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第4章 禁術の魔法
禁術の魔法 28
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背の丸い男は、鎧を外すと黒いロープのような鎖を体に巻きつけ始めた。まるで黒蛇が肩の上を蠢いているかのように見える気味の悪い姿となった。細身の男は腰に革製のナイフベルトをつけた。普通のナイフベルトと違って、何十本ものナイフが付いていた。
フッと隙を見て、背の丸い男から鎖が投げられた、それは凄い勢いで地を這いセイセルーの元へと迫る。サッとかわすセイセルーであったが、鎖はその場で蛇が頭を持ち上げるが如く、跳ね上がり顎を掠めた。「クッ」と声がもれよろめくセイセルー。
「やめぬかダイダス!!」
バゼルの一喝が皆の動きを止める。
「……」
「ザムも動くな」
ザムと呼ばれた男はナイフにかけていた手を止めた。
「正々堂々だ。まずは私が行く。二人は手を出すな」
バゼルがツーハンドソードを抜き中央に歩いた。ザムがチッと舌打ちをして後ろに下がる。ダイダスも苦々しい顔をしながら鎖を戻し後ろに引いた。
グレーンがツーハンドソード抜き軽く振る。
「あいつとは面白い戦いができそうだ」
中央に向かうグレーンから並々ならぬ覇気と共に喜びが感じられた。それは中央で待つバゼルも同じであった。
「私はシエンナの騎士グレーン。戦いに挑む貴公の勇気を讃えよう」
「私はバゼルだ。シエンナに恨みもなければ、興味もない。ただ、この場で、全力の出せる戦いを期待している」
互いに大剣を構えて間合いを取った。
二人の騎士には国も所属も、そして生も死さえも関係なく、ただ、目の前の強敵と全力で戦える喜びだけがあった。
二つの気迫がぶつかり合い見つめあう。その緊迫は周りをも飲み込み、セイセルーが作り出した空間を飛び越え、周りの兵士たちも黙り込み固唾の飲んで見守った。
フッと隙を見て、背の丸い男から鎖が投げられた、それは凄い勢いで地を這いセイセルーの元へと迫る。サッとかわすセイセルーであったが、鎖はその場で蛇が頭を持ち上げるが如く、跳ね上がり顎を掠めた。「クッ」と声がもれよろめくセイセルー。
「やめぬかダイダス!!」
バゼルの一喝が皆の動きを止める。
「……」
「ザムも動くな」
ザムと呼ばれた男はナイフにかけていた手を止めた。
「正々堂々だ。まずは私が行く。二人は手を出すな」
バゼルがツーハンドソードを抜き中央に歩いた。ザムがチッと舌打ちをして後ろに下がる。ダイダスも苦々しい顔をしながら鎖を戻し後ろに引いた。
グレーンがツーハンドソード抜き軽く振る。
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中央に向かうグレーンから並々ならぬ覇気と共に喜びが感じられた。それは中央で待つバゼルも同じであった。
「私はシエンナの騎士グレーン。戦いに挑む貴公の勇気を讃えよう」
「私はバゼルだ。シエンナに恨みもなければ、興味もない。ただ、この場で、全力の出せる戦いを期待している」
互いに大剣を構えて間合いを取った。
二人の騎士には国も所属も、そして生も死さえも関係なく、ただ、目の前の強敵と全力で戦える喜びだけがあった。
二つの気迫がぶつかり合い見つめあう。その緊迫は周りをも飲み込み、セイセルーが作り出した空間を飛び越え、周りの兵士たちも黙り込み固唾の飲んで見守った。
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