1,118 / 1,480
白薔薇の愛情表現Ⅱ
しおりを挟む
「アンナ様もヨハン教授も酷いです!真剣に悩んでいるんですからね!どうやって、リアンがこっちを見てくれるかって。もう、子どもたちに夢中で、サッパリなんですから!」
「そんなことないと思うけど?あぁ、そうだ。この名もない白い薔薇をリアンに届けたら?」
「どうしてですか?白い薔薇には何か?」
「ロマンチックはアデルにはほど遠そうだ」
「そんな……そんなこと言わずに!えっと、どうしたら?」
大きなため息と共に、私もヨハンも白薔薇を見つめる。指で突くと、大きな花はゆらゆらと規則正しく揺れていた。
「白い薔薇には純潔や深い尊敬っていう意味があるのよ」
「一本なら一目惚れでしたっけ?一番わかりやすいのは108本ですけど、さすがに、あげれませんからね?」
「5本ならいいかしら?」
「もちろんですよ。まだ日も高い。今から馬で走れば、明日の朝にはつくんじゃないですかね?」
ヨハンがいつになく親身になっている。二人でアデルのほうをみて意味ありげに微笑むと心配そうにしている。その様子もおかしくて笑いそうだが、アデルが、表情をコロコロ変えている。最近は、いい雰囲気っだと聞いてはたが、どうも本人には伝わっていないようだし、リアンのほうも、実際どうだかわからない。
「5本の白薔薇はどういう意味があるんですか?アンナ様なら知っているんですよね?」
「もちろんよ!きっと、リアンも知っているんじゃなくて?花、好きだから」
「それは、知っています!こっそり、お花を愛でているところを見たことがありますから!」
「そういうとき、話題にしたいわよね?」
「ジョージア様なら、必ず話題にするなぁ……好きでしょ?花も」
「そうね。私の知らないこと、たくさん知っているわよ!」
「アンナ様が知らないことなんてないでしょ?」
「あるわよ!もう、そんなこというなら、花言葉、教えてあげないわ!」
プイっと視線を逸らすと、縋るようにお願いしますと言ってくるアデル。からかうのも調子に乗りすぎだと思い始め、しかたがないなぁ……ともったいぶってみた。
「一生アンナリーゼ様の子分のまんまだなぁ?アデル」
「何を言っているのですか?ヨハン教授。そんなの引き抜きがあった時点で、一生アンナ様についてく!そう決めています。生涯を共にしたいのは、他ならぬリアンですけどね!」
「どう思う?」
「私は大歓迎だよ!もし、私がいなくなっても、この領地をきっと守ってくれるはず」
「えっ?いなくなるって、どういうことですか?アンナ様のほうが、年は下ですから、順番でいくとですね?」
「こういうのは、寿命だから、わからないでしょ?」
クスクスと笑って誤魔化す。まぁ死のうだなんて、さらさら思っていないので、目標は、ひ孫を抱くくらいに考えておいたほうがいいだろう。
「それより、白薔薇5本の意味よね?」
「そうです、そうでした!どんな意味があるんですか?」
「んーそうだな。いろいろあるけど、最愛とかあなたに出会えたことが心からの喜びとかかしら?」
「そうですね。本当に生涯を共にしたい人に贈るといいといわれてますね?」
「本当ですか?それなら、5本の白薔薇をください!」
「真っ白な薔薇がいいわ!ヨハン、どれがいいかしら?」
そう言って、白薔薇を選んでいく。ヨハンと二人、アデルとリアンの幸せを願って。
「下に降りたらジニーがいると思うんで、包んでもらってください。枯れないように」
「白薔薇は枯れてもいい意味があるから、大丈夫よ?」
「枯れ途中はダメでしょ?さすがに……」
「そうかも!」
「あの、お二人、楽しんでませんか?特にアンナ様は、毎回毎回」
「だって、他人の恋愛は楽しいのよ。幸せな気持ちになれるわ。私は、政略結婚だったし、そんな微笑ましい恋愛をしていないもの」
「……あの甘ったるい雰囲気を出していて、それを言いますか?」
アデルに睨まれるが、私たちには私たちの夫婦の形があるだけだ。余裕を持って笑いかけてやるとと憎たらしそうにされる。
恋愛も結婚も、二人で築きあげていけば、それがその二人の形なのだ。結局は他人どうしが一緒にいるのだから、あわないこともある。
「いいじゃない。これほど、みんなに応援される恋愛なんてないと思うんだけど?」
「それって、言い換えれば……領地でみんなが知っているってことですよね?」
「そうともいうけど、早くしないと、男前なリリーに奪われちゃったりしてね?」
「あぁ、リリーは、確かに頼りがいあるもんなぁ。平民だけど、アンナリーゼ様にも一目置かれているし、これは……ありだな?」
また、二人で茶化し始めたので、アデルは今度こそ怒って下山する。その後ろ姿を見て、ヨハンと二人、早くまとまればいいのになとため息をついた。
「リアンのほうにも問題はあるから……」
「男爵とのことか?」
「そうね。もう、結婚は……って、思っているところがあるのよ。その氷漬けの心も、そろそろアデルの心で溶けてきてくれているとおもうんだけどね。人って、誰かが側にいることが心地いと知っているから」
「煩わしいと思うものもいるけど?」
「そんな人じゃないわ。少なくとも、リアンもアデルも。だから、きっと、いい夫婦になれるはずなのよ。二人で孤児院をってことになると、アデルが取られて困るのは私なんだけど……」
「リアンは?」
「いてくれないと困るけど、もうすぐ、デリアが戻ってくるから……リアンはリアンの幸せを大切にしてほしいわ」
女の人の心の中は複雑だなぁ……と呟くヨハンに、助手の彼女を逃がしちゃダメだからね?とこちらも釘を打つことにした。
「そんなことないと思うけど?あぁ、そうだ。この名もない白い薔薇をリアンに届けたら?」
「どうしてですか?白い薔薇には何か?」
「ロマンチックはアデルにはほど遠そうだ」
「そんな……そんなこと言わずに!えっと、どうしたら?」
大きなため息と共に、私もヨハンも白薔薇を見つめる。指で突くと、大きな花はゆらゆらと規則正しく揺れていた。
「白い薔薇には純潔や深い尊敬っていう意味があるのよ」
「一本なら一目惚れでしたっけ?一番わかりやすいのは108本ですけど、さすがに、あげれませんからね?」
「5本ならいいかしら?」
「もちろんですよ。まだ日も高い。今から馬で走れば、明日の朝にはつくんじゃないですかね?」
ヨハンがいつになく親身になっている。二人でアデルのほうをみて意味ありげに微笑むと心配そうにしている。その様子もおかしくて笑いそうだが、アデルが、表情をコロコロ変えている。最近は、いい雰囲気っだと聞いてはたが、どうも本人には伝わっていないようだし、リアンのほうも、実際どうだかわからない。
「5本の白薔薇はどういう意味があるんですか?アンナ様なら知っているんですよね?」
「もちろんよ!きっと、リアンも知っているんじゃなくて?花、好きだから」
「それは、知っています!こっそり、お花を愛でているところを見たことがありますから!」
「そういうとき、話題にしたいわよね?」
「ジョージア様なら、必ず話題にするなぁ……好きでしょ?花も」
「そうね。私の知らないこと、たくさん知っているわよ!」
「アンナ様が知らないことなんてないでしょ?」
「あるわよ!もう、そんなこというなら、花言葉、教えてあげないわ!」
プイっと視線を逸らすと、縋るようにお願いしますと言ってくるアデル。からかうのも調子に乗りすぎだと思い始め、しかたがないなぁ……ともったいぶってみた。
「一生アンナリーゼ様の子分のまんまだなぁ?アデル」
「何を言っているのですか?ヨハン教授。そんなの引き抜きがあった時点で、一生アンナ様についてく!そう決めています。生涯を共にしたいのは、他ならぬリアンですけどね!」
「どう思う?」
「私は大歓迎だよ!もし、私がいなくなっても、この領地をきっと守ってくれるはず」
「えっ?いなくなるって、どういうことですか?アンナ様のほうが、年は下ですから、順番でいくとですね?」
「こういうのは、寿命だから、わからないでしょ?」
クスクスと笑って誤魔化す。まぁ死のうだなんて、さらさら思っていないので、目標は、ひ孫を抱くくらいに考えておいたほうがいいだろう。
「それより、白薔薇5本の意味よね?」
「そうです、そうでした!どんな意味があるんですか?」
「んーそうだな。いろいろあるけど、最愛とかあなたに出会えたことが心からの喜びとかかしら?」
「そうですね。本当に生涯を共にしたい人に贈るといいといわれてますね?」
「本当ですか?それなら、5本の白薔薇をください!」
「真っ白な薔薇がいいわ!ヨハン、どれがいいかしら?」
そう言って、白薔薇を選んでいく。ヨハンと二人、アデルとリアンの幸せを願って。
「下に降りたらジニーがいると思うんで、包んでもらってください。枯れないように」
「白薔薇は枯れてもいい意味があるから、大丈夫よ?」
「枯れ途中はダメでしょ?さすがに……」
「そうかも!」
「あの、お二人、楽しんでませんか?特にアンナ様は、毎回毎回」
「だって、他人の恋愛は楽しいのよ。幸せな気持ちになれるわ。私は、政略結婚だったし、そんな微笑ましい恋愛をしていないもの」
「……あの甘ったるい雰囲気を出していて、それを言いますか?」
アデルに睨まれるが、私たちには私たちの夫婦の形があるだけだ。余裕を持って笑いかけてやるとと憎たらしそうにされる。
恋愛も結婚も、二人で築きあげていけば、それがその二人の形なのだ。結局は他人どうしが一緒にいるのだから、あわないこともある。
「いいじゃない。これほど、みんなに応援される恋愛なんてないと思うんだけど?」
「それって、言い換えれば……領地でみんなが知っているってことですよね?」
「そうともいうけど、早くしないと、男前なリリーに奪われちゃったりしてね?」
「あぁ、リリーは、確かに頼りがいあるもんなぁ。平民だけど、アンナリーゼ様にも一目置かれているし、これは……ありだな?」
また、二人で茶化し始めたので、アデルは今度こそ怒って下山する。その後ろ姿を見て、ヨハンと二人、早くまとまればいいのになとため息をついた。
「リアンのほうにも問題はあるから……」
「男爵とのことか?」
「そうね。もう、結婚は……って、思っているところがあるのよ。その氷漬けの心も、そろそろアデルの心で溶けてきてくれているとおもうんだけどね。人って、誰かが側にいることが心地いと知っているから」
「煩わしいと思うものもいるけど?」
「そんな人じゃないわ。少なくとも、リアンもアデルも。だから、きっと、いい夫婦になれるはずなのよ。二人で孤児院をってことになると、アデルが取られて困るのは私なんだけど……」
「リアンは?」
「いてくれないと困るけど、もうすぐ、デリアが戻ってくるから……リアンはリアンの幸せを大切にしてほしいわ」
女の人の心の中は複雑だなぁ……と呟くヨハンに、助手の彼女を逃がしちゃダメだからね?とこちらも釘を打つことにした。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる