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12/29 辰之進
I-7
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少しは涙目が効いたのか、首を少しだけ縦に振ったように見えた。
「良いだろう。本当はこの中で話をしようかと思っていたが……」
そこまで言うと辰之進は地べたにドスンと胡坐をかいた。手錠でつながれた私も道連れに。引っ張られた私は不格好に膝をついた。
「まぁ隣に座れよ」
言葉と行動が逆ではないか、心の中で猛抗議をするが今はぐっと我慢して従順なふりを続ける。
「ねぇ、どうして私の中に舞の記憶があるの?」
ここの所、一番不思議な出来事だった。今までは他人の記憶が脳裏をよぎる事なんて一度だって無かったのに。
「順を追って話した方が良いだろうな」
「良いだろう。本当はこの中で話をしようかと思っていたが……」
そこまで言うと辰之進は地べたにドスンと胡坐をかいた。手錠でつながれた私も道連れに。引っ張られた私は不格好に膝をついた。
「まぁ隣に座れよ」
言葉と行動が逆ではないか、心の中で猛抗議をするが今はぐっと我慢して従順なふりを続ける。
「ねぇ、どうして私の中に舞の記憶があるの?」
ここの所、一番不思議な出来事だった。今までは他人の記憶が脳裏をよぎる事なんて一度だって無かったのに。
「順を追って話した方が良いだろうな」
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