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街の様子
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部屋には、私、ウィル、ナタリー、ヒーナの四人になった。私の急なお願いに、侯爵たちは今頃、翻弄されているところだろう。優雅に振る舞ってみても、その実、穏やかではいられない。
四人で話がしたいと申出れば、喜んでとなるのは、目に見えていた。
「それで?デートはどうだったの?」
「その語弊のある言い方は、どうにかなりませんか?」
珍しくヒーナが嫌そうにいうので、ウィルの方をみた。肩を竦めているだけで、それ以上は何も言わない。
……ウィル、好物件だと思うんだけどな?何がいけない?
チラッと見たが、まぁ、お気に召さないらしいヒーナから、先に報告を受けることにした。
「アンナリーゼ様がおっしゃった通り、一人で出歩かなくてよかったです」
「そう。変な人に声かけられたとか?」
「……あぁ、違う違う。危うく、何人か死んでるとこだった」
「「えっ?」」
私とナタリーは思わず声が揃ってしまった。ウィルの真意がわからず、戸惑ったのだ。
「私にむやみやたら、触ろうとするのがいけないのです」
ムスッと怒るヒーナに、何があったの?とウィルに聞く。俺から?と視線で抗議するが、一緒にいたなら、それくらいしてくれてもいいだろう。
ため息をひとつしてから、話し始めた。
「姫さん、ひとつ言っておく」
「何?」
「ヒーナの嬢ちゃん、一人で他所を歩かせるなよな?」
「……何かあったのはわかるけど」
「街を歩いてたときに、俺、店の人に聞き込みしてたんだよ。ヒーナを見えるところに立たせて。俺と一緒にいるより、話が聞きやすいかな?って思ってさ」
「それは、ウィルが悪いと思うわ」
「そうです!ウィルが悪いです!」
「えっ?俺?」
きょとんとしたウィルに、ナタリーと二人頷いた。
「ウィル、今日のヒーナの服装をよく見てみなさい」
私に言われて、ヒーナをみるウィル。何があるんだ?と首を傾げているあたり、わかっていないのだろう。確かに、ヒーナの経歴を考えれば、ウィルには想像がつかないかもしれない。
「ヒーナの服装はデートに行くためのオシャレ着よ!ただでさえ、ヒーナは美少女なんだから。そんな子が街に一人でいれば、声をかけたくなるあやしい人はいるものよ?」
「デートに行くための、オシャレ着?俺ら、調査に出たんだよな?」
「デートに扮してね?ヒーナのことを多少でも知っているウィルにしてみたら、意味がわからないかもしれないけど、ヒーナのことを外見だけしか知らない輩にとって、採って食ってしまいたいくらい可愛いのよ!」
「……戦争屋だぞ?」
「それを知っている人が街にどれだけいるのかしら?」
いないなぁ……と返事をすぐに返してくれるが、もう少し、そういうところを気にしてもいいのではないかと指摘してみた。
その反論は、ウィル本人ではなく、ナタリーから飛んでくる。
「アンナリーゼ様、ウィルに、そのようなことができると思いますか?まず、第一に、アンナリーゼ様以外、気にもとめていないと思いますよ?」
「それは……違う。ナタリー」
「どこが違うのですか?」
「お嬢のこともだし、ナタリーやリアンのこともちゃんと見ている」
「……元戦争屋のヒーナなら、なんとでもなるだろうっていう気持ちなんだよね?たぶん。でも、今日はそういうのはダメ。私、ちゃんと言ったと思うんだけど?」
「……恋人っぽくってか?」
コクンと頷くと、なんだかウィルもヒーナも不満そうだ。
「まぁ、敵国かもしれない場所で、一人で行動するってことは、やめてほしいものね!」
「それ、アンナリーゼ様がいいますか?」
ナタリーにジトっとした目で見られ、視線を逸らす。それだけで、私が、何をしてきたかわかるウィルは、人のこと言えないじゃん!と文句を言った。
「私はいいのよ。買い物にきた侍女って感じだから。ヒーナのほうは、そうじゃないでしょ?だから、声をかけられたわけだし」
「声をかけてきたのは、この国の兵士でしたよ。暇なんですかね?」
チラッとウィルの方をみていたので、ウィルもそういうふうに思われているのかもしれない。
「ウィルは、私の護衛だけど、街での聞き込みにはうってつけなのよ。なんたって……」
「姫さんほどじゃないです」
かしこまって、否定するのでそれ以上は言わずに、笑っておく。
「それで、街の様子はどうだった?」
「……うーん、なんか、暗い感じかなぁ?戦争が始まるんじゃないかって、国民が少し怯えてる感じがした」
「それと、物価が異様に高い気がしました。アンナリーゼ様のおつかいで、ローズディアの公都に出ることもありますが、例えば、同じ値段で砂糖を買うとなると、ローズディアでは、あの小瓶1つとティースプン1杯ほどの違いが」
「元々、砂糖はインゼロからの輸入品で高いからね。ハニーアンバー店で売っているのは、アンバー領で作っているから、安価で出しているけど、通常でもローズディアでは、小瓶半分が相場の値段ね」
驚くヒーナ。ハニーアンバー店におつかいに行くことがしばしばあり、そこでの金額は覚えているが、他の店には、まだ、行ったことがないらしい。
金銭感覚を養うために、少し違うお店にも行かせるほうがいいかもしれない。
私が街を見て歩いたときの印象と変わらないことに、軽い眩暈を起こしそうだった。
四人で話がしたいと申出れば、喜んでとなるのは、目に見えていた。
「それで?デートはどうだったの?」
「その語弊のある言い方は、どうにかなりませんか?」
珍しくヒーナが嫌そうにいうので、ウィルの方をみた。肩を竦めているだけで、それ以上は何も言わない。
……ウィル、好物件だと思うんだけどな?何がいけない?
チラッと見たが、まぁ、お気に召さないらしいヒーナから、先に報告を受けることにした。
「アンナリーゼ様がおっしゃった通り、一人で出歩かなくてよかったです」
「そう。変な人に声かけられたとか?」
「……あぁ、違う違う。危うく、何人か死んでるとこだった」
「「えっ?」」
私とナタリーは思わず声が揃ってしまった。ウィルの真意がわからず、戸惑ったのだ。
「私にむやみやたら、触ろうとするのがいけないのです」
ムスッと怒るヒーナに、何があったの?とウィルに聞く。俺から?と視線で抗議するが、一緒にいたなら、それくらいしてくれてもいいだろう。
ため息をひとつしてから、話し始めた。
「姫さん、ひとつ言っておく」
「何?」
「ヒーナの嬢ちゃん、一人で他所を歩かせるなよな?」
「……何かあったのはわかるけど」
「街を歩いてたときに、俺、店の人に聞き込みしてたんだよ。ヒーナを見えるところに立たせて。俺と一緒にいるより、話が聞きやすいかな?って思ってさ」
「それは、ウィルが悪いと思うわ」
「そうです!ウィルが悪いです!」
「えっ?俺?」
きょとんとしたウィルに、ナタリーと二人頷いた。
「ウィル、今日のヒーナの服装をよく見てみなさい」
私に言われて、ヒーナをみるウィル。何があるんだ?と首を傾げているあたり、わかっていないのだろう。確かに、ヒーナの経歴を考えれば、ウィルには想像がつかないかもしれない。
「ヒーナの服装はデートに行くためのオシャレ着よ!ただでさえ、ヒーナは美少女なんだから。そんな子が街に一人でいれば、声をかけたくなるあやしい人はいるものよ?」
「デートに行くための、オシャレ着?俺ら、調査に出たんだよな?」
「デートに扮してね?ヒーナのことを多少でも知っているウィルにしてみたら、意味がわからないかもしれないけど、ヒーナのことを外見だけしか知らない輩にとって、採って食ってしまいたいくらい可愛いのよ!」
「……戦争屋だぞ?」
「それを知っている人が街にどれだけいるのかしら?」
いないなぁ……と返事をすぐに返してくれるが、もう少し、そういうところを気にしてもいいのではないかと指摘してみた。
その反論は、ウィル本人ではなく、ナタリーから飛んでくる。
「アンナリーゼ様、ウィルに、そのようなことができると思いますか?まず、第一に、アンナリーゼ様以外、気にもとめていないと思いますよ?」
「それは……違う。ナタリー」
「どこが違うのですか?」
「お嬢のこともだし、ナタリーやリアンのこともちゃんと見ている」
「……元戦争屋のヒーナなら、なんとでもなるだろうっていう気持ちなんだよね?たぶん。でも、今日はそういうのはダメ。私、ちゃんと言ったと思うんだけど?」
「……恋人っぽくってか?」
コクンと頷くと、なんだかウィルもヒーナも不満そうだ。
「まぁ、敵国かもしれない場所で、一人で行動するってことは、やめてほしいものね!」
「それ、アンナリーゼ様がいいますか?」
ナタリーにジトっとした目で見られ、視線を逸らす。それだけで、私が、何をしてきたかわかるウィルは、人のこと言えないじゃん!と文句を言った。
「私はいいのよ。買い物にきた侍女って感じだから。ヒーナのほうは、そうじゃないでしょ?だから、声をかけられたわけだし」
「声をかけてきたのは、この国の兵士でしたよ。暇なんですかね?」
チラッとウィルの方をみていたので、ウィルもそういうふうに思われているのかもしれない。
「ウィルは、私の護衛だけど、街での聞き込みにはうってつけなのよ。なんたって……」
「姫さんほどじゃないです」
かしこまって、否定するのでそれ以上は言わずに、笑っておく。
「それで、街の様子はどうだった?」
「……うーん、なんか、暗い感じかなぁ?戦争が始まるんじゃないかって、国民が少し怯えてる感じがした」
「それと、物価が異様に高い気がしました。アンナリーゼ様のおつかいで、ローズディアの公都に出ることもありますが、例えば、同じ値段で砂糖を買うとなると、ローズディアでは、あの小瓶1つとティースプン1杯ほどの違いが」
「元々、砂糖はインゼロからの輸入品で高いからね。ハニーアンバー店で売っているのは、アンバー領で作っているから、安価で出しているけど、通常でもローズディアでは、小瓶半分が相場の値段ね」
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