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私の全てを支配したいですって
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ズリ……ずずず……ズリズリ…………
城の廊下で何かが引きずられるような音が響く。
これだけでも、近衛の一人二人来てもいいような気がするのだが、誰も来る気配がない。
はぁはぁ……ふぅ……荒くなった息を一休みして、私は呼吸を整える。
私って……妊婦よね?重いもの持っちゃダメよね……?
足元で気絶している女を裾が裂かれ短くなったお仕着せを着ている私が殿下の部屋まで引きずっているところだ。
もぅ!殿下の部屋、シルキー様の部屋から遠い!!
なんで隣じゃ……まずいのか……いろいろとね。
うん、部屋の扉を開けたときに、裸の女の子がいる場合もあるし、裸の男の子が……いる場合もあるかもしれないから、妃の部屋からは少し遠ざけてあるのよね。
王族って、大変ね……?
廊下で文句を言いながら、引きずってきた廊下を見やる。
私は、足元の女を引きずりながら、再度、殿下の部屋を目指す。
気絶すると、私より小さな女であったとしても……重たい。
こんなことなら、気絶させるんじゃなかった……!
後悔後に立たずとはこのことなのだろうか。
かなりの肉体労働になってきたため、思わずため息が出てきてしまう。
それにしたって……絶対、もう、なんか、殿下へ他にも恩の上乗せしてやる!
あっ!そうだ。
2号店の店、トワイスの王都に買ってもらおっと。
私は、引きずりながら、いいこと考えたっ!と先ほどとは違い、足取り軽く近くて遠い殿下の部屋を目指した。
◆◇◆◇◆
コンコン……返事がない。
殿下は寝てるの?私、こんなに頑張ったのに?
なんだかんだと激務だし、仕方ないか。
ツボ大事に抱いてくれているかなぁ?
これで、女の子連れ込んでたら、息の根止めるわよ!
物騒極まりない感じで返事のない殿下の部屋に押し入った。
あら、ビックリ……殿下の上に、裸のいい女がいらっしゃるじゃないですか!
私は思わず、ぴくっと唇の端が痙攣した。
「でーんかぁ?」
「あ……アンナ……」
「一回、死にますか?」
「あ……の……死にません、殺さないでください」
懇願してくる殿下は、ちなみに、絶賛、夜這いされ中らしい。
羨ましい!いや……腹立たしい。
と、殿下をひと睨みしたら、慌てて私のところまで裸の女性を押しのけて、私の足元まで転がるようにきた。
私の足元には、例の女が転がっているので、それを見てひぃーっと小さく悲鳴を上げている。
「殿下……情け無い……」
「し……死んで……」
「死んでいるわけないでしょ?死人に口なし。しっかり、生きてますよ!
拷問するなりなんなりは殿下の仕事です。
で、あの素っ裸の女性は誰ですか?
今夜は、私と枕を一緒にしてくれるって、約束してたじゃないですかぁ?
ちょっと、外の空気を吸いに行っている間に、殿下は忘れちゃったかな?」
殿下に向かって、甘えた声を出して詰ってやる。
この世で1番怖いものを見たというような顔で私を見つめ返して震えているのだが、可愛らしく詰っただけであった。
すると、殿下に押しのけられた女が、脱いでいた夜着を気怠げに着て私の前にくる。
見たことがなかったが、苛烈そうな視線でなんとなく誰だか察しがついた。
「あら、あなたがアンナリーゼかしら?
殿下の想い人だと聞いていたから、どんなご婦人かと思ったら……たいしたことないのね?」
挑発的に私を見下してくる女性は、殿下の第二妃だった。
どこを見てたいしたことないって言いました?ねぇ?今、どこ見て!
なぜか、ジョージア様の第二夫人であるソフィアを思い出した。
ソフィアもだが、このタイプ、とても感じが悪く腹立たしい。
こちらに体を向けると張り出したお腹がわかる。第二妃も妊婦なのだ。
あの、内乱を起こす第二王子が、その腹に入っているのだろう。
「初めまして、こんばんは!
今日は、殿下と私がむつみごとをすることになっていたんですけど……
第二妃あろうものが、閨の作法もご存知ないなんて、殿下も見る目がないのですね?」
「あら、あなたにはあちらのお国に待ってらっしゃる方があるのに、殿下と一夜過ごすのかしら?
悪い評判が立ってあちらの方の立つ背が……ないでしょうね?」
真っ赤な口紅が、意地悪く艶めく。
私を貶めるつもりなのかもしれないけど……ローズディアの悪評は散々なので今更だ。
「私の方が、今は旦那様より爵位が上になりましたから、私には逆らえませんもの。
私が誰と夜を過ごそうと、残念ながら何も言えませんわ!広めたいのならどうぞお好きに。
アンバー公爵夫人は、気が狂って領地のお屋敷に静養中ですもの。
あなたの方が変に疑われますわよ?ふふふ……あははは……」
狂ったように笑うと、第二妃は私を気持ち悪そうにしている。
うんうん、いい顔。とってもいいよ!と思いならがその顔を見ている。
紫の瞳が珍しいのか、おかしい私が珍しいのか、見つめてくるのでなんとも私の気分はとってもよくなってきた。
「ねぇ?第二妃様?殿下の心がどこにあるのか、確かめてみる?
あなたかしら?私かしら?どっちだと思う?
それとも、殿下の心なんて、あなたには興味ないかしら?」
私も負けじと意地悪く笑うと、口惜しそうに唇を噛み締めている。
ボロのお仕着せを着ていても出せる色気はある。
まさに転がってる女が舌を噛まないように口を塞ぎ、縛るもののかわりにお仕着せを裂いていたので太ももの半分くらいが見えている状態だった。
ちなみに殿下がへたり込んでいるので、視線の先に私の太ももがあるのだが……ここまで来たなら、いっそやらかしてやろう!心は決まる。
甘く甘く艶やかに、囁くように殿下へ話しかける。
「殿下、どちらの女性がお好みですか?」
急に話しかけられて驚いている殿下。
少し怯えているのか、瞳が揺れる。
「好きな方にキスしてください。今晩は、それで殿下の側にいる相手を決めましょう。
今なら目の前にある私の太ももでもいいですよ?」
甘くとろけるような笑顔を向けてやる。
すると、向こう側から金切声が聞こえてきた。
「で、殿下……もちろん、私を愛してくださっているのですのよね?殿下!」
必死の形相で、訴えかける第二妃。
て、いうか、これで殿下が第二妃の方に行ったら、その時点で再起できない程にしばき倒してやると心に誓って拳を握る。
それを見ていただろう、殿下。
私の太ももに遠慮がちに手を添えて、キスをする。
それだけで及第点をあげるつもりだったのだが、更に頑張った。
私の白い太ももにキスマークをつけたのだ。吸われる感覚がわかる。
「殿下、よくできました」
私は殿下の顎に手をかけ上を向かせ膝立ちさせる。
第二妃に見えるように左側の髪をかきあげてよせ、殿下にご褒美のキスをする。
それも軽いものではなく、しっかりと舌を絡ませてやらしく音がした。
真っ暗な中だが、薄目を開くと殿下は恥ずかしそうにしているし、第二妃の方を見れば目を見開いて今にも地団駄を踏みそうである。
これこそ、おいたがすぎるわけだが……あっさり受け入れている殿下も殿下じゃないだろうか?
しばらく、おいたは続き、見せつけるためだけのキスが続く。
この体勢キツいな……と、若干違うことを考え始めたころ、第二妃は殿下の部屋から憤慨して出ていった。
その瞬間、私は殿下から離れ床にぺたんと座る。
殿下と向き合っている状態だ。
「今日はなんていう日なんだ……?
シルキーが治るかもしれないと喜んだはいいが、アンナを部屋に連れ込む演技をさせられ、
ベッドで考えごとをしてたら第二妃に夜這いされ、最後にアンナのおいたに付き合わされてキスまで
させられる!」
頭を抱えたそうにしながら、軽く振っている。
「しかし、アンナ!」
「なんですか?」
「どこで覚えたんだ!そんなキスとか……その……あの……」
「殿下……私これでも一児の母ですし、なんならお腹にもう一人いますから……
それくらいの経験は積んでますよ?ジョージア様と」
私を見つめながら、思案している。
太ももへのキスを求めたのには意味があった。
私の全てを支配したいという意味あるわけだが、第二妃の目の前ですることでシルキーへの牽制にもなるだろう。
私自身がシルキーに慕われていること、後ろ盾が私の実家でありフレイゼン侯爵であることなどなど折込んでいる。
「いや、なんていうか、ジョージアとそういうのが結びつかなくて……」
「と言われても、そこは普通にですね?求められますから……」
「これが、普通だとしたら……そなたら……」
若干、顔を赤らめながら先を言おうとしてくるので、私は殿下の口を指で塞ぐ。
夫婦のことをとやかく言われたくない。
別にいいじゃない。ジョージア様と仲良くしてるんだから、ほっといてほしい。
「殿下、黙ってください。
うちはうちで好きなように愛情確認しているのでとやかく言われたくないです」
「あ……あぁ、そうだな。別に俺が求められているわけじゃないんだし」
「そうですよ!」
ほっぺを膨らますと、相変わらず子供っぽいこともするのだなと笑う。
「あっ!今のはハリーとお兄様には内緒ですよ?」
「そのうち噂で流れるんじゃないか?」
「そしたらしらばっくれればいいんです。
部屋に入れたのは、事実だが、公爵として王太子妃の見舞いと挨拶を兼ねていた。
公爵領での特産品について詳しく知りたいことが多く、夜中まで話こんでいた。
そのついでに、トワイスに進出したい申し出があり、出す店の世話と御用達看板のことで
かなりの時間、談義をしなくてはならなくなったのだと言えばいいのです」
「いいのですって、サラッと今、出す店の世話焼きするよう話が加わってるように思うのだが……」
ニコニコっと殿下に満面の笑顔を向けておく。
すると、苦笑いしている殿下。
「当たり前です!妊婦がこんなに重い荷物を持って運んできたんですよ!
それに、シルキー様がナイフで刺されて殺されかけるところも助けましたし、第二妃からの夜這いを
助けてあげたじゃないですか?
あっ!夜這いはされたかったですか?一応、奥さんですもんね?第二妃も」
「いえ、されなくてよかったです」
興味なさげにそうですかと呟いて下に転がっている女をどうするか問う。
とりあえず、シルキーの元に帰りたいのだが……いろいろありすぎてかなりの時間、戻れていない。
一応、私がいなくてもいいようにはしてきたので、大丈夫だと思うが、次が来ていないともわからないので殿下も連れ、その女も連れ、また、シルキーの元へと戻るのであった。
城の廊下で何かが引きずられるような音が響く。
これだけでも、近衛の一人二人来てもいいような気がするのだが、誰も来る気配がない。
はぁはぁ……ふぅ……荒くなった息を一休みして、私は呼吸を整える。
私って……妊婦よね?重いもの持っちゃダメよね……?
足元で気絶している女を裾が裂かれ短くなったお仕着せを着ている私が殿下の部屋まで引きずっているところだ。
もぅ!殿下の部屋、シルキー様の部屋から遠い!!
なんで隣じゃ……まずいのか……いろいろとね。
うん、部屋の扉を開けたときに、裸の女の子がいる場合もあるし、裸の男の子が……いる場合もあるかもしれないから、妃の部屋からは少し遠ざけてあるのよね。
王族って、大変ね……?
廊下で文句を言いながら、引きずってきた廊下を見やる。
私は、足元の女を引きずりながら、再度、殿下の部屋を目指す。
気絶すると、私より小さな女であったとしても……重たい。
こんなことなら、気絶させるんじゃなかった……!
後悔後に立たずとはこのことなのだろうか。
かなりの肉体労働になってきたため、思わずため息が出てきてしまう。
それにしたって……絶対、もう、なんか、殿下へ他にも恩の上乗せしてやる!
あっ!そうだ。
2号店の店、トワイスの王都に買ってもらおっと。
私は、引きずりながら、いいこと考えたっ!と先ほどとは違い、足取り軽く近くて遠い殿下の部屋を目指した。
◆◇◆◇◆
コンコン……返事がない。
殿下は寝てるの?私、こんなに頑張ったのに?
なんだかんだと激務だし、仕方ないか。
ツボ大事に抱いてくれているかなぁ?
これで、女の子連れ込んでたら、息の根止めるわよ!
物騒極まりない感じで返事のない殿下の部屋に押し入った。
あら、ビックリ……殿下の上に、裸のいい女がいらっしゃるじゃないですか!
私は思わず、ぴくっと唇の端が痙攣した。
「でーんかぁ?」
「あ……アンナ……」
「一回、死にますか?」
「あ……の……死にません、殺さないでください」
懇願してくる殿下は、ちなみに、絶賛、夜這いされ中らしい。
羨ましい!いや……腹立たしい。
と、殿下をひと睨みしたら、慌てて私のところまで裸の女性を押しのけて、私の足元まで転がるようにきた。
私の足元には、例の女が転がっているので、それを見てひぃーっと小さく悲鳴を上げている。
「殿下……情け無い……」
「し……死んで……」
「死んでいるわけないでしょ?死人に口なし。しっかり、生きてますよ!
拷問するなりなんなりは殿下の仕事です。
で、あの素っ裸の女性は誰ですか?
今夜は、私と枕を一緒にしてくれるって、約束してたじゃないですかぁ?
ちょっと、外の空気を吸いに行っている間に、殿下は忘れちゃったかな?」
殿下に向かって、甘えた声を出して詰ってやる。
この世で1番怖いものを見たというような顔で私を見つめ返して震えているのだが、可愛らしく詰っただけであった。
すると、殿下に押しのけられた女が、脱いでいた夜着を気怠げに着て私の前にくる。
見たことがなかったが、苛烈そうな視線でなんとなく誰だか察しがついた。
「あら、あなたがアンナリーゼかしら?
殿下の想い人だと聞いていたから、どんなご婦人かと思ったら……たいしたことないのね?」
挑発的に私を見下してくる女性は、殿下の第二妃だった。
どこを見てたいしたことないって言いました?ねぇ?今、どこ見て!
なぜか、ジョージア様の第二夫人であるソフィアを思い出した。
ソフィアもだが、このタイプ、とても感じが悪く腹立たしい。
こちらに体を向けると張り出したお腹がわかる。第二妃も妊婦なのだ。
あの、内乱を起こす第二王子が、その腹に入っているのだろう。
「初めまして、こんばんは!
今日は、殿下と私がむつみごとをすることになっていたんですけど……
第二妃あろうものが、閨の作法もご存知ないなんて、殿下も見る目がないのですね?」
「あら、あなたにはあちらのお国に待ってらっしゃる方があるのに、殿下と一夜過ごすのかしら?
悪い評判が立ってあちらの方の立つ背が……ないでしょうね?」
真っ赤な口紅が、意地悪く艶めく。
私を貶めるつもりなのかもしれないけど……ローズディアの悪評は散々なので今更だ。
「私の方が、今は旦那様より爵位が上になりましたから、私には逆らえませんもの。
私が誰と夜を過ごそうと、残念ながら何も言えませんわ!広めたいのならどうぞお好きに。
アンバー公爵夫人は、気が狂って領地のお屋敷に静養中ですもの。
あなたの方が変に疑われますわよ?ふふふ……あははは……」
狂ったように笑うと、第二妃は私を気持ち悪そうにしている。
うんうん、いい顔。とってもいいよ!と思いならがその顔を見ている。
紫の瞳が珍しいのか、おかしい私が珍しいのか、見つめてくるのでなんとも私の気分はとってもよくなってきた。
「ねぇ?第二妃様?殿下の心がどこにあるのか、確かめてみる?
あなたかしら?私かしら?どっちだと思う?
それとも、殿下の心なんて、あなたには興味ないかしら?」
私も負けじと意地悪く笑うと、口惜しそうに唇を噛み締めている。
ボロのお仕着せを着ていても出せる色気はある。
まさに転がってる女が舌を噛まないように口を塞ぎ、縛るもののかわりにお仕着せを裂いていたので太ももの半分くらいが見えている状態だった。
ちなみに殿下がへたり込んでいるので、視線の先に私の太ももがあるのだが……ここまで来たなら、いっそやらかしてやろう!心は決まる。
甘く甘く艶やかに、囁くように殿下へ話しかける。
「殿下、どちらの女性がお好みですか?」
急に話しかけられて驚いている殿下。
少し怯えているのか、瞳が揺れる。
「好きな方にキスしてください。今晩は、それで殿下の側にいる相手を決めましょう。
今なら目の前にある私の太ももでもいいですよ?」
甘くとろけるような笑顔を向けてやる。
すると、向こう側から金切声が聞こえてきた。
「で、殿下……もちろん、私を愛してくださっているのですのよね?殿下!」
必死の形相で、訴えかける第二妃。
て、いうか、これで殿下が第二妃の方に行ったら、その時点で再起できない程にしばき倒してやると心に誓って拳を握る。
それを見ていただろう、殿下。
私の太ももに遠慮がちに手を添えて、キスをする。
それだけで及第点をあげるつもりだったのだが、更に頑張った。
私の白い太ももにキスマークをつけたのだ。吸われる感覚がわかる。
「殿下、よくできました」
私は殿下の顎に手をかけ上を向かせ膝立ちさせる。
第二妃に見えるように左側の髪をかきあげてよせ、殿下にご褒美のキスをする。
それも軽いものではなく、しっかりと舌を絡ませてやらしく音がした。
真っ暗な中だが、薄目を開くと殿下は恥ずかしそうにしているし、第二妃の方を見れば目を見開いて今にも地団駄を踏みそうである。
これこそ、おいたがすぎるわけだが……あっさり受け入れている殿下も殿下じゃないだろうか?
しばらく、おいたは続き、見せつけるためだけのキスが続く。
この体勢キツいな……と、若干違うことを考え始めたころ、第二妃は殿下の部屋から憤慨して出ていった。
その瞬間、私は殿下から離れ床にぺたんと座る。
殿下と向き合っている状態だ。
「今日はなんていう日なんだ……?
シルキーが治るかもしれないと喜んだはいいが、アンナを部屋に連れ込む演技をさせられ、
ベッドで考えごとをしてたら第二妃に夜這いされ、最後にアンナのおいたに付き合わされてキスまで
させられる!」
頭を抱えたそうにしながら、軽く振っている。
「しかし、アンナ!」
「なんですか?」
「どこで覚えたんだ!そんなキスとか……その……あの……」
「殿下……私これでも一児の母ですし、なんならお腹にもう一人いますから……
それくらいの経験は積んでますよ?ジョージア様と」
私を見つめながら、思案している。
太ももへのキスを求めたのには意味があった。
私の全てを支配したいという意味あるわけだが、第二妃の目の前ですることでシルキーへの牽制にもなるだろう。
私自身がシルキーに慕われていること、後ろ盾が私の実家でありフレイゼン侯爵であることなどなど折込んでいる。
「いや、なんていうか、ジョージアとそういうのが結びつかなくて……」
「と言われても、そこは普通にですね?求められますから……」
「これが、普通だとしたら……そなたら……」
若干、顔を赤らめながら先を言おうとしてくるので、私は殿下の口を指で塞ぐ。
夫婦のことをとやかく言われたくない。
別にいいじゃない。ジョージア様と仲良くしてるんだから、ほっといてほしい。
「殿下、黙ってください。
うちはうちで好きなように愛情確認しているのでとやかく言われたくないです」
「あ……あぁ、そうだな。別に俺が求められているわけじゃないんだし」
「そうですよ!」
ほっぺを膨らますと、相変わらず子供っぽいこともするのだなと笑う。
「あっ!今のはハリーとお兄様には内緒ですよ?」
「そのうち噂で流れるんじゃないか?」
「そしたらしらばっくれればいいんです。
部屋に入れたのは、事実だが、公爵として王太子妃の見舞いと挨拶を兼ねていた。
公爵領での特産品について詳しく知りたいことが多く、夜中まで話こんでいた。
そのついでに、トワイスに進出したい申し出があり、出す店の世話と御用達看板のことで
かなりの時間、談義をしなくてはならなくなったのだと言えばいいのです」
「いいのですって、サラッと今、出す店の世話焼きするよう話が加わってるように思うのだが……」
ニコニコっと殿下に満面の笑顔を向けておく。
すると、苦笑いしている殿下。
「当たり前です!妊婦がこんなに重い荷物を持って運んできたんですよ!
それに、シルキー様がナイフで刺されて殺されかけるところも助けましたし、第二妃からの夜這いを
助けてあげたじゃないですか?
あっ!夜這いはされたかったですか?一応、奥さんですもんね?第二妃も」
「いえ、されなくてよかったです」
興味なさげにそうですかと呟いて下に転がっている女をどうするか問う。
とりあえず、シルキーの元に帰りたいのだが……いろいろありすぎてかなりの時間、戻れていない。
一応、私がいなくてもいいようにはしてきたので、大丈夫だと思うが、次が来ていないともわからないので殿下も連れ、その女も連れ、また、シルキーの元へと戻るのであった。
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