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戴冠式はやっぱりわちゃわちゃ!
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指定された席に案内され、私たちはその席に座る。
ただ、増えた人数分の椅子は用意されておらず、貴族でありながらウィルを始めナタリーとセバスは私の後ろに立っている。
まず、私の右横にはノクトが護衛として立つと、ガタイのいいおじさんはとても目立つ。
左隣には、中隊長の正装でウィルが立った。
公室の誰に沿うわけでもなく、一公爵である私の隣に中隊長がつくのは異例中の異例であることはみなが思っただろう。
後ろを囲うようにナタリーとセバス、パルマが立ってくれる。
「なんだか、物々しいね……」
間にノクトが立っているからか、ジョージアが若干覗き込むようにこちらを向いて話しかけてきた。
「そうですね……嬉しいですけどね!友人達も近くにいてくれて!心強いです!」
ジョージアに笑いかける。
「そういや、おっさんさ、薔薇もらったの?」
今度はウィルがノクトへ質問を投げかけている。
頭の上でなされる会話。
「えっ!もらったんですか?」
「ホントに?何もらったんです?」
セバスとナタリー、パルマの薔薇持ちの三人が興味深そうにノクトへ視線を送る。
ジョージアも聞こえていたのか、ノクトを見上げていた。
「ふふ……みんな、そんなに薔薇に興味があるの?」
私は思わず笑ってしまったが、私の信用の証である薔薇には一様に興味があるらしい。
「あるだろ?それによって扱いも変わるだろうし。
まぁ、おっさんとイチアは、すぐもらえるだろうってふんでたけどさ。
何もらったんだ?もったいぶるなって!」
「ふっ。ウィルと同じくピアスだ。
まさか、このタイミングでくれるとは思っていなかったから粋なはからいをして
くれよるよな!」
「褒めていただき光栄ですわ!」
私はクスっと笑うとみなが微笑んでいる。
「みんな、アンナから薔薇をもらってるのに俺だけ、もらえないんだよね?」
隣でぼやくジョージアに私は笑いかける。
「私は、ジョージア様から青薔薇をいただいてますわ!
それが何よりの証だと思っていますけど……違いますか?」
ジョージアの左耳に光る青薔薇のピアスと私の左耳に光るピアスは、対になっている。
あの卒業式のときの青薔薇たちなのだが、私のピアスホールが3つあったことで、4つ作らないといけなくなったらしい。
その片割れをずっとしまってあったらしく、ジョージアは紫薔薇を自慢されるので、青薔薇のピアスを付けているのだ。
他に青薔薇のピアスを付けているものは、いない。
ゆえに、特別なのだが……ジョージアは、そうは思わないらしい。
「アンナとお揃いで我慢しておくよ!」
「私とお揃いでは、ダメなのですか?」
少しむくれた顔をジョージアに向けると、とんでもないと苦笑いが返ってくる。
ただ、ジョージアも信用の証として紫薔薇が欲しいようなので、何か渡すものを考えた方がいいのかもしれない。
青薔薇は私にとって特別だと何度言っても、ジョージア様にはあまり伝わっていないようだった。
長らく雑談をしていると、大広間に鐘の音が響く。
いよいよ戴冠式の始まりのようで、ざわざわしていた大広間も一瞬のうちに静かになった。
「公世子様の御入場です!」
宰相の声が響いたあと、大広間の扉が開く。
正装した公世子と公世子妃が並んでみなに見えるようゆっくり歩く。
正面に設えられた舞台には、すでに公が待っていた。
緊張の面持ちで、私たちの隣を過ぎたとき、公世子が私をチラッと見て、ため息をついたことを見逃したりしない。
きっと、厳重に守られている私を見て、ため息着いたのだろう。
公世子の後ろを歩くエリックと目があった瞬間、公世子の後ろを歩かないといけないことを残念に思っているような顔でこちらを見ていた。
そう、ウィルとノクトを羨むような視線を送っていたのだ。
パルマとも目があったのか、エリックの口角が少しだけ上がっているのが見て取れた。
エリックは、護衛も兼ねているが、公世子の剣を持つ役割が主な仕事だろう。
公世子が公になったあかつきには、若くして近衛の頂に席を用意されることとなった。
異例の大出世であり、ウィルがいつの間にかエリックの部下という関係になったのだ。
ウィルは、気にしないだろう。望んでアンバー領へ借りだされてくれているのだし、自身が蹴った役職でもある。
本来なら、貴族位を持つウィルの方が相応しいのだろうが、エリックの才能を持ってして庶民から成り上がったのだ。
聞くに、エリックも庶民と言うだけで、しなくてもいい苦労もしているらしい。
それでも、頂にとがむしゃらに努力をしてくれたのは、私との約束もあったからかもしれない。
「アンジェラの指南役は、えらく高い役職になったわね……」
「姫さんが望んだことだろ?」
「えぇ、そうね!エリックは、私の期待に応えてくれた。何か返すべきね!」
「アイツは……エリックは、子どものときのように姫さんに抱きついて頑張ったねって
言ってもらえれば十分だと思うよ!」
「ウィル、何かよからぬことが聞こえて来たけど?」
「エリックっていつもそうじゃんね?」
「えぇ、そうね……いつも、そう。要求が変わらなさ過ぎて、たまにこちらが戸惑うわ」
「姫さんに認めてもらう。それがアイツの最上級の願いなんだ。
受け取ってやってくれればいいさ」
「それが、抱擁って……いい年の男が、夫人にそれはダメじゃない?」
「いいんですよ!それがご褒美なんで!ハグだけですからね!クリーンなお付き合いです」
そういう問題じゃないんだよ……なんて、ジョージアは言うけど……夜会で可愛らしいお嬢様方に抱きつかれて満更でもない顔をしているのと、何が違うのか問いただしたくなる。
「ほら、始まりますよ!」
ナタリーに言われ、私たちは公と公世子の方を見た。
こうやって並んでみると、やっぱり似ているのだなとどうでもいい感想をいだいてしまう。
「この良き日に、我が公国に新しい先導者をたてることとあいなった。
公世子、エコパに公国の未来を託す。
ハニーローズが我が公国へ生まれ落ちた。
その意味を十分に考え、民が安らぐ国づくりを隣国と共に……
アンバーの宝剣をこれに!」
初代女王が持っていたとされるあの剣は、この公国の公である証となるものだ。
本来、それは、ハニーローズの家系であるアンバー公爵家が受け継ぐことが正しいのであるのだが……あるところがわかっていれば、誰が管理していても構わないだろう。
「公世子よ……前へ……」
公の前に傅く公世子をみなが見ている。
どんな国へと導くのだろう?どうやって貶めてやろう?どうすれば甘い汁をすえるのだろうか?送る視線の意味合いは人それぞれであるのだが、出会った頃に比べ甘さの消えつつある公世子は、公としてこの国にたつに相応しくなったのではないだろうか?
これから、古だぬきとの化かしあいはあるだろうけど……新しい公を支えたいと思う臣下も多いことは知っている。
また、そういう臣下を引き上げて来たのも事実だ。
今、公からアンバーの宝剣が渡され、公世子から公へとなったのであった。
新しく公となったエコパは集まった貴族たちに見せるかの如く、宝剣を高々と掲げる。
それをみた貴族たちは歓喜し、喝采を贈る。
鳴り止んだ頃、一段下で待っていた公世子妃改め公妃が隣にたつ。
「公は、公妃を返るって言ってたけど、結局替えなかったのね。公爵に押されたという
感じかしらね?」
私は、公の隣に並び傲慢的な笑みを浮かべている公妃を見て笑ってしまった。
「アンナよ、そうは言ってやるな。確か、二妃の実家は位が高くないのであろう?」
「そうなのよね……位が高くて、あの高慢ちきに太刀打ちできる妃が欲しかったところね」
腕を組んで、うーんと唸ると周りからため息が漏れてくる。
何かしらと周りを見渡すと、みなが一様に私を見つめている。
「どう考えても、あれに太刀打ちできるのはアンナリーゼ様以外にいませんよ!」
「姫さんに睨まれたら、あのおばさんも蛙のように黙るのにな」
「めんどうな人が上になりましたよね……後宮は、さぞ大変なんでしょうね?」
「他人事だと思って、私、独身だからたまにあの巣窟に行かないといけないのよ!」
やいのやいのと言っているが……貴族であるウィルとセバスはまだしも、公妃のお茶会に参加しないといけない私とナタリーは肩を落とした。
「んじゃ、今からでも私が公妃になりますわ!なんて言ってきたらどうだ?
公世子……おっと、公は泣いて喜ぶぞ?」
「泣いて喜ぶのは嬉しくてじゃなくて、面倒事を持ち込んでくるって意味で泣くんじゃ
ないかしら?」
「その前に、俺の奥さん、勝手に公へ嫁がさないでくれない?ずっと、隣にいてもらう
予定なのに、みんな寄ってたかって……」
「そうですよ!私はジョージア様の隣で、自由気ままに遊ぶのです!
大体、公妃になってなんの得があるのか……
外に遊びにいけない、義務や義理もたてないといけないうえに、魔の巣窟に住まないと
いけないのよ!
私は、自由に飛び回っていたいわ!」
「あの……アンナさん?それって……俺が……」
「ジョージア様ありきです。じゃないと、安心して遊びにでれないじゃにですか!」
私の言い分に友人たちは笑い、ジョージアは肩を落とし、ディルは見守ってくれる。
ノクトに至っては、次はどこに遊びに行くのかの相談まで始めようとしていた。
戴冠式の最中、私たちの周りだけやたらのわちゃわちゃと騒いでいるので、公妃に睨まれる。
「みんな、静かに……公妃様に目を付けられますよ!」
「もう、遅いとおもうけどなぁー」
ノクトも訳知り顔でほくそ笑み、みなも何故かウィルの言葉に頷いている。
もう、遅いのか……がっくり肩を落として私たちは公となったエコパの言葉を聞くのであった。
ただ、増えた人数分の椅子は用意されておらず、貴族でありながらウィルを始めナタリーとセバスは私の後ろに立っている。
まず、私の右横にはノクトが護衛として立つと、ガタイのいいおじさんはとても目立つ。
左隣には、中隊長の正装でウィルが立った。
公室の誰に沿うわけでもなく、一公爵である私の隣に中隊長がつくのは異例中の異例であることはみなが思っただろう。
後ろを囲うようにナタリーとセバス、パルマが立ってくれる。
「なんだか、物々しいね……」
間にノクトが立っているからか、ジョージアが若干覗き込むようにこちらを向いて話しかけてきた。
「そうですね……嬉しいですけどね!友人達も近くにいてくれて!心強いです!」
ジョージアに笑いかける。
「そういや、おっさんさ、薔薇もらったの?」
今度はウィルがノクトへ質問を投げかけている。
頭の上でなされる会話。
「えっ!もらったんですか?」
「ホントに?何もらったんです?」
セバスとナタリー、パルマの薔薇持ちの三人が興味深そうにノクトへ視線を送る。
ジョージアも聞こえていたのか、ノクトを見上げていた。
「ふふ……みんな、そんなに薔薇に興味があるの?」
私は思わず笑ってしまったが、私の信用の証である薔薇には一様に興味があるらしい。
「あるだろ?それによって扱いも変わるだろうし。
まぁ、おっさんとイチアは、すぐもらえるだろうってふんでたけどさ。
何もらったんだ?もったいぶるなって!」
「ふっ。ウィルと同じくピアスだ。
まさか、このタイミングでくれるとは思っていなかったから粋なはからいをして
くれよるよな!」
「褒めていただき光栄ですわ!」
私はクスっと笑うとみなが微笑んでいる。
「みんな、アンナから薔薇をもらってるのに俺だけ、もらえないんだよね?」
隣でぼやくジョージアに私は笑いかける。
「私は、ジョージア様から青薔薇をいただいてますわ!
それが何よりの証だと思っていますけど……違いますか?」
ジョージアの左耳に光る青薔薇のピアスと私の左耳に光るピアスは、対になっている。
あの卒業式のときの青薔薇たちなのだが、私のピアスホールが3つあったことで、4つ作らないといけなくなったらしい。
その片割れをずっとしまってあったらしく、ジョージアは紫薔薇を自慢されるので、青薔薇のピアスを付けているのだ。
他に青薔薇のピアスを付けているものは、いない。
ゆえに、特別なのだが……ジョージアは、そうは思わないらしい。
「アンナとお揃いで我慢しておくよ!」
「私とお揃いでは、ダメなのですか?」
少しむくれた顔をジョージアに向けると、とんでもないと苦笑いが返ってくる。
ただ、ジョージアも信用の証として紫薔薇が欲しいようなので、何か渡すものを考えた方がいいのかもしれない。
青薔薇は私にとって特別だと何度言っても、ジョージア様にはあまり伝わっていないようだった。
長らく雑談をしていると、大広間に鐘の音が響く。
いよいよ戴冠式の始まりのようで、ざわざわしていた大広間も一瞬のうちに静かになった。
「公世子様の御入場です!」
宰相の声が響いたあと、大広間の扉が開く。
正装した公世子と公世子妃が並んでみなに見えるようゆっくり歩く。
正面に設えられた舞台には、すでに公が待っていた。
緊張の面持ちで、私たちの隣を過ぎたとき、公世子が私をチラッと見て、ため息をついたことを見逃したりしない。
きっと、厳重に守られている私を見て、ため息着いたのだろう。
公世子の後ろを歩くエリックと目があった瞬間、公世子の後ろを歩かないといけないことを残念に思っているような顔でこちらを見ていた。
そう、ウィルとノクトを羨むような視線を送っていたのだ。
パルマとも目があったのか、エリックの口角が少しだけ上がっているのが見て取れた。
エリックは、護衛も兼ねているが、公世子の剣を持つ役割が主な仕事だろう。
公世子が公になったあかつきには、若くして近衛の頂に席を用意されることとなった。
異例の大出世であり、ウィルがいつの間にかエリックの部下という関係になったのだ。
ウィルは、気にしないだろう。望んでアンバー領へ借りだされてくれているのだし、自身が蹴った役職でもある。
本来なら、貴族位を持つウィルの方が相応しいのだろうが、エリックの才能を持ってして庶民から成り上がったのだ。
聞くに、エリックも庶民と言うだけで、しなくてもいい苦労もしているらしい。
それでも、頂にとがむしゃらに努力をしてくれたのは、私との約束もあったからかもしれない。
「アンジェラの指南役は、えらく高い役職になったわね……」
「姫さんが望んだことだろ?」
「えぇ、そうね!エリックは、私の期待に応えてくれた。何か返すべきね!」
「アイツは……エリックは、子どものときのように姫さんに抱きついて頑張ったねって
言ってもらえれば十分だと思うよ!」
「ウィル、何かよからぬことが聞こえて来たけど?」
「エリックっていつもそうじゃんね?」
「えぇ、そうね……いつも、そう。要求が変わらなさ過ぎて、たまにこちらが戸惑うわ」
「姫さんに認めてもらう。それがアイツの最上級の願いなんだ。
受け取ってやってくれればいいさ」
「それが、抱擁って……いい年の男が、夫人にそれはダメじゃない?」
「いいんですよ!それがご褒美なんで!ハグだけですからね!クリーンなお付き合いです」
そういう問題じゃないんだよ……なんて、ジョージアは言うけど……夜会で可愛らしいお嬢様方に抱きつかれて満更でもない顔をしているのと、何が違うのか問いただしたくなる。
「ほら、始まりますよ!」
ナタリーに言われ、私たちは公と公世子の方を見た。
こうやって並んでみると、やっぱり似ているのだなとどうでもいい感想をいだいてしまう。
「この良き日に、我が公国に新しい先導者をたてることとあいなった。
公世子、エコパに公国の未来を託す。
ハニーローズが我が公国へ生まれ落ちた。
その意味を十分に考え、民が安らぐ国づくりを隣国と共に……
アンバーの宝剣をこれに!」
初代女王が持っていたとされるあの剣は、この公国の公である証となるものだ。
本来、それは、ハニーローズの家系であるアンバー公爵家が受け継ぐことが正しいのであるのだが……あるところがわかっていれば、誰が管理していても構わないだろう。
「公世子よ……前へ……」
公の前に傅く公世子をみなが見ている。
どんな国へと導くのだろう?どうやって貶めてやろう?どうすれば甘い汁をすえるのだろうか?送る視線の意味合いは人それぞれであるのだが、出会った頃に比べ甘さの消えつつある公世子は、公としてこの国にたつに相応しくなったのではないだろうか?
これから、古だぬきとの化かしあいはあるだろうけど……新しい公を支えたいと思う臣下も多いことは知っている。
また、そういう臣下を引き上げて来たのも事実だ。
今、公からアンバーの宝剣が渡され、公世子から公へとなったのであった。
新しく公となったエコパは集まった貴族たちに見せるかの如く、宝剣を高々と掲げる。
それをみた貴族たちは歓喜し、喝采を贈る。
鳴り止んだ頃、一段下で待っていた公世子妃改め公妃が隣にたつ。
「公は、公妃を返るって言ってたけど、結局替えなかったのね。公爵に押されたという
感じかしらね?」
私は、公の隣に並び傲慢的な笑みを浮かべている公妃を見て笑ってしまった。
「アンナよ、そうは言ってやるな。確か、二妃の実家は位が高くないのであろう?」
「そうなのよね……位が高くて、あの高慢ちきに太刀打ちできる妃が欲しかったところね」
腕を組んで、うーんと唸ると周りからため息が漏れてくる。
何かしらと周りを見渡すと、みなが一様に私を見つめている。
「どう考えても、あれに太刀打ちできるのはアンナリーゼ様以外にいませんよ!」
「姫さんに睨まれたら、あのおばさんも蛙のように黙るのにな」
「めんどうな人が上になりましたよね……後宮は、さぞ大変なんでしょうね?」
「他人事だと思って、私、独身だからたまにあの巣窟に行かないといけないのよ!」
やいのやいのと言っているが……貴族であるウィルとセバスはまだしも、公妃のお茶会に参加しないといけない私とナタリーは肩を落とした。
「んじゃ、今からでも私が公妃になりますわ!なんて言ってきたらどうだ?
公世子……おっと、公は泣いて喜ぶぞ?」
「泣いて喜ぶのは嬉しくてじゃなくて、面倒事を持ち込んでくるって意味で泣くんじゃ
ないかしら?」
「その前に、俺の奥さん、勝手に公へ嫁がさないでくれない?ずっと、隣にいてもらう
予定なのに、みんな寄ってたかって……」
「そうですよ!私はジョージア様の隣で、自由気ままに遊ぶのです!
大体、公妃になってなんの得があるのか……
外に遊びにいけない、義務や義理もたてないといけないうえに、魔の巣窟に住まないと
いけないのよ!
私は、自由に飛び回っていたいわ!」
「あの……アンナさん?それって……俺が……」
「ジョージア様ありきです。じゃないと、安心して遊びにでれないじゃにですか!」
私の言い分に友人たちは笑い、ジョージアは肩を落とし、ディルは見守ってくれる。
ノクトに至っては、次はどこに遊びに行くのかの相談まで始めようとしていた。
戴冠式の最中、私たちの周りだけやたらのわちゃわちゃと騒いでいるので、公妃に睨まれる。
「みんな、静かに……公妃様に目を付けられますよ!」
「もう、遅いとおもうけどなぁー」
ノクトも訳知り顔でほくそ笑み、みなも何故かウィルの言葉に頷いている。
もう、遅いのか……がっくり肩を落として私たちは公となったエコパの言葉を聞くのであった。
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