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現状確認 視点:颯馬
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朝練を終えて教室に入ると、いつもの定位置に少し猫背の体格の良い体が目に入る。
「昴」
名前を呼ぶと背中がビクッと反応する。
「そんなに怯えなくてもいいだろ……」
「あ、ち……ちがう」
焦って取り繕うとする昴を見て笑えてくる。
自分の利益のために好きでもない男に抱かれて来いというような相手に何をそんなに気を遣うのかと馬鹿馬鹿しく思う反面、昴にとって自分は数少ない友人だからこそその関係に縋ろうとしているところが愛らしいと感じてしまう。
「お前、天賀谷と付き合うことにしたんだな?」
画面越しに見ていたので知ってはいるが、改めて確認してみる。
「…………う、うん」
もっとはっきりと答えるものかと思っていたが、昴の返事は歯切れが悪い。
「何?お前、やっぱり本当はあいつのこと別に好きじゃないとか?それか何かあったのか?」
「……きょ、京一さんは、優しいし……好き」
好きだという割に浮かない顔をしている。
こういう顔をする時の昴は、言いたいことがあるのに言えずに促されるのを待っているのだということを飛鳥に教えてもらったことがある。
「何か言いたいことがあるなら言えよ」
そう言うと、昴はおずおずと聞きたかったことを言葉にする。
「颯馬は……飛鳥とうまくいったの?」
その質問には正直とてもイラっとした。うまくいっているのならそもそも可愛い昴を嗾けてあんな男に抱かせたりしていないし、昨日今日でどうにかできるほど簡単な相手ではない。
「……」
黙っていると、先に沈黙に耐えかねたのは昴の方だった。
「あ、あの……き、昨日。京一さんとプラネタリウムに行ったんだ」
昴は机の横にかけていたスクールバッグを胸の前に抱えて、バッグにつけたキーホルダーを嬉しそうに見せてくる。
「何これ……」
「きょ、京一さんがお揃いでくれたんだ……おうし座のキーホルダーなんだって」
昴の笑顔に無性に腹が立つ。
これ以上話していると苛立ちから昴に余計なことばかり言いそうだと思い、昴の席から離れて自分の席に座ろうと背を向けると昴が焦ったようにシャツの裾を掴んで引き留められた。
「ま、待って……あの、俺……」
「別に昴が悪いわけじゃないからそんな顔するな」
溜息をつき、頭を撫でると昴はわかりやすくホッとしている。
「話したいことがあるなら放課後にでもゆっくり聞いてやるから」
放課後、帰宅したりバイトや部活で早々に去っていき閑散とした教室に残り、昴はおとなしく自分の席で下を向いてじっと座っていた。
話しかけてもらえるのを待っているのだということは幼馴染としてはすぐに察することができる。
「で?俺に何を話したいんだ?」
机を挟んで、昴と視線が合うようにしゃがみ込んで低い位置から覗き込んで声を掛ける。
「颯馬が……飛鳥とどうなったのか……教えてもらってない」
まだそんなことを知りたがっているのかと呆れたが、飛鳥の気持ちが京一から離れるようにと昴を利用したことは確かなので一応話しておくことにした。
「どうもなってねぇよ。付き合えねぇって断られたり、保留にされてるだけで」
その話をするとまた腹の中にイライラが募っていく。
「で?そんだけか?俺はもう部活行くけど」
「う、うん……ありがとう」
苛立ちをぶつける前に切り上げてしまうことにしたが、幸い昴も今度は引き止めることはなかった。
立ち上がり、教室の後方のドアへ向かって歩こうとしたが、なぜかふと思ったことを伝えてみようという気になってしまった。
「なあ、俺さ……お前と天賀谷のセックス見てて結構興奮したんだよな。まさか、泣いてばっかりのお前があんなやらしい身体してるとは思ってなかった」
それだけ伝えると昴の顔は見ずに部活に参加するために剣道場へと向かった。
「昴」
名前を呼ぶと背中がビクッと反応する。
「そんなに怯えなくてもいいだろ……」
「あ、ち……ちがう」
焦って取り繕うとする昴を見て笑えてくる。
自分の利益のために好きでもない男に抱かれて来いというような相手に何をそんなに気を遣うのかと馬鹿馬鹿しく思う反面、昴にとって自分は数少ない友人だからこそその関係に縋ろうとしているところが愛らしいと感じてしまう。
「お前、天賀谷と付き合うことにしたんだな?」
画面越しに見ていたので知ってはいるが、改めて確認してみる。
「…………う、うん」
もっとはっきりと答えるものかと思っていたが、昴の返事は歯切れが悪い。
「何?お前、やっぱり本当はあいつのこと別に好きじゃないとか?それか何かあったのか?」
「……きょ、京一さんは、優しいし……好き」
好きだという割に浮かない顔をしている。
こういう顔をする時の昴は、言いたいことがあるのに言えずに促されるのを待っているのだということを飛鳥に教えてもらったことがある。
「何か言いたいことがあるなら言えよ」
そう言うと、昴はおずおずと聞きたかったことを言葉にする。
「颯馬は……飛鳥とうまくいったの?」
その質問には正直とてもイラっとした。うまくいっているのならそもそも可愛い昴を嗾けてあんな男に抱かせたりしていないし、昨日今日でどうにかできるほど簡単な相手ではない。
「……」
黙っていると、先に沈黙に耐えかねたのは昴の方だった。
「あ、あの……き、昨日。京一さんとプラネタリウムに行ったんだ」
昴は机の横にかけていたスクールバッグを胸の前に抱えて、バッグにつけたキーホルダーを嬉しそうに見せてくる。
「何これ……」
「きょ、京一さんがお揃いでくれたんだ……おうし座のキーホルダーなんだって」
昴の笑顔に無性に腹が立つ。
これ以上話していると苛立ちから昴に余計なことばかり言いそうだと思い、昴の席から離れて自分の席に座ろうと背を向けると昴が焦ったようにシャツの裾を掴んで引き留められた。
「ま、待って……あの、俺……」
「別に昴が悪いわけじゃないからそんな顔するな」
溜息をつき、頭を撫でると昴はわかりやすくホッとしている。
「話したいことがあるなら放課後にでもゆっくり聞いてやるから」
放課後、帰宅したりバイトや部活で早々に去っていき閑散とした教室に残り、昴はおとなしく自分の席で下を向いてじっと座っていた。
話しかけてもらえるのを待っているのだということは幼馴染としてはすぐに察することができる。
「で?俺に何を話したいんだ?」
机を挟んで、昴と視線が合うようにしゃがみ込んで低い位置から覗き込んで声を掛ける。
「颯馬が……飛鳥とどうなったのか……教えてもらってない」
まだそんなことを知りたがっているのかと呆れたが、飛鳥の気持ちが京一から離れるようにと昴を利用したことは確かなので一応話しておくことにした。
「どうもなってねぇよ。付き合えねぇって断られたり、保留にされてるだけで」
その話をするとまた腹の中にイライラが募っていく。
「で?そんだけか?俺はもう部活行くけど」
「う、うん……ありがとう」
苛立ちをぶつける前に切り上げてしまうことにしたが、幸い昴も今度は引き止めることはなかった。
立ち上がり、教室の後方のドアへ向かって歩こうとしたが、なぜかふと思ったことを伝えてみようという気になってしまった。
「なあ、俺さ……お前と天賀谷のセックス見てて結構興奮したんだよな。まさか、泣いてばっかりのお前があんなやらしい身体してるとは思ってなかった」
それだけ伝えると昴の顔は見ずに部活に参加するために剣道場へと向かった。
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