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第3章 特別任務
特別任務 12
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そんな日々がしばらく続いたあと、警備部隊の待機場所にレイと同じ年頃の男がやってきた。前髪からサイドに丸みを帯びたシルエットの髪型、鼻筋が通った顔は優しく品のあるように見えた。チュニック姿のラフな格好だが、どこかで見たような気もする。
「レイさんですか?」
「ええ」
「ディックはいますか?」
ディックがすぐに奥から顔を出した。
「なんだ呼んだか?」
「ああ、兄さん」
「ソルトか。どうしたこんな所まで」
「アヌシビ様が連れて来いって。特別任務だってさ」
ディックはゆっくりこちらに近づきながら大きく息を吸い込んだ。そして「すまんな、せっかく先生になってやったのに。俺は行かねばならん」と言ってレイの肩に手を置いた。
「レイさんもです」とソルトがすかさず告げた。
「そうか、レイもか。じゃ、行くか」
そう言うと、ディックは足速に中央棟の方へと歩いて行った。
「行きましょうか」
レイはソルトと言われていた男の後に続いた。
「めんどくさいでしょ兄貴は」
「えっ?」
「ああ、自分はソルト、ディックの弟です」
ああ、なるほど。どことなくディックと面影が似ているとレイは納得した。
「必ず人のうえに立とうとする」
「……」
「でも許してやってください。あんな感じですが、悪い兄貴じゃないんですよ」
「許すもなにも……いろいろ教えてもらって感謝してます」
「そうですか。よかった。レイさんみたいな人がいて。この前、兄貴が言ってましたよ、レイさんはいいやつだって」
「……」
「兄貴に付き合ってあげてるだけでいい人だってわかりますけどね。ハハ、たいていの人は煙たがって嫌な顔するから。……でも、悪い兄貴じゃないんですよ」
「レイさんですか?」
「ええ」
「ディックはいますか?」
ディックがすぐに奥から顔を出した。
「なんだ呼んだか?」
「ああ、兄さん」
「ソルトか。どうしたこんな所まで」
「アヌシビ様が連れて来いって。特別任務だってさ」
ディックはゆっくりこちらに近づきながら大きく息を吸い込んだ。そして「すまんな、せっかく先生になってやったのに。俺は行かねばならん」と言ってレイの肩に手を置いた。
「レイさんもです」とソルトがすかさず告げた。
「そうか、レイもか。じゃ、行くか」
そう言うと、ディックは足速に中央棟の方へと歩いて行った。
「行きましょうか」
レイはソルトと言われていた男の後に続いた。
「めんどくさいでしょ兄貴は」
「えっ?」
「ああ、自分はソルト、ディックの弟です」
ああ、なるほど。どことなくディックと面影が似ているとレイは納得した。
「必ず人のうえに立とうとする」
「……」
「でも許してやってください。あんな感じですが、悪い兄貴じゃないんですよ」
「許すもなにも……いろいろ教えてもらって感謝してます」
「そうですか。よかった。レイさんみたいな人がいて。この前、兄貴が言ってましたよ、レイさんはいいやつだって」
「……」
「兄貴に付き合ってあげてるだけでいい人だってわかりますけどね。ハハ、たいていの人は煙たがって嫌な顔するから。……でも、悪い兄貴じゃないんですよ」
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