1,314 / 1,480
喫茶でお茶会
しおりを挟む
「可愛いわね?」
「アン?」
「そう。将来美人さんね?」
「美人?」
生クリームを掬いながら小首を傾げている。そんな姿を見ると、ジョージアのように見える。そう思ったのは私だけではなかったようで、クスっと笑うステイ。
「アンナリーゼに似ていると思ったけど、どちらかというとジョージアに似ているのね。見ていて、可愛いわ」
「そうですよね。大人になったら、ジョージア様瓜二つになりますよ。きっと……」
「そういえば、婚約の話は、どこかの家と決めているの?」
「いえ、私は、アンジェラが選んだ相手と結婚出来ればいいなと思っていて、ジョージアにもそう言っています」
「あれ?ネイト様は、決まっていますよね?」
ナタリーが少し驚いたように聞いてくるので頷いた。私とエレーナとの関係があるので、ネイトの婚約は決めてしまったが、それも大きくなった時点で、二人で話し合って決めればいいとは思っている。そのとき、私は、ネイトの相談に乗ることは出来ないも知れないので、今のうちに決めてしまったところがある。アンバー領主の次期当主はアンジェラと決まっているのだが、領地運営はネイトがすることになると思う。補佐をする人間は必要で、そのあたりについても、その時代にあった人選をすればいいと思う。イチアもまだまだ若いので、ネイトが領主補佐になったときも手伝ってくれるだろうと魂胆も含まれてはいる。
私が死んだあと、ウィルやセバスは公都に戻ることも考えてはいる。ナタリーは商売の楽しさを覚えているので、そちらに力を入れていくかもしれない。ニコライとは別に独立する日も来るかもしれないと、少し先の未来を考えた。
「ネイトはね……エレーナからの申し出があったから、受けたのよ」
「エレーナとは、どなた?」
「エルドア国のクロック侯爵夫人ですわ」
「あぁ、あのやり手だと聞いているかたね?」
「……ステイ様って、城にいるのですよね?
「そうよ。でも、噂好きの子たちがいろいろと教えてくれるの。規模の大きな商売になっているし、ローズディアでも目立った仕事をしているでしょ?」
「そうですね。私が後押ししているので、主にアンバー領やハニーアンバー店のために働いてもらっています。今では、一部商人たちの依頼も受けて、この国にも馴染みになってきたと聞いていますが」
ステイは二度、大きく頷いた。白いにいながら、見事な情報収集能力だと感心していると見透かされたのか、ふっとこちらを見て笑った。
「今、アンナリーゼの頭の中を見れたらおもしろそうね?」
「そんなこと、ないですよ?」
「そうかしら?私のこと、すごく評価してくれている……そんな気がしたのだけど」
「……見抜かれていましたか?」
「私の勘みたいなものね。アンナリーゼって、本当に顔には出さないからわからないけど、私たちとこうしてお茶をしている中でも、頭の中には常に2,3のことを考えているでしょ?」
「そんなことは、ありませんよ!」
慌てて否定するが、そういう態度が少しでも出ていたのであれば、ステイに対して失礼だ。指摘されたとおり、次のお茶会の話を考えたり、仕上げの終わっていないドレスのことを考えたりしていた。
「いいのよ。それより、今、何を考えていた?」
「……いえ、ステイ様ってどこまで知っているのかと思いまして」
「アンナリーゼが知っている国内のことなら、何でもといいたいけど……知らないことも多いわ」
「やはり、ステイ様は優秀な方なのですね。第一公子なら……と考えてしまいますね。公にはない魅力のひとつですね」
「お褒めに預かりありがとうございます」
私たちは笑い合い、それぞれのお菓子とお茶を楽しむ。やはり、どのお菓子も美味しいらしく、帰りに持って帰れるものは帰りたいと願い出てくる。
私はキティを呼んで、日持ちのする焼き菓子を中心にステイ様へのお土産として渡すように伝えた。そのとき、代金をと言われたが、今回は特別に必要ありませんとお断りした。
「そういえば、始まりの夜会のこと……、相談しようと思っていたのよ」
「どんなことですか?」
私とナタリーは衣装のことなら任せてくれといいつつ、華やかな装いの話をすると、ステイは首を横に振る。
「まずは、本来のドレスコードに変えるのがいいのかドレスのままでいいのか。意見を聞かせてほしい」
「私は、どちらも素敵ですから、ステイ様が着たいと思われる方でいいと思います」
「私も同じく。ステイ殿下には、是非来ていただきたい新作の服装があるのですが、なかなか時間がとれなくて……」
「そうだな。私の方も何かと園遊会への行かないことにしているの。だから、ナタリー達と話をしている今が一番幸せよ!」
屈託なく笑うステイに、ナタリーは少し寂しそうに笑う。後ろ姿を見てため息をつきたくなったが、この二人には二人にしかわからないこともあるだろうと気を利かせていたのだが、それも必要のないほどナタリーの話を聞いていく
「私の話は終わりましたか?」
「えぇ、もう大丈夫。ナタリーの夢だけ聞かせてくれたから、次は私の番かしら?」
そういったあと、どうやら、いいのか……支部へのことを少しでも忘れているようで、他の支部さんたちも私の自慢の息子だよと笑ってくれた。語《ルビ》
「アン?」
「そう。将来美人さんね?」
「美人?」
生クリームを掬いながら小首を傾げている。そんな姿を見ると、ジョージアのように見える。そう思ったのは私だけではなかったようで、クスっと笑うステイ。
「アンナリーゼに似ていると思ったけど、どちらかというとジョージアに似ているのね。見ていて、可愛いわ」
「そうですよね。大人になったら、ジョージア様瓜二つになりますよ。きっと……」
「そういえば、婚約の話は、どこかの家と決めているの?」
「いえ、私は、アンジェラが選んだ相手と結婚出来ればいいなと思っていて、ジョージアにもそう言っています」
「あれ?ネイト様は、決まっていますよね?」
ナタリーが少し驚いたように聞いてくるので頷いた。私とエレーナとの関係があるので、ネイトの婚約は決めてしまったが、それも大きくなった時点で、二人で話し合って決めればいいとは思っている。そのとき、私は、ネイトの相談に乗ることは出来ないも知れないので、今のうちに決めてしまったところがある。アンバー領主の次期当主はアンジェラと決まっているのだが、領地運営はネイトがすることになると思う。補佐をする人間は必要で、そのあたりについても、その時代にあった人選をすればいいと思う。イチアもまだまだ若いので、ネイトが領主補佐になったときも手伝ってくれるだろうと魂胆も含まれてはいる。
私が死んだあと、ウィルやセバスは公都に戻ることも考えてはいる。ナタリーは商売の楽しさを覚えているので、そちらに力を入れていくかもしれない。ニコライとは別に独立する日も来るかもしれないと、少し先の未来を考えた。
「ネイトはね……エレーナからの申し出があったから、受けたのよ」
「エレーナとは、どなた?」
「エルドア国のクロック侯爵夫人ですわ」
「あぁ、あのやり手だと聞いているかたね?」
「……ステイ様って、城にいるのですよね?
「そうよ。でも、噂好きの子たちがいろいろと教えてくれるの。規模の大きな商売になっているし、ローズディアでも目立った仕事をしているでしょ?」
「そうですね。私が後押ししているので、主にアンバー領やハニーアンバー店のために働いてもらっています。今では、一部商人たちの依頼も受けて、この国にも馴染みになってきたと聞いていますが」
ステイは二度、大きく頷いた。白いにいながら、見事な情報収集能力だと感心していると見透かされたのか、ふっとこちらを見て笑った。
「今、アンナリーゼの頭の中を見れたらおもしろそうね?」
「そんなこと、ないですよ?」
「そうかしら?私のこと、すごく評価してくれている……そんな気がしたのだけど」
「……見抜かれていましたか?」
「私の勘みたいなものね。アンナリーゼって、本当に顔には出さないからわからないけど、私たちとこうしてお茶をしている中でも、頭の中には常に2,3のことを考えているでしょ?」
「そんなことは、ありませんよ!」
慌てて否定するが、そういう態度が少しでも出ていたのであれば、ステイに対して失礼だ。指摘されたとおり、次のお茶会の話を考えたり、仕上げの終わっていないドレスのことを考えたりしていた。
「いいのよ。それより、今、何を考えていた?」
「……いえ、ステイ様ってどこまで知っているのかと思いまして」
「アンナリーゼが知っている国内のことなら、何でもといいたいけど……知らないことも多いわ」
「やはり、ステイ様は優秀な方なのですね。第一公子なら……と考えてしまいますね。公にはない魅力のひとつですね」
「お褒めに預かりありがとうございます」
私たちは笑い合い、それぞれのお菓子とお茶を楽しむ。やはり、どのお菓子も美味しいらしく、帰りに持って帰れるものは帰りたいと願い出てくる。
私はキティを呼んで、日持ちのする焼き菓子を中心にステイ様へのお土産として渡すように伝えた。そのとき、代金をと言われたが、今回は特別に必要ありませんとお断りした。
「そういえば、始まりの夜会のこと……、相談しようと思っていたのよ」
「どんなことですか?」
私とナタリーは衣装のことなら任せてくれといいつつ、華やかな装いの話をすると、ステイは首を横に振る。
「まずは、本来のドレスコードに変えるのがいいのかドレスのままでいいのか。意見を聞かせてほしい」
「私は、どちらも素敵ですから、ステイ様が着たいと思われる方でいいと思います」
「私も同じく。ステイ殿下には、是非来ていただきたい新作の服装があるのですが、なかなか時間がとれなくて……」
「そうだな。私の方も何かと園遊会への行かないことにしているの。だから、ナタリー達と話をしている今が一番幸せよ!」
屈託なく笑うステイに、ナタリーは少し寂しそうに笑う。後ろ姿を見てため息をつきたくなったが、この二人には二人にしかわからないこともあるだろうと気を利かせていたのだが、それも必要のないほどナタリーの話を聞いていく
「私の話は終わりましたか?」
「えぇ、もう大丈夫。ナタリーの夢だけ聞かせてくれたから、次は私の番かしら?」
そういったあと、どうやら、いいのか……支部へのことを少しでも忘れているようで、他の支部さんたちも私の自慢の息子だよと笑ってくれた。語《ルビ》
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる