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エルドアへついた
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馬車がゴトンと停まった。どうやら、目的地であったクロック侯爵の屋敷に着いたようだ。
「アンナリーゼ様、とても楽しい時間をありがとうございました」
「こちらこそ、楽しかったわ。また、お話をしましょう!」
「ぜひ、今度は、アンバー領へご招待ください」
恋の話から、領地の話をしてお互い交流を深めた。ただ、それは上辺だけのことで、そこまで、しっかりした話はしていない。できることなら、領地を見てみたいというダリアの要望をいつかは叶えると約束をして、私たちは別れた。
「長旅でしたが、楽しかったですね?」
「えぇ、たくさん話ができたからね」
「……三人ともあんなにしゃべって、喉とかおかしくなんないわけ?俺、二日くらい、声が出なくなりそうなんだけど?」
「ウィルの喉って、軟弱ね?」
「そんなことはないけど……さすがに、姫さんたちにはついていけないわ……」
馬車を降りたところで、荷物を降ろす下男を見ていた。クロック侯爵家の筆頭執事が挨拶に来て、すでに、荷物等の移動を指示してくれ、私たちも屋敷へ移動するところだった。大慌てで、侯爵夫妻が飛んできた。
実のところ、夫妻も昨日、王都の屋敷に来たばかりで、慌ただしくしている。領地での執務をしていたところに、私が屋敷を貸してほしいと願ったので、大慌てで整えてくれたようだった。
「ご挨拶が遅くなり、申し訳ありません。はぁ……はぁ……」
「侯爵、いいのよ。挨拶なんて。こちらが、いきなりの訪問をお願いしたのが悪いのだもの。本当にごめんなさいね……事業での人手を借りただけでなく、今回の」
「いいのです!アンナリーゼ様には、御恩しかないので、何かあれば、すぐにでも。ささ、こちらへ」
「そうです。どうか、お気になさらないでくださいませ」
夫妻揃って出迎えてくれ、にこやかにとはいかない挨拶をする。後ろにいるウィルとナタリーを見ても嫌な顔せずにいてくれた。
「ありがとう。そう言ってもらえると、ありがたいわ。エルドアには、友人らしい友人はいないから」
「先程の馬車は、ウェスティン伯爵ではなかったのですか?」
「最近、友人になったばかりで、よく知らないの。これから、お付き合いはあるでしょうけど……今は未知数だし、もう少ししたら、円卓で戦う相手になるかもしれないから。なるべくね」
「同じ馬車でこられたので、てっきり……」
ふふっと笑って誤魔化しておく。この国で、信頼できるのは、クロック侯爵夫妻以外、私にはいない。エレーナは、私を裏切ることはないし、侯爵も事情が事情なだけに、それはないだろう。
廊下を歩いている間に、ウェスティン伯爵のことを話す。応接しに通されたとき、侯爵が気になったことを口にした。
「それより、後ろの方々のことをお聞きしてもよろしいでしょうか?」
エレーナはあったことがあるだろう。エリザベスの侍女をしていたのだし、秘密のお茶会で顔合わせもしていた。侯爵だけが知らないので、私から紹介することにした。
「こちらが、ウィル・サーラー伯爵。エルドアでも有名だとか……ご存じかしら?」
「あの有名な小競り合いを無血で終わらせた近衛の方ですね?エルドアにもその噂は、広まっています」
「なるほど……そういうふうなのね」
侯爵の説明で、頷きながら、ウィルの噂がどのように広まっているのか、ここでも確認をした。
「旦那様、ウィル様は、アンナリーゼ様のご学友ですのよ。とても、剣の腕もたつのだとか。学生時代、アンナリーゼ様と当時公女であったシルキー王太子妃様の護衛を二人でのしてしまわれたとうお話を聞いていますわ!」
「それは!すごいですね。先日、ノクト様にも驚きましたが……アンナリーゼ様もウィル様も剣がとは。私はお側にも寄れないくらいですので、少々羨ましいです」
照れたようにいう侯爵に、私も微笑む。ノクトから聞いていたので、知っていたし、元々、引きこもりなのだから……というのは、言わないでおく。
「こちらは、ナタリー・カラマス。カラマス子爵家の令嬢で、ハニーアンバー店のドレスのデザインなどを主に手伝ってもらっています」
「ほう……あの素晴らしいドレスのデザインは、ナタリー様が?」
「えぇ、アンナリーゼ様にやってみてはどうかと。今では、職としてハニーアンバー店をお手伝いさせていただいております」
「いつ見ても、斬新で、それでいて気品に満ちて……エレーナのドレスも買わせていただいていますが、いつも夜会や茶会では注目の的のようです。普段着もドレス同様とても素敵なものばかりで」
「ふふっ、嬉しいわね?ナタリー」
「えぇ、私の考えたもので、こんなに幸せそうに話を聞けるなんて……いつも、アンナリーゼ様を輝かせることだけを考えてデザインしてますが、こんなふうに言っていただけること、とても嬉しいですわ!」
デザインをしているナタリーは表に出ることは少ない。なので、こんなふうに、言ってもらえることは少ないらしく、頬を緩めていることがわかる。
「それで、ここには5日ほどの滞在とお伺いしています」
「えぇ、そのあとは、セバスを迎えに行くわ」
「というと……」
「借りているお屋敷に移動させてもらうわね。そうそう。公へは、私が借りるから、他の滞在場所を探して出ていってと言ってあるわ。何か言われても、私に貸すのでと断ってちょうだい」
「……よろしいのですか?」
「苦労すればいいのよ。何でもかんでも、私に頼ればいいとか思っているのだから。セバスの実力も知らずに」
「セバス様は、とても優秀な方ですね。お会いしましたが」
「えぇ、インゼロ帝国との小競り合いを無血で解決したのは、他でもない私の友人、セバスチャン・トライドよ!」
ニコッと笑いかけて侯爵のほうをみると、驚いているのがわかる。噂なんて、当てにならないわよね?おほほと笑って、おいしいリンゴの紅茶で、喉を潤した。
「アンナリーゼ様、とても楽しい時間をありがとうございました」
「こちらこそ、楽しかったわ。また、お話をしましょう!」
「ぜひ、今度は、アンバー領へご招待ください」
恋の話から、領地の話をしてお互い交流を深めた。ただ、それは上辺だけのことで、そこまで、しっかりした話はしていない。できることなら、領地を見てみたいというダリアの要望をいつかは叶えると約束をして、私たちは別れた。
「長旅でしたが、楽しかったですね?」
「えぇ、たくさん話ができたからね」
「……三人ともあんなにしゃべって、喉とかおかしくなんないわけ?俺、二日くらい、声が出なくなりそうなんだけど?」
「ウィルの喉って、軟弱ね?」
「そんなことはないけど……さすがに、姫さんたちにはついていけないわ……」
馬車を降りたところで、荷物を降ろす下男を見ていた。クロック侯爵家の筆頭執事が挨拶に来て、すでに、荷物等の移動を指示してくれ、私たちも屋敷へ移動するところだった。大慌てで、侯爵夫妻が飛んできた。
実のところ、夫妻も昨日、王都の屋敷に来たばかりで、慌ただしくしている。領地での執務をしていたところに、私が屋敷を貸してほしいと願ったので、大慌てで整えてくれたようだった。
「ご挨拶が遅くなり、申し訳ありません。はぁ……はぁ……」
「侯爵、いいのよ。挨拶なんて。こちらが、いきなりの訪問をお願いしたのが悪いのだもの。本当にごめんなさいね……事業での人手を借りただけでなく、今回の」
「いいのです!アンナリーゼ様には、御恩しかないので、何かあれば、すぐにでも。ささ、こちらへ」
「そうです。どうか、お気になさらないでくださいませ」
夫妻揃って出迎えてくれ、にこやかにとはいかない挨拶をする。後ろにいるウィルとナタリーを見ても嫌な顔せずにいてくれた。
「ありがとう。そう言ってもらえると、ありがたいわ。エルドアには、友人らしい友人はいないから」
「先程の馬車は、ウェスティン伯爵ではなかったのですか?」
「最近、友人になったばかりで、よく知らないの。これから、お付き合いはあるでしょうけど……今は未知数だし、もう少ししたら、円卓で戦う相手になるかもしれないから。なるべくね」
「同じ馬車でこられたので、てっきり……」
ふふっと笑って誤魔化しておく。この国で、信頼できるのは、クロック侯爵夫妻以外、私にはいない。エレーナは、私を裏切ることはないし、侯爵も事情が事情なだけに、それはないだろう。
廊下を歩いている間に、ウェスティン伯爵のことを話す。応接しに通されたとき、侯爵が気になったことを口にした。
「それより、後ろの方々のことをお聞きしてもよろしいでしょうか?」
エレーナはあったことがあるだろう。エリザベスの侍女をしていたのだし、秘密のお茶会で顔合わせもしていた。侯爵だけが知らないので、私から紹介することにした。
「こちらが、ウィル・サーラー伯爵。エルドアでも有名だとか……ご存じかしら?」
「あの有名な小競り合いを無血で終わらせた近衛の方ですね?エルドアにもその噂は、広まっています」
「なるほど……そういうふうなのね」
侯爵の説明で、頷きながら、ウィルの噂がどのように広まっているのか、ここでも確認をした。
「旦那様、ウィル様は、アンナリーゼ様のご学友ですのよ。とても、剣の腕もたつのだとか。学生時代、アンナリーゼ様と当時公女であったシルキー王太子妃様の護衛を二人でのしてしまわれたとうお話を聞いていますわ!」
「それは!すごいですね。先日、ノクト様にも驚きましたが……アンナリーゼ様もウィル様も剣がとは。私はお側にも寄れないくらいですので、少々羨ましいです」
照れたようにいう侯爵に、私も微笑む。ノクトから聞いていたので、知っていたし、元々、引きこもりなのだから……というのは、言わないでおく。
「こちらは、ナタリー・カラマス。カラマス子爵家の令嬢で、ハニーアンバー店のドレスのデザインなどを主に手伝ってもらっています」
「ほう……あの素晴らしいドレスのデザインは、ナタリー様が?」
「えぇ、アンナリーゼ様にやってみてはどうかと。今では、職としてハニーアンバー店をお手伝いさせていただいております」
「いつ見ても、斬新で、それでいて気品に満ちて……エレーナのドレスも買わせていただいていますが、いつも夜会や茶会では注目の的のようです。普段着もドレス同様とても素敵なものばかりで」
「ふふっ、嬉しいわね?ナタリー」
「えぇ、私の考えたもので、こんなに幸せそうに話を聞けるなんて……いつも、アンナリーゼ様を輝かせることだけを考えてデザインしてますが、こんなふうに言っていただけること、とても嬉しいですわ!」
デザインをしているナタリーは表に出ることは少ない。なので、こんなふうに、言ってもらえることは少ないらしく、頬を緩めていることがわかる。
「それで、ここには5日ほどの滞在とお伺いしています」
「えぇ、そのあとは、セバスを迎えに行くわ」
「というと……」
「借りているお屋敷に移動させてもらうわね。そうそう。公へは、私が借りるから、他の滞在場所を探して出ていってと言ってあるわ。何か言われても、私に貸すのでと断ってちょうだい」
「……よろしいのですか?」
「苦労すればいいのよ。何でもかんでも、私に頼ればいいとか思っているのだから。セバスの実力も知らずに」
「セバス様は、とても優秀な方ですね。お会いしましたが」
「えぇ、インゼロ帝国との小競り合いを無血で解決したのは、他でもない私の友人、セバスチャン・トライドよ!」
ニコッと笑いかけて侯爵のほうをみると、驚いているのがわかる。噂なんて、当てにならないわよね?おほほと笑って、おいしいリンゴの紅茶で、喉を潤した。
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