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いざゆかん!
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「準備は整いました。公都へ向かいましょう」
「わかったわ」
予定していた日の前日、デリアから報告を受けた。もちろん、私の荷物が1番多く、扱いも煩雑であるので、時間を要しただろう。デリアの手にかかれば……それほどのものではないのかもしれない。
翌朝には、少し眠そうなダリアとココナの姿があった。どうやらこの視察の間に仲良くなったらしく、昨夜はこっそり遅くまでお茶会をしていたそうだ。それを咎めるつもりはない。貴族婦人と侍従という間柄ではあるが、情報交換をしているという点で見れば、ダリアの成長だと思える。ダリアがコーコナ領に出向くことは、今後を考えてもほとんどないことを思えば、知らぬ土地で意気投合した者どおしの交流として成り立つだろう。とやかくいう貴族がいる公都ならまだしも、ここはかなりの田舎……コーコナ領だ。ダドリー男爵が断罪されてから、貴族が住む領地ではなくなったので、少し気を抜いたところで、屋敷の中だ。外に漏れることはない。
「じゃあ、そろそろ出発しようか?いざゆかん!」
「アンナリーゼ様」
「ココナ、どうかして?」
「あの……その、」
「領地のことは、任せたわ!そんな不安そうな表情をしないで?私、ココナのことはとても信頼しているから大丈夫」
ココナの肩をぽんぽんと叩き頷いた。私にとって、ココナの存在は大きい。アンバー領に引きこもりな私にコーコナ領の正確な情報と報告をくれる一人なのだから。その自覚があまりないのだろう。他の侍従からの信頼もされているので、何も心配はしていない。ディルの子猫の一人であるため、裏切りもない。
「あと10年はこのままになると思うわ。ジョージが成人して、きちんと領地運営が出来るようになったら、そのときは、導いてあげて」
「わかりました。それまで、領地をしっかり守っていきます。あの……、」
「わかっているわ。あの町への人材派遣については、もうアンバー領へ伝わっているから、近いうちに来るわ。そのとき、慣れない領地だから、いろいろと教えてあげてね」
「それはもちろんです!」
にこっと笑うココナに頷き、レオやダリアに馬車に乗るように伝え、私もデリアと一緒に乗り込む。御者台にはアデルが座り、何事か御者と話していた。
「じゃあ、行くわね!また、来年!」
馬車が走り始めると、窓から半身を出し、見送りをしてくれた従者たちに手を振る。もちろん、馬車の中では、デリアがスカートを引っ張って「はしたないですよ!」と叱っているのだが、滅多にあえない者たちへ挨拶のため、大目にみてほしい。
「さぁ、公都に帰るけど……まだまだ、時間はかかるから、のんびりとこの旅を楽しみましょう」
「そうですね!」
ダリアが微笑んだが、内心は少しソワソワしているのがわかる。嬉しいのだろう。公都に帰れるのもセバスに会えるのも。私は苦笑いをしたあと、今回の視察について、それぞれから話を聞くことにした。この時間に聞いたことをセバスやイチアと共有して、今後の領地運営にも活かしていくつもりだ。私では思いもよらない意見が多く、今回の人選はなかなかだったのではないかとほくそ笑んだ。
「わかったわ」
予定していた日の前日、デリアから報告を受けた。もちろん、私の荷物が1番多く、扱いも煩雑であるので、時間を要しただろう。デリアの手にかかれば……それほどのものではないのかもしれない。
翌朝には、少し眠そうなダリアとココナの姿があった。どうやらこの視察の間に仲良くなったらしく、昨夜はこっそり遅くまでお茶会をしていたそうだ。それを咎めるつもりはない。貴族婦人と侍従という間柄ではあるが、情報交換をしているという点で見れば、ダリアの成長だと思える。ダリアがコーコナ領に出向くことは、今後を考えてもほとんどないことを思えば、知らぬ土地で意気投合した者どおしの交流として成り立つだろう。とやかくいう貴族がいる公都ならまだしも、ここはかなりの田舎……コーコナ領だ。ダドリー男爵が断罪されてから、貴族が住む領地ではなくなったので、少し気を抜いたところで、屋敷の中だ。外に漏れることはない。
「じゃあ、そろそろ出発しようか?いざゆかん!」
「アンナリーゼ様」
「ココナ、どうかして?」
「あの……その、」
「領地のことは、任せたわ!そんな不安そうな表情をしないで?私、ココナのことはとても信頼しているから大丈夫」
ココナの肩をぽんぽんと叩き頷いた。私にとって、ココナの存在は大きい。アンバー領に引きこもりな私にコーコナ領の正確な情報と報告をくれる一人なのだから。その自覚があまりないのだろう。他の侍従からの信頼もされているので、何も心配はしていない。ディルの子猫の一人であるため、裏切りもない。
「あと10年はこのままになると思うわ。ジョージが成人して、きちんと領地運営が出来るようになったら、そのときは、導いてあげて」
「わかりました。それまで、領地をしっかり守っていきます。あの……、」
「わかっているわ。あの町への人材派遣については、もうアンバー領へ伝わっているから、近いうちに来るわ。そのとき、慣れない領地だから、いろいろと教えてあげてね」
「それはもちろんです!」
にこっと笑うココナに頷き、レオやダリアに馬車に乗るように伝え、私もデリアと一緒に乗り込む。御者台にはアデルが座り、何事か御者と話していた。
「じゃあ、行くわね!また、来年!」
馬車が走り始めると、窓から半身を出し、見送りをしてくれた従者たちに手を振る。もちろん、馬車の中では、デリアがスカートを引っ張って「はしたないですよ!」と叱っているのだが、滅多にあえない者たちへ挨拶のため、大目にみてほしい。
「さぁ、公都に帰るけど……まだまだ、時間はかかるから、のんびりとこの旅を楽しみましょう」
「そうですね!」
ダリアが微笑んだが、内心は少しソワソワしているのがわかる。嬉しいのだろう。公都に帰れるのもセバスに会えるのも。私は苦笑いをしたあと、今回の視察について、それぞれから話を聞くことにした。この時間に聞いたことをセバスやイチアと共有して、今後の領地運営にも活かしていくつもりだ。私では思いもよらない意見が多く、今回の人選はなかなかだったのではないかとほくそ笑んだ。
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