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残りの視察

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 新しい町はどこを見ても真新しい。建物もピカピカとしていて、気持ちもウキウキとしてしまいそうだ。


「新しい町、すごい早く完成したのね?」
「思ったより早かったですね。他の町からも大工たちが押し寄せて、仕事をしていったので」
「そっか。領地内の大工だけでは難しいわよね。住む場所だから、早く整って良かったわ」
「最初は家賃と言うかたちで住居費を払ってもらってます」
「うん。そうだね。お金は与えるばかりではダメだと思うから、いいと思うわ。住むために働く、ご飯を食べるために働く。普通のことが出来る……それが、幸せだね」


 あちこち見ながら歩く。アンバー領のときと違うのは、建物や町を既存のものを再利用したので、立て替えたものは少なく、予算も少なかった。ただ、この町は、住む場所自体がボロかったり、屋根のない家だったりしたので、全部更地にしてから綺麗にしたのだ。


「アンバー領とは違うんですね?」
「レオもそう感じている?」
「はい。父様と街を回ることがありますが、ここまで何もかもが新しい町は、公都でもみたことがありません」
「そうね。町丸ごと新品だからね。それでも、5年10年と月日を重ねて行って、子どもが大人になって旅立つことになったときには、赴きのある町に変わっているわ。去年のような町を作らない、それが、領主として試されているのよね。新しい町にすれば、入終わりではなくて、その町に根付いてもらえるようにしないといけないから」
「根付くとは?」
「町に魅力があって、この町を拠点に住んでいきたいってことよ。それには、私たち領主が、町の魅力をあげていかないと。若い人たちは、街へ……公都に住みたいって領地を出ていく人が多いから」
「アンバー領は、そうではないですよね?」


 頷く。質問を次々としていくレオもいろいろ考えているのがわかる。成長しているんだ、自分もウィルたちのようになるんだというのを感じるとなんだか嬉しい。元々、向上心があるのは知っているが、今後が楽しみで仕方がない。


「レオは随分勉強しているのですね?」
「そうですね。ダリア様は、セバス様の仕事に興味はありませんか?」
「あるわ!領地の話を良くしてくれるのよ。何か提案があればと聞いてくれることもあるし……」
「まだ、子どもですから、父様が意見を聞いてくれることはありませんが、父様からの話をきくだびに、何か役に立ちたいと思っているので」
「えらいわね」


 ダリアに褒められ少し頬を赤らめるレオ。こうして、視察に来るだけでも、それぞれの成長を目の当たりにできて嬉しく思った。
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