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あぁ、えっと……と、目を逸らす
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部屋に戻ると、少々ホッとしたデリアが小さく息をはいた。
ジョージアも子どもたちの前に出て、守っていてくれたようだ。急に入っていった私に警戒をしたらしい。ニコライが私に呼ばれ部屋から出て行ってから3時間ほどたち、帰ってこなかったことに心配してくれたらしい。
「アンナ様が負けるとは思ってもなかったですが、ニコライもほいほいと出てってしまったので……
さすがに何時間も帰ってこないと心配しました」
「ごめんね、デリアは倒れたばかりだったのに……心配かけたわ!」
「いいえ、無事ならいいんです」
子どもたちも、急に起こされデリアの近くに集められたこと、私が側にいないことに不安がっていたようで、私の顔をみたらニコッと微笑んでいた。
「ちょっと迷惑なお友達が来ていたの。そのお友達にご飯を御馳走しようと思うんだけど……」
「こちらに用意しますか?なら、私が……」
「いいえ、ニコライとノクトにお願いしてきたの。こちらの様子も確認したかったし。なんともない?」
「なんともないけど、アンナは、すごく楽しそうな顔してるね?」
「そうですか?」
「あぁ、何か新しいおもちゃでも見つけたような顔だよ。それより、その……手に持っているのは何?」
ジョージアに言われて気が付いた。握りしめているのが、愛剣ではなく布団叩きだったことに驚いた。
「おし……布団叩きですわ!」
といいつつも、後ろに隠す。なんだか、さっきまでの私が、少々恥ずかしくなってきたからだ。
「それで、何してたの?まさか、布団干しでもないだろうし?」
「あっと……えっと……」
ジョージアから目を逸らして、空笑いをする。
「大方、それで、ちょっと迷惑なお友達のお尻でも叩いていたんじゃないですかね?」
「……で、デリアさん?何か能力とか、あったりは……?」
「しませんけど、アンナ様が考えそうなこと、しでかしそうなことは、だいたい想像が付きますよ?」
そうですかと項垂れると、ジョージアがデリアってすごいんだね?と感心している。うちのデリアは、そんじゃそこらの侍女じゃないですからね!と私が胸を張ろうとしたとき、ため息とともに強烈な一言が、私の心を抉る。
「アンナ様の侍女ですから、想定外の対応は出来て当たり前です。だいたい、アンナ様が予定通りに
物事を進めたためしもなければ、その周りも一緒になって大事にしてしまいますから、もぅ、少々の
ことでは驚かない強い心を持ち合わせないといけません。エマには、こんこんと言ってあります。
アン605. あぁ、えっと……と、目を逸らすジェラ様もきっと、アンナ様のようになるのでしょうから」
「エマは、アンジェラの侍女だったね。苦労をかけるね」
「苦労だなんて!それが、私の生きがいなのです。アンナ様が、そうだから好きなのです。
旦那様は、違うのですか?」
不思議そうに見上げるデリアに、優しく微笑んでいるジョージアをみながら、私はどれほど迷惑をかけているのか、反省をした。
反省はしても、結局、いつも周りを巻き込んでしまうことには変わりがないので、何も言わずに微笑みひとつで済ませる方法をアンジェラにも覚えさせておこうと心に刻む。
「それで、アンナ様は、そちらで何を拾ってきたのですか?」
捨て猫か何かを拾ってきたかのような言い草に、ジョージアは苦笑いをしたが、言い得て妙な表現にニッコリ笑いかける。
「元伯爵令嬢とその護衛二人」
「結構な大物ですね?で、どうするおつもりです?」
「飼おうかと……」
「お世話はどうするんですか?」
「私が面倒をみるわ!」
「そうですか。最後まで面倒見れますか?口のあるものは大変ですよ?」
「ん……頑張る!私、稼いで……」
「まぁ、それは、いつものことなので、アンバー公爵家の大黒柱が折れてもらっては困りますから、
今後もしっかり執務に励んでください!その大黒柱を磨くのは、私のお仕事ですから!」
ありがとうと微笑むと、今後の話は、後でしましょうとデリアは私を後押ししてくれる。
「俺は、どういう判断をすればいいかな?」
「旦那様は、アンナ様のいうことに優しく微笑んで、僕のために頑張ってくれ、後方支援は全て任せて
くれ!と言って差し上げれば、アンナ様は嬉々として好きなように飛び回りますから、それでいい
のですよ!」
「デリアの方が、アンナの扱いがうまいな……」
「旦那様みたいに、浮気性ではありませんから!」
「ディルって、旦那いなかったっけ?」
「私の旦那様は、アンナ様への愛情も含めて私を愛してくださるので、浮気だなんて安い言葉で一緒に
しないでください!」
ジョージアとデリアが、打ち解けているようで何よりなのだが、私は、そろそろ戻ってもいいだろうか?声をかけるところがわからず、黙って聞いている。
「アンナ様、許可しますので、好きなようにしてください!」
ぱっと顔を綻ばせると、ただしと続いた。
「リアンのように、侍女に取り立てるのはおやめください。リアンは、できるからいいのですが、きっと
令嬢如きでは、アンナ様に対応出来ませんから!それなら、ナタリー様に教育をしていただくのが
いいのではないかと。あの方は子爵令嬢ですけど、この国で、アンナ様に引けを取らないくらいの
才覚をお持ちですから、きっとその令嬢もいい使い道を見つけてくださいます!」
「わかったわ!そのようにナタリーにお願いしてみる」
「護衛の方は、アンナ様のおもちゃにもなれないほど弱いのであれば、土木工事専属でいいのではあり
ませんか?人出が足りないって言ってましたよね?」
「えぇ、なんでもお見通しね……」
「アンナ様の側に長く侍っているもので、情報はたぶん、旦那様より多く耳にしておりますよ!」
とりあえず、今後の話をするように、デリアに促され部屋を出る。デリアと話をしたことで、取っ散らかっていた話を纏めることができたし、ナタリーへの教育をお願いすることにした。護衛は、デリアの言う通り、土木工事専属でいいだろう。
令嬢であれば、裁縫くらいできるだろうしと、自分は棚上げしながら鼻歌歌い別室へと入っていく。
ノクトに見張られながら、びくついてスープを口に運んでいる三人をみてクスっとわらったのであった。
ジョージアも子どもたちの前に出て、守っていてくれたようだ。急に入っていった私に警戒をしたらしい。ニコライが私に呼ばれ部屋から出て行ってから3時間ほどたち、帰ってこなかったことに心配してくれたらしい。
「アンナ様が負けるとは思ってもなかったですが、ニコライもほいほいと出てってしまったので……
さすがに何時間も帰ってこないと心配しました」
「ごめんね、デリアは倒れたばかりだったのに……心配かけたわ!」
「いいえ、無事ならいいんです」
子どもたちも、急に起こされデリアの近くに集められたこと、私が側にいないことに不安がっていたようで、私の顔をみたらニコッと微笑んでいた。
「ちょっと迷惑なお友達が来ていたの。そのお友達にご飯を御馳走しようと思うんだけど……」
「こちらに用意しますか?なら、私が……」
「いいえ、ニコライとノクトにお願いしてきたの。こちらの様子も確認したかったし。なんともない?」
「なんともないけど、アンナは、すごく楽しそうな顔してるね?」
「そうですか?」
「あぁ、何か新しいおもちゃでも見つけたような顔だよ。それより、その……手に持っているのは何?」
ジョージアに言われて気が付いた。握りしめているのが、愛剣ではなく布団叩きだったことに驚いた。
「おし……布団叩きですわ!」
といいつつも、後ろに隠す。なんだか、さっきまでの私が、少々恥ずかしくなってきたからだ。
「それで、何してたの?まさか、布団干しでもないだろうし?」
「あっと……えっと……」
ジョージアから目を逸らして、空笑いをする。
「大方、それで、ちょっと迷惑なお友達のお尻でも叩いていたんじゃないですかね?」
「……で、デリアさん?何か能力とか、あったりは……?」
「しませんけど、アンナ様が考えそうなこと、しでかしそうなことは、だいたい想像が付きますよ?」
そうですかと項垂れると、ジョージアがデリアってすごいんだね?と感心している。うちのデリアは、そんじゃそこらの侍女じゃないですからね!と私が胸を張ろうとしたとき、ため息とともに強烈な一言が、私の心を抉る。
「アンナ様の侍女ですから、想定外の対応は出来て当たり前です。だいたい、アンナ様が予定通りに
物事を進めたためしもなければ、その周りも一緒になって大事にしてしまいますから、もぅ、少々の
ことでは驚かない強い心を持ち合わせないといけません。エマには、こんこんと言ってあります。
アン605. あぁ、えっと……と、目を逸らすジェラ様もきっと、アンナ様のようになるのでしょうから」
「エマは、アンジェラの侍女だったね。苦労をかけるね」
「苦労だなんて!それが、私の生きがいなのです。アンナ様が、そうだから好きなのです。
旦那様は、違うのですか?」
不思議そうに見上げるデリアに、優しく微笑んでいるジョージアをみながら、私はどれほど迷惑をかけているのか、反省をした。
反省はしても、結局、いつも周りを巻き込んでしまうことには変わりがないので、何も言わずに微笑みひとつで済ませる方法をアンジェラにも覚えさせておこうと心に刻む。
「それで、アンナ様は、そちらで何を拾ってきたのですか?」
捨て猫か何かを拾ってきたかのような言い草に、ジョージアは苦笑いをしたが、言い得て妙な表現にニッコリ笑いかける。
「元伯爵令嬢とその護衛二人」
「結構な大物ですね?で、どうするおつもりです?」
「飼おうかと……」
「お世話はどうするんですか?」
「私が面倒をみるわ!」
「そうですか。最後まで面倒見れますか?口のあるものは大変ですよ?」
「ん……頑張る!私、稼いで……」
「まぁ、それは、いつものことなので、アンバー公爵家の大黒柱が折れてもらっては困りますから、
今後もしっかり執務に励んでください!その大黒柱を磨くのは、私のお仕事ですから!」
ありがとうと微笑むと、今後の話は、後でしましょうとデリアは私を後押ししてくれる。
「俺は、どういう判断をすればいいかな?」
「旦那様は、アンナ様のいうことに優しく微笑んで、僕のために頑張ってくれ、後方支援は全て任せて
くれ!と言って差し上げれば、アンナ様は嬉々として好きなように飛び回りますから、それでいい
のですよ!」
「デリアの方が、アンナの扱いがうまいな……」
「旦那様みたいに、浮気性ではありませんから!」
「ディルって、旦那いなかったっけ?」
「私の旦那様は、アンナ様への愛情も含めて私を愛してくださるので、浮気だなんて安い言葉で一緒に
しないでください!」
ジョージアとデリアが、打ち解けているようで何よりなのだが、私は、そろそろ戻ってもいいだろうか?声をかけるところがわからず、黙って聞いている。
「アンナ様、許可しますので、好きなようにしてください!」
ぱっと顔を綻ばせると、ただしと続いた。
「リアンのように、侍女に取り立てるのはおやめください。リアンは、できるからいいのですが、きっと
令嬢如きでは、アンナ様に対応出来ませんから!それなら、ナタリー様に教育をしていただくのが
いいのではないかと。あの方は子爵令嬢ですけど、この国で、アンナ様に引けを取らないくらいの
才覚をお持ちですから、きっとその令嬢もいい使い道を見つけてくださいます!」
「わかったわ!そのようにナタリーにお願いしてみる」
「護衛の方は、アンナ様のおもちゃにもなれないほど弱いのであれば、土木工事専属でいいのではあり
ませんか?人出が足りないって言ってましたよね?」
「えぇ、なんでもお見通しね……」
「アンナ様の側に長く侍っているもので、情報はたぶん、旦那様より多く耳にしておりますよ!」
とりあえず、今後の話をするように、デリアに促され部屋を出る。デリアと話をしたことで、取っ散らかっていた話を纏めることができたし、ナタリーへの教育をお願いすることにした。護衛は、デリアの言う通り、土木工事専属でいいだろう。
令嬢であれば、裁縫くらいできるだろうしと、自分は棚上げしながら鼻歌歌い別室へと入っていく。
ノクトに見張られながら、びくついてスープを口に運んでいる三人をみてクスっとわらったのであった。
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