錠前破りの私の事が大好きな大泥棒の孫はイケメンだが私の相手にはまだ早い【リレー小説】

12/5

I －１２ 安堵の涙

　私はリュウの言葉を聞いてようやく、肩の力がガックリと抜けた。良かった。盗人は師匠じゃない。師匠じゃ。

「あ、愛？」
「へ？」

　そこには、リュウの焦ったような驚いたような表情。

　すると、私の頬を涙が一筋、ポタリと溢れた。

「あ、あれ？　私……何泣いて？」

　私は涙を慌てて拭う。

　けれども、涙は意思とは関係なく流れてくる。それをリュウは心配そうに見つめてきた。

「な、なんでもないわ」

　私は嗚咽を押し殺した。師匠は盗人ではない。けれどもさっきの話だと、勘次と師匠とその相方の３人がほぼ同時期に亡くなっている。

「その相方が、犯人、なの？」