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文書を書いて送るわ
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「コーコナの隊長って出回っていることが多いんだっけ?」
「……そうですね」
「わかったわ。正式に文書にして渡すことにするから。あと、警備隊については、再編するようそちらも連絡することにします」
「この女!現場を知らないヤツが何を!」
「現場ね……先日、人身売買があったことは知っているかしら?」
「……」
「聞いていないの?領地の外れにある教会でのことよ?この領地では、未だにあるんですってね?それって、警備隊が手引きしているってことじゃないわよね?」
「……しらねぇーよ!そんなこと」
「調べればいいことだから、別にいいわよ。この領地って、最初から少しおかしなところが多いのよね。領主がずっといる状態ではないから、目の届きにくいところもあるし……少し考えないといけないと思っているのよ。手放すって言うのもひとつだし……」
「辞めてください!そんな冗談。アンナリーゼ様が領主でなくなったら……ここは、この領地は、ダメになります!」
コットンの必死な訴えに微笑むだけにして何も言わず、心内で、少し考える。
私には、圧倒的に使える人が少なすぎるわ。貴族でありながら、私と志を同じくしてくれる人が、まだまだ多くない。ゴールド公爵家の息のかかっていない貴族が欲しいのだけど……中立を守っている貴族は、どちらかと言えば、ゴールド公爵家よりなのよね……。
誰か、適任はいないかしら?ローズディア公国内で貴族であまりもの……。
そんな都合のいいものは、いないんだろうな……と、大きくため息をついたら、慌てているコットン。コットンにとって、私が領主になったことで、大きな利益を出せている。もちろん、コットンだけではなく、農家全体的にだ。ここにも、農家の移住がわずかながらも増えていることが報告されているので、死活問題となることもあった。私も、主要産業となっているコットンの綿花農家を手放すわけにもいかない。
「心配しなくても、コットンが作ってくれる綿もタンザのところの生糸も工場長のところの布も、私にとって大切な商売の相手だからね。手放したりしないよ?」
「……それなら、いいですけど。何か起こっているようですし、それが、警備隊が関わっているとなると……」
「関わってなんてない!いい加減なことをいうな!」
「それは、まだ、調べてみないとわからないことでしょ?積極的に関わっていないかもしれないけど、間接的にってこともあるし」
「そんなこと、あるわけ!」
「それほど焦る必要もないではないですか?何を焦っているのです?」
コットンの質問に副隊長たちは、何も言い返せなくなった。何か隠している可能性は高いが、私が何かをする必要はない。ここは、アデルに任せようと後ろを見る。
心得たというように頷いてくれたので、何しかしらの報告はくれるのであろう。
「さて、帰りましょう!他にも行く場所があるから。お邪魔したわ!」
私たちが部屋から出ていこうとすると、いかつい青年の方が、私を呼び止めた。何を考えているのか、目を見ればわかる。
バカにされたと思っているのだろう。勝負をしろと言ってきたのだ。
「アンナ、私が」
「いいけど、それじゃあ、納得いかないのでしょ?天下の副隊長は、女である私に負けるはずはないし、気に入らないのだから。そうでしょ?」
「そうだ。勝負で勝ったほうのいうことをきく。それでどうだ?」
「私に何の得があるの?一人の領民が職を失うだけのことに。体を動かしたいから、別にかまわないけど……そうね。私が勝ったときは、少し考えておくわ!あなた、文字の読み書き計算はできるかしら?」
「副隊長だからな。それくらいは、できる」
「わかった。なら、勝負しましょう。私にもうまみがでるように、あなたが、万が一にも勝てば、きけそうなことなら1つだけ叶えてあげる。お金はないからダメよ!」
「あぁ、わかった。その体を一日貸してもらうだけでいい」
「そんなことでいいのかしら?対等でない気がするけど……まぁ、いいわ。あなたが負ければ、あなただけでなく、そちらのあなたも一緒に私の願いをきいてもらうことにするわ!」
行きましょうと部屋を出て、訓練場へと向かう。倒れこんでいた警備隊は、未だ立てずに寝転んでいるものもいるが、ほとんどが、酔いからの惰眠だろう。副隊長が大きな声でどけっ!と叫んだ瞬間、蜘蛛の子を散らすように訓練場の真ん中に障害物がなくなった。
木剣を拾い、真ん中まで歩いて行くと、青年は、剣を抜く。
「卑怯だぞ!アンナリーゼ様は、木剣なのに!」
「うるさいっ!黙れ!」
コットンが抗議したにも関わらず、自身の行動に疑いもせずに私に切りかかってきた。大きな体は、さすがに鍛えてあるので、筋肉の塊。振るった剣には風圧もあり、鋭い。
「避けてくれて、嬉しいよ!せっかくの体、傷がついちゃ、もったいない!」
「ふーん。そう」
「木剣で、俺に勝てるなんて、本気で思ってないんだろ?負けたときの口実に……私は、私は……なんて」
「もういいかしら?無駄口、聞いている暇はないのよね!領主って、本当に忙しいの!公との約束もあるから、日も限られているし!」
キッと睨み上げ少しだけ距離を取る。ニマニマ笑っている青年は、剣を振り下ろした瞬間、私の木剣の餌食となり無様に崩れ落ちることになった。
たいしたことないねと呟くと、もう一人の青年は、私を背に逃げようとしたので、木剣をなげ、自慢の顔面から地面に倒れるよう足を絡ませてやる。思惑通りとなり、笑うものが多く、ある意味可哀想なことをしてしまったなと頬をポリポリとかくのであった。
「……そうですね」
「わかったわ。正式に文書にして渡すことにするから。あと、警備隊については、再編するようそちらも連絡することにします」
「この女!現場を知らないヤツが何を!」
「現場ね……先日、人身売買があったことは知っているかしら?」
「……」
「聞いていないの?領地の外れにある教会でのことよ?この領地では、未だにあるんですってね?それって、警備隊が手引きしているってことじゃないわよね?」
「……しらねぇーよ!そんなこと」
「調べればいいことだから、別にいいわよ。この領地って、最初から少しおかしなところが多いのよね。領主がずっといる状態ではないから、目の届きにくいところもあるし……少し考えないといけないと思っているのよ。手放すって言うのもひとつだし……」
「辞めてください!そんな冗談。アンナリーゼ様が領主でなくなったら……ここは、この領地は、ダメになります!」
コットンの必死な訴えに微笑むだけにして何も言わず、心内で、少し考える。
私には、圧倒的に使える人が少なすぎるわ。貴族でありながら、私と志を同じくしてくれる人が、まだまだ多くない。ゴールド公爵家の息のかかっていない貴族が欲しいのだけど……中立を守っている貴族は、どちらかと言えば、ゴールド公爵家よりなのよね……。
誰か、適任はいないかしら?ローズディア公国内で貴族であまりもの……。
そんな都合のいいものは、いないんだろうな……と、大きくため息をついたら、慌てているコットン。コットンにとって、私が領主になったことで、大きな利益を出せている。もちろん、コットンだけではなく、農家全体的にだ。ここにも、農家の移住がわずかながらも増えていることが報告されているので、死活問題となることもあった。私も、主要産業となっているコットンの綿花農家を手放すわけにもいかない。
「心配しなくても、コットンが作ってくれる綿もタンザのところの生糸も工場長のところの布も、私にとって大切な商売の相手だからね。手放したりしないよ?」
「……それなら、いいですけど。何か起こっているようですし、それが、警備隊が関わっているとなると……」
「関わってなんてない!いい加減なことをいうな!」
「それは、まだ、調べてみないとわからないことでしょ?積極的に関わっていないかもしれないけど、間接的にってこともあるし」
「そんなこと、あるわけ!」
「それほど焦る必要もないではないですか?何を焦っているのです?」
コットンの質問に副隊長たちは、何も言い返せなくなった。何か隠している可能性は高いが、私が何かをする必要はない。ここは、アデルに任せようと後ろを見る。
心得たというように頷いてくれたので、何しかしらの報告はくれるのであろう。
「さて、帰りましょう!他にも行く場所があるから。お邪魔したわ!」
私たちが部屋から出ていこうとすると、いかつい青年の方が、私を呼び止めた。何を考えているのか、目を見ればわかる。
バカにされたと思っているのだろう。勝負をしろと言ってきたのだ。
「アンナ、私が」
「いいけど、それじゃあ、納得いかないのでしょ?天下の副隊長は、女である私に負けるはずはないし、気に入らないのだから。そうでしょ?」
「そうだ。勝負で勝ったほうのいうことをきく。それでどうだ?」
「私に何の得があるの?一人の領民が職を失うだけのことに。体を動かしたいから、別にかまわないけど……そうね。私が勝ったときは、少し考えておくわ!あなた、文字の読み書き計算はできるかしら?」
「副隊長だからな。それくらいは、できる」
「わかった。なら、勝負しましょう。私にもうまみがでるように、あなたが、万が一にも勝てば、きけそうなことなら1つだけ叶えてあげる。お金はないからダメよ!」
「あぁ、わかった。その体を一日貸してもらうだけでいい」
「そんなことでいいのかしら?対等でない気がするけど……まぁ、いいわ。あなたが負ければ、あなただけでなく、そちらのあなたも一緒に私の願いをきいてもらうことにするわ!」
行きましょうと部屋を出て、訓練場へと向かう。倒れこんでいた警備隊は、未だ立てずに寝転んでいるものもいるが、ほとんどが、酔いからの惰眠だろう。副隊長が大きな声でどけっ!と叫んだ瞬間、蜘蛛の子を散らすように訓練場の真ん中に障害物がなくなった。
木剣を拾い、真ん中まで歩いて行くと、青年は、剣を抜く。
「卑怯だぞ!アンナリーゼ様は、木剣なのに!」
「うるさいっ!黙れ!」
コットンが抗議したにも関わらず、自身の行動に疑いもせずに私に切りかかってきた。大きな体は、さすがに鍛えてあるので、筋肉の塊。振るった剣には風圧もあり、鋭い。
「避けてくれて、嬉しいよ!せっかくの体、傷がついちゃ、もったいない!」
「ふーん。そう」
「木剣で、俺に勝てるなんて、本気で思ってないんだろ?負けたときの口実に……私は、私は……なんて」
「もういいかしら?無駄口、聞いている暇はないのよね!領主って、本当に忙しいの!公との約束もあるから、日も限られているし!」
キッと睨み上げ少しだけ距離を取る。ニマニマ笑っている青年は、剣を振り下ろした瞬間、私の木剣の餌食となり無様に崩れ落ちることになった。
たいしたことないねと呟くと、もう一人の青年は、私を背に逃げようとしたので、木剣をなげ、自慢の顔面から地面に倒れるよう足を絡ませてやる。思惑通りとなり、笑うものが多く、ある意味可哀想なことをしてしまったなと頬をポリポリとかくのであった。
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