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目指せ学園都市!Ⅲ
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「私の考えですけど、基礎的なものは、やはり、前フレイゼン領主である父が元になっています。学園都市っていっても、研究好きな大人ばかりですから。みんな目を輝かせて、子どものように好きなことをしているんです。私もそのうちの一人ではありたいのですけど……いくぶん、研究するものがありませんから、資金を出しているに過ぎないのですよ!」
「大人が子どもみたいに……」
「代表なのが、ヨハンです。元々の研究は毒に関するものですが、あれもこれもそれも知りたい!って、医師までできますし、他にも農業分野でもかなり活躍してくれました」
「……確か、研究費は、物凄く多いんでしたよね?公にこの前、私費でどこまでなら……と相談されたので、よく覚えています」
「高いですよ!もんのすっごく。でも、それだけの成果をあげてくれています。今回の病も、インゼロ帝国で定期的に広まるものですが、帝国出身者に聞けば、薬はとても飲みにくい上に、効きもそれほどいいとはと聞いています。それに比べ、重症者でも、時間はかかりますが、治るんです。後遺症も今のところ報告もされていない。
かなり、優秀な成果ではありませんか?」
「確かに……有事の際、これほど助かったと感じたことはなかった。あと、アンナリーゼのところの災害だが、復旧についても迅速に終わっていることも感心していたのだ」
「それも、フレイゼンから呼び寄せた教授たちの力の賜物ですよ!」
「……それもか」
一度深く考えるようにして、こちらを見てくる公。
「学都にすることで、人口を増やすというのが、アンナリーゼの目論みなのか?」
「もちろん、それもありますが……それだけではありません。知識をひけらかすのが、目的ではないのです。学んだことを、他領にも広めて行きたい。最終はここですね」
「なにゆえに、そのようにお考えなのですか?アンナリーゼ様。私は、剣1本で近衛団長まで昇りつめました。そのような生き方もあるのでは?」
「……それは、恵まれていたから、可能だったのです」
「恵まれていた」
「曲がりなりにも、貴族の令息ですよね?幼いころから、嗜みとして剣を握ることが出来る。おまけに、その体格。鍛えてはいるのでしょうが、いくら鍛えても、それほどの体格になれる確証はありません。令息であれば、当然読み書きが出来ますから、近衛に入ったとしても、昇進の機会は早い」
「では、エリックは、どう見るのですか?今は、元平民であれど、公の側近の一人だ」
「エリックも恵まれた部類に入るでしょう。体格と縁において、たぐいまれなる幸運があった。あのままでは、私と出会うことすらないはずでしたし、何より、ウィルという上官を得ることは、難しかった。たまたま、私の目にとまり、ウィルという上官が声をかけ、丁寧に育てたのだから」
「そういう幸運に恵まれなかったものに差し伸べられるのが、学問ということですか?」
「ちょっと違いますけど……学問は、幸運に辿り着くためのひとつの入口だと考えてもらえればいいと思います」
「ひとつの入口……」
「アンバー領の識字率を聞いて、公はとても驚かれた。それは、たぶん、他領の領主も同じでしょう」
「それを可能にしたのは、どうしたのでしょう?」
「それは、領地秘密だと言いましたけど……学都を目指しているので、もちろん生活に困らない程度の識字率はあげておく必要があります。私、それだけのことをしただけなのです。貴族でいうところ、5歳程度の子が教わることを教えただけです。その後は、自身の身の丈にあった方法で、自由に学んでいます。
そのまま、高等な学問を学びたいという領民にはそれ用の授業がありますし、農業の分野で学びたいという領民には、それに精通する教授の元、勉学に励んでいます。もちろん、実験もありますので、領民に協力してもらっている部分も多くあり、ほとんどのことを秘匿はしていません」
「何故です?」
「生産量が向上しますからね。ただ、他領のものへは、自主的に口を閉ざしていると報告も受けてはいますけど……識字率が上がったことで、報告書もかけますから、実験の成果を普通の農民が書いて、提出ということもしているようです。より、密に」
「だから、研究と農家の間で、摩擦が起こらないのか」
感心したような声をあげるのは、宰相。疑問に思い続けたことが、少しわかれば、頭のいい宰相なら、その先も考えられるだろう。
「それにしたって……何年もかかる改革でしょう?街道工事もしていると聞いています。人手も足りないと」
「そうなのです!ですが、急いでいません。何十年も領地内は酷い有様でしたかたから、改善が目に見えて出来ている今、誰も焦ってはいないでしょう。人手は、近衛増強のために借りていますし。そろそろ、今の近衛の内、帰りたい人だけ返す予定です」
「……果たして、帰りたいという近衛はいるのだろうか?」
「いるとは思いますけどね。労働環境は、かなり過酷ですから」
「そうは言っても……」
「選抜については、アデルとリリーに任せてありますから、大丈夫だと思いますよ!」
領地でウィルの代わりに動き回ってくれている二人を思い出していると、興味を持ったものが二人。
聞きたそうにしているが、これって言わさるのかしら?と小首を傾げておいた。
「大人が子どもみたいに……」
「代表なのが、ヨハンです。元々の研究は毒に関するものですが、あれもこれもそれも知りたい!って、医師までできますし、他にも農業分野でもかなり活躍してくれました」
「……確か、研究費は、物凄く多いんでしたよね?公にこの前、私費でどこまでなら……と相談されたので、よく覚えています」
「高いですよ!もんのすっごく。でも、それだけの成果をあげてくれています。今回の病も、インゼロ帝国で定期的に広まるものですが、帝国出身者に聞けば、薬はとても飲みにくい上に、効きもそれほどいいとはと聞いています。それに比べ、重症者でも、時間はかかりますが、治るんです。後遺症も今のところ報告もされていない。
かなり、優秀な成果ではありませんか?」
「確かに……有事の際、これほど助かったと感じたことはなかった。あと、アンナリーゼのところの災害だが、復旧についても迅速に終わっていることも感心していたのだ」
「それも、フレイゼンから呼び寄せた教授たちの力の賜物ですよ!」
「……それもか」
一度深く考えるようにして、こちらを見てくる公。
「学都にすることで、人口を増やすというのが、アンナリーゼの目論みなのか?」
「もちろん、それもありますが……それだけではありません。知識をひけらかすのが、目的ではないのです。学んだことを、他領にも広めて行きたい。最終はここですね」
「なにゆえに、そのようにお考えなのですか?アンナリーゼ様。私は、剣1本で近衛団長まで昇りつめました。そのような生き方もあるのでは?」
「……それは、恵まれていたから、可能だったのです」
「恵まれていた」
「曲がりなりにも、貴族の令息ですよね?幼いころから、嗜みとして剣を握ることが出来る。おまけに、その体格。鍛えてはいるのでしょうが、いくら鍛えても、それほどの体格になれる確証はありません。令息であれば、当然読み書きが出来ますから、近衛に入ったとしても、昇進の機会は早い」
「では、エリックは、どう見るのですか?今は、元平民であれど、公の側近の一人だ」
「エリックも恵まれた部類に入るでしょう。体格と縁において、たぐいまれなる幸運があった。あのままでは、私と出会うことすらないはずでしたし、何より、ウィルという上官を得ることは、難しかった。たまたま、私の目にとまり、ウィルという上官が声をかけ、丁寧に育てたのだから」
「そういう幸運に恵まれなかったものに差し伸べられるのが、学問ということですか?」
「ちょっと違いますけど……学問は、幸運に辿り着くためのひとつの入口だと考えてもらえればいいと思います」
「ひとつの入口……」
「アンバー領の識字率を聞いて、公はとても驚かれた。それは、たぶん、他領の領主も同じでしょう」
「それを可能にしたのは、どうしたのでしょう?」
「それは、領地秘密だと言いましたけど……学都を目指しているので、もちろん生活に困らない程度の識字率はあげておく必要があります。私、それだけのことをしただけなのです。貴族でいうところ、5歳程度の子が教わることを教えただけです。その後は、自身の身の丈にあった方法で、自由に学んでいます。
そのまま、高等な学問を学びたいという領民にはそれ用の授業がありますし、農業の分野で学びたいという領民には、それに精通する教授の元、勉学に励んでいます。もちろん、実験もありますので、領民に協力してもらっている部分も多くあり、ほとんどのことを秘匿はしていません」
「何故です?」
「生産量が向上しますからね。ただ、他領のものへは、自主的に口を閉ざしていると報告も受けてはいますけど……識字率が上がったことで、報告書もかけますから、実験の成果を普通の農民が書いて、提出ということもしているようです。より、密に」
「だから、研究と農家の間で、摩擦が起こらないのか」
感心したような声をあげるのは、宰相。疑問に思い続けたことが、少しわかれば、頭のいい宰相なら、その先も考えられるだろう。
「それにしたって……何年もかかる改革でしょう?街道工事もしていると聞いています。人手も足りないと」
「そうなのです!ですが、急いでいません。何十年も領地内は酷い有様でしたかたから、改善が目に見えて出来ている今、誰も焦ってはいないでしょう。人手は、近衛増強のために借りていますし。そろそろ、今の近衛の内、帰りたい人だけ返す予定です」
「……果たして、帰りたいという近衛はいるのだろうか?」
「いるとは思いますけどね。労働環境は、かなり過酷ですから」
「そうは言っても……」
「選抜については、アデルとリリーに任せてありますから、大丈夫だと思いますよ!」
領地でウィルの代わりに動き回ってくれている二人を思い出していると、興味を持ったものが二人。
聞きたそうにしているが、これって言わさるのかしら?と小首を傾げておいた。
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