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約束
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「今回のコーコナ領訪問は人数が多くなりそうですね?」
「そうね。ステイ様が一緒なら、護衛も増えるでしょうし……」
「護衛は、そうね。アンナリーゼに責を負わせるわけに行かないから。アンナリーゼは誰を連れて行くの?」
「そうですね。今回は、子どもたちは公都に残る予定なので、領地にいる護衛を呼ぶつもりです」
「ウィルは呼ばないのです?」
ナタリーが不思議そうにしているが、ウィルは私の護衛というよりか、領地でのアンジェラの護衛となっている。今回、子どもたちを領地に連れて行かないので、それはできない。
「そうね。一応、ウィルを動かせるにはそれなりの理由がいるのよ。借り物って不便なところもあるのよ。お給金を払わなくていいことだけが救いよ!」
「そうなの?」
「そうです。難しいのですよ。アンジェラを今回は連れて行かないので、護衛として公都に残ってもらう予定です」
「なるほど……『ハニーローズ』護衛が任務なのね」
ステイの質問に頷くと仕方がないと納得したようだ。護衛の件は、ステイの方で考えてくれるらしい。私はお願いした。
「どれくらい向こうにいるの?」
「3週間から1ヶ月です。小さな領地ですけど、あちらこちらと視察にでるので」
「なるほど、視察ね?」
「ステイ殿下も向かわれる気でいるのですか?」
「リンゴ姫、当たり前じゃない?私は、この国を見て回りたいと思っているのだから。初めての旅がアンナリーゼたちといけるという幸運に恵まれただけよ」
「……ですが、ステイ殿下は」
「心配してくれるのは嬉しいけど……」
そう言って、カレンにそれ以上言わせないように、人差し指で口を塞いでしまった。ステイは公を支えるということも出来る存在だった。公から今回、離宮への幽閉を解かれたことにより、その席に座る決意もしているんおだろう。公の回りに、公を支える人が少ないと薄々は気が付いていたようなので、嬉しいことだ。
今は宰相一人が公を支えている。私が本来、側で支えるための筆頭なのに、出来ていないことをすまなく思っていた。
「ステイ様は、どれくらいで国を周る予定ですか?」
「そうね……10年以内には」
「もう少し、短くなりませんか?」
その言葉に反応したのは他の誰でもないナタリーだった。「アンナリーゼ様!」と私を呼ぶので微笑んだ。事情を知っているのは、ナタリーだけだったし、ここにいるものに話すつもりはない。
「どうして?」
「ステイ様が国を周りたいとおっしゃるのは1つ。公の補佐を考えているのですよね?」
「それは、それは……。私にはとても務まると思わないけど?」
「だから、見て回るのです。公の変わりに。外遊する人材が欲しいと公は考えている。南の領地で起こった悲劇が、また起こらないようにと」
「あれは病だったでしょ?」
「人災ですよ。ジニーというインゼロ帝国からの贈り物です」
「……そうだったの?薄々は聞いていたけど、病だったから、それは考えなかったわ」
「あと、公が各地に送った医師団や薬を領主や貴族たちが自分たちのためにと囲ってしまったのです」
「なるほど。南の方の領主たちなら、それくらいのことやりかねないわね?ゴールド公爵の息のかかっている者が多いから、何かあれば助けてもらえる」
「切られるときは、存外スッパリ切られますけどね?」
ふふっと笑うステイ。誰のことを言ったのかはわかっているようだ。それに、私が知らない過去にもあったのかもしれない。
「権力と金があれば、そういうものよね。トカゲの尻尾なんて腐るほど持っているでしょ?6割の男爵、準男爵がその尻尾でしょうし。まだ、増えているのでしょ?男爵・準男爵の位」
「そうですね。ゴールド公爵の名において増えていますわ」
「金で爵位をも買えるようにしているのでしょ?たぶんだけど。成金が多いのはそういうことね」
ふぅ……と息を吐くステイ。公爵に許されているものだから、取り上げるこてゃ出来ないが、政治とは汚いものだとステイは呟いた。
対抗するために地道に積み上げている公や私たちがバカらしくなると、同じ手を使う気にはなれない。結局のところ、買った爵位のせいで、世の中の情勢次第で、没落どころか、一家心中という話もちらほら聞くこともある。
「ゴールド公爵は、公になりたいのかしら?」
「どうでしょうね?」
「そんな面倒な席、公も早々に渡せるものなら渡しているでしょうに」
「残念ながら、世襲ですからね。仕方ありません」
「本当、大変よね。私、幽閉されてて、良かったわ!」
クスクス笑っているステイはもしかしなくても、確信犯だったのだろうか。ステイにも公となる道は確かにあったのだから。それを回避するために、わざと?と考えていることが見透かされたようだった。
「わざとではないわよ?幽閉になったのは、本当に父が決めたことだし、この格好を始めたのは、母と姉がいなくなった寂しさから。存外、着心地がよくて、もう、脱ぐことはないでしょうけど、ちゃんと、公族としての責務はと少し思っていたの。罪滅ぼしではないけどね?」
ステイの未来は、やはり公の補佐をして国の安定を考えているのだろう。今の貴族たちの派閥はある意味一強だった。利害と金だけで繋がる関係を危なく思っているのかもしれないとステイを見つめ思った。
「そうね。ステイ様が一緒なら、護衛も増えるでしょうし……」
「護衛は、そうね。アンナリーゼに責を負わせるわけに行かないから。アンナリーゼは誰を連れて行くの?」
「そうですね。今回は、子どもたちは公都に残る予定なので、領地にいる護衛を呼ぶつもりです」
「ウィルは呼ばないのです?」
ナタリーが不思議そうにしているが、ウィルは私の護衛というよりか、領地でのアンジェラの護衛となっている。今回、子どもたちを領地に連れて行かないので、それはできない。
「そうね。一応、ウィルを動かせるにはそれなりの理由がいるのよ。借り物って不便なところもあるのよ。お給金を払わなくていいことだけが救いよ!」
「そうなの?」
「そうです。難しいのですよ。アンジェラを今回は連れて行かないので、護衛として公都に残ってもらう予定です」
「なるほど……『ハニーローズ』護衛が任務なのね」
ステイの質問に頷くと仕方がないと納得したようだ。護衛の件は、ステイの方で考えてくれるらしい。私はお願いした。
「どれくらい向こうにいるの?」
「3週間から1ヶ月です。小さな領地ですけど、あちらこちらと視察にでるので」
「なるほど、視察ね?」
「ステイ殿下も向かわれる気でいるのですか?」
「リンゴ姫、当たり前じゃない?私は、この国を見て回りたいと思っているのだから。初めての旅がアンナリーゼたちといけるという幸運に恵まれただけよ」
「……ですが、ステイ殿下は」
「心配してくれるのは嬉しいけど……」
そう言って、カレンにそれ以上言わせないように、人差し指で口を塞いでしまった。ステイは公を支えるということも出来る存在だった。公から今回、離宮への幽閉を解かれたことにより、その席に座る決意もしているんおだろう。公の回りに、公を支える人が少ないと薄々は気が付いていたようなので、嬉しいことだ。
今は宰相一人が公を支えている。私が本来、側で支えるための筆頭なのに、出来ていないことをすまなく思っていた。
「ステイ様は、どれくらいで国を周る予定ですか?」
「そうね……10年以内には」
「もう少し、短くなりませんか?」
その言葉に反応したのは他の誰でもないナタリーだった。「アンナリーゼ様!」と私を呼ぶので微笑んだ。事情を知っているのは、ナタリーだけだったし、ここにいるものに話すつもりはない。
「どうして?」
「ステイ様が国を周りたいとおっしゃるのは1つ。公の補佐を考えているのですよね?」
「それは、それは……。私にはとても務まると思わないけど?」
「だから、見て回るのです。公の変わりに。外遊する人材が欲しいと公は考えている。南の領地で起こった悲劇が、また起こらないようにと」
「あれは病だったでしょ?」
「人災ですよ。ジニーというインゼロ帝国からの贈り物です」
「……そうだったの?薄々は聞いていたけど、病だったから、それは考えなかったわ」
「あと、公が各地に送った医師団や薬を領主や貴族たちが自分たちのためにと囲ってしまったのです」
「なるほど。南の方の領主たちなら、それくらいのことやりかねないわね?ゴールド公爵の息のかかっている者が多いから、何かあれば助けてもらえる」
「切られるときは、存外スッパリ切られますけどね?」
ふふっと笑うステイ。誰のことを言ったのかはわかっているようだ。それに、私が知らない過去にもあったのかもしれない。
「権力と金があれば、そういうものよね。トカゲの尻尾なんて腐るほど持っているでしょ?6割の男爵、準男爵がその尻尾でしょうし。まだ、増えているのでしょ?男爵・準男爵の位」
「そうですね。ゴールド公爵の名において増えていますわ」
「金で爵位をも買えるようにしているのでしょ?たぶんだけど。成金が多いのはそういうことね」
ふぅ……と息を吐くステイ。公爵に許されているものだから、取り上げるこてゃ出来ないが、政治とは汚いものだとステイは呟いた。
対抗するために地道に積み上げている公や私たちがバカらしくなると、同じ手を使う気にはなれない。結局のところ、買った爵位のせいで、世の中の情勢次第で、没落どころか、一家心中という話もちらほら聞くこともある。
「ゴールド公爵は、公になりたいのかしら?」
「どうでしょうね?」
「そんな面倒な席、公も早々に渡せるものなら渡しているでしょうに」
「残念ながら、世襲ですからね。仕方ありません」
「本当、大変よね。私、幽閉されてて、良かったわ!」
クスクス笑っているステイはもしかしなくても、確信犯だったのだろうか。ステイにも公となる道は確かにあったのだから。それを回避するために、わざと?と考えていることが見透かされたようだった。
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