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ジョージとお出かけⅡ
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「しっかり捕まっていて?」
レナンテに鞍をつけ、そこにジョージを座らせると乗りなれていないので恐々だった。
「大丈夫?」
見送りに来ていたジョージアが、固まっているジョージを見て心配そうにしている。いずれ、馬には乗れるようにならないといけないので慣れてもらわないと困る。
「……だい、じょうぶ」
「怖かったら、私に抱きついていてもいいのよ?」
「大丈夫。レナンテは、怖くない」
震えているジョージを後ろから支え、優しく大丈夫よと囁く。多少落ち着いたのか、震えが止まったようだ。
「じゃあ、行ってきます!」
「あんまり走らせないであげて。アンジェラと違って、まだ、ジョージは怖いだろうから」
「わかっています。半日で帰ってこれるくらいのところですから」
レナンテと呼びかけると、ゆっくり歩き始める。今日のお供はウィルで後ろから私たちを見守ってくれていた。
「ジョージはどこへ行きたい?」
「水車がみたい!」
「じゃあ、サラおばさんの村だね。他に行きたいところはある?」
「……ママの戦ってるところ」
「私の?それは、何……警備隊の訓練場に向かえばいいの?」
コクンと頷くジョージに驚いた。ふだん、大人しく本を読んでいることが多い。だからか、アンジェラが子ども用の木剣でレオと練習をしているのもあまり見ていなかった。ゆくゆくは、コーコナ領をジョージに任せようとジョージアと話をしている手前、多少なりの剣は扱えるようにしないととつい先日ジョージアに相談していたところだった。まだ、話していないと言っていたが、どういう心境の変化があったのだろうか?
「ジョージは争いごととか剣を持つことが嫌いなのかと思っていたわ」
「……違う。アンみたいにはできないから」
「あぁ、アンジェラはちょっと特殊よね」
よちよち歩いていたと思っていたら、剣を振り回していた。危ないから基本だけ教えたり、ウィルがみたりしてくれているのだが、メキメキと成長している。いや、まだ、剣とか握って訓練するような年ではないはずなのにだ。
「お嬢はなぁ……あれは才能だよ。フレイゼン家の血筋だと思うけど」
「フレイゼン家というより、お母様の家系の血筋ね」
「……僕は」
落ち込むジョージの頭をクシャッと撫でる。少しずつ訓練をすれば、ジョージだってキッと強くなる。体を鍛え、成長に合わせて訓練を重ねる。ただ、目の前で起こっているできごとに戸惑いもあるのだろう。焦る必要は全くない。
「ジョージはアンジェラみたいになりたいの?」
「なりたい!アンはレオと……」
「そうね……アンジェラは生まれて1歳のときには、木剣を握っていたくらいの子だから、ちょっと特別なのよ」
「特別?」
「そう。ジョージも焦る必要はないよ。レオだってひとつずつ積み重ねているんだから。少しずつ少しずつ、小さな訓練を積み重ねていっているの」
「アンはできるよ?」
「……才能っていう神様からの贈り物ね。羨ましい?」
俯いているジョージはさらに俯くようにコクンと頷く。私はジョージの気持ちがわからない。運動ができたから、むしろ兄から羨ましがられていたくらいだ。
「ジョージの剣の道はこれからゆっくり進んでいくのよ。アンジェラは剣が使える代わりに、ジョージのような難しい本は読めないわ。ジョージはどんなふうに考えているかわからないけど……どちらもすごいことなのよ?」
「ジョージ様はどうしてもお嬢と比べたいのかな?」
「……芽生えた自尊心?」
「まぁ、それは大事だよね?砕くならもう少し大きくなってからでお願いしたいけど」
「アンジェラにはアンジェラの、ジョージにはジョージの、ネイトにはネイトのいいところがそれぞれ備わっているのよ」
ジョージと声をかける。未だ俯いていたジョージに前を見てごらんなさいというとゆっくり顔をあげた。一面まだ何も植わっていない畑を農家の人たちが丁寧におこしているところだった。私の言葉で何かを感じてくれればいいのだけど……と不安を胸に抱きながら、話をする。まだ幼いジョージはどう感じるのだろう。
「見てごらんなさい。春が来たら、麦の種を蒔くの。種を蒔くにもあぁやって肥料をまいあり土を柔らかくしたり手入れをする。そこに種を撒いて、成長するまで草むしりをしたり質のいい麦が出来ているか確認をしたり、農作物は天気に左右されやすいから見守らないといけないのよ」
「……本で読みました。大変だなって」
「そう、大変なのよ。ジョージの成長も同じ。たくさんの人と出会って導かれて成長していくの。まだ、幼いから目先のことしか見えていないかもしれないけど、少なくとも私もジョージア様もジョージの成長を楽しみにしているわ」
農家の人が声をかけあいながら作業をしている様子をジョージはジッと見ていた。朗らかに笑いながら、春に向けての準備をしている。
「ジョージ、あんまり早く大人にならないで」
首をひねって視線をこちらに向けてくる。どこか嫉妬しているという目をしていたが、今は興味を逸れたようだった。
ジョージにはゆっくり成長をしてくれることを私は切に願った。
レナンテに鞍をつけ、そこにジョージを座らせると乗りなれていないので恐々だった。
「大丈夫?」
見送りに来ていたジョージアが、固まっているジョージを見て心配そうにしている。いずれ、馬には乗れるようにならないといけないので慣れてもらわないと困る。
「……だい、じょうぶ」
「怖かったら、私に抱きついていてもいいのよ?」
「大丈夫。レナンテは、怖くない」
震えているジョージを後ろから支え、優しく大丈夫よと囁く。多少落ち着いたのか、震えが止まったようだ。
「じゃあ、行ってきます!」
「あんまり走らせないであげて。アンジェラと違って、まだ、ジョージは怖いだろうから」
「わかっています。半日で帰ってこれるくらいのところですから」
レナンテと呼びかけると、ゆっくり歩き始める。今日のお供はウィルで後ろから私たちを見守ってくれていた。
「ジョージはどこへ行きたい?」
「水車がみたい!」
「じゃあ、サラおばさんの村だね。他に行きたいところはある?」
「……ママの戦ってるところ」
「私の?それは、何……警備隊の訓練場に向かえばいいの?」
コクンと頷くジョージに驚いた。ふだん、大人しく本を読んでいることが多い。だからか、アンジェラが子ども用の木剣でレオと練習をしているのもあまり見ていなかった。ゆくゆくは、コーコナ領をジョージに任せようとジョージアと話をしている手前、多少なりの剣は扱えるようにしないととつい先日ジョージアに相談していたところだった。まだ、話していないと言っていたが、どういう心境の変化があったのだろうか?
「ジョージは争いごととか剣を持つことが嫌いなのかと思っていたわ」
「……違う。アンみたいにはできないから」
「あぁ、アンジェラはちょっと特殊よね」
よちよち歩いていたと思っていたら、剣を振り回していた。危ないから基本だけ教えたり、ウィルがみたりしてくれているのだが、メキメキと成長している。いや、まだ、剣とか握って訓練するような年ではないはずなのにだ。
「お嬢はなぁ……あれは才能だよ。フレイゼン家の血筋だと思うけど」
「フレイゼン家というより、お母様の家系の血筋ね」
「……僕は」
落ち込むジョージの頭をクシャッと撫でる。少しずつ訓練をすれば、ジョージだってキッと強くなる。体を鍛え、成長に合わせて訓練を重ねる。ただ、目の前で起こっているできごとに戸惑いもあるのだろう。焦る必要は全くない。
「ジョージはアンジェラみたいになりたいの?」
「なりたい!アンはレオと……」
「そうね……アンジェラは生まれて1歳のときには、木剣を握っていたくらいの子だから、ちょっと特別なのよ」
「特別?」
「そう。ジョージも焦る必要はないよ。レオだってひとつずつ積み重ねているんだから。少しずつ少しずつ、小さな訓練を積み重ねていっているの」
「アンはできるよ?」
「……才能っていう神様からの贈り物ね。羨ましい?」
俯いているジョージはさらに俯くようにコクンと頷く。私はジョージの気持ちがわからない。運動ができたから、むしろ兄から羨ましがられていたくらいだ。
「ジョージの剣の道はこれからゆっくり進んでいくのよ。アンジェラは剣が使える代わりに、ジョージのような難しい本は読めないわ。ジョージはどんなふうに考えているかわからないけど……どちらもすごいことなのよ?」
「ジョージ様はどうしてもお嬢と比べたいのかな?」
「……芽生えた自尊心?」
「まぁ、それは大事だよね?砕くならもう少し大きくなってからでお願いしたいけど」
「アンジェラにはアンジェラの、ジョージにはジョージの、ネイトにはネイトのいいところがそれぞれ備わっているのよ」
ジョージと声をかける。未だ俯いていたジョージに前を見てごらんなさいというとゆっくり顔をあげた。一面まだ何も植わっていない畑を農家の人たちが丁寧におこしているところだった。私の言葉で何かを感じてくれればいいのだけど……と不安を胸に抱きながら、話をする。まだ幼いジョージはどう感じるのだろう。
「見てごらんなさい。春が来たら、麦の種を蒔くの。種を蒔くにもあぁやって肥料をまいあり土を柔らかくしたり手入れをする。そこに種を撒いて、成長するまで草むしりをしたり質のいい麦が出来ているか確認をしたり、農作物は天気に左右されやすいから見守らないといけないのよ」
「……本で読みました。大変だなって」
「そう、大変なのよ。ジョージの成長も同じ。たくさんの人と出会って導かれて成長していくの。まだ、幼いから目先のことしか見えていないかもしれないけど、少なくとも私もジョージア様もジョージの成長を楽しみにしているわ」
農家の人が声をかけあいながら作業をしている様子をジョージはジッと見ていた。朗らかに笑いながら、春に向けての準備をしている。
「ジョージ、あんまり早く大人にならないで」
首をひねって視線をこちらに向けてくる。どこか嫉妬しているという目をしていたが、今は興味を逸れたようだった。
ジョージにはゆっくり成長をしてくれることを私は切に願った。
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