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669. おしゃべり大好きな私とみんな
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「こんにちは!」
声をかけると、みながきょとんと私を見上げる。レナンテを引っ張って覗き込むと、いきなりのことで理解が及ばなかったようだ。
「……アンナ……リーゼ様?」
「うん、アンナリーゼですよ?」
鸚鵡返しに返事をすると、驚いた近衛たちが急に立ち上がった。今度は私が驚いた。
「アンナリーゼ様、このようなむさくるしいところへ……あの、今日は、どのような……」
「うん、領地の視察!今見てきたけど、石畳の街道が思っていたより早くできてて、とっても驚いたわ!みんな、頑張ってくれて、ありがとう!」
「いえ、それほどでも!」
調子のいい近衛がどや顔で私に言ったが、可哀想に周りにいた近衛たちに蹴りやら肘鉄やら頭突きやらされていている。ただ、本気ではなく、じゃれているようだったので、何もいわずにいた。
「そうそう、リリーはどこかにいる?」
「リリーさんなら……確か、向こうの方にいたはずですよ!」
「向こうね!ありがとう!」
私は、近場にいた近衛にお礼を言いリリーのいるところまで歩いて行く。土埃が経たないようにとは考えてゆっくり歩いたのだが、レナンテはさておき、ウィルの乗ってきた馬はお構いないしであった。
「ウィル、土埃はなんとかならないかしら?」
「あぁ、なんとかね……なんとか、なんねぇ?」
「馬に言っても仕方がないでしょ?」
「レナンテは、なんとかなってんじゃん!」
「……生まれ持っての気品的なものじゃない?」
「…………姫さんの口から気品って」
「ん?どういう意味かな?ウィルくん。私には、気品が満ち溢れていると思うんだけど?」
「どこに?社交場に出たときだけだろ?」
「失礼なっ!ウィルっ!」
「アンナ様?」
私を呼ぶ声の方を向くと、目的の人物にあった。私が領地から出ている間、リリーはイチアと領民の間に入って連絡員をしてくれていたらしい。
今日は、ここにいると教えてもらったので、立ち寄った……?ん?ウィルが、連れてきた?
「ウィルが見せたかったものって……石畳の街道の進捗?」
「あぁ、やっと気が付いた?リリーから聞いていたもんで、見せてやろうと思って。トンも見に行くついでもあったし」
「なるほど……これは、いい視察になりそうね!」
「今日は、視察に来られたのです?」
「えぇ、そうなの」
「アンナ様が帰ってきていることは、聞いていたんですけど……伺いに行けず」
「いいのよ!私だって、こうやって出歩いてることだし、リリーにも仕事があるでしょ?私みたいな放蕩領主に付き合っていたら、体が何個あっても足りないわよ!」
そういうわけには……と苦笑いをするリリー。実際、リリーの活躍は聞いているし、見込んだだけはあるのだ。信頼はしているからこそ、私のためにわざわざ来てもらう必要はないだろう。
「挨拶が遅れまして……」
私の姿を見て、慌てて飛んできてくれたのだろう。口元に何かのソースがついているピューレに微笑む。
「いいのよ、ピューレも。お昼を取っていたのでしょ?構わず、食べてちょうだい!」
「いえ、そういうわけには……」
「口元に、ソースがついているわ!お昼からも仕事をしっかりしてもらわないといけないから、ゆっくりお昼を食べてきてちょうだい!私はここで、リリーと話をしているから!」
「……すんません。それじゃあ、お言葉に甘えて……」
すごすごと戻って行くピューレ。石切りの町で石切りの親方をしている彼は、この事業の要でもある。指示を飛ばす人は、実は実働部隊として動いている近衛たちより神経も使うし、動き回っている。
お昼休みくらい、しっかり休みを取るべきだ。本来なら、リリーも似たような立場なので、休んで欲しいところではあるのだけど……
「なんだか、慌ただしいですね。すみません」
「うぅん、急に来た私たちが悪いのだし……一緒にお昼を食べてもいいかしら?」
「こんな場所でよければ……」
「どんな場所もここは私の領地だからいいのよ!ウィル、お弁当!」
「はいはい。これがとっても楽しみだったんだよね?姫さんは」
「えぇ、もちろん!」
「お弁当持参でしたか?」
「えぇ、ウィルが気をきかせてくれて、持参したの!」
それなら……と地べたへと座るリリーの隣に私も一緒のように座る。
それを見ていた周りにいた近衛たちがぎょっとしているふうな空気がするのだけど……いつものことだから、気にしない。
ウィルにお弁当をもらって、開けると……パンにイロイロと挟んである。
「おいしそう……」
「どれですか?」
「ほら!」
「本当ですね!特にベーコンが挟んであって……ゴクン」
「あっ、欲しい?」
「いえ、大丈夫です」
「交換なら、いいよ?」
「交換できるものがないので、いいです!」
「そっか……じゃあ、また、報告に来たときにでも楽しみにしていて!」
「ありがとうございます!」
諦めていたようなリリーにそういうと、ニコリと笑う。欲しかったんだ……と思いながら、私はかぶりついた。
「おいしい……このベーコンも野菜も、本当に美味しい!」
「それ、全部領地で作られたものだって!うわっ、うめーな。レオとミアにも食わせてやりてぇ!」
「わかる!私も1番初めに子どもたちの顔が浮かんだわ!」
「お二人とも、なんだかんだと子煩悩ですよね?」
「そうかしら?普通よね?」
「普通、普通。姫さんは自分が産んだ子どもだけどさ、俺、血すら繋がってない養子だし」
「その割に激甘よね?」
そうかぁ?とすっとぼけるウィルに、リリーと二人で追い打ちをかける。
「そ……それより!このベーコンが、今日視察に行く養豚場のベーコンな!」
そうだったの?とかぶりついた場所を見つめる。そう言われると、なんだか食べにくくなるんだけど……と思いつつ、命あるものからの恵は、しっかり私の中に押し込めた。
声をかけると、みながきょとんと私を見上げる。レナンテを引っ張って覗き込むと、いきなりのことで理解が及ばなかったようだ。
「……アンナ……リーゼ様?」
「うん、アンナリーゼですよ?」
鸚鵡返しに返事をすると、驚いた近衛たちが急に立ち上がった。今度は私が驚いた。
「アンナリーゼ様、このようなむさくるしいところへ……あの、今日は、どのような……」
「うん、領地の視察!今見てきたけど、石畳の街道が思っていたより早くできてて、とっても驚いたわ!みんな、頑張ってくれて、ありがとう!」
「いえ、それほどでも!」
調子のいい近衛がどや顔で私に言ったが、可哀想に周りにいた近衛たちに蹴りやら肘鉄やら頭突きやらされていている。ただ、本気ではなく、じゃれているようだったので、何もいわずにいた。
「そうそう、リリーはどこかにいる?」
「リリーさんなら……確か、向こうの方にいたはずですよ!」
「向こうね!ありがとう!」
私は、近場にいた近衛にお礼を言いリリーのいるところまで歩いて行く。土埃が経たないようにとは考えてゆっくり歩いたのだが、レナンテはさておき、ウィルの乗ってきた馬はお構いないしであった。
「ウィル、土埃はなんとかならないかしら?」
「あぁ、なんとかね……なんとか、なんねぇ?」
「馬に言っても仕方がないでしょ?」
「レナンテは、なんとかなってんじゃん!」
「……生まれ持っての気品的なものじゃない?」
「…………姫さんの口から気品って」
「ん?どういう意味かな?ウィルくん。私には、気品が満ち溢れていると思うんだけど?」
「どこに?社交場に出たときだけだろ?」
「失礼なっ!ウィルっ!」
「アンナ様?」
私を呼ぶ声の方を向くと、目的の人物にあった。私が領地から出ている間、リリーはイチアと領民の間に入って連絡員をしてくれていたらしい。
今日は、ここにいると教えてもらったので、立ち寄った……?ん?ウィルが、連れてきた?
「ウィルが見せたかったものって……石畳の街道の進捗?」
「あぁ、やっと気が付いた?リリーから聞いていたもんで、見せてやろうと思って。トンも見に行くついでもあったし」
「なるほど……これは、いい視察になりそうね!」
「今日は、視察に来られたのです?」
「えぇ、そうなの」
「アンナ様が帰ってきていることは、聞いていたんですけど……伺いに行けず」
「いいのよ!私だって、こうやって出歩いてることだし、リリーにも仕事があるでしょ?私みたいな放蕩領主に付き合っていたら、体が何個あっても足りないわよ!」
そういうわけには……と苦笑いをするリリー。実際、リリーの活躍は聞いているし、見込んだだけはあるのだ。信頼はしているからこそ、私のためにわざわざ来てもらう必要はないだろう。
「挨拶が遅れまして……」
私の姿を見て、慌てて飛んできてくれたのだろう。口元に何かのソースがついているピューレに微笑む。
「いいのよ、ピューレも。お昼を取っていたのでしょ?構わず、食べてちょうだい!」
「いえ、そういうわけには……」
「口元に、ソースがついているわ!お昼からも仕事をしっかりしてもらわないといけないから、ゆっくりお昼を食べてきてちょうだい!私はここで、リリーと話をしているから!」
「……すんません。それじゃあ、お言葉に甘えて……」
すごすごと戻って行くピューレ。石切りの町で石切りの親方をしている彼は、この事業の要でもある。指示を飛ばす人は、実は実働部隊として動いている近衛たちより神経も使うし、動き回っている。
お昼休みくらい、しっかり休みを取るべきだ。本来なら、リリーも似たような立場なので、休んで欲しいところではあるのだけど……
「なんだか、慌ただしいですね。すみません」
「うぅん、急に来た私たちが悪いのだし……一緒にお昼を食べてもいいかしら?」
「こんな場所でよければ……」
「どんな場所もここは私の領地だからいいのよ!ウィル、お弁当!」
「はいはい。これがとっても楽しみだったんだよね?姫さんは」
「えぇ、もちろん!」
「お弁当持参でしたか?」
「えぇ、ウィルが気をきかせてくれて、持参したの!」
それなら……と地べたへと座るリリーの隣に私も一緒のように座る。
それを見ていた周りにいた近衛たちがぎょっとしているふうな空気がするのだけど……いつものことだから、気にしない。
ウィルにお弁当をもらって、開けると……パンにイロイロと挟んである。
「おいしそう……」
「どれですか?」
「ほら!」
「本当ですね!特にベーコンが挟んであって……ゴクン」
「あっ、欲しい?」
「いえ、大丈夫です」
「交換なら、いいよ?」
「交換できるものがないので、いいです!」
「そっか……じゃあ、また、報告に来たときにでも楽しみにしていて!」
「ありがとうございます!」
諦めていたようなリリーにそういうと、ニコリと笑う。欲しかったんだ……と思いながら、私はかぶりついた。
「おいしい……このベーコンも野菜も、本当に美味しい!」
「それ、全部領地で作られたものだって!うわっ、うめーな。レオとミアにも食わせてやりてぇ!」
「わかる!私も1番初めに子どもたちの顔が浮かんだわ!」
「お二人とも、なんだかんだと子煩悩ですよね?」
「そうかしら?普通よね?」
「普通、普通。姫さんは自分が産んだ子どもだけどさ、俺、血すら繋がってない養子だし」
「その割に激甘よね?」
そうかぁ?とすっとぼけるウィルに、リリーと二人で追い打ちをかける。
「そ……それより!このベーコンが、今日視察に行く養豚場のベーコンな!」
そうだったの?とかぶりついた場所を見つめる。そう言われると、なんだか食べにくくなるんだけど……と思いつつ、命あるものからの恵は、しっかり私の中に押し込めた。
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