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とっても仲良し

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「……私、勘違いしていたのでしょうか?」
「ん?どうして」


 ソファの反対側に子どもたちを真ん中にしてジョージアと並んで座っている私たちを見るエレーナの顔はとても優しい。


「先程、聞いた話で、どうして?と思いましたが、アンナ様が、ジョージ様にもアンジェラ様と変わら
 ない愛情をかけられているので、失礼なことをと思いまして……」
「いいのよ!私たちは、ちょっと複雑な家族なの。でも、私たちは、とっても仲良しだし、ジョージア
 様も二人にちゃんと愛情を注いでいるわよ?ねぇ、ジョージア様?」
「もちろんだよ。可愛い子どもたちだからね。三人とも」
「そういえば、1番下の子のお名前を聞いていませんでしたわ!」
「ネイトよ!秋と冬の間に生まれた子なの」
「ネイト、可愛いの!」


 頬をむぎゅっとしながら、アンジェラはニコッとするとみんながそれを見て微笑む。


「そういえば……エレーナの子どもは、どこに?」
「少し離れたところに泊まっていますので……でも、旦那様が帰ってくるまで動けませんから、どう
 しましょう?」
「こっちに宿屋を変えたらどうかしら?ニコライ、部屋に空きがあるか聞いてきてくれる?」
「大丈夫ですよ!手配ならすぐできます!エレーナ様、準備いたしましょうか?」
「……そうね、お願いできるかしら?」
「では、お部屋の準備をいたします。あとで馬車も準備しますから、お声をかけてください。馬車には、
 デリアさん、ついて行ってくれますか?」
「いいでしょうか?アンナ様」


 うん、お願い!とデリアにいうと、出かける準備をしてくれる。デリアさん、いつでも重いのだが、外に出かけるときはさらに重くなる。そこそこの投げナイフをそのスカートの下に仕込んであるのだ。当的は完ぺきなので、このへんの夜盗や盗賊くらいなら、デリア一人でもやっつけてしまうだろう。
 エレーナにも護衛がいることを考えても、デリアがついていくだけで大丈夫だと判断した。


「アンナ様、何から何まで、お世話になってしまって、返って申し訳ないです」
「いいのよ!エレーナには日頃から協力してもらっているのですもの!これくらい、たいしたことでは、
 ないわ!ノクトもやる気だったしね!」


 エレーナに微笑めば、恐縮しきっている。そこにニコライが馬車の用意ができたと言ってきたので、エレーナとデリアは自分たちが泊っている宿屋へと向かった。

 のこされたのは、ジョージアと私、ニコライに子どもたち。いざとなれば、動けるのは、私だけだな……と、立ち上がり、持ってきていた剣のところまで行く。


「ママ、どこいくの?」


 とたとたとついてきたアンジェラに、剣のところよ?というと、目を輝かせている。
 最近レオとミアが一緒にいないので、子ども用の模擬剣をもつこともないだ。アンジェラが既に模擬剣に興味を持っていて、たまに振り回しているのは、報告を受けてはいたが……まるで、自分の子どもの頃を見ているようで、少々頭が、痛い。
 ゆくゆくは、教えるつもりでいたのだが、少し興味を持つには早いようだ。


「ママ、ママ!アンも剣持つ!」
「アンジェラも?」


 コクコクと頷いているが、アンジェラが持てるようなものはなかった。子ども用の模擬剣も持ってきておらず、ここにあるのは、私の愛剣だけ。


「アンジェラは、危ないからダメよ!」


 すると、みるみるうちに目に涙が溜まっていった。


「アンジェラ、泣いたら何でも解決できると思ったら大間違いよ!今日は、アンジェラが使えるものは持ってないから、ニコライに明日、用意してもらいましょう!今日は、本を読むのはどうかしら?」
「やだ!それがいい!」


 私の愛剣を指さし、駄々をこねる。仕方がないので、剣が抜けないようにロックをかけて、アンジェラに渡すことにした。2歳の子どもには、かなり重いはずだが……と、心配しつつ見守ることにする。


「わかったわ!貸してあげる。でも、ママが返してって言ったら、ちゃんと返してね?」


 さっきまで、目に涙をためいていたのは誰だろう?と言いうほどのニッコリ笑顔にため息をついた。


 はいっと渡すと、案の定重かったようで、床に落としてしまった。軽めに作ってあるといっても真剣なのだから、子どもには、ましてや2歳の女の子にはかなり重い。
 うんぎゅぎゅぎゅ……と変な声を上げながら、剣をあげようとしたが、やはり、重いらしい。ぺたんと床に座って、膝の上に置くのがやっとのようだ。
 どうするんだろう?と見ていると、その様子を見ていたジョージアがクスクス笑っている。


「アンジー、それは、まだ無理だ。アンナみたいにしっかり体をつくらないと、持てないよ!」
「……アンじゃ持てないの?パパは、持てる?」
「もちろんだよ!」


 そういって、アンジェラと視線を合わせ、膝の上に乗っている私の剣をひょいっと持ち上げた。
 型はできると言っていたジョージアは、そのまま、少しだけ剣をふり、剣術の型をしてくれる。
 初めて見るジョージアのそんな姿に、私は驚いた!これは、体を動かす授業のときは、さぞかし、黄色い声援が飛んだことだろう。



「お話の王子様みたい!」
「ジョージ、ありがとう!アンナにもそんな風に見えてるといいけど……」
「ふふっ、見えてますよ!いつも、私の王子様に」
「アンも、アンも見える!」


 駆け寄ろうとした、アンジェラを剣の間合いから遠ざける。このままジョージアに駆け寄ると確実に頭を叩かれるだろう。
 真剣に鞘はあれど、痛いに決まっている。といか、痛い……お母様の間合いに入って私自身、実証済みなので、我が子には、そういう痛い思いはも少し後でもいいだろうと止めたのだ。


「ジョージア様、上手ですね?もう少しだけ、膝を曲げて腰が落とせるといいですよ!それじゃあ、ただの踊りですからね!」
「剣のこととなると、手厳しいな……」
「今度、レオを一緒にする朝の練習、混じってみたらどうですか?」
「……出来の悪い生徒なので、邪魔はしないでおくよ!」



 苦笑いと共に、私の剣を返してくれた。軽い剣だね?というので、私に合わせてつくられていますからね!と微笑んでおく。
 今のところ、出番らしい出番は無く、済んでいる。いずれは、アンジェラに渡すつもりではあるが、今日、私の剣にアンジェラが興味を持ったことが嬉しかった。
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