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断罪の始まり
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カレンのお茶会で、早々に私たちの陣営が形勢逆転した噂話。
私の悪評のおかげで、まだまだ厳しい状況ではあるが、ダドリー男爵家捕縛直後に比べ、国内情勢は私に分があるようだ。
『心優しい公爵夫人アンナリーゼは、領地や領民のために尽くしていたのに、元第二夫人であるソフィアやその生家であるダドリー男爵家は、アンバーを食い物にしていた』、『アンナリーゼは、領地や領民のことを憂いて、今回の件でとても怒っている』のだと、囁かれるようになった。
そういった私への好評が、ローズディア全土のあちこちで大々的に話屋によって広がっていく。
私や公世子が、正当な罪として断罪側に立ったのだと、ローズディア国内では認知されることとなる。
◆◇◆◇◆
お茶会から数日がたち、今、城の広場でダドリー男爵家への罪状を宰相によって朗々と読み上げられているところだ。
最近では、1番断罪人数が多く関心度の高い今回の事件は、傍聴席が設けられているのだが、傍聴人の席が足らず、席を確保するのに抽選となった。
もちろん、私は、そんな抽選で選ばれるわけでなく、訴える側にいるので、高みの見物をしているところだ。
この何時間も続く、罪状が読み続けられているのをつまらなさそうに聞いている。
公世子なんて、姿勢を正して座り続けることに疲れてきたのか、休憩を挟みたそうにしていた。
もし、これに休憩を挟んでから、また、続きを聞かないと行けなくなると、今の倍以上疲れるので、私としては一気にお願いしたいところだ。
「あぁーなんだ、そろそろ、休憩をはさもう」
「公世子様、もう根を上げてしまわれたのですか?」
「アンナリーゼは、こんなに長く罪状を聞いていて、うんざりしないのか?」
「しますけど、そこは、耐えてくれないと……せっかく調べた私の身にもなってください」
「しかし、いくつの罪状があるのか……もう昼前だぞ?どれだけ業の深さなんだ!」
「知りませんよ!それでも、公世子様には、きちんと見届ける必要があるんですから、頑張って
ください。
元はといえば、ダドリー男爵の現夫人が元夫人を殺さなければ、こんなことになってないずですよ!」
「それは、そなたの独自情報か?」
「そうですね。元第三夫人から聞いた話です。ダドリー男爵も元夫人が側にいた頃は、
あんなんじゃなかったらしいですね。
奥さんを大事にして、二人の子どもも愛しんでいたとか。
どっかの誰かさんに聞かせてあげたいくらい、いいお話を聞きましたよ?
元夫人と出会う前は、まぁ……手に負えなかったらしいですけどね?」
へぇーっと公世子が呟いている。
いや、感心してる場合ではないはずなんだけど……公世子様?
「さきっきも言ってたが、夫人が殺されたとは?あのケバケバシイのとは違うのか?」
「言葉の通りです。あの夫人ではないです。
現夫人が、男爵を気に入ってたらしくって、夫人の座につきたかったとか……
当時の夫人は、平民だったので、第二夫人にすればいいと圧力をかけていたらしいん
ですけど、男爵は、拒んでいたらしいですよ?他に娶るつもりはないと」
「そうしたら、殺された?」
「そうですね。
そこから、揉めに揉めて今の夫人が仕方なくおさまってますけど、男爵がだんだん権力に固執して
いくようになっておかしくなっていったらしいです。
元々、野心はあったようですけど、当時の夫人がずっとそばで抑えていたのでしょ?
今の夫人には、到底それができないようですね。
仮面夫婦って話を噂話に聞きましたけど、実情はもっと酷くって、結婚した後も公のところへ出る
とき以外は、男爵が夫人に指一本触れないそうです」
「子どもは、どうなった?」
「もちろん手元に置いて大事に育ててましたよ!それが、あの嫡男とソフィアです」
「あいつらより上に他にも子どもはいたよな?」
「いますね?ソフィアより年上の異母姉は、夫人に出会う前の子どもですからねぇ?
いかにソフィアの母が男爵にとって、心の拠り所だったかっていうのは計り知れませんね?」
私は、罪状を聴きながら、公世子に話をしている。
興味をそそられたのか、ずっと聞いてくるのが、だんだんめんどくさくなった。
眼下にいるのは、男爵の血縁者ばかりである。
78名となっているが、ここにいない人物が一人いた。ソフィアその人だ。
騒ぎたてるので、外に出せなかったのだそうで、何とも恥さらしといっていいのだろうか。
「アンナリーゼ」
「何ですか?」
「そなたが、もし、男爵と友好関係であったら……」
「この国を乗っ取りますね?なんなら、私が公妃の座に居座りますよ!」
「それだけはなくてよかった」
「そうですか?お誘いは、何度かあったんですけどね?
なんていうか、私、自分の未来に誇れる選択をしたかったのでお断りしました」
「そなたがあちら側でなくてよかったぞ。どう考えても、勝てる見込みがない。
ジョージアがいなかったらと思うと肝が冷える……」
「そうですか?私が嫁がなければ、ジョージア様は、きっとあっち側の人間でしたよ!
もっともアンバーの領地や領民は、あれほど見窄らしくなく、最低限の生活はできていたかも
しれないし、もっと、搾取されていたかもしれません。
そこばかりは違う関係性で過ごしてみなければ、わかりませんからね」
私は、今公世子に言ったことを考える。
こちらに嫁がなかったら、どんな未来があったのだろうか?
きっと、私はハリーの側で何の苦労もなく幸せに過ごしていただろう。
誰よりも私を慈しんでくれた人なのだから……
もし、未来が予知できていなかったら……それは、それで幸せな人生を暮らせたのだろう。
死ぬときも、大好きだったハリーの側にいられたのだから。
『予知夢』のおかげで、今、ここにいるのだが、ずいぶん変わっていく未来に戸惑わない日はない。
だけど、この道を選んだことは……後悔はしていない。
一次的にジョージアと離れて暮らしていたが、今は側にいてくれる。
変わらない未来もあるけど、変わった未来もあって、より幸せに楽しく生活ができているのだから。
じゃあ、ソフィアはどうなのだろう?
公爵夫人になれたはずだったのに、私に横やりをされ、私や我が子へ毒殺を試みては失敗。
刺客を送れば、刺客が自決したため音沙汰がなく、いつまでも目の前にいる私を恨んでいるだろう。
ハリーとの未来を選んでいれば、ソフィアは、もしかしたら幸せな人生を歩んで行けたのかもしれない。
私が、ソフィアの人生を変えてしまったのだ。
申し訳なさはあるが……我が子に会えたことをふまえても、この道を進んできたことは、私にとって決して悪い道ではなかった。
大切な人ができた。ジョージアであり、我が子であり、友人たちであり、侍従や領民。
私と手を取り合ってくれた人がたくさんいる。
今は、少しでも、そんな人たちを守れるよう生きていこうとしているのだ。
眼下を見る。
数日の取り調べにより、仄暗い瞳で地面を眺めている男爵の血縁たち。
今、罪状が全て読み上げられた。
明日、その罪状について、男爵家からの申出や男爵を後押しする貴族からの申出を聞くことになる。
その後、裁可が行われるわけだが、ハニーローズ暗殺未遂の罪状だけは、どうやっても取り消すことができない。
この罪が1番重く、そして、実績と証拠がある。
ソフィアがもたらした、私と我が子の暗殺未遂。
こればかりは、ひっくり返ることはないだろう。
実行犯である我が家の侍女がいるのだから……
「以上により、ダドリー男爵家には死刑を言い渡す。
また、今回の件に関わっている貴族や文官近衛に対しても相応の処罰をすることとなっている。
明日、申し開きをする。
何故、罪に問われたのかは、相応の処罰でないと判断したものは、申し出るように。
裁可については、公世子様の判断により処罰とする」
宰相が明日の申し開きの話をした。
これにて、今日は終わる。
それぞれ、罪人や処罰対象となるものに対しても半日時間を与えることにした。
ただ、逃げることは、罪を認めたとし、有無を言わさず処罰対象となることが追加で宰相より言われると、会場はザワザワとしている。
これから、公世子の執務室前には、上位貴族や高官などが列を成して並ぶであろう。
ここで、対応を間違えると、公世子もアンバー領も終わりである。
公世子の側で、しっかり見張る仕事が残ってそうだ。
◆◇◆◇◆
意外と、公世子の執務室へ乗り込んできた人物は少なかった。
自分が処罰対象であることを知らない場合もあるのではないかとも思ったが、領地全土へと通知したので、それで、見落としがあるのであれば、それは本人の意識が低かったということである。
そういう者に対して、便宜を払う必要もないわけで、結局のところ、自業自得ということとなった。
中でも第三妃擁立を試みようとしていた公爵家の降格決定については、国で大きく取り上げられた。
現公爵及び計画に加担した者は処刑とすること、家格の降格に爵位を取り上げられたりと貴族図ふぁごっそり入れ替わるような形となった。
もちろん、公世子及び現妃、子どもたち暗殺の件が浮き彫りになったからだ。
暗殺計画の初期段階で裁くことは難しい。
ただ、公爵の娘と身分を偽って第三妃擁立をさせたこと、また、その妃候補がダドリー男爵の血縁であることを鑑みて、この裁可は決定事項となっているので、いくら異議申し立てをしたとしても、覆ることはなかった。
それを近くで見ていた他の貴族は、諦めたのだろう。
なので、明日の申し開きには参加せず、公世子の裁可を甘んじて受けることとなった。
命があるだけ、儲けもの。
何かをきっかけに返り咲くこともできると踏んでいるのだろう。
でも、そうは問屋が卸さない。
ロサオリエンティス女王の名において、今回の決定事項のち爵位をあげることを禁じてしまったのだ。
これも、女王が見越していて、私への贈り物であった。
どこまで見越していたのかはわからないけど……さすが女王だと、私と公世子は感嘆の声を上げより一層精進することを誓うのであった。
私の悪評のおかげで、まだまだ厳しい状況ではあるが、ダドリー男爵家捕縛直後に比べ、国内情勢は私に分があるようだ。
『心優しい公爵夫人アンナリーゼは、領地や領民のために尽くしていたのに、元第二夫人であるソフィアやその生家であるダドリー男爵家は、アンバーを食い物にしていた』、『アンナリーゼは、領地や領民のことを憂いて、今回の件でとても怒っている』のだと、囁かれるようになった。
そういった私への好評が、ローズディア全土のあちこちで大々的に話屋によって広がっていく。
私や公世子が、正当な罪として断罪側に立ったのだと、ローズディア国内では認知されることとなる。
◆◇◆◇◆
お茶会から数日がたち、今、城の広場でダドリー男爵家への罪状を宰相によって朗々と読み上げられているところだ。
最近では、1番断罪人数が多く関心度の高い今回の事件は、傍聴席が設けられているのだが、傍聴人の席が足らず、席を確保するのに抽選となった。
もちろん、私は、そんな抽選で選ばれるわけでなく、訴える側にいるので、高みの見物をしているところだ。
この何時間も続く、罪状が読み続けられているのをつまらなさそうに聞いている。
公世子なんて、姿勢を正して座り続けることに疲れてきたのか、休憩を挟みたそうにしていた。
もし、これに休憩を挟んでから、また、続きを聞かないと行けなくなると、今の倍以上疲れるので、私としては一気にお願いしたいところだ。
「あぁーなんだ、そろそろ、休憩をはさもう」
「公世子様、もう根を上げてしまわれたのですか?」
「アンナリーゼは、こんなに長く罪状を聞いていて、うんざりしないのか?」
「しますけど、そこは、耐えてくれないと……せっかく調べた私の身にもなってください」
「しかし、いくつの罪状があるのか……もう昼前だぞ?どれだけ業の深さなんだ!」
「知りませんよ!それでも、公世子様には、きちんと見届ける必要があるんですから、頑張って
ください。
元はといえば、ダドリー男爵の現夫人が元夫人を殺さなければ、こんなことになってないずですよ!」
「それは、そなたの独自情報か?」
「そうですね。元第三夫人から聞いた話です。ダドリー男爵も元夫人が側にいた頃は、
あんなんじゃなかったらしいですね。
奥さんを大事にして、二人の子どもも愛しんでいたとか。
どっかの誰かさんに聞かせてあげたいくらい、いいお話を聞きましたよ?
元夫人と出会う前は、まぁ……手に負えなかったらしいですけどね?」
へぇーっと公世子が呟いている。
いや、感心してる場合ではないはずなんだけど……公世子様?
「さきっきも言ってたが、夫人が殺されたとは?あのケバケバシイのとは違うのか?」
「言葉の通りです。あの夫人ではないです。
現夫人が、男爵を気に入ってたらしくって、夫人の座につきたかったとか……
当時の夫人は、平民だったので、第二夫人にすればいいと圧力をかけていたらしいん
ですけど、男爵は、拒んでいたらしいですよ?他に娶るつもりはないと」
「そうしたら、殺された?」
「そうですね。
そこから、揉めに揉めて今の夫人が仕方なくおさまってますけど、男爵がだんだん権力に固執して
いくようになっておかしくなっていったらしいです。
元々、野心はあったようですけど、当時の夫人がずっとそばで抑えていたのでしょ?
今の夫人には、到底それができないようですね。
仮面夫婦って話を噂話に聞きましたけど、実情はもっと酷くって、結婚した後も公のところへ出る
とき以外は、男爵が夫人に指一本触れないそうです」
「子どもは、どうなった?」
「もちろん手元に置いて大事に育ててましたよ!それが、あの嫡男とソフィアです」
「あいつらより上に他にも子どもはいたよな?」
「いますね?ソフィアより年上の異母姉は、夫人に出会う前の子どもですからねぇ?
いかにソフィアの母が男爵にとって、心の拠り所だったかっていうのは計り知れませんね?」
私は、罪状を聴きながら、公世子に話をしている。
興味をそそられたのか、ずっと聞いてくるのが、だんだんめんどくさくなった。
眼下にいるのは、男爵の血縁者ばかりである。
78名となっているが、ここにいない人物が一人いた。ソフィアその人だ。
騒ぎたてるので、外に出せなかったのだそうで、何とも恥さらしといっていいのだろうか。
「アンナリーゼ」
「何ですか?」
「そなたが、もし、男爵と友好関係であったら……」
「この国を乗っ取りますね?なんなら、私が公妃の座に居座りますよ!」
「それだけはなくてよかった」
「そうですか?お誘いは、何度かあったんですけどね?
なんていうか、私、自分の未来に誇れる選択をしたかったのでお断りしました」
「そなたがあちら側でなくてよかったぞ。どう考えても、勝てる見込みがない。
ジョージアがいなかったらと思うと肝が冷える……」
「そうですか?私が嫁がなければ、ジョージア様は、きっとあっち側の人間でしたよ!
もっともアンバーの領地や領民は、あれほど見窄らしくなく、最低限の生活はできていたかも
しれないし、もっと、搾取されていたかもしれません。
そこばかりは違う関係性で過ごしてみなければ、わかりませんからね」
私は、今公世子に言ったことを考える。
こちらに嫁がなかったら、どんな未来があったのだろうか?
きっと、私はハリーの側で何の苦労もなく幸せに過ごしていただろう。
誰よりも私を慈しんでくれた人なのだから……
もし、未来が予知できていなかったら……それは、それで幸せな人生を暮らせたのだろう。
死ぬときも、大好きだったハリーの側にいられたのだから。
『予知夢』のおかげで、今、ここにいるのだが、ずいぶん変わっていく未来に戸惑わない日はない。
だけど、この道を選んだことは……後悔はしていない。
一次的にジョージアと離れて暮らしていたが、今は側にいてくれる。
変わらない未来もあるけど、変わった未来もあって、より幸せに楽しく生活ができているのだから。
じゃあ、ソフィアはどうなのだろう?
公爵夫人になれたはずだったのに、私に横やりをされ、私や我が子へ毒殺を試みては失敗。
刺客を送れば、刺客が自決したため音沙汰がなく、いつまでも目の前にいる私を恨んでいるだろう。
ハリーとの未来を選んでいれば、ソフィアは、もしかしたら幸せな人生を歩んで行けたのかもしれない。
私が、ソフィアの人生を変えてしまったのだ。
申し訳なさはあるが……我が子に会えたことをふまえても、この道を進んできたことは、私にとって決して悪い道ではなかった。
大切な人ができた。ジョージアであり、我が子であり、友人たちであり、侍従や領民。
私と手を取り合ってくれた人がたくさんいる。
今は、少しでも、そんな人たちを守れるよう生きていこうとしているのだ。
眼下を見る。
数日の取り調べにより、仄暗い瞳で地面を眺めている男爵の血縁たち。
今、罪状が全て読み上げられた。
明日、その罪状について、男爵家からの申出や男爵を後押しする貴族からの申出を聞くことになる。
その後、裁可が行われるわけだが、ハニーローズ暗殺未遂の罪状だけは、どうやっても取り消すことができない。
この罪が1番重く、そして、実績と証拠がある。
ソフィアがもたらした、私と我が子の暗殺未遂。
こればかりは、ひっくり返ることはないだろう。
実行犯である我が家の侍女がいるのだから……
「以上により、ダドリー男爵家には死刑を言い渡す。
また、今回の件に関わっている貴族や文官近衛に対しても相応の処罰をすることとなっている。
明日、申し開きをする。
何故、罪に問われたのかは、相応の処罰でないと判断したものは、申し出るように。
裁可については、公世子様の判断により処罰とする」
宰相が明日の申し開きの話をした。
これにて、今日は終わる。
それぞれ、罪人や処罰対象となるものに対しても半日時間を与えることにした。
ただ、逃げることは、罪を認めたとし、有無を言わさず処罰対象となることが追加で宰相より言われると、会場はザワザワとしている。
これから、公世子の執務室前には、上位貴族や高官などが列を成して並ぶであろう。
ここで、対応を間違えると、公世子もアンバー領も終わりである。
公世子の側で、しっかり見張る仕事が残ってそうだ。
◆◇◆◇◆
意外と、公世子の執務室へ乗り込んできた人物は少なかった。
自分が処罰対象であることを知らない場合もあるのではないかとも思ったが、領地全土へと通知したので、それで、見落としがあるのであれば、それは本人の意識が低かったということである。
そういう者に対して、便宜を払う必要もないわけで、結局のところ、自業自得ということとなった。
中でも第三妃擁立を試みようとしていた公爵家の降格決定については、国で大きく取り上げられた。
現公爵及び計画に加担した者は処刑とすること、家格の降格に爵位を取り上げられたりと貴族図ふぁごっそり入れ替わるような形となった。
もちろん、公世子及び現妃、子どもたち暗殺の件が浮き彫りになったからだ。
暗殺計画の初期段階で裁くことは難しい。
ただ、公爵の娘と身分を偽って第三妃擁立をさせたこと、また、その妃候補がダドリー男爵の血縁であることを鑑みて、この裁可は決定事項となっているので、いくら異議申し立てをしたとしても、覆ることはなかった。
それを近くで見ていた他の貴族は、諦めたのだろう。
なので、明日の申し開きには参加せず、公世子の裁可を甘んじて受けることとなった。
命があるだけ、儲けもの。
何かをきっかけに返り咲くこともできると踏んでいるのだろう。
でも、そうは問屋が卸さない。
ロサオリエンティス女王の名において、今回の決定事項のち爵位をあげることを禁じてしまったのだ。
これも、女王が見越していて、私への贈り物であった。
どこまで見越していたのかはわからないけど……さすが女王だと、私と公世子は感嘆の声を上げより一層精進することを誓うのであった。
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