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コンテとおっしゃいます?
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ジョージアがアンバー領へと帰ってくれ、騒がしかった屋敷内も少しだけ落ち着いた。
ただ、外の様子は変わらず、今はディルとノクトが代わる代わる門へ立ってくれる。
私が出て行った方が……早くかたが着くのではないだろうか?
ふとそんなことを思ったが、デリアに言えるはずもなく、ディルにも言えず、ノクトに相談してみようかと考えた。
ただ、逆にノクトだからこそ、私を外に出すことはしないような気もしている。
「ノクト、相談があるのだけど……」
「なんだ?もう少ししたら、ディルと交代なんだが」
「そうなのね。あのね、私が出て行ったらダメかしら?
ディルにもノクトにも面倒かけちゃって……本来の仕事が出来ていないでしょ?
私の始めたことだから、私が……」
「始めたのは、ダドリーの方だろ?アンナは、ただ、巻き込まれただけだ。
ここで、アンナがわざわざ危ない目にあう必要もなかろう?」
「でも、ゆくゆくは、私の……アンバー公爵の領民となるなら、早いうちにとも思うの」
「なるほど……それで、命の危険があるかもしれないところへわざわざでると?
アンナ一人の身であれば、自身も守れるだろうけど……その体では、無理だろう。
それに、もしものことがあったら困る。この国には、まだ、アンナが必要だろう」
「そんなことないよ!」
私はノクトへ返事はしたものの、現状を考えると……最低でもアンバー領には私が必要なのではないかと考えた。
でも、国にまで必要だとは思ってもいなかった。
「そんなことある。
公世子の事なかれ主義を叩き直したのは、どう考えてもアンナだしな。
最後まで、面倒を見てやれ。
それと、隣国の敵国の元公爵、皇弟としていうなら、アンナの存在は正直怖い。
何をしでかすかわからない上に、最短経路で、やりたいことを完結させてしまう行動力、
インゼロでも注目されている。
ある意味、あの公世子一人が国を治めているなら、抑止力にも何にもならないが、
アンナがいることが戦争を起こさないための抑止力になっていると言っても過言ではないぞ?
少しくらい自覚を持て。そして、もっと、自分を大事にしろ。
アンナは、生き急いでいる節があるからな。それは、みなが感じているんだ。
みなを安心させるためにも、もっともっと自分を甘やかせ!」
そうは言われても……自覚は、全くない。
国の表舞台に今まで一度も立ったこともないのだ。裏でコソコソとしているのが私にはあっているのだから、仕方がない。
「買いかぶりすぎよ!私は私でしかないのだから……抑止力なんかにはなってないわよ?」
「そうか?じゃあ、次、隣国へ帰ってみろ?インゼロは、ずっと、この国やエルドアに攻め入る
タイミングを見計らっていることは覚えておけ」
「ノクトがいれば、大丈夫でしょ?そういえば、もうすぐ皇帝も変わるかもしれないって
話があるわね!何か知っているの?」
ノクトは、腕を組んで悩まし気にため息をついた。
「あぁ、水面下では情報をもらっているからな。
兄が近々殺される可能性が出てきているそうだ。求心力が無くなってきているのだろう」
「それって……ノクトは駆けつけなくていいの?」
「駆けつけたところで、公爵家の立場を悪くするだけだからな……静観する方が、うちの一族は
生き残る可能性が高い」
「それで、次の皇帝は皇太子ではないのよね?」
「あぁ、皇太子は、殺されることを考えて国を捨て逃げた。
この国何処かに隠れておると聞いているが……そこまでは、知らぬ」
「そっか……首根っこ捕まえようかと思ったけど……無意味なのね」
「人質にはならんな。皇太子の腹違いの弟が次の皇帝となるだろう。
年のころは、アンナくらいだったはずだ」
私は、その情報を頭の中でグルグルと整理していく。
聞いたことのある話の中で、どこだったかなと考える。
インゼロ帝国皇帝の第二皇子。
「タルマ……?」
「そうだ、タルマだ。知っているのか?」
「ん……婚約者候補にそんな名前があった気がしたのだけど……
確か、残忍で考えなしな上に軽薄で人でなし。
気に入らなかったら、人質として連れてこられた姫でも殺したって……」
「よく知っているじゃないか!そいつが次の皇帝だ」
「戦争大好きなんだよね?ていうか、残忍な殺し方……血とかそういうのが好きだった
そんな記憶があるけど……まずくない?それって……」
私がブルブルと震えると、ノクトが苦笑いをする。
ノクトからすると、甥にあたる人物であるのだが……誰も手に付けられないらしい。
「あぁ、まずいぞ?
一番始めにするだろうと言われているのが、近隣国から姫を人質として取るだろうと言われてる。
アンナ、娘をよこせと言われる可能性は十分にある。気をつけよ!
国の宝なのだろう?」
「えぇ、アンジェラが私たちの……希望なんだよ!ノクト、アンジェラを守るために力を貸してね?」
「あぁ、当たり前だ。俺は、もうインゼロを出たんだ。
公爵として息子が立ち回ってくれるだろうから、大丈夫だ。
ただ、うちからも娘を取られる可能性はあるがな……」
「ノクトの娘?」
「あぁ、末娘がちょうど、年頃だからな……」
「心配だね……」
「それもしかたないと思っているさ。全部を任せて出てきたんだ。
俺は、今は何も持たないアンナの副官だからな」
「それでも、家族に情はあるでしょ?
何かあれば、こっちに移ってきていいわ!面倒はみれるかどうかはわからないし、
貧乏生活になる可能性もあるけど……」
「大丈夫だ。息子もアンナと一緒で、無鉄砲でありながらもちゃんと見極められる」
うんと頷くと私はさっきの話はもうしばらく保留することにして、ノクトには、外のディルと交代してもらうようお願いした。
ノクトが行くと、多少なり、人が引くらしい。
帯剣を許してあるので、その効果もあるのかもしれない。
◇◆◇◆◇
「アンナリーゼ様、ご報告が……」
「うん、お疲れ様!」
「ありがとうございます。それで、先日言っていた子の話を……
私が育てようと思いましたが、しばらく、アンナリーゼ様の側に置いてもらえますでしょうか?」
「下の案件が終わるまで?」
「えぇ……今、連れてきますので」
ディルは執務室を出ていき、しばらくして戻ってきたときには、私より少し年下に見えるの男の子が二人、背中を丸めついてきていた。
一人は、背は高いので、シャンとすれば、見栄えもするだろう。
もう一人は小柄な感じである。
「この前言ってた子?」
「子と言うよりは……アンナリーゼ様より二人とも3つ4つ年上です」
「えっ?」
「こちら、アンバー公爵アンナリーゼ様です。挨拶を……」
「コンテとおっしゃいます?」
「ん?コンテとおっしゃいます?」
私はきょとんとしてしまう。
すると、ディルがため息をついて、訂正する。
「コンテと申します。以後お見知りおきください」
「コンテと申します。以後お見知りおきください?」
「あの……ディル?」
「はい、見ての通りでして……」
「どこから直せばいいのかしら?」
「全てですので、アンナリーゼ様色に染めてやってください……」
「その染めるは、ごへいがあるから……」
「申し訳ございません。あの、預かって何ですけど……よろしくお願いいたします」
「えぇ、いいけど……一人増えてない?」
「そうでした、こちらモレンです」
「アンナリーゼ様、初めまして。モレンと申します。以後お見知りおきください」
コンテとは違い、しっかり挨拶もでき、私への礼も完ぺきとは言えないがきちんと出来ている。
たぶん、こっちのモレンがディルの言っていた育てたい人物なのだろう。
だったら、コンテは……?
わからないことは、小鳥にお願いすることにした。
近いうちにちゅんちゅん鳴いてくれるだろう。
私はそれを待つことにした。
「わかりました、二人とも私付きの執事としてしばらく働いてもらいます。
主人である私をたて、要望にきっちり答えてください。
まずは、その鬱陶しい髪をすっきさせ、曲がった背中を矯正しましょう。
さっそく今日から始めますから、そのつもりで!」
何故か教育係に任命されてしまった私は、手を抜くことなく鍛えることとした。
◆◇◆◇◆
翌朝、ちゅんちゅんと鳴く声で目が覚めた。
置かれた手紙を読むと、まさかの事実に私は眩暈を起こしそうになる。
「デリア、いるかしら?」
「はい、何でしょうか?」
「ノクトとディルを朝食後、必ず執務室へ来るよう呼んでちょうだい」
畏まりましたと部屋を出ていくデリア。
そこに書かれた事実を私は二人に確認しないといけない。
頭が痛いこと……この上ない。
でも、これは、何かの巡り合わせなのだろうか?
掴んだものは、意外と大物だったことに驚くばかりだ。
ただ、外の様子は変わらず、今はディルとノクトが代わる代わる門へ立ってくれる。
私が出て行った方が……早くかたが着くのではないだろうか?
ふとそんなことを思ったが、デリアに言えるはずもなく、ディルにも言えず、ノクトに相談してみようかと考えた。
ただ、逆にノクトだからこそ、私を外に出すことはしないような気もしている。
「ノクト、相談があるのだけど……」
「なんだ?もう少ししたら、ディルと交代なんだが」
「そうなのね。あのね、私が出て行ったらダメかしら?
ディルにもノクトにも面倒かけちゃって……本来の仕事が出来ていないでしょ?
私の始めたことだから、私が……」
「始めたのは、ダドリーの方だろ?アンナは、ただ、巻き込まれただけだ。
ここで、アンナがわざわざ危ない目にあう必要もなかろう?」
「でも、ゆくゆくは、私の……アンバー公爵の領民となるなら、早いうちにとも思うの」
「なるほど……それで、命の危険があるかもしれないところへわざわざでると?
アンナ一人の身であれば、自身も守れるだろうけど……その体では、無理だろう。
それに、もしものことがあったら困る。この国には、まだ、アンナが必要だろう」
「そんなことないよ!」
私はノクトへ返事はしたものの、現状を考えると……最低でもアンバー領には私が必要なのではないかと考えた。
でも、国にまで必要だとは思ってもいなかった。
「そんなことある。
公世子の事なかれ主義を叩き直したのは、どう考えてもアンナだしな。
最後まで、面倒を見てやれ。
それと、隣国の敵国の元公爵、皇弟としていうなら、アンナの存在は正直怖い。
何をしでかすかわからない上に、最短経路で、やりたいことを完結させてしまう行動力、
インゼロでも注目されている。
ある意味、あの公世子一人が国を治めているなら、抑止力にも何にもならないが、
アンナがいることが戦争を起こさないための抑止力になっていると言っても過言ではないぞ?
少しくらい自覚を持て。そして、もっと、自分を大事にしろ。
アンナは、生き急いでいる節があるからな。それは、みなが感じているんだ。
みなを安心させるためにも、もっともっと自分を甘やかせ!」
そうは言われても……自覚は、全くない。
国の表舞台に今まで一度も立ったこともないのだ。裏でコソコソとしているのが私にはあっているのだから、仕方がない。
「買いかぶりすぎよ!私は私でしかないのだから……抑止力なんかにはなってないわよ?」
「そうか?じゃあ、次、隣国へ帰ってみろ?インゼロは、ずっと、この国やエルドアに攻め入る
タイミングを見計らっていることは覚えておけ」
「ノクトがいれば、大丈夫でしょ?そういえば、もうすぐ皇帝も変わるかもしれないって
話があるわね!何か知っているの?」
ノクトは、腕を組んで悩まし気にため息をついた。
「あぁ、水面下では情報をもらっているからな。
兄が近々殺される可能性が出てきているそうだ。求心力が無くなってきているのだろう」
「それって……ノクトは駆けつけなくていいの?」
「駆けつけたところで、公爵家の立場を悪くするだけだからな……静観する方が、うちの一族は
生き残る可能性が高い」
「それで、次の皇帝は皇太子ではないのよね?」
「あぁ、皇太子は、殺されることを考えて国を捨て逃げた。
この国何処かに隠れておると聞いているが……そこまでは、知らぬ」
「そっか……首根っこ捕まえようかと思ったけど……無意味なのね」
「人質にはならんな。皇太子の腹違いの弟が次の皇帝となるだろう。
年のころは、アンナくらいだったはずだ」
私は、その情報を頭の中でグルグルと整理していく。
聞いたことのある話の中で、どこだったかなと考える。
インゼロ帝国皇帝の第二皇子。
「タルマ……?」
「そうだ、タルマだ。知っているのか?」
「ん……婚約者候補にそんな名前があった気がしたのだけど……
確か、残忍で考えなしな上に軽薄で人でなし。
気に入らなかったら、人質として連れてこられた姫でも殺したって……」
「よく知っているじゃないか!そいつが次の皇帝だ」
「戦争大好きなんだよね?ていうか、残忍な殺し方……血とかそういうのが好きだった
そんな記憶があるけど……まずくない?それって……」
私がブルブルと震えると、ノクトが苦笑いをする。
ノクトからすると、甥にあたる人物であるのだが……誰も手に付けられないらしい。
「あぁ、まずいぞ?
一番始めにするだろうと言われているのが、近隣国から姫を人質として取るだろうと言われてる。
アンナ、娘をよこせと言われる可能性は十分にある。気をつけよ!
国の宝なのだろう?」
「えぇ、アンジェラが私たちの……希望なんだよ!ノクト、アンジェラを守るために力を貸してね?」
「あぁ、当たり前だ。俺は、もうインゼロを出たんだ。
公爵として息子が立ち回ってくれるだろうから、大丈夫だ。
ただ、うちからも娘を取られる可能性はあるがな……」
「ノクトの娘?」
「あぁ、末娘がちょうど、年頃だからな……」
「心配だね……」
「それもしかたないと思っているさ。全部を任せて出てきたんだ。
俺は、今は何も持たないアンナの副官だからな」
「それでも、家族に情はあるでしょ?
何かあれば、こっちに移ってきていいわ!面倒はみれるかどうかはわからないし、
貧乏生活になる可能性もあるけど……」
「大丈夫だ。息子もアンナと一緒で、無鉄砲でありながらもちゃんと見極められる」
うんと頷くと私はさっきの話はもうしばらく保留することにして、ノクトには、外のディルと交代してもらうようお願いした。
ノクトが行くと、多少なり、人が引くらしい。
帯剣を許してあるので、その効果もあるのかもしれない。
◇◆◇◆◇
「アンナリーゼ様、ご報告が……」
「うん、お疲れ様!」
「ありがとうございます。それで、先日言っていた子の話を……
私が育てようと思いましたが、しばらく、アンナリーゼ様の側に置いてもらえますでしょうか?」
「下の案件が終わるまで?」
「えぇ……今、連れてきますので」
ディルは執務室を出ていき、しばらくして戻ってきたときには、私より少し年下に見えるの男の子が二人、背中を丸めついてきていた。
一人は、背は高いので、シャンとすれば、見栄えもするだろう。
もう一人は小柄な感じである。
「この前言ってた子?」
「子と言うよりは……アンナリーゼ様より二人とも3つ4つ年上です」
「えっ?」
「こちら、アンバー公爵アンナリーゼ様です。挨拶を……」
「コンテとおっしゃいます?」
「ん?コンテとおっしゃいます?」
私はきょとんとしてしまう。
すると、ディルがため息をついて、訂正する。
「コンテと申します。以後お見知りおきください」
「コンテと申します。以後お見知りおきください?」
「あの……ディル?」
「はい、見ての通りでして……」
「どこから直せばいいのかしら?」
「全てですので、アンナリーゼ様色に染めてやってください……」
「その染めるは、ごへいがあるから……」
「申し訳ございません。あの、預かって何ですけど……よろしくお願いいたします」
「えぇ、いいけど……一人増えてない?」
「そうでした、こちらモレンです」
「アンナリーゼ様、初めまして。モレンと申します。以後お見知りおきください」
コンテとは違い、しっかり挨拶もでき、私への礼も完ぺきとは言えないがきちんと出来ている。
たぶん、こっちのモレンがディルの言っていた育てたい人物なのだろう。
だったら、コンテは……?
わからないことは、小鳥にお願いすることにした。
近いうちにちゅんちゅん鳴いてくれるだろう。
私はそれを待つことにした。
「わかりました、二人とも私付きの執事としてしばらく働いてもらいます。
主人である私をたて、要望にきっちり答えてください。
まずは、その鬱陶しい髪をすっきさせ、曲がった背中を矯正しましょう。
さっそく今日から始めますから、そのつもりで!」
何故か教育係に任命されてしまった私は、手を抜くことなく鍛えることとした。
◆◇◆◇◆
翌朝、ちゅんちゅんと鳴く声で目が覚めた。
置かれた手紙を読むと、まさかの事実に私は眩暈を起こしそうになる。
「デリア、いるかしら?」
「はい、何でしょうか?」
「ノクトとディルを朝食後、必ず執務室へ来るよう呼んでちょうだい」
畏まりましたと部屋を出ていくデリア。
そこに書かれた事実を私は二人に確認しないといけない。
頭が痛いこと……この上ない。
でも、これは、何かの巡り合わせなのだろうか?
掴んだものは、意外と大物だったことに驚くばかりだ。
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