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ルチル・ゴールドとの睨み合い?
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「あぁ、そうだね。アンナリーゼは、とても素晴らしい女性だよ。ルチル様に言われなくても、よくわかっている」
私はさらに一歩下がる。どう考えても、ジョージアが纏う空気がとても冷たい。いつもの穏やかさはどこに消えてしまったのか、思わず両腕をさすってしまった。
「そう警戒されなくても……、どこまでご存じかしりませんけどね?確かに、、アンナリーゼという女性にとても興味があったのです。今回の件で、命を落とすほどの冒険もしましたが、おもしろい収穫もあった」
ジョージアとは違い、とてもにこやかななルチル。それはそれで、不気味な気がする。南の領地でのことを思い出せば、ただのできの悪い坊ちゃんなんだろうと思えたが……少し、雰囲気があのときと違うことに気が付いた。
「おもしろい収穫?」
「えぇ、そうです。ジョージア様は南の領地へは出迎えなかったそうですね?病に対する抗体ないだとか。それで、アンナリーゼ様に止められていたのでしたね」
「それのどこがおもしろい収穫なんだい?だいたい、アンナリーゼが抗体を持っていて、生死を彷徨うルチル様を救うから面倒になるのでしょ?」
「面倒とは失礼な。ただ、お近づきになりたいだけですよ。貴族の一員として、その最溢れる女性のそばにいたいと願うことの何がいけないので?のほほんと過ごしてきただけのジョージア様が、本当に相応しいのか疑問ですけどねぇ?」
「のほほんと過ごして来ているわけではない!」
そうですか?と鋭い視線を送ってくる。私と南の領地で別れたあと、何やら周辺を探っている者がいるとディルから聞いていた。まさかとは思っていたが、そのまさかのようだ。
ただ、ここで私が口を開くと、火に油を注ぐような大火事を起こしそうな予感しかしないので、黙っておく。向こうで、おもしろそうにこちらの様子を窺っているゴールド公爵もうすら笑いをしていた。
「本当ですか?アンナリーゼ様との婚姻が決まっていながら、わざわざ、男爵家から無理な婚姻をする必要があったのですか?アンナリーゼ様が自ら詳らかにされましたが、領民を苦しめていた張本人とその親族だったようではありませんか!」
「……それは!」
やらしく笑うルチルに反論できないジョージア。事実を言われれば、言い返すこともできないだろう。その男爵を動かしていたのが、ルチルの父、ゴールド公爵だったとしても、それを公にすることも、今はできなかった。
あのとき、散々調べたのだ。公とありとあらゆることを紐解き、隅の隅まで調べつくした。が、ゴールド公爵が関わった記録だけ、すっぽり抜けていたのだ。
……トカゲのしっぽ切りがうまいのよね。ゴールド公爵って。
その後も、小さなことからコツコツとセバスが自身の信頼できる人を使って、パルマが動いて、どんな些細なことでもいいからと情報を集めてみても、『らしい』とかで、確証が取れたことがなかった。
ルチルは、ゴールド公爵が何かをしていることは知っているだろう。身内なのだし、外で、そんな話はしないだろうから、茶会や夜会に紛れて、何らかのやり取りをしていることまでは、突き止められている。
ただ、全容は知らされていないに違いない。私がした『ダドリー男爵の取り潰し』も世間の見解どおり、私の怒りをかったからとしか思っていないはずだ。
……目の付け所は、よかったんだけど、まさか、身内の黒い部分だったとは、気付かないんだろうな。そんなはずはないと、目をつぶったのか。どちらにしても、社交界でも実生活でも、うちに入れることはない人物。派手に注目を浴びているけど、そろそろ、お開きにしてほしいわ。
「ルチル、そこまでにしたらどうだい?ジョージア様も困っている」
「いえ、困っているだなんて、強調していただかなくても……ゴールド公爵。ジョージア様は、困っているわけではありませんわ。こんな場所で、非常識な物言いに呆れているのです」
「それは、それは、アンナリーゼ様。失礼をいたしました。愚息の躾がなっていませんで……」
「いいのよ?そんな些末なこと。ルチル様は、私のことを大層気に入ってくださっているようですもの。ぜひ、お時間ができましたら、ダンスなどいかがですか?」
女性からの誘いはマナー違反ではあるが、私は公爵だ。ダンスをしてやるからと高圧的に言ってやることはできる。
定石としては、『公爵様のお時間を取るには』と断るのが正解だが、きっと、ルチルは断らないだろうと踏んでいた。最上級のまさかの予想を1つしたまま、どういう反応がくるのかと、答えを待った。
「では、愚息ではなく、私と1曲踊ってくだされ。筆頭と並ぶ公爵位。過不足はないかと存じます」
「えぇ、もちろんよ!喜んで」
最上級のまさかを言ってくる当たり、さすがのタヌキだと本当の意味で微笑んだ。もちろん、会場はざわついた。冷戦状態だと言っても過言ではない公爵家同士のダンスなんて、一生に一度見れるかというほど、貴重なものだ。大広間にいるみなが、隣通しで囁きあっている。
ザワザワとしている会場に遅れて入って来た公。私の方を見て、今度は何をやらかしたんだ!と目が吊り上がっていた。
私はさらに一歩下がる。どう考えても、ジョージアが纏う空気がとても冷たい。いつもの穏やかさはどこに消えてしまったのか、思わず両腕をさすってしまった。
「そう警戒されなくても……、どこまでご存じかしりませんけどね?確かに、、アンナリーゼという女性にとても興味があったのです。今回の件で、命を落とすほどの冒険もしましたが、おもしろい収穫もあった」
ジョージアとは違い、とてもにこやかななルチル。それはそれで、不気味な気がする。南の領地でのことを思い出せば、ただのできの悪い坊ちゃんなんだろうと思えたが……少し、雰囲気があのときと違うことに気が付いた。
「おもしろい収穫?」
「えぇ、そうです。ジョージア様は南の領地へは出迎えなかったそうですね?病に対する抗体ないだとか。それで、アンナリーゼ様に止められていたのでしたね」
「それのどこがおもしろい収穫なんだい?だいたい、アンナリーゼが抗体を持っていて、生死を彷徨うルチル様を救うから面倒になるのでしょ?」
「面倒とは失礼な。ただ、お近づきになりたいだけですよ。貴族の一員として、その最溢れる女性のそばにいたいと願うことの何がいけないので?のほほんと過ごしてきただけのジョージア様が、本当に相応しいのか疑問ですけどねぇ?」
「のほほんと過ごして来ているわけではない!」
そうですか?と鋭い視線を送ってくる。私と南の領地で別れたあと、何やら周辺を探っている者がいるとディルから聞いていた。まさかとは思っていたが、そのまさかのようだ。
ただ、ここで私が口を開くと、火に油を注ぐような大火事を起こしそうな予感しかしないので、黙っておく。向こうで、おもしろそうにこちらの様子を窺っているゴールド公爵もうすら笑いをしていた。
「本当ですか?アンナリーゼ様との婚姻が決まっていながら、わざわざ、男爵家から無理な婚姻をする必要があったのですか?アンナリーゼ様が自ら詳らかにされましたが、領民を苦しめていた張本人とその親族だったようではありませんか!」
「……それは!」
やらしく笑うルチルに反論できないジョージア。事実を言われれば、言い返すこともできないだろう。その男爵を動かしていたのが、ルチルの父、ゴールド公爵だったとしても、それを公にすることも、今はできなかった。
あのとき、散々調べたのだ。公とありとあらゆることを紐解き、隅の隅まで調べつくした。が、ゴールド公爵が関わった記録だけ、すっぽり抜けていたのだ。
……トカゲのしっぽ切りがうまいのよね。ゴールド公爵って。
その後も、小さなことからコツコツとセバスが自身の信頼できる人を使って、パルマが動いて、どんな些細なことでもいいからと情報を集めてみても、『らしい』とかで、確証が取れたことがなかった。
ルチルは、ゴールド公爵が何かをしていることは知っているだろう。身内なのだし、外で、そんな話はしないだろうから、茶会や夜会に紛れて、何らかのやり取りをしていることまでは、突き止められている。
ただ、全容は知らされていないに違いない。私がした『ダドリー男爵の取り潰し』も世間の見解どおり、私の怒りをかったからとしか思っていないはずだ。
……目の付け所は、よかったんだけど、まさか、身内の黒い部分だったとは、気付かないんだろうな。そんなはずはないと、目をつぶったのか。どちらにしても、社交界でも実生活でも、うちに入れることはない人物。派手に注目を浴びているけど、そろそろ、お開きにしてほしいわ。
「ルチル、そこまでにしたらどうだい?ジョージア様も困っている」
「いえ、困っているだなんて、強調していただかなくても……ゴールド公爵。ジョージア様は、困っているわけではありませんわ。こんな場所で、非常識な物言いに呆れているのです」
「それは、それは、アンナリーゼ様。失礼をいたしました。愚息の躾がなっていませんで……」
「いいのよ?そんな些末なこと。ルチル様は、私のことを大層気に入ってくださっているようですもの。ぜひ、お時間ができましたら、ダンスなどいかがですか?」
女性からの誘いはマナー違反ではあるが、私は公爵だ。ダンスをしてやるからと高圧的に言ってやることはできる。
定石としては、『公爵様のお時間を取るには』と断るのが正解だが、きっと、ルチルは断らないだろうと踏んでいた。最上級のまさかの予想を1つしたまま、どういう反応がくるのかと、答えを待った。
「では、愚息ではなく、私と1曲踊ってくだされ。筆頭と並ぶ公爵位。過不足はないかと存じます」
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最上級のまさかを言ってくる当たり、さすがのタヌキだと本当の意味で微笑んだ。もちろん、会場はざわついた。冷戦状態だと言っても過言ではない公爵家同士のダンスなんて、一生に一度見れるかというほど、貴重なものだ。大広間にいるみなが、隣通しで囁きあっている。
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