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849. 始まりの夜会は……大騒動?
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公都に帰ってきてから、1週間と3日。いよいよ、始まりの夜会の日になった。何が大変って……自由に外を走り回っていた私が、朝からナタリーとデリア監修の元、侍女やメイドたちがマッサージや着付けをしていく。ナタリーは自身も準備があるので、昼前くらいから子爵家の屋敷へ泣く泣く帰って行ったが、デリアは、私の専属侍女なので、椅子に座ってあれこれと指示を出していく。それをさらに細かく指示を出すのがリアンだ。阿吽の呼吸で、丁寧に私は着飾られていった。
途中、アンジェラの突撃があったので、少し停まっていたが、デリアが席を用意すれば、そこにちょこんと座り私を見ていた。
「興味があるのかしら?」
よくわからないという顔をして首を捻るアンジェラ。
「ドレスとか好き?」
「……ドレス好き!」
「どんなのがいいかしら?」
「どんなの?」
「お花が好きとか、レースが好きとか、青い色がいいとか、いろいろあるでしょ?」
「アンは、青いのが好き!ママのドレス、見たことあるよ?」
青いドレスか……と考えると、ジョージアの卒業式に来ていたのを思い浮かべていたが、そうではないらしい。
「ママがあっちで着てたの!」
「……あっち?アンバー領で着てた服かしら?」
「そう!」
「確かに、あれは可愛らしいですね!今度、アンジェラ様とお揃いの服をナタリー様に作っていただいたらどうですか?」
「それ素敵ね!ナタリーに頼んで……それ、それいいわ!次の流行にどうかしら?」
「アンナ様、お仕事のことは今は聞いていませんので……」
デリアにしかめっ面をされる。いつも仕事のことばかりだから、今は、着飾ることを楽しんで欲しいというのだ。
「アンナリーゼ様、鏡の方をみてください」
「ママ、はい」
急に渡されたブレスレットを受取ると、リアンが笑っている。
「お手伝いしてくれるの?」
うん!と元気に返事をするアンジェラには悪いが、今日は使わない予定のものであった。それでも、リアンが貸してくださいと左手首につけてくれた。青薔薇のブレスレットは久しぶりにつけた。手首によくなじみ、いつ見てもとても綺麗だ。
「青薔薇の宝石にいたしましょうか?」
「でも、青紫の薔薇には……」
「色味は大丈夫ですよ!」
そいういって、綺麗に髪をまとめて髪飾りをしてくれ、ジョージアにもらった青薔薇で飾ってくれた。
半日以上かかってできた私をジョージアが迎えに来てくれた。始まりの夜会へとエスコートしてくれるのだ。
アンジェラは、遊んで欲しそうにこちらを見ていたが、ひとつ別の髪飾りを手渡してくれた。すこしだけ髪にさす部分が長いもので、いざというときに役に立つ。
アンジェラは拗ねながら綿たちを見送ってくれ、ジョージアと共に馬車に乗り込んだ。
「今日は青薔薇と……見慣れない髪飾りだね?」
「この髪飾りは、今日初めて使います。ちょっとさすところが長いんです。東の国から、ニコライが取り寄せてくれたものなのですよ!アンジェラが手渡してきたので、つけてみました。どうですか?」
「いいね!可愛いよ!」
「……私、もう、いい大人なんですけど……」
「いつまでたっても、可愛いんだから、仕方がないよ!」
暢気なことを話していると、着いたようだ。
「では、奥様、お手を」
ジョージアが先に降り、私に手を差し出してくれる。その手を握り、馬車から降りた。
「そういえば、ジョージア様が刺される『予知夢』を見たのです。ジョージア様、今日は重々気を付けてください。私から離れないように……」
「今日は、ヒーナも護衛にきているんだろ?」
「ヒーナは来ていても、あの通りですから……」
視線の先を見せれば、たくさんの貴族に囲まれている。やはり、その背中の罪の証が気になるものが多いようだ。
「すごい人だかりだね……護衛には、ならないかな?」
「そう思いますよね。一応、あれでもこちらに気を付けてくれてはいます。お皿とフォークを持っているでしょ?」
「あぁ、それが?」
「ナイフ投げの命中率が、すごいのですよ!」
「……なるほど、アンナも興奮するようなことだね!」
「妬いているのですか?」
「もちろん!アンナが興味を持つこと全てにね。器が小さいと言われれば、そこまでだな」
まずは公への挨拶にと、二人で向かうことにした。今日こそは何も言うなと睨みをきかせて、前で跪く。
「あぁ、アンナリーゼとジョージアか。よく来てくれた」
「来たくなくても、この夜会だけは特別ですから……イチアに仕事も任せられましたしね……本当、領主使いが荒いんだから!」
「それをいうなら、アンナリーゼは公である俺を使いすぎではないのか?」
「使えるものを使って何が悪いのですか?権力なんて、そんなためにあるのですから。公を握っているのは私ですからね!使えるときに使います。まぁ、それほど、使い道がある公ではないので、困っているのですけど……」
嫌味を言っているとジョージアがクスクス笑う。余程、的を得ていておもしろい言葉遊びが出来ていたのだろう。
それじゃあ!と公の前から立ち去ろうとしたとき、ツカツカと一人の女性がジョージアに向けて近寄ってきた。だんだん早くなって行く。
……『予知夢』の?
私は髪にさしてあった簪を抜く。まとめてあった髪がふぁさっと落ちる。
「夫の敵!」
そういったときには、ジョージアとだいぶ距離が近くなっていた。私はジョージアとナイフをもった女性の間にスルッと入って簪でナイフの軌道を変え、手首を掴み捻り上げ、そのまま簪を逆手に持ち、女性の首へその簪の腹をあてる。
女性は簪を見たことがなかったようで、ナイフが首元にあるのかと動きが停まったのである。
途中、アンジェラの突撃があったので、少し停まっていたが、デリアが席を用意すれば、そこにちょこんと座り私を見ていた。
「興味があるのかしら?」
よくわからないという顔をして首を捻るアンジェラ。
「ドレスとか好き?」
「……ドレス好き!」
「どんなのがいいかしら?」
「どんなの?」
「お花が好きとか、レースが好きとか、青い色がいいとか、いろいろあるでしょ?」
「アンは、青いのが好き!ママのドレス、見たことあるよ?」
青いドレスか……と考えると、ジョージアの卒業式に来ていたのを思い浮かべていたが、そうではないらしい。
「ママがあっちで着てたの!」
「……あっち?アンバー領で着てた服かしら?」
「そう!」
「確かに、あれは可愛らしいですね!今度、アンジェラ様とお揃いの服をナタリー様に作っていただいたらどうですか?」
「それ素敵ね!ナタリーに頼んで……それ、それいいわ!次の流行にどうかしら?」
「アンナ様、お仕事のことは今は聞いていませんので……」
デリアにしかめっ面をされる。いつも仕事のことばかりだから、今は、着飾ることを楽しんで欲しいというのだ。
「アンナリーゼ様、鏡の方をみてください」
「ママ、はい」
急に渡されたブレスレットを受取ると、リアンが笑っている。
「お手伝いしてくれるの?」
うん!と元気に返事をするアンジェラには悪いが、今日は使わない予定のものであった。それでも、リアンが貸してくださいと左手首につけてくれた。青薔薇のブレスレットは久しぶりにつけた。手首によくなじみ、いつ見てもとても綺麗だ。
「青薔薇の宝石にいたしましょうか?」
「でも、青紫の薔薇には……」
「色味は大丈夫ですよ!」
そいういって、綺麗に髪をまとめて髪飾りをしてくれ、ジョージアにもらった青薔薇で飾ってくれた。
半日以上かかってできた私をジョージアが迎えに来てくれた。始まりの夜会へとエスコートしてくれるのだ。
アンジェラは、遊んで欲しそうにこちらを見ていたが、ひとつ別の髪飾りを手渡してくれた。すこしだけ髪にさす部分が長いもので、いざというときに役に立つ。
アンジェラは拗ねながら綿たちを見送ってくれ、ジョージアと共に馬車に乗り込んだ。
「今日は青薔薇と……見慣れない髪飾りだね?」
「この髪飾りは、今日初めて使います。ちょっとさすところが長いんです。東の国から、ニコライが取り寄せてくれたものなのですよ!アンジェラが手渡してきたので、つけてみました。どうですか?」
「いいね!可愛いよ!」
「……私、もう、いい大人なんですけど……」
「いつまでたっても、可愛いんだから、仕方がないよ!」
暢気なことを話していると、着いたようだ。
「では、奥様、お手を」
ジョージアが先に降り、私に手を差し出してくれる。その手を握り、馬車から降りた。
「そういえば、ジョージア様が刺される『予知夢』を見たのです。ジョージア様、今日は重々気を付けてください。私から離れないように……」
「今日は、ヒーナも護衛にきているんだろ?」
「ヒーナは来ていても、あの通りですから……」
視線の先を見せれば、たくさんの貴族に囲まれている。やはり、その背中の罪の証が気になるものが多いようだ。
「すごい人だかりだね……護衛には、ならないかな?」
「そう思いますよね。一応、あれでもこちらに気を付けてくれてはいます。お皿とフォークを持っているでしょ?」
「あぁ、それが?」
「ナイフ投げの命中率が、すごいのですよ!」
「……なるほど、アンナも興奮するようなことだね!」
「妬いているのですか?」
「もちろん!アンナが興味を持つこと全てにね。器が小さいと言われれば、そこまでだな」
まずは公への挨拶にと、二人で向かうことにした。今日こそは何も言うなと睨みをきかせて、前で跪く。
「あぁ、アンナリーゼとジョージアか。よく来てくれた」
「来たくなくても、この夜会だけは特別ですから……イチアに仕事も任せられましたしね……本当、領主使いが荒いんだから!」
「それをいうなら、アンナリーゼは公である俺を使いすぎではないのか?」
「使えるものを使って何が悪いのですか?権力なんて、そんなためにあるのですから。公を握っているのは私ですからね!使えるときに使います。まぁ、それほど、使い道がある公ではないので、困っているのですけど……」
嫌味を言っているとジョージアがクスクス笑う。余程、的を得ていておもしろい言葉遊びが出来ていたのだろう。
それじゃあ!と公の前から立ち去ろうとしたとき、ツカツカと一人の女性がジョージアに向けて近寄ってきた。だんだん早くなって行く。
……『予知夢』の?
私は髪にさしてあった簪を抜く。まとめてあった髪がふぁさっと落ちる。
「夫の敵!」
そういったときには、ジョージアとだいぶ距離が近くなっていた。私はジョージアとナイフをもった女性の間にスルッと入って簪でナイフの軌道を変え、手首を掴み捻り上げ、そのまま簪を逆手に持ち、女性の首へその簪の腹をあてる。
女性は簪を見たことがなかったようで、ナイフが首元にあるのかと動きが停まったのである。
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