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M -5 水も滴るいい女

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 広いリビングまで行くと、リュウがソファーから立ち上がって私に向かって歩いてきた。無言で私の首にぶら下がるタオルで髪を拭き始めた。

 私の髪は短い。解錠に長い髪は必要ない。むしろ邪魔だったから。

「……風邪引くから、しっかり拭けよ。水、垂れてるぞ」

 リュウがぽつりと言った。

 きつく対応し過ぎただろうか。ここまで凹まれると逆にやりにくい。

 いや、でもここで甘い顔をしては駄目だ。

 私はリュウの胸を手で押すと、タオルを取り返した。

「自分でやるから結構です」
「そう、か」

 リュウの腕が行き場を失ってゆっくりと下がっていった。まるでこちらが悪者だ。
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