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3章

7話 お守りします

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「坊ちゃん怪我などは大丈夫でしょうか?」
坊ちゃんを見つけるとすぐに坊ちゃんの方まで駆け寄った。そして,僕は坊ちゃんの身体を抱え込み誰も近づけないようにする。 
「僕は大丈夫。見つけてくれてありがと」
「よかった……」
安心して緊張感が少し和らいだ。
「本当にごめん…なさい」
よほど怖かったのか今にも泣きそうだった。
「いえ,私が目を離したのがいけないのです」
「気にしないで,レオは悪くない。僕が勝手に人についていったから…」
「それは,あとで話しましょう。ですから…」
それ以上喋ろうとした時,大きい声が聞こえてくる。
「おい,何やってんだよ」 
襲ってきた人たちのボスみたいな人がやってきて怒鳴り散らしていた。
「す,すいません」
今までの人とは,どこか違くて嫌な予感がする。
僕には到底どうにかできないようなそんな予感が。
「ほんとだよ。せっかく,金取れる機会なんだから,手こずるんじゃねぇって言ったの聞いてなかったのか?」
こちらを見向きもしないで怒鳴っているので,どうにかその隙に逃げようとした。
「お逃げください。今なら反対側から逃げることが可能です」
「でも…」
「いいのです。坊ちゃんは助けをお呼びください」
どうにか坊ちゃんだけでも逃げることは可能だと思った。僕が縦になればいいのだから。
「おい,
後ろに目でもついているのか,そう声に出された。
「えっ…」
嫌な予感があたり僕は,その場から動けなくなって、座り込む。
「レオ,どうしたの?」
「そ,その,あの人…Domみたいで…」
急に命令コマンドを使われるとやはり驚き,昔を思い出してしまう。
「だ,大丈夫?」
坊ちゃんは恐怖でなのか声が震えている。
「どう,にか…」
不安にさせないようにどうにか体裁を保てと脳が言っているので、笑顔で応える。
それにこんなところで倒れたら坊ちゃんが連れ去られてしまう。そんな失態できない。
それにメアリさんも,もうすぐ来てくれるだろうし…。
「おいおい,こいつSubなのか?ならちょうどいいな…」
僕に気づいたのかニヤニヤと何かを企んでこちらへとやってくる。
僕は今から起きるであろうことを想像するだけで,怖くなる。怖くて,身体が動かなくなる。
でも…。
「レオ,大丈夫.僕がいるから…。僕の声だけに集中して…」
鋭く僕の耳に響いた。いつも僕に優しく囁くように命令コマンドを言う坊ちゃんの声が。
「ぼ,坊ちゃん…」
頭がふわふわとして身体は動かなかったのに,その声によって僕の頭が鋭く冴え,身体も幾分も楽になった。
「レオ,大丈夫だから。僕がいるから…だから,だからお願い…」
もう一声で,気持ち悪いのが和らいで身体も動かしやすくなった。
勇気を出して,僕に言ってくれているのだろう。やはり声も小さな身体も震えている。
「はい…。そんな不安そうな顔しないでください…」
こんな悲しそうな顔も声も聞きたくない。
「…してない…。レオの方が辛そう…」
「坊ちゃん,大丈夫にいたしますから,まずはお逃げください」
「…嫌だ。こんなレオ置いて行けない」
「置いていってくださっていいのです。それより坊ちゃんに何かあった方が心配です…ですから…お願いです…」
「ん…わかった…レオ待っててね」
僕の必死さが伝わったのか素直に涙を堪えながら,坊ちゃんは反対側にかけて行った。
僕は,坊ちゃんを追いかけようとする人たちをどうにか引き止める。
人通りまで行ければどうにかなるだろうと思って…。
「行かせない。絶対に」
そう言いつつも,僕には体力は残っていない。久しぶりに動いたからだと思う。けど…坊ちゃんが見えなくなるまではと手に力を入れる。
「はぁ…」
“もう無理…力入らない…”
「ふっ,君もう動けないでしょ?」
「……っ」
核心をつかれてしまう。でも,こんな時くらいちゃんとしろよと自分に思う。
「やっぱり動けないんだ…」
ニコリと笑みを浮かべ,僕の腕を掴んだ。
振り払おうとして力を腕に入れようとする。
「ダメだ,stay動くな
「えっ…いや…」
坊ちゃんの声しか聞きたくないのに,嫌でも彼の声が聞こえてくる。耳を塞ぎたいのに塞げもしない。
「お前だけは逃さない。お前もどうせいい暮らししているんだろうしな…」  
ぐいっと髪の毛を掴まれて顔を上げられる。僕はどうしようもなくなってしまう。
「…いや…だから,もう離して…お願い」
手で払いのけようとするけれど,身体はやはり動かなかった。
“なんで…なんで,僕の身体はこうなのだろう?”
悲しくなって,視界がぼやけて行く。
「おいおい,さっきの威勢はどうした?」
「……っ」
「まぁいい。連れて行くか?それとも,ここでやってしまうか?まぁどっちにしろどうせさっきの坊ちゃんの執事とかなんだろうしな…」
ぱっと頭から手が離されたと思ったら,すぐに周りにいた男たちに手が縛られ,目隠しをされる。
「いや…離しせって…」
視界が奪われて,どうしようもなくなる。身動きも取れずに何が起きているのか何をされるのかわからなくなって怖くて怖くて仕方がない。
「…ぅっ…もう…」
もう涙が溢れ出て,目隠しされた布に染み込んでいくことがわかる。
辛くてでも逃げれないと頭ではわかっているこの感じが,どうしようもなく過去を思い出してしまっていた。
「大丈夫。何にも考えなくてもいいようになるから…」
「そ,そんなのっ…んっ」
急に口の中に何かを詰められる。
「うるさい口は塞いでおかないといけないからな」
んっはいや
どうもがいても口に詰められたものが外されることはなかった。
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