,僕は気になって聞いてみる。
「何かしたいこととかありますか?」
「あのね,僕,一度でいいから1人で,お買い物してみたいなって思っていて…それで,だから,今日,今1人でお買い物したいなって…」
「…そうですね…」
正直,坊ちゃんを1人にするのはちょっと嫌だと思った。
けれど,僕の見える範囲なら別にいいかと言う考えが浮かんでしまった。
「ねえねえ,いい?」
悩んでいる僕を尻目に,何度も何度も聞いてくる。
「…わかりました.では,すぐそこのお店で何かを買ってきてください」
僕は,あまり混んでいない,お店を指さして言う。
「いいの⁉︎ありがとう。僕嬉しい」
「いいですよ。では,これで買ってきてくださいね」
お金を坊ちゃんに渡す。
「じゃあ,買ってくるね」
「はい,待ってますね」
ついつい許してしまうのはいけないなと思いながら,僕は坊ちゃんが帰ってくるのを待った。
それでもいつのまにか坊ちゃんは人混みに紛れてしまっていた。
「えっ…」
すぐに僕は坊ちゃんの背中を追うことにして,すぐに坊ちゃんのことを見つけた。けれど,パレードを見終わった人たちも押し寄せて坊ちゃんのところに行くまでに時間がかかりいつのまにか見失ってしまう。
“どうしよう”
もしかしたらなんていくらでも考えていたのに,一瞬気が緩んでしまった自分が許せなくなる。
「坊ちゃん…」
気が気じゃなくなり,すぐに坊ちゃんを探すことにした。
人気のないところまでいつのまにか走って行くと,坊ちゃんの声を見つける。
「レオ…」
その声は確かに,か細くて聞こえづらかったけれど,確かに坊ちゃんの声に聞こえる。
「坊ちゃん…?」
「どうしたのですか?」
「なんか、みんな楽しみにしているのかと思うと僕ものすごく楽しみになって,今からすごくワクワクするなって」
「ワクワク,私もしています。レオさんはそうではないのですか?」
メアリさんも楽しそうにそう話した。
「いえ,楽しみなのですが,それと同時に,緊張感もあるような…」
どこかピリつく空気がここには漂っている。
この国一番のお祭り。それに,騎士のパレードとくれば漂わないわけがないのだけれど,その空気は重く自分の生きている世界とは違うのだと否が応でも感じさせられている気分だった。
自分がいけなかった場所,そんなふうに感じてはほんの少し悲しくなるのは,人には言えないこと。
「でも,私たちは緊張しなくていいんですよ。私たちは,楽しめばいいのですから」
「そうですね」
「うん。楽しも。レオも」
僕たちは,その場にしゃがんでパレードを始まるのを待つことにした。
というのも,後ろの人たちにも見えるようにと。
そうして,1時間が過ぎていき,パレードが幕をあけた。
最初は,騎士団の人々ではなく,一般の人たちがいろんなことをして歩いていく。
そして,最後に騎士の人たちが,歩くというような感じだった。
兄も旦那様も凛とした表情でいつもの感じが嘘なのではないかと思うほどかっこよかった。
(いいな…)
心の中で僕はそんな感情が浮かんできていた。
そんな時,手を引っ張り,坊ちゃんは僕たちを呼ぶ。
「ねえねえ」
『どうしたんですか?』
メアリさんと僕は同時に反応する。
「なんか,かっこいいね。僕は…将来,あんなふうになれるかな?」
てっきり,剣術が嫌いだったので,将来は旦那様とは違う道に行きたいと思っているのではないかと思っていた。
だから,正直,驚いて,言葉を失いつつも,どこか嬉しくもなる。
「そう,ですね…坊ちゃんの努力次第だと思います。だから,これからは剣術もちゃんとやってください」
「…う,うん。もう少しだけ,頑張ってみようかな…」
「その調子です。応援してます」
「私も応援してますよ」
メアリさんもそう声に出して,坊ちゃんは嬉しそうに頬を赤く染めた。
「ありがとう。僕,明日から頑張るね」
そう意気込む坊ちゃんの目は確かに,真剣な眼差しそのものだった。
「ところで,このあとはどうしますか?もう帰るという感じですか?」
「それが,まだどうしても行きたいところに行けてなくて…」
メアリさんが,そう声に出して,案内の紙を僕たちに見せた。
「あ,なるほど…確かにここは…」
僕は,メアリさんが地図で示した場所を見て納得する。
メアリさんが指さしていた場所は行列の絶えない人気店のお祭りバージョンで,お祭り限定の食べ物を売っている場所だった。
「…ほんと,お二人には申し訳ないのですが,どうしても行ってみたくて…売り切れ覚悟で行こうかなと…お二人は,変えてもらってもいいので…」
そのお店のあるあたりは,確か休憩できるスペースがあるはず。だから,待つにはいいところでもある。
「待っておりますよ。ね,坊ちゃん?もう少しお祭り楽しみたいですよね?」
「うん,僕も,メアリのこと待ってる」
「ほんとですか。嬉しいです。ありがとうございます。ほんとは,お二人と一緒にもう少し回りたいと思っていたので…」
照れながら言うメアリさんを見て僕までもどこか嬉しくなってしまう。
そうして,僕たちは地図の場所へと向かった。
やはり,その店はまだまだ行列を作っていた。
「…はぁ,やっぱりまだ多くの人たちが並んでいますね…なんか,ほんと申し訳ないです…」
「気にしないでください。僕たちは座ってそこで待ってます」
「うん,気にしないで,僕もレオと待ってる」
「…ほんっとありがとうございます」
メアリさんは,そう言って,列へと並んで行った。
「じゃあ,僕たちは,あそこで座ってましょうか?」
ちょうど2人分の席が空いて,手を繋いでいる僕たちはそこへと向かった。
座って少しすると,坊ちゃんがソワソワしてきた。その様子を見て,僕は気になって聞いてみる。
「何かしたいこととかありますか?」
「あのね,僕,一度でいいから1人で,お買い物してみたいなって思っていて…それで,だから,今日,今1人でお買い物したいなって…」
「…そうですね…」
正直,坊ちゃんを1人にするのはちょっと嫌だと思った。
けれど,僕の見える範囲なら別にいいかと言う考えが浮かんでしまった。
「ねえねえ,いい?」
悩んでいる僕を尻目に,何度も何度も聞いてくる。
「…わかりました.では,すぐそこのお店で何かを買ってきてください」
僕は,あまり混んでいない,お店を指さして言う。
「いいの⁉︎ありがとう。僕嬉しい」
「いいですよ。では,これで買ってきてくださいね」
お金を坊ちゃんに渡す。
「じゃあ,買ってくるね」
「はい,待ってますね」
ついつい許してしまうのはいけないなと思いながら,僕は坊ちゃんが帰ってくるのを待った。
それでもいつのまにか坊ちゃんは人混みに紛れてしまっていた。
「えっ…」
すぐに僕は坊ちゃんの背中を追うことにして,すぐに坊ちゃんのことを見つけた。けれど,パレードを見終わった人たちも押し寄せて坊ちゃんのところに行くまでに時間がかかりいつのまにか見失ってしまう。
“どうしよう”
もしかしたらなんていくらでも考えていたのに,一瞬気が緩んでしまった自分が許せなくなる。
「坊ちゃん…」
気が気じゃなくなり,すぐに坊ちゃんを探すことにした。
人気のないところまでいつのまにか走って行くと,坊ちゃんの声を見つける。
「レオ…」
その声は確かに,か細くて聞こえづらかったけれど,確かに坊ちゃんの声に聞こえる。
「坊ちゃん…?」
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