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1/24 アトム

I -1

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 どうしてそう思ったかは分からない。けれども、思わず私はアトムを数秒眺めていた。

「何?」

 眺められている事に気が付きアトムはぶっきらぼうに尋ねてくる。普段から腫物のような扱いを受けている私からすると、飾らないその態度は新鮮な気持ちにさせてくれる。

「……東条凛花よ。よろしく」

 私はそれだけ言うと正面を向いた。面倒を見てやってくれと言われても大してやる事などはないだろう。

 そう思っていた矢先、アトムは困った顔でこちらをずっと見ている。

「どうしたの?」
「悪いんだけどさ、教科書見せてくれない?」
「……は?」
「用意が間に合わなかったんだ」

 信じられない。
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