379 / 1,480
帰ってきたら
しおりを挟む
馬車の中は、私とデリアの二人だけだった。
寝ずの番をしてくれていたデリアは、今規則正しい寝息をたて眠っている。
今回の視察は、私にとって満足のいくものとなり、気分よく帰ってくることができた。
視察を元に今後のコーコナ領のことについて、セバス宛に手紙を書こうと考えていた。
ぼんやり外を眺めると、もうすぐ屋敷に着くころだ。
馬車が緩やかに停まる。
「どうしたの?」
「あぁ、屋敷の前が人だかりで中に入れそうにないな……」
顔を出そうとして、ノクトに押し込まれる。
「何かあったら困るから、顔を出すな」
そうは言われても気になるものは気になる。
何が起こっているのだろうか?
馬車が停まったことで目が覚めたのだろう、デリアの視線が厳しいものに変わっている。
「デリア、場所を変わってちょうだい。あと、手鏡はあるかしら?」
そっと手鏡を窓から出して奥を見ると、確かに人がたくさんいる。
何事なのだろうか?
鏡越しに見ているとこちらに近づいてくる人物がいた。
侍女のココナである。
「アンナリーゼ様……」
「ココナ、これはどうなっているのかしら?」
「綺麗に片づいていく男爵の屋敷を領民が見に来ているらしいです。
アンバー公爵が来ているなら、一目みたいという者もいるらしく……今、ディルが対応しています」
「そうなんだ……私たち、屋敷に戻れるかしら?」
「えぇ、裏からなら大丈夫ですけど……この騒動の一旦は、旦那様にありまして……」
「えっ?ジョージア様が来ているの?子供たちも連れて?」
「いえ、それが、単身来られたのですが……あの方は、見た目だけでも目立つ上に……」
「アンバーの馬車で来ちゃったとかそういうのかしら?」
「正解でございます……」
言いにくそうにココナが伏目がちに話してくれた。
ジョージアの迂闊さに私は頭が痛くなる。
今、この地は、アンバー公爵により処刑された男爵領というのが国内の共通認識となっているのだ。
敵はあれど、味方なんて少ないのだから、アンバーの家紋入りの馬車なんて使ったら、公爵が来ていることがバレて、最悪、命の危険さえある。
屋敷にディルが来てくれていたことが幸いした。
胸を撫でおろすと同時に、今後の対応を考えざるえない。
ただ、寂しかったのも事実であるので、ジョージアが来てくれたことは私を少しだけホッとさせてくれた。
「旦那様には困ったものですね……どんな状態なのか、もう少し考えていただかないと」
渋い顔をしているデリアの言葉にノクトが苦笑いをしている。
全くもってだと、一応叱る気持ちを持ったままで私も屋敷に戻れるようココナにお願いする。
「アンナリーゼ様、少しだけ歩けますか?」
「えぇ、大丈夫よ!」
「では、御者にはしばらくこのままどこか別のところに行ってもらいましょう」
「それなら、ニコライを迎えに行ってくれると助かるわ!」
「かしこまりました。では、そのように……もう少ししたところで降ろしてください。
ノクト様は、馬だと目立ちますので……」
「あぁ、正面から入って気を引くからアンナだけを中に無事送り届けてくれ!
もちろん、レナンテには傷ひとつつけないから安心しろ!」
私は頷き、それぞれの目的地にわかれる。
私たちは屋敷の裏側へと馬車を付けてもらい、そこからゆっくり中へと入る。
中に入ると、さっきの喧騒がウソのようであるが、急いで執務室へと向かう。
「ジョージア様!」
「アンナ!やっと会えた!どこに……」
私が怒っているのが分かったのか、ジョージアが一歩、また一歩と後ろへ後ずさっていく。
「ジョージア様、なんてことをされたのです!
アンバーの紋章付き馬車でこの屋敷に来たと聞いています!
ここは、今、とてもジョージア様にとって危ないところなのですよ!!!」
「それは……」
「ダドリー男爵の断罪をしたのは、アンバー公爵だからです。
一般的に、アンバー公爵は、ジョージア様なのですから、もし、命を狙われたら、どうなさるおつもり
ですか?」
「うぐ……大丈夫だろ?この領地って平和……て……き……」
「平和だったらいいのですか?
ダドリー男爵が肩入れしていた商人たちもこの領地にはいますよ?
お金を払えば、貴族の一人や二人、消すことなんて大したことではないのですよ?
男爵が、これまで築いてきたものが、この領地には溢れています。
そんなところへ、暢気に平和だと聞いているからって来るのは、ジョージア様の考えが浅はかすぎ
ませんか?」
黙りこくってしまったジョージアは、項垂れる。
あまりにも落ち込みように可哀想になったが、今、窘めることでもっと命を大事にしてくれるなら、いくらでも憎まれ役は私はする。
私には、命の期限があるのだから……ジョージアには、アンジェラやジョージ、ネイトを守って行ってもらわないといけないのだ。
いつまでも、坊ちゃんでは許されないことを示さないといけない。
「考えが足らなかった……ナタリーがアンナのことを頼むと領地へ来たんだ。
ただ事ではなさそうな雰囲気だったもんで、急いできたんだ。すまない」
「ナタリーがですか?」
「あぁ、もうアンナの側にいられないって言ってきたから心配になってきたけど、ウィルにとめられた
意味がやっと分かったよ」
「わかればいいんです」
「アンナは、外に行っていたんだろう?大丈夫だったのか?」
「私にはノクトもいますし、デリアもついてきてくれています。だから、大丈夫ですよ」
「そっか……俺には誰もいないからな……」
遠い目を部屋の奥へとやる。
「ジョージア様には私がいるから大丈夫ですよ!私、これでも、近衛より強いですから!」
「アンナは、心まで強いな……俺には、ないものをたくさん持っていて、頭もいい。
教科書で習ったことしかできない俺には、とてもかなわないよ!」
「そうですか?私のおとし方は、教科書には載っていないと思いますよ?」
笑って茶化すと、やっとホッとした顔になるジョージアを見て、少し叱りすぎたかと反省をした。
ただ、命は一つしかないのだから、ジョージアの考えなしで行動してもらっては困るので次はないのかもしれないけど、命は大切にしてほしい。
「そうだ!せっかく来てくれたので、アンジェラや領地のお話聞かせてください!
あと、こちらの視察のお話も聞かせてあげますよ!」
「あぁ、楽しみだ!」
私たちは、執務室のソファで最近の出来事を話しあった。
その中には、もちろん、ダドリー男爵やソフィア、カルアの処刑の話もあり、心痛な面持ちで聞いていたジョージア。
たぶん、ここの部分が抜けていたからこそ、危機感が薄かったのだろうと思う。
しかし、今回のことで二度と同じことはないとジョージアを信じている。
ジョージアには綺麗な道を歩いて欲しいと私は願っている。
筆頭公爵となれば、本来なら清濁併せ持つものだろうが、公世子の戴冠式を控えさらに強く思うようになった。
私が公爵になったのだから、汚い部分は私が担えばいい。
それは、ジョージアの成長を止めてしまっているのかもしれない。
ただ、アンジェラが私の『予知夢』の通りに成長するなら、ずるいことを覚えた私よりジョージアが支え成長を促すほうがいいと考えてのことだ。
「ジョージア様は、そのままでいてくださいね?」
「どういうこと?」
「なんでもありません。
そうだ、公世子様の戴冠式が終わったら、ディルとデリアの結婚式を公都の屋敷でしたいと思って
いるのですけど、いいですか?」
「ディルとデリアの?いつの間に?」
「つい最近、ディルから申出があったので、許可したんですけど……私にとって二人は特別なので、
出来れば結婚式をしたいのです。立ち合い人は私で、ジョージア様も立ち合います?」
「それは、めでたいことだから準備しておこう。そうか……ディルが、やっと重い腰をあげたのか」
「知っていたのですか?」
「いいや、いつ結婚するんだろうって思ってただけで、相手がデリアだっていうのには驚いたよ」
嬉しそうなジョージア。
久しぶりに見つめたトロっとした蜂蜜色の瞳は穏やかで優しく喜んでいた。
「では、まずは、ジョージア様は、明日領地へお戻りください。
私は、まだ、こちらですることがあるので帰れませんが、公世子様の戴冠式には再会出来ると
思いますよ!」
「それまで、アンナとは離れ離れか……体には気を付けるんだよ?」
私のお腹を見て、微笑むので頷いた。
「じゃあ、せめてアンナを堪能したいから、こっちにおいで……」
手を伸ばされれば、私はその手をとる。
隣に座りそっと寄り添うのであった。
寝ずの番をしてくれていたデリアは、今規則正しい寝息をたて眠っている。
今回の視察は、私にとって満足のいくものとなり、気分よく帰ってくることができた。
視察を元に今後のコーコナ領のことについて、セバス宛に手紙を書こうと考えていた。
ぼんやり外を眺めると、もうすぐ屋敷に着くころだ。
馬車が緩やかに停まる。
「どうしたの?」
「あぁ、屋敷の前が人だかりで中に入れそうにないな……」
顔を出そうとして、ノクトに押し込まれる。
「何かあったら困るから、顔を出すな」
そうは言われても気になるものは気になる。
何が起こっているのだろうか?
馬車が停まったことで目が覚めたのだろう、デリアの視線が厳しいものに変わっている。
「デリア、場所を変わってちょうだい。あと、手鏡はあるかしら?」
そっと手鏡を窓から出して奥を見ると、確かに人がたくさんいる。
何事なのだろうか?
鏡越しに見ているとこちらに近づいてくる人物がいた。
侍女のココナである。
「アンナリーゼ様……」
「ココナ、これはどうなっているのかしら?」
「綺麗に片づいていく男爵の屋敷を領民が見に来ているらしいです。
アンバー公爵が来ているなら、一目みたいという者もいるらしく……今、ディルが対応しています」
「そうなんだ……私たち、屋敷に戻れるかしら?」
「えぇ、裏からなら大丈夫ですけど……この騒動の一旦は、旦那様にありまして……」
「えっ?ジョージア様が来ているの?子供たちも連れて?」
「いえ、それが、単身来られたのですが……あの方は、見た目だけでも目立つ上に……」
「アンバーの馬車で来ちゃったとかそういうのかしら?」
「正解でございます……」
言いにくそうにココナが伏目がちに話してくれた。
ジョージアの迂闊さに私は頭が痛くなる。
今、この地は、アンバー公爵により処刑された男爵領というのが国内の共通認識となっているのだ。
敵はあれど、味方なんて少ないのだから、アンバーの家紋入りの馬車なんて使ったら、公爵が来ていることがバレて、最悪、命の危険さえある。
屋敷にディルが来てくれていたことが幸いした。
胸を撫でおろすと同時に、今後の対応を考えざるえない。
ただ、寂しかったのも事実であるので、ジョージアが来てくれたことは私を少しだけホッとさせてくれた。
「旦那様には困ったものですね……どんな状態なのか、もう少し考えていただかないと」
渋い顔をしているデリアの言葉にノクトが苦笑いをしている。
全くもってだと、一応叱る気持ちを持ったままで私も屋敷に戻れるようココナにお願いする。
「アンナリーゼ様、少しだけ歩けますか?」
「えぇ、大丈夫よ!」
「では、御者にはしばらくこのままどこか別のところに行ってもらいましょう」
「それなら、ニコライを迎えに行ってくれると助かるわ!」
「かしこまりました。では、そのように……もう少ししたところで降ろしてください。
ノクト様は、馬だと目立ちますので……」
「あぁ、正面から入って気を引くからアンナだけを中に無事送り届けてくれ!
もちろん、レナンテには傷ひとつつけないから安心しろ!」
私は頷き、それぞれの目的地にわかれる。
私たちは屋敷の裏側へと馬車を付けてもらい、そこからゆっくり中へと入る。
中に入ると、さっきの喧騒がウソのようであるが、急いで執務室へと向かう。
「ジョージア様!」
「アンナ!やっと会えた!どこに……」
私が怒っているのが分かったのか、ジョージアが一歩、また一歩と後ろへ後ずさっていく。
「ジョージア様、なんてことをされたのです!
アンバーの紋章付き馬車でこの屋敷に来たと聞いています!
ここは、今、とてもジョージア様にとって危ないところなのですよ!!!」
「それは……」
「ダドリー男爵の断罪をしたのは、アンバー公爵だからです。
一般的に、アンバー公爵は、ジョージア様なのですから、もし、命を狙われたら、どうなさるおつもり
ですか?」
「うぐ……大丈夫だろ?この領地って平和……て……き……」
「平和だったらいいのですか?
ダドリー男爵が肩入れしていた商人たちもこの領地にはいますよ?
お金を払えば、貴族の一人や二人、消すことなんて大したことではないのですよ?
男爵が、これまで築いてきたものが、この領地には溢れています。
そんなところへ、暢気に平和だと聞いているからって来るのは、ジョージア様の考えが浅はかすぎ
ませんか?」
黙りこくってしまったジョージアは、項垂れる。
あまりにも落ち込みように可哀想になったが、今、窘めることでもっと命を大事にしてくれるなら、いくらでも憎まれ役は私はする。
私には、命の期限があるのだから……ジョージアには、アンジェラやジョージ、ネイトを守って行ってもらわないといけないのだ。
いつまでも、坊ちゃんでは許されないことを示さないといけない。
「考えが足らなかった……ナタリーがアンナのことを頼むと領地へ来たんだ。
ただ事ではなさそうな雰囲気だったもんで、急いできたんだ。すまない」
「ナタリーがですか?」
「あぁ、もうアンナの側にいられないって言ってきたから心配になってきたけど、ウィルにとめられた
意味がやっと分かったよ」
「わかればいいんです」
「アンナは、外に行っていたんだろう?大丈夫だったのか?」
「私にはノクトもいますし、デリアもついてきてくれています。だから、大丈夫ですよ」
「そっか……俺には誰もいないからな……」
遠い目を部屋の奥へとやる。
「ジョージア様には私がいるから大丈夫ですよ!私、これでも、近衛より強いですから!」
「アンナは、心まで強いな……俺には、ないものをたくさん持っていて、頭もいい。
教科書で習ったことしかできない俺には、とてもかなわないよ!」
「そうですか?私のおとし方は、教科書には載っていないと思いますよ?」
笑って茶化すと、やっとホッとした顔になるジョージアを見て、少し叱りすぎたかと反省をした。
ただ、命は一つしかないのだから、ジョージアの考えなしで行動してもらっては困るので次はないのかもしれないけど、命は大切にしてほしい。
「そうだ!せっかく来てくれたので、アンジェラや領地のお話聞かせてください!
あと、こちらの視察のお話も聞かせてあげますよ!」
「あぁ、楽しみだ!」
私たちは、執務室のソファで最近の出来事を話しあった。
その中には、もちろん、ダドリー男爵やソフィア、カルアの処刑の話もあり、心痛な面持ちで聞いていたジョージア。
たぶん、ここの部分が抜けていたからこそ、危機感が薄かったのだろうと思う。
しかし、今回のことで二度と同じことはないとジョージアを信じている。
ジョージアには綺麗な道を歩いて欲しいと私は願っている。
筆頭公爵となれば、本来なら清濁併せ持つものだろうが、公世子の戴冠式を控えさらに強く思うようになった。
私が公爵になったのだから、汚い部分は私が担えばいい。
それは、ジョージアの成長を止めてしまっているのかもしれない。
ただ、アンジェラが私の『予知夢』の通りに成長するなら、ずるいことを覚えた私よりジョージアが支え成長を促すほうがいいと考えてのことだ。
「ジョージア様は、そのままでいてくださいね?」
「どういうこと?」
「なんでもありません。
そうだ、公世子様の戴冠式が終わったら、ディルとデリアの結婚式を公都の屋敷でしたいと思って
いるのですけど、いいですか?」
「ディルとデリアの?いつの間に?」
「つい最近、ディルから申出があったので、許可したんですけど……私にとって二人は特別なので、
出来れば結婚式をしたいのです。立ち合い人は私で、ジョージア様も立ち合います?」
「それは、めでたいことだから準備しておこう。そうか……ディルが、やっと重い腰をあげたのか」
「知っていたのですか?」
「いいや、いつ結婚するんだろうって思ってただけで、相手がデリアだっていうのには驚いたよ」
嬉しそうなジョージア。
久しぶりに見つめたトロっとした蜂蜜色の瞳は穏やかで優しく喜んでいた。
「では、まずは、ジョージア様は、明日領地へお戻りください。
私は、まだ、こちらですることがあるので帰れませんが、公世子様の戴冠式には再会出来ると
思いますよ!」
「それまで、アンナとは離れ離れか……体には気を付けるんだよ?」
私のお腹を見て、微笑むので頷いた。
「じゃあ、せめてアンナを堪能したいから、こっちにおいで……」
手を伸ばされれば、私はその手をとる。
隣に座りそっと寄り添うのであった。
0
お気に入りに追加
120
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる