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エレーナとの再会

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 貴族たちは、社交の真っ最中。
 ローズディア筆頭公爵家であるアンバーもその社交の場にいるはずなのに、今は、家族総出で瑞々しいリンゴに舌鼓しているところだった。


「ここのリンゴは、本当に美味しいわね!」
「アップルティーなど作ってみましょうか?」
「わぁ!素敵!飲んでみたいわ!」
「甘そうじゃない?リンゴって、お酒も甘いし」


 私はジョージアにニッコリ笑いかけると、そうでしたと言っている。
 甘いものが大好きな私。リンゴの自然な甘さは体にもいいだろう。


「では、今日の夕食後に作ってみますね!」


 デリアに頷くと、準備しておきますと微笑んでくれた。


「今日は、エレーナと会う予定なのだけど、デリアとノクトはここで子どもたちを見ていてくれるかしら?」
「ニコライもそっちか?」
「えぇ、ニコライが今回、仲立ちだからね!まぁ、私もジョージア様も知ってるから!」
「えっ?」
「えっ?」
「エレーナさんって、双子のお母さん……?」
「そうですよ?ジョージア様も知ってる人ですよ?あれ……?知りませんでしたか?」


 私はジョージアを見ながら、話さなかっただろうか……?と、考えてみたが……ジョージアは首を傾げている。


「会ってみればわかりますよ!今日は、公爵仕様ですからね!」


 デリアが準備します!と私のドレスとジョージアのスーツを出してくる。今着ている私たちの服装は、どう見ても領民より少しだけいい服だ。


「ノクトとニコライは、少し外に行っていてください!アンナ様のお着替えがありますから!」


 そういって部屋から追い出される二人にごめんねと苦笑いすると、とんでもございません、公爵様と茶化して出て行った。


「では……」


 デリアが、貴族らしく整えてくれ、私たちは、出かける準備が出来た。アンジェラもジョージも着替えているのをずっと見ていたので、自分たちも!と言い始める。
 今日は、久々に友人と会うので、お留守番なのだけど……それを言うと、ぐずりそうである。


「ママー!アンも?」
「アンジェラは、ママたちが帰ってくる少し前に着替えましょうね!」


 すると、やはりご機嫌が急降下している。熱を出してから、外に出していないことで、拗ねているのだが……これは、と戦々恐々した。


「アンジェラは、今日はお留守番だよ!明日は、ママにお外へ連れて行ってもらおう!大きなリンゴ
 狩りにでも連れて行ってもらって、なっ?」
「パパ、約束?」
「あぁ、約束だな!アンジーはリンゴ好き?」
「好き!」
「じゃあ、明日、楽しみにして、ノクトおじいちゃんと遊んでいてくれ!」


 わかった!と元気よく返事するアンジェラ。
 上手に話を纏めてしまったジョージアに感心した。


「これでも、アンジーやジョージと一緒にいる時間が長いからね!」
「助かります」
「じゃあ、お留守番よろしくね!アンジーもジョージもデリアのいうことを聞くんだよ?」


 はいっ!と返事をする二人の我が子を見て微笑むと行ってらっしゃいと舌ったらずに言ってくれたので、行ってきます!と手を振り部屋からでた。



 ◇◆◇◆◇



「こちらになります」


 ニコライに先導され、部屋に入ると既にエレーナは来ていた。
 部屋に入ると、座っていたのに、立ち上がる。


「アンナ様!」
「エレーナ!」


 久しぶりに会ったエレーナと再開を喜ぶと、その様子を隣で見ていた侯爵が苦笑いだ。逆にジョージアは見慣れた後継なので、微笑んで見守ってくれていた。


「アンナ様、お元気でしたか?お手紙ばかりで、なかなか会うことも出来ませんでしたから……
 ニコライからは、よくアンナ様の様子を聞き及んでいたのですけど、会いたくて!」
「エレーナ……少し落ち着いて」


 優しそうに侯爵がエレーナの肩を叩くと、私としたことが……と恥ずかしそうに頬に両手を当てている。


「アンナ、座ろうか?」


 ジョージアもひと段落したことを見計らって、声をかけてくれた。


「アンナ様、紹介させていただきます。夫のルイジ・クロックです。旦那様、こちらが、アンバー公爵
 ジョージア様とアンナリーゼ様です。アンナリーゼ様は、トワイスのフレイゼン侯爵の妹ですよ!」
「初めまして、アンバー公爵」
「「初めまして」!」


 アンバー公爵と言われたため、私たちは同時に挨拶してしまったことで、顔を見合わせてしまった。


「すみません、両方アンバー公爵でして……私から……アンナリーゼと申します」
「これは、失礼いたしました!」
「いつものことなのですから、大丈夫です」
「すみません……旦那様……」


 エレーナが申し訳なさそうに、旦那さんの腕をパシンと叩くと二人でペコリと頭を下げてくれた。


「いいのですよ!それより、私もトワイス以来に会う約束で、今日を楽しみにしていたの!
 元気にしていたようね!顔を見ればわかるわ!よい旦那様に嫁げたようでよかった!」
「おかげ様で、私のことをとても大事にしてくださいます」
「本当に、よかった……」


 微笑みかけると、ジョージアがあっ!っと声を出した。


「どうかされましたか?」


 私が、代表してジョージアに聞くと、……うん、ごめん、急に大きな声出してと謝った。
 目を見ていると、何かを訴えてきているのがわかる。
 私にニコッとして、わかっても言うなと目で訴えた。わかってくれたのか、誤魔化すようにジョージアも二人に向き直り、ニコリと笑う。貴公子よろしく!の笑顔は、何でもありだ。


「双子ちゃんのお母さん……だったかな?」
「……えぇ、そうですけど」
「あの、私も子どもを産んだんだけど……」
「えぇ、知ってますけど?」


 微妙な空気になってしまって、どうしたらとなっていたら、ルイジがフォローをしてくれる。


「うちの子たちの名付け親は、アンナリーゼ様なのですよ!」
「えっ?アンナが?」
「そうです!男の子と女の子の双子でして、マーフィーとリアーナという名前を頂戴しております。
 今日は二人を連れてきていますから、良かったら、会ってくれていただけますか?」
「もちろんです!うちも、双子みたいなもので……」
「ん?双子ですか?」
「あぁ、うん、ちょっと、いろいろありまして……」


 また、微妙な空気に包まれるが、私は、微笑んだ。


「今は、三人の子どもに恵まれてとても幸せですよ!」


 ランチを食べた後、お互いの子どもを会わせることになった。
 それまでに、私たちも今後の話をしないとことに思いたち、ニコライが話を仕切ってくれたのである。
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