ハニーローズ ～ 『予知夢』から始まった未来変革 ～

戻ったら……

「レオ？もう屋敷よ？」


軽く揺すってやると、眠っていたレオは飛び起きた。それと同時にダリアも目を目を覚ます。


「……眠ってしまいました」


肩を落とすレオに「いいのよ」と言って、頭を撫でてあげると、申し訳なさそうにしている。チラリとダリアをみると、そちらも気まずそうだ。


「そんなに気にしないでいいわよ。今日はたくさん歩いたから疲れているのよ。慣れない土地での視察ですもの。それだけでも緊張はするものよ。こういう経験を積み重ねて成長していけば問題はないし、どこでも寝られるってことはとても貴重な才能なのよ？」
「貴重な才能ですか？」
「そう。レオなんて特にね？近衛に入りたいなら、ベッドや布団がないと寝られない、体調を整えられないてそれだけで、命の危険を感じるものよ。どこでも仮眠出来ることは、体力を少しでも回復したいときに役立つから。覚えておいて？」
「わかりました。父様がたまにしている睡眠の訓練というのは、そういうことなのですか？」
「ウィルはいつでもどこでも寝られるわよ？一瞬で」
「セバスチャン様は、無理ですね」
「そうでしょうね。余程疲れていないかぎり、床で寝たりしないわね。最前線に向かうことは薙いだろうから、心配しなくても大丈夫よ」


ダリアに微笑んだとき、扉が開くのでレオが先に降りた。その後デリアと私、最後にダリアが降りる。
「おかえりなさい」とモレラが出迎えてくれ、私たちはそこで解散となった。私は執務室へ向かう。


「アンナリーゼ様、今日はありがとうございました」


レオが嬉しそうに駆けていくので見送ると、アデルの元へむかったようだ。仮眠を取ったことで元気になったようで、訓練に付き合ってもらうらしい。アデルの方は、ひと休憩したいらしく、先に食堂へとレオを連れていった。ダリアはそのまま部屋に戻った。もしかしたら、もう少し休むのかもしれない。
デリアとココナが何やら話したあと、私はデリアと執務室へ向かった。しばらく椅子に座ると、睡魔に襲われそうだ。


「10分ほど休憩を取りましょう。アンナ様も疲れているでしょうから」
「そんなことないわ」
「そんなことありますから。休むことも大事だとおっしゃったではありませんか？」


デリアの正しい意見に頷き、私は少しだけ目を瞑ることにした。居心地のいい椅子に座っていると、一瞬で夢の世界へと入って行った。最近ではすっかり予知夢を見ることが出来なくなっているが、デリアに甘えてすこしだけ眠ることにしたのであった。