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ほら、行くわよ!
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「だーかーらー、俺、嫌だって!あそこ、クサイし、治安悪いし……」
「だから、警備隊のあなたたちが行くんでしょ?給金分くらい、働きなさいよ!」
「給金分働くから、あの場所だけは、勘弁してくれ!」
「いいわよ?もっと、過酷な場所に行ってもらうけど、いいかしら?」
「どこだよ?」
「それより、二人とも言葉遣いを何とかしてくれないか?アンナに対して、あまりにも酷い」
「アンナだって!いいよな。公爵の旦那は。美人な奥さんと毎日……」
「その残念な頭、ぺしゃんこにしようか?」
「ひぇーこわいこわい」
「……」
軽口をたたくチャコとココナにのされてから無言のシーク。まるで対照的ではあるが、町を歩けば、さすがだ。あちこちから、女性に声をかけられている。近衛であるアデルには目もくれないので、少し寂しそうにしているが、アデルも近衛の制服を着て歩けば、これ以上の黄色い声が聞こえてくることだろう。
「おにぃーさん、羨ましいのか?」
チャコが女の子に手を振りながら、アデルに尋ねる。そういうわけではないと答えてはいるが、少し、羨ましそうにしている。
「アデルも制服を着れば、チャコ以上に騒がれるわよ?」
「げっ、おにぃーさんも近衛なの?公爵の護衛って、近衛ばかりなの?あのおにぃーさんといい、どんだけ、いい護衛を連れているわけ?」
「……護衛など、名ばかりだ。アンナの方が、何十倍も強いから」
へぇーっと私を見て感心するチャコが、アデルに手合わせをしたいと申し出ていた。ただ、アデルは首を横に振り、断ってしまった。
アデルの隣に並行してレナンテを歩かせる。不思議に思ったらしく、アデルがこちらを見た。
「どうして受けないの?」
「手合わせですか?」
「そう。アデルは、十分強いと思うけど……」
「アンナは、すごいと思っているのです」
「私?」
コクンと頷く、アデル。どうして?と聞いてみた。
「もちろん、近衛をのしてしまうほど、強いことは、知っています。でも、アンナが強いのは、誰もが知っていて、誰もが知らない。未だに本当の力を出したこと、ないんじゃないですか?」
「そうでもないけどね……ウィルとなんて、手を抜けば、あっという間に負かされちゃうし、そんな私を見せられる相手じゃない。私、自身を守るために強くなったのよ」
「それは、初めて聞きました」
「うん、ふだん言わないからね。誰かのために剣を振るうことも悪くないけど、命をね?狙われることもわかっていたのよね。それに、ジョーを家族を守りたいじゃない?自分の手で」
「そんなこと、思うのはアンナだけですよ。普通は、守られたい側なのではないですか?」「お母様の方の血筋なのかしらね?私、守られるより、守りたいのよ。誰かも自身も」
クスクス笑うと、呆れたようにしている。私は、そんなアデルに1つ課題を出すことにした。
「アデル」
「なんでしょうか?」
「1つ、課題を出すわ。この課題に合格できなかったら、私とは一緒に公都へは帰れません」
「えっ?」
「ほら、行くわよ!」
「……何ですか?課題って」
「それは、着いてからのお楽しみ。私、人を見る目はあると思うの。それと、アデルは、とても強いわ。誰かと比べるから自信を無くすけど、向き合うべきは自分だと思うよ。アデルは、その剣で、誰を守りたい?」
考え始めたので、私は少し距離をとって、チャコとシークの間に割って入った。
「うわぁ、ビックリした」
「気付いていたくせに」
「まぁな?それより、その馬、メチャクチャかっこいいな?今度乗せてくれよ?」
「いいけど、乗れたらねって言っておくわ。この子、メチャクチャ、人を選ぶから」
「まーじーで?益々乗ってみたい!」
「背に載せたのは、たったの三人だけだし」
「俺が四人目になるかもしれないじゃん」
「どうかしら?レナンテ、どう思う?」
鬣を撫でてあげると、無視をするように顔を背けた。これで、決まりだ。
「チャコは嫌われたようね。近づくことすら無理だと思うわよ?変に興奮させて、怪我なんてさせないでね?軍馬だから、とても強いけど、本当に気も相当強いから」
「ちなみに、その馬に乗れたのは?」
「私と娘とインゼロ帝国の常勝将軍だけね」
「インゼロの?そんなお偉いさんも乗ったことがあるのか?」
「いいな、羨ましい」
「じゃあ、こうしましょう。私たちが、ここを発つ日、アデルと勝負しなさい。勝てば、何かの褒賞とレナンテに挑戦できるようにしてあげる」
「あのお兄さんと?」
「えぇ、全力でやってちょうだい!」
振り返り、チャコはアデルの方を見て、声をかけた。私も振り返れば、とても驚いた顔をしていたが、頷けば、表情が引き締まった。公都に帰るまであと3日。朝の練習の成果を見てみたいと思っていたので、チャコはちょうどいい練習相手になるだろう。
「おにぃーさん、負けても恨みっこなしだよ?」
調子のいいことをいうチャコに対して、アデルは、私が課題だと言ったことに気が付いたようで、ただただ、頑張りますと口にしただけであった。
「だから、警備隊のあなたたちが行くんでしょ?給金分くらい、働きなさいよ!」
「給金分働くから、あの場所だけは、勘弁してくれ!」
「いいわよ?もっと、過酷な場所に行ってもらうけど、いいかしら?」
「どこだよ?」
「それより、二人とも言葉遣いを何とかしてくれないか?アンナに対して、あまりにも酷い」
「アンナだって!いいよな。公爵の旦那は。美人な奥さんと毎日……」
「その残念な頭、ぺしゃんこにしようか?」
「ひぇーこわいこわい」
「……」
軽口をたたくチャコとココナにのされてから無言のシーク。まるで対照的ではあるが、町を歩けば、さすがだ。あちこちから、女性に声をかけられている。近衛であるアデルには目もくれないので、少し寂しそうにしているが、アデルも近衛の制服を着て歩けば、これ以上の黄色い声が聞こえてくることだろう。
「おにぃーさん、羨ましいのか?」
チャコが女の子に手を振りながら、アデルに尋ねる。そういうわけではないと答えてはいるが、少し、羨ましそうにしている。
「アデルも制服を着れば、チャコ以上に騒がれるわよ?」
「げっ、おにぃーさんも近衛なの?公爵の護衛って、近衛ばかりなの?あのおにぃーさんといい、どんだけ、いい護衛を連れているわけ?」
「……護衛など、名ばかりだ。アンナの方が、何十倍も強いから」
へぇーっと私を見て感心するチャコが、アデルに手合わせをしたいと申し出ていた。ただ、アデルは首を横に振り、断ってしまった。
アデルの隣に並行してレナンテを歩かせる。不思議に思ったらしく、アデルがこちらを見た。
「どうして受けないの?」
「手合わせですか?」
「そう。アデルは、十分強いと思うけど……」
「アンナは、すごいと思っているのです」
「私?」
コクンと頷く、アデル。どうして?と聞いてみた。
「もちろん、近衛をのしてしまうほど、強いことは、知っています。でも、アンナが強いのは、誰もが知っていて、誰もが知らない。未だに本当の力を出したこと、ないんじゃないですか?」
「そうでもないけどね……ウィルとなんて、手を抜けば、あっという間に負かされちゃうし、そんな私を見せられる相手じゃない。私、自身を守るために強くなったのよ」
「それは、初めて聞きました」
「うん、ふだん言わないからね。誰かのために剣を振るうことも悪くないけど、命をね?狙われることもわかっていたのよね。それに、ジョーを家族を守りたいじゃない?自分の手で」
「そんなこと、思うのはアンナだけですよ。普通は、守られたい側なのではないですか?」「お母様の方の血筋なのかしらね?私、守られるより、守りたいのよ。誰かも自身も」
クスクス笑うと、呆れたようにしている。私は、そんなアデルに1つ課題を出すことにした。
「アデル」
「なんでしょうか?」
「1つ、課題を出すわ。この課題に合格できなかったら、私とは一緒に公都へは帰れません」
「えっ?」
「ほら、行くわよ!」
「……何ですか?課題って」
「それは、着いてからのお楽しみ。私、人を見る目はあると思うの。それと、アデルは、とても強いわ。誰かと比べるから自信を無くすけど、向き合うべきは自分だと思うよ。アデルは、その剣で、誰を守りたい?」
考え始めたので、私は少し距離をとって、チャコとシークの間に割って入った。
「うわぁ、ビックリした」
「気付いていたくせに」
「まぁな?それより、その馬、メチャクチャかっこいいな?今度乗せてくれよ?」
「いいけど、乗れたらねって言っておくわ。この子、メチャクチャ、人を選ぶから」
「まーじーで?益々乗ってみたい!」
「背に載せたのは、たったの三人だけだし」
「俺が四人目になるかもしれないじゃん」
「どうかしら?レナンテ、どう思う?」
鬣を撫でてあげると、無視をするように顔を背けた。これで、決まりだ。
「チャコは嫌われたようね。近づくことすら無理だと思うわよ?変に興奮させて、怪我なんてさせないでね?軍馬だから、とても強いけど、本当に気も相当強いから」
「ちなみに、その馬に乗れたのは?」
「私と娘とインゼロ帝国の常勝将軍だけね」
「インゼロの?そんなお偉いさんも乗ったことがあるのか?」
「いいな、羨ましい」
「じゃあ、こうしましょう。私たちが、ここを発つ日、アデルと勝負しなさい。勝てば、何かの褒賞とレナンテに挑戦できるようにしてあげる」
「あのお兄さんと?」
「えぇ、全力でやってちょうだい!」
振り返り、チャコはアデルの方を見て、声をかけた。私も振り返れば、とても驚いた顔をしていたが、頷けば、表情が引き締まった。公都に帰るまであと3日。朝の練習の成果を見てみたいと思っていたので、チャコはちょうどいい練習相手になるだろう。
「おにぃーさん、負けても恨みっこなしだよ?」
調子のいいことをいうチャコに対して、アデルは、私が課題だと言ったことに気が付いたようで、ただただ、頑張りますと口にしただけであった。
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