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お出かけ日和Ⅸ

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「それでは、視察ということで、この街を周りますか?」
「えぇ、そのつもり。案内してくれると助かるんだけど……」
「もちろんです。ココナさんがいるけど、私で大丈夫ですか?」
「えぇ。お願いできる?」


「では、さっそく」と先にを歩くチャコに私たちは続いていく。まずは、警備隊の駐在場所へ向かうようで、町中を歩いていく。初めて来たときと違い、籠った空気も、今にも崩れそうな雑居もなく、ただ綺麗な町並み感動すらした。


「驚かれましたか?」
「えぇ、ビックリした。こんなに変わるものなのね。みんなの努力が見て取れるようだけど……本当にみなが手を尽くしてくれたって感じね」
「この町のものだけなら、こんなになっていませんでしたよ。ココナさんが他の町の人にも声をかけようって提案してくれたことも大きかったですし、アンナ様が主導で、世話を妬いてくれたおかげで、他の領民からも見捨てられることもなかったのだと思います」
「そんなことないよ?ここの領地の人たちってとても協力的だよ。災害のときもみなが力を合わせて乗り切れたし」
「あぁ、確かにそういうこともありましたね。あのとき、無関心でしたから」


 チャコは頬を掻きながら、明後日の方を見ている。私は、あのとき要望を警備隊にも出していたはずなのだが、チャコとシークのコンビは見た記憶がない。


「……あの頃は、どうかしていたんです」
「あぁ、鼻高々に警備隊だぞ!ってなっていたんだろう?よくわかるよ。その気持ち」
「アデル様……」
「アンナに出会ったら、そんなものことごとく潰されるんだけどさ?それまでって、上には上がいるとは思っているけど、そこまで深く考えていないんだよなぁ……」
「……アデル様も同じですか?」
「聞かないでもわかるだろう?アンナみたいなビックリ箱の側にいれば、低い鼻すら折られるから」
「……そんなことしないわよ?」


 アデルとチャコを見ながら、「そうでしょ?」とレオに問いかけると頷いてくれる。


「アンナ様は、アンナ様ですから、何者でも敵いませんよ。父様がよく言っています。何をしようとどれだけ作戦を練ろうと瞬時に上回ってくるって。それを自覚したうえで、どれだけ追い詰められる戦法をとれるか、隙に繋が一撃を入れられるかを常に考えているそうです」
「アンナに隙なんて、ないからねぇ……ウィル様くらいだよ。隙を見つけようなんてしてるの。背中を預けられる唯一の存在って言われているからね」
「……僕もその域に行きたいです。アンナ様の背中を守れるくらい強く」
「レオ、ありがとう。でも、レオは私じゃなくて、アンジェラね?」


 クスクス笑うと、少し不満そうではあったが、しっかり頷いてくれるレオに、アンジェラの将来に思いを馳せる。
 きっと、二人はいい関係でいてくれるに違いないと思う。

「着きましたよ」とチャコが言ったので、私たちは建物の仲へ入って行く。その奥には、学校もあるので、子どもたちの声も聞こえてきた。
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