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サトウと申します
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視察を終え石切りの町を出て、次はユービスの仕切っている町へと移動する。
こちら側から行くと、町の前に3階建ての大きな建物が建っている。そこは、ノクトとイチアが連れてきてくれた砂糖農家と砂糖を作る職人の住む家だった。
「あれは、なんです?」
スキナは初めて見るその建物に驚いていた。
大きな建物は、領地で言えば領主の屋敷くらいしかないからだ。
「あれは、インゼロ帝国から受入れた農家と職人が住んでいる家よ!」
「インゼロ帝国ですか?それは、亡命ということですか?」
「違うわ!なんて言ったらいいのかしら?イチア」
「それを私に振りますか……?」
「えぇ、私にあの人たちを与えてくれたのは、他でもないノクトとあなたですもの!」
「確かに……」
「どういうことですか?」
「私の直属の上司に当たるのは、今はアンナリーゼ様ですが、その前は、インゼロ帝国のインゼロ帝国に
おいて常勝将軍と言われたノクト将軍。皇弟でもあり公爵でもあります」
「あのおじさん……って言ったらだめなのか。あの方が、噂に聞く常勝将軍……ということは、あなたは
さしずめ、軍師というところですか?」
「そうですね。そんなものです。それで、私の上司が、小競り合いのときにウィル様とセバス様を大変
気に入ったのです」
「ちょっと、待って!セバスも狙っていたの?」
「言っていませんでしたか?」
聞いてませんと慌てる私にイチアはしれっとしている。
「それで、どうなったのです?」
「その後、ウィル様をかいして、アンナリーゼ様より手紙をもらって、また、そこで、ノクト様が、
アンナリーゼ様を気に入りまして……全てを投げ出してアンナリーゼ様の配下に加わったのです。
アンナリーゼ様が、私たちを受入れてくれたので、それなら、アンナリーゼ様が求めるものをと
なったら、砂糖だということで……輸入を優先的にというのかと思えば、そんなの要らないから、
種と苗をくれって言うのですよ。そんな領主っていますか?」
目をぱちくりとしながら聞いているスキナ。確かに、おかしなものだろう。
物を仕入れた方が早いし、いいに決まっている。何故か、領地で作るというのは、十中八九ない判断だ。
「アンナリーゼ様、聞いてもいいですか?」
「えぇ、いいわよ!何かしら?」
「何故、種や苗だったのです?」
「まず、この領地には、お金がないのよ……領地で作れる砂糖を手に入れると、他領へ売れる。何より、
アンバー領って物価が高かったから、砂糖とか大きめの宝石が買えるくらいの値段だったんだよ。
それなら、領地で作って売れれば、手間はあるけど、お金も入る。砂糖ってどこも輸入に頼っている
から高いしね。国産にして、ある程度の安値になったら、売れやすいでしょ?
ふふ、それにヨハンとの賭けでもあったのよ!種や苗を手に入れたら、作れるようにしてくれるって」
「そんな賭けをしていたのですか?ヨハンさん……」
「よくするわよ!資金提供とかなんやかんやでね。でも、何故かノクトが、農家も職人もつけてくれる
って言ったから、早速お試しで去年作ったの。思った以上にうまくいったのよね!」
イチアに同意を求めると頷いている。イチアも1年目からうまくいくとは思ってもみなかったので、驚いていたらしい。
「それで、農家の人や職人たち、家族を含め、住むところがなかったから、急ごしらえではあったん
だけど、住む場所を作ったのよ」
「……なるほど、それで、あの建物なのですね?」
「そうそう。急ごしらえとはいえ、ちゃんと大工さんたちがしっかり安全を考えて作ってくれている
からね!安心して生活はできるわ!」
スキナは、驚きが多いようで固まっている。処理が追いついてないようだ。
私とイチアは馬車から降りる。
「ほら、スキナ、降りて!今から、砂糖の種まきが終わった報告を聞いているから、もしかしたら
芽が出ているかもしれないわよ!」
早く早くと馬車からスキナを馬車から出し、私たちは畑へと向かう。
去年より明らかに耕してある畑が大きくなった。見渡す限り畑になっているのだ。
「あっ!アンナリーゼ様!」
「こんにちは!えっと……」
「サトウと申します!」
「サトウ?さん?」
「あっ、はい。あの農家を纏めさせていただいてます」
「そうなのね!ごめんなさいね……把握出来ていなくて……」
「いえいえ、大丈夫ですよ!私たちは、いわば敵国から来た人間です。こんなに待遇良く受入れて
くれたこと、感謝します!妻も工場の方で、すごく生き生きと仕事をさせていただいて……」
「奥さんも砂糖を作る職人?」
「はい、妻は工場長をしております。ノクト様にお声をかけていただいたおかげで、辞めようとして
いた私たちに希望を与えていただけました。このような広大な土地で、農作物が出来る喜びは、何
にも代えがたいです」
「アンナリーゼ様、ここでは、砂糖の栽培以外にも畑が大きく取れるので他の物も作っています。
なるべく地産地消が出来ることを目標にされていたので、ヨハン教授と共に作れるもの、需要を
増やしたいものを積極的に作付けしていますよ!」
知らないうちにイチアたちも動いてくれていたようで、ヨハンに意見を聞き、新しい作物も作っているようだった。
ここらの農家も手伝ってくれているようで、広い畑でもなんとか回せているようだ。
「砂糖の方はどうかしら?上手く成長している?」
「えぇ、えぇ、おかげさまですくすく育っていますよ!見ていかれますか?」
もちろん!と答えるとサトウは微笑み、こちらにと案内をしてくれる。
私の他にイチアとスキナ、ウィルが続く。去年は草まるけだった土地も1年の間に整備されたようで、とても綺麗になっていることに驚いたのであった。
こちら側から行くと、町の前に3階建ての大きな建物が建っている。そこは、ノクトとイチアが連れてきてくれた砂糖農家と砂糖を作る職人の住む家だった。
「あれは、なんです?」
スキナは初めて見るその建物に驚いていた。
大きな建物は、領地で言えば領主の屋敷くらいしかないからだ。
「あれは、インゼロ帝国から受入れた農家と職人が住んでいる家よ!」
「インゼロ帝国ですか?それは、亡命ということですか?」
「違うわ!なんて言ったらいいのかしら?イチア」
「それを私に振りますか……?」
「えぇ、私にあの人たちを与えてくれたのは、他でもないノクトとあなたですもの!」
「確かに……」
「どういうことですか?」
「私の直属の上司に当たるのは、今はアンナリーゼ様ですが、その前は、インゼロ帝国のインゼロ帝国に
おいて常勝将軍と言われたノクト将軍。皇弟でもあり公爵でもあります」
「あのおじさん……って言ったらだめなのか。あの方が、噂に聞く常勝将軍……ということは、あなたは
さしずめ、軍師というところですか?」
「そうですね。そんなものです。それで、私の上司が、小競り合いのときにウィル様とセバス様を大変
気に入ったのです」
「ちょっと、待って!セバスも狙っていたの?」
「言っていませんでしたか?」
聞いてませんと慌てる私にイチアはしれっとしている。
「それで、どうなったのです?」
「その後、ウィル様をかいして、アンナリーゼ様より手紙をもらって、また、そこで、ノクト様が、
アンナリーゼ様を気に入りまして……全てを投げ出してアンナリーゼ様の配下に加わったのです。
アンナリーゼ様が、私たちを受入れてくれたので、それなら、アンナリーゼ様が求めるものをと
なったら、砂糖だということで……輸入を優先的にというのかと思えば、そんなの要らないから、
種と苗をくれって言うのですよ。そんな領主っていますか?」
目をぱちくりとしながら聞いているスキナ。確かに、おかしなものだろう。
物を仕入れた方が早いし、いいに決まっている。何故か、領地で作るというのは、十中八九ない判断だ。
「アンナリーゼ様、聞いてもいいですか?」
「えぇ、いいわよ!何かしら?」
「何故、種や苗だったのです?」
「まず、この領地には、お金がないのよ……領地で作れる砂糖を手に入れると、他領へ売れる。何より、
アンバー領って物価が高かったから、砂糖とか大きめの宝石が買えるくらいの値段だったんだよ。
それなら、領地で作って売れれば、手間はあるけど、お金も入る。砂糖ってどこも輸入に頼っている
から高いしね。国産にして、ある程度の安値になったら、売れやすいでしょ?
ふふ、それにヨハンとの賭けでもあったのよ!種や苗を手に入れたら、作れるようにしてくれるって」
「そんな賭けをしていたのですか?ヨハンさん……」
「よくするわよ!資金提供とかなんやかんやでね。でも、何故かノクトが、農家も職人もつけてくれる
って言ったから、早速お試しで去年作ったの。思った以上にうまくいったのよね!」
イチアに同意を求めると頷いている。イチアも1年目からうまくいくとは思ってもみなかったので、驚いていたらしい。
「それで、農家の人や職人たち、家族を含め、住むところがなかったから、急ごしらえではあったん
だけど、住む場所を作ったのよ」
「……なるほど、それで、あの建物なのですね?」
「そうそう。急ごしらえとはいえ、ちゃんと大工さんたちがしっかり安全を考えて作ってくれている
からね!安心して生活はできるわ!」
スキナは、驚きが多いようで固まっている。処理が追いついてないようだ。
私とイチアは馬車から降りる。
「ほら、スキナ、降りて!今から、砂糖の種まきが終わった報告を聞いているから、もしかしたら
芽が出ているかもしれないわよ!」
早く早くと馬車からスキナを馬車から出し、私たちは畑へと向かう。
去年より明らかに耕してある畑が大きくなった。見渡す限り畑になっているのだ。
「あっ!アンナリーゼ様!」
「こんにちは!えっと……」
「サトウと申します!」
「サトウ?さん?」
「あっ、はい。あの農家を纏めさせていただいてます」
「そうなのね!ごめんなさいね……把握出来ていなくて……」
「いえいえ、大丈夫ですよ!私たちは、いわば敵国から来た人間です。こんなに待遇良く受入れて
くれたこと、感謝します!妻も工場の方で、すごく生き生きと仕事をさせていただいて……」
「奥さんも砂糖を作る職人?」
「はい、妻は工場長をしております。ノクト様にお声をかけていただいたおかげで、辞めようとして
いた私たちに希望を与えていただけました。このような広大な土地で、農作物が出来る喜びは、何
にも代えがたいです」
「アンナリーゼ様、ここでは、砂糖の栽培以外にも畑が大きく取れるので他の物も作っています。
なるべく地産地消が出来ることを目標にされていたので、ヨハン教授と共に作れるもの、需要を
増やしたいものを積極的に作付けしていますよ!」
知らないうちにイチアたちも動いてくれていたようで、ヨハンに意見を聞き、新しい作物も作っているようだった。
ここらの農家も手伝ってくれているようで、広い畑でもなんとか回せているようだ。
「砂糖の方はどうかしら?上手く成長している?」
「えぇ、えぇ、おかげさまですくすく育っていますよ!見ていかれますか?」
もちろん!と答えるとサトウは微笑み、こちらにと案内をしてくれる。
私の他にイチアとスキナ、ウィルが続く。去年は草まるけだった土地も1年の間に整備されたようで、とても綺麗になっていることに驚いたのであった。
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