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ステイ・ローズディア
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「お久しぶりの方々も初めましての方々も、ステイ・ローズディアと申します」
綺麗な令嬢のような容姿に低い声。見た目と声が合わずに戸惑う人々と「あのステイ殿下か?」と囁き合っている人々がいて、耳にはおもしろいことになっている。
「なんだか、みなの反応がおもしろいわね?」
「そりゃそうでしょ?ステイ殿下といえば、美男子で縁談の数は多かったはずだし、ここにいる貴族婦人の半分……くらいは、ステイ殿下の妃にと夢見た人も多いと思うよ」
「そうなの?」
「情報通のアンナは知らないんだね?」
「えぇ、少し年が離れていますし、何より社交界にいない人の情報は手に入りにくいんですよ」
「姫さんも候補に入っていたんじゃない?」
「……さすがに、ステイ様の婚約話のころは、私は子どもよ?」
ジョージアがこちらを見て、ふぅーんというので、「何か問題でも?」と聞いた。ウィルは何かを察したのか、数歩後ろに下がる。それをみたセバスもダリアを引っ張って下がった。ナタリーも気が付いたようだがしれっとしており、パルマだけは何かわかっていない。
これが、普段から一緒にいるものたちとの違いだろう。
「……公はそれでも、アンナを妃に望んだんだよね?」
「最近の話ですね?ジョージア様があまりにも冷たい時期は、心配してくださっていましたよ?」
「そう。そのあとも、何回も求婚されていたらしいし?」
「ステイ様とは、今後協力体制を取ることになっていますから、口出しはしないでください」
「わかっているよ?でも、あんななりをしているけど、男性なこと……忘れないでいてほしいものだな」
「いいたいことはわかりましたけど、私はジョージア様から離れたことは1度もありませんよ?常にあなたに心は寄り添ってきたつもりです」
ニコッと笑うと、「そうだったね?」と微笑みが返ってきた。私は、改めて挨拶をしているステイを見ると、目が合う。今日のところは、社交界への復帰というのが目的で、他は何もしない予定だ。
「どうして、ステイ殿下はアンナリーゼ様の後ろ盾になってくださったのですか?」
「まだ、みんなには話していなかったわね?」
「えぇ、聞いていませんね」
「俺は、その日についていったから知ってるけど?」
「ウィルとジョージア様以外は知らないわよ?」
「ナタリーも聞いていなかったんだ?」
頷くと、私の方を一斉に見るので、説明をする。みな話に夢中なので、私たちの話など聞いていないだろう。また、聞かれても問題はない。
「単純な話で、私が第二妃の後ろ盾だから……それだけ」
「公の後ろ盾でもありますよね?」
「あぁ、そうね。でも、ジョージア様はアンバー公爵家当主、ゴールド公爵も代々受け継がれる公爵家の当主なのよ。それぞれの爵位もほとんどが、受け継がれたものでしょ?」
「確かにそうですね?」
「……私は、公や第二妃、その公子の後ろ盾となっているけど、爵位は一代限りの地盤も何もない爵位なの。公が私の後ろ盾になることは、不可能でしょ?私とジョージア様が、公の後ろ盾なのだから」
「……確かに。僕とウィルも一代限りの爵位だから、本来誰の後ろ盾にもなれないけど、アンナリーゼ様はなっているね」
「そう、私の爵位は特殊で、ロサオリエンティスが付与したものだから……」
「公じゃなかったんだ?」
ウィルは少し不思議そうにしているが、私が爵位を得た経緯は詳しく話していなかった。結婚した日にロサオリエンティスの夢を見た。過去を見る力は私にはないはずなのに、どうしてか謁見したのだ。
そのときに力を貸してくれる約束をした結果だと教える。
「姫さんってさ、何気に強運だよね?『予知夢』で見て回避したものもあるだろうけど、突拍子もない繋がりが、いつの間にかあるし……俺、ずっと思っていたんだけど、そういう繋がりは、運もあると思うんだよな」
「あぁ、それは感じる。たぶん、僕もアンナリーゼ様に引き寄せられたくちだからさ」
ウィルとセバスが頷きあっているとナタリーもパルマも頷いた。だいたい、何か不思議な縁に導かれて、ここに集まっている面々を見て頷いた。
「俺もそうだよ?アンナの入学式の前日に出会ったのがきっかけだし……」
「ジョージア様は姫さんに狙われていた可能性がありますけどね?」
ウィルが茶化すとみなが嗤い始める。ローズディアへ……アンバー公爵家へ嫁いだ理由をみなが知っているからだ。
「いろいろ聞いていたけど、今はこんなにやきもち妬かれて、姫さんは幸せだよね?」
「そうだよ!アンナ、ちょっと、俺のこと放置しすぎじゃない?」
「そんなことありませんよ!私の世界はジョージア様と共に……あぁ、でも、アンバー領も子どもたちも同じくらい大切なので、これで許してください」
私は背伸びをしてジョージアの首に腕を回し、キスをする。驚いているジョージアとは別に、周りは視線を逸らしてくれた。パルマだけは、見てしまったようで、ナタリーがそっと目を手で覆っている。
「アンナリーゼ!」
公とステイ、エリックからはもちろん一部始終見えていたので、名を呼ばれた。みながこちらを向く前にジョージアから離れ、どうかしましたか?と何食わぬ顔で公たちににっこり笑いかけた。
綺麗な令嬢のような容姿に低い声。見た目と声が合わずに戸惑う人々と「あのステイ殿下か?」と囁き合っている人々がいて、耳にはおもしろいことになっている。
「なんだか、みなの反応がおもしろいわね?」
「そりゃそうでしょ?ステイ殿下といえば、美男子で縁談の数は多かったはずだし、ここにいる貴族婦人の半分……くらいは、ステイ殿下の妃にと夢見た人も多いと思うよ」
「そうなの?」
「情報通のアンナは知らないんだね?」
「えぇ、少し年が離れていますし、何より社交界にいない人の情報は手に入りにくいんですよ」
「姫さんも候補に入っていたんじゃない?」
「……さすがに、ステイ様の婚約話のころは、私は子どもよ?」
ジョージアがこちらを見て、ふぅーんというので、「何か問題でも?」と聞いた。ウィルは何かを察したのか、数歩後ろに下がる。それをみたセバスもダリアを引っ張って下がった。ナタリーも気が付いたようだがしれっとしており、パルマだけは何かわかっていない。
これが、普段から一緒にいるものたちとの違いだろう。
「……公はそれでも、アンナを妃に望んだんだよね?」
「最近の話ですね?ジョージア様があまりにも冷たい時期は、心配してくださっていましたよ?」
「そう。そのあとも、何回も求婚されていたらしいし?」
「ステイ様とは、今後協力体制を取ることになっていますから、口出しはしないでください」
「わかっているよ?でも、あんななりをしているけど、男性なこと……忘れないでいてほしいものだな」
「いいたいことはわかりましたけど、私はジョージア様から離れたことは1度もありませんよ?常にあなたに心は寄り添ってきたつもりです」
ニコッと笑うと、「そうだったね?」と微笑みが返ってきた。私は、改めて挨拶をしているステイを見ると、目が合う。今日のところは、社交界への復帰というのが目的で、他は何もしない予定だ。
「どうして、ステイ殿下はアンナリーゼ様の後ろ盾になってくださったのですか?」
「まだ、みんなには話していなかったわね?」
「えぇ、聞いていませんね」
「俺は、その日についていったから知ってるけど?」
「ウィルとジョージア様以外は知らないわよ?」
「ナタリーも聞いていなかったんだ?」
頷くと、私の方を一斉に見るので、説明をする。みな話に夢中なので、私たちの話など聞いていないだろう。また、聞かれても問題はない。
「単純な話で、私が第二妃の後ろ盾だから……それだけ」
「公の後ろ盾でもありますよね?」
「あぁ、そうね。でも、ジョージア様はアンバー公爵家当主、ゴールド公爵も代々受け継がれる公爵家の当主なのよ。それぞれの爵位もほとんどが、受け継がれたものでしょ?」
「確かにそうですね?」
「……私は、公や第二妃、その公子の後ろ盾となっているけど、爵位は一代限りの地盤も何もない爵位なの。公が私の後ろ盾になることは、不可能でしょ?私とジョージア様が、公の後ろ盾なのだから」
「……確かに。僕とウィルも一代限りの爵位だから、本来誰の後ろ盾にもなれないけど、アンナリーゼ様はなっているね」
「そう、私の爵位は特殊で、ロサオリエンティスが付与したものだから……」
「公じゃなかったんだ?」
ウィルは少し不思議そうにしているが、私が爵位を得た経緯は詳しく話していなかった。結婚した日にロサオリエンティスの夢を見た。過去を見る力は私にはないはずなのに、どうしてか謁見したのだ。
そのときに力を貸してくれる約束をした結果だと教える。
「姫さんってさ、何気に強運だよね?『予知夢』で見て回避したものもあるだろうけど、突拍子もない繋がりが、いつの間にかあるし……俺、ずっと思っていたんだけど、そういう繋がりは、運もあると思うんだよな」
「あぁ、それは感じる。たぶん、僕もアンナリーゼ様に引き寄せられたくちだからさ」
ウィルとセバスが頷きあっているとナタリーもパルマも頷いた。だいたい、何か不思議な縁に導かれて、ここに集まっている面々を見て頷いた。
「俺もそうだよ?アンナの入学式の前日に出会ったのがきっかけだし……」
「ジョージア様は姫さんに狙われていた可能性がありますけどね?」
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公とステイ、エリックからはもちろん一部始終見えていたので、名を呼ばれた。みながこちらを向く前にジョージアから離れ、どうかしましたか?と何食わぬ顔で公たちににっこり笑いかけた。
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