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殿下の部屋に
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「殿下の部屋で着替えていいですか?」
「はぁ?」
「うん、誤解を招くようにですねぇ……?」
「そんなことしたら、ジョージア殿に……」
「ジョージア様は、ここにいないからイイのです。
あっちやこっちで女の人の香水をたんまりつけて帰ってくる人なんて……
たまには、焦らしちゃってもいいと思うんですよ!」
「なんか、あったのか?」
私の突然の申出に、殿下の方がたじたじとなっているが知ったことじゃない。
まぁ、普通、部屋に入れろ!なんてことをいう常識ある女性は、めったにいないだろう。
なんせ、夜だし、いい年した大人だしいろんな意味が含まれるから……
「何もないですけど、シルキー様を狙うんじゃなくて私を狙ってくれないかなぁ……って。
殿下のベッドの近くにドレスを脱ぎ散らかしておいたら、勝手に勘違いしてくれるんじゃないかと
思って……?」
「なるほど……じゃないな。そなた、公爵なのだろ?」
「えぇ、公爵です。あっ!でも公爵だって知っているのはほんの少しの人間ですし、公爵夫人アンナ
リーゼは、ジョージア様への愛情が嫉妬深さに変わって心を病み、領地で療養中なのです。
少々、トワイスで殿下においたをしたくらいで、バレません」
私の真剣な眼差しを受け、引きつりながら話をそれも戯言を聞いている殿下。
まぁ、殿下の名には傷がつくので、大変困るであろう……王太子妃が危篤のときに部屋に女性を入れたとなれば……大事になる。
相手が私だとすれば、なんだ、フレイゼンのじゃじゃ馬娘かとなるだろ……?ならないな。
私が、殿下の想い人だったというのは、トワイス国貴族の周知の事実だったのだから。
「アンナがよくても、俺が、困る」
「シルキー様にはちゃんとお話してから領地には帰りますから!ね?」
「無理なものは無理だ……もう少し、立場っていうものを……」
私はむぅっと頬っぺたを膨らませ、ジトっと殿下を見ている。
「はぁ……アンナは一度言ったら聞かないからな……わかった。好きにしてくれ……
で、その代わりと言っちゃなんだが、公爵になった理由を教えてくれるか?」
「いいですよ!」
軽いな……公爵ってもっと威厳が……とぶつくさ言っているが、私にそんなものを求めるほうがおかしい。
私は、私なのだから。
残念ながら、どこに行っても変わりようがない。
「一から説明するとですね?
アンバー領に行ったら、えらく荒んでいたので、領主代行権をジョージア様にもらおうとしたの
ですよ。
あっ!殿下はご存じかどうか知りませんけど、私、ジョージア様と10ヶ月?くらい別居状態だったん
ですよ!」
「はぁ?ジョージア殿と別居?それはなんで?」
「知らないです。出産した日から屋敷に帰ってこなくなりました。第二夫人の住む別宅から……」
「アンナ!それは、俺から、アンバー公爵に抗議の手紙送るから詳しく!」
「殿下、アンバー公爵なら、目の前にいますけど?」
あぁ、ややこしい!となんか頭抱えてぼやいている殿下を見て笑ってしまった。
「それで?今は、戻ってきているのか?」
「ジョージア様は、本宅に戻ってきていますよ!私が、領地に引っ込んだので本宅の管理を任せて
あります。
っていっても、筆頭執事が優秀なので、ジョージア様がいてもいなくても全部うまいことして
くれますから、実際は何もしていないと思いますよ?
ちなみに、ジョージア様もアンバー公爵ですからね。
私は、一代限りのアンバー公爵に公から任命してもらいました!」
「なるほどな。で、理由は領地改革だけでないんだろ?
領地改革くらいなら、別に爵位まではいらぬだろうから……」
「殿下もやっぱり王族なんですね?」
「当たり前だ!勉強は常にしておる!」
殿下すごい!って褒めたら、逆にもっと勉学に励めと叱られてしまった。
私、これでも、学園にいたころより、ずっとずっとずぅーっと勉強はしている。
本もたくさん読んだし、主に領地管理簿だけど……おもしろい器の本とか変わった服を作るとか、領地で出来そうなことはないかと常に模索しているのである。
「茶化すのは、それくらいにして……」
「そなたが、茶化しているんだと思うがな?」
「そうでした、すみません。ある貴族を根こそぎ潰すために公爵位をいただきました」
「えらく物騒な話だな?」
「そうですか?よくある話だと思いますよ?
そのうち、殿下の側でも起こるんじゃないですかね?気を付けてくださいね!
例えば、第二夫人が、奥様邪魔で仕方がなくて毒を盛るとか。
うちの場合、盛った相手が悪かっただけですけどね!
うちの子に毒を盛ったから、おいたも過ぎると許せなくて!」
「アンナ……?おいたで貴族をつぶすのか?」
「おいたでって言いますけど、一応公国の法律には、アンバー公爵家に生まれる、蜂蜜色の瞳を持つ子を
害したもしくは害そうとしたもの及び一族について死刑とするだったかな?そういう法律が
あるんです」
「珍妙なそんな法律があるのか?」
「殿下……トワイスにも同じ法律がありますから、探してよく読んでおいてくださいね!
うちの子どもに害をなしたら……殿下と言えど死にますよ?」
「公爵位だろ?何故法律で守られる?普通、王族の方が上であろう?」
「アンバー公爵家も正当な王家の血筋だからですよ。ロサオリエンティスってわかりますよね?」
さも、当たり前のことのように、私はロサオリエンティスのことを話す。
殿下ももちろん知っているというふうに私に話を続けてきた。
あんまりおもしろくなかったが、常識であるのでうんうんと頷いておく。
「あぁ、この国の前身だな。それが?」
「ちょっと、違います。ロサオリエンティスが、原初の女王そのものです。
原初の女王が、蜂蜜色の瞳の持ち主だったのですよ。
女王を色濃く残すのが、アンバー公爵家です。
そして、その法律は、トワイス、ローズディア、エルドアの三国共にある法律ですよ!
だから、ちょっかいかけてきた第二夫人を含め男爵家取り潰しするために、私は公爵位を得ました。
公爵位があると責任もありますけど、自由に領地の裁可ができるので楽なんです」
殿下は、アンナらしいと呆れているわけだが……別にわざわざ爵位を得てまで誰かを断罪したい人間なんていないはずだ。
そこは殿下に勘違いされては困る。
そうそう公爵位なんてとれるものではないので、ロサオリエンティスの計らいもあってありがたくいただいておいたのだが、自分の肩では荷が重いこともわかっている。
「それで、その爵位で好き勝手やっているのか?」
「失礼ですね!まだ、何もしていませんよ!少々、公と公世子様に、おいたした男爵のお仕置きように
下調べしてくれって言っただけです」
「あと、俺に御用達の看板くれともいっていたな……」
あはは……と空笑いをしておくと、変わってなくてよかったと言ってくれる。
結婚式から2年も会っていなかったのだ。
手紙のやり取りはしていても、私は心配されていたのだろう。
「殿下、ありがとうございます」
「なんだ?しおらしいな。看板くらい」
「他にも……心配してくれて……」
「当たり前だ。いつまでたっても俺とハリーとそなたは幼馴染なんだ。気にしないでいる方が難しい。
ローズディアからアンナの噂が絶えることがないのも事実だ。
それに、シルキーの心を鷲掴みにして離さないんだ……ライバルとしては、手ごわいよ」
「そんなことないでしょ?シルキー様は、とても、殿下のこと大事にされていますよ?」
「そうか?未だにアンナリーゼは、アンナリーゼはって言っておるぞ?」
「私が少々特殊だからでしょう?私、シルキー様と出会てよかったです」
「それは、元気になった本人に言ってやってくれ!」
「わかりました、そういたしましょう!」
では、部屋に着替えを準備するから……もう少しここで待っていてくれ……と言って、殿下は部屋を出て行った。
ここ、執務室なんだけど……他国の私がいていいのだろうか?そんな風に思っていたら、兄が帰ってきた。
パルマとは連絡がつき、明日朝一で合流してくれるらしい。
私も今晩の話をして王宮、それも殿下の部屋に泊まる話をして、僕は知らないよ……見なかったし聞かなかったし、触れないっとフラフラとソファに座り込む兄を見つめておくのであった。
「はぁ?」
「うん、誤解を招くようにですねぇ……?」
「そんなことしたら、ジョージア殿に……」
「ジョージア様は、ここにいないからイイのです。
あっちやこっちで女の人の香水をたんまりつけて帰ってくる人なんて……
たまには、焦らしちゃってもいいと思うんですよ!」
「なんか、あったのか?」
私の突然の申出に、殿下の方がたじたじとなっているが知ったことじゃない。
まぁ、普通、部屋に入れろ!なんてことをいう常識ある女性は、めったにいないだろう。
なんせ、夜だし、いい年した大人だしいろんな意味が含まれるから……
「何もないですけど、シルキー様を狙うんじゃなくて私を狙ってくれないかなぁ……って。
殿下のベッドの近くにドレスを脱ぎ散らかしておいたら、勝手に勘違いしてくれるんじゃないかと
思って……?」
「なるほど……じゃないな。そなた、公爵なのだろ?」
「えぇ、公爵です。あっ!でも公爵だって知っているのはほんの少しの人間ですし、公爵夫人アンナ
リーゼは、ジョージア様への愛情が嫉妬深さに変わって心を病み、領地で療養中なのです。
少々、トワイスで殿下においたをしたくらいで、バレません」
私の真剣な眼差しを受け、引きつりながら話をそれも戯言を聞いている殿下。
まぁ、殿下の名には傷がつくので、大変困るであろう……王太子妃が危篤のときに部屋に女性を入れたとなれば……大事になる。
相手が私だとすれば、なんだ、フレイゼンのじゃじゃ馬娘かとなるだろ……?ならないな。
私が、殿下の想い人だったというのは、トワイス国貴族の周知の事実だったのだから。
「アンナがよくても、俺が、困る」
「シルキー様にはちゃんとお話してから領地には帰りますから!ね?」
「無理なものは無理だ……もう少し、立場っていうものを……」
私はむぅっと頬っぺたを膨らませ、ジトっと殿下を見ている。
「はぁ……アンナは一度言ったら聞かないからな……わかった。好きにしてくれ……
で、その代わりと言っちゃなんだが、公爵になった理由を教えてくれるか?」
「いいですよ!」
軽いな……公爵ってもっと威厳が……とぶつくさ言っているが、私にそんなものを求めるほうがおかしい。
私は、私なのだから。
残念ながら、どこに行っても変わりようがない。
「一から説明するとですね?
アンバー領に行ったら、えらく荒んでいたので、領主代行権をジョージア様にもらおうとしたの
ですよ。
あっ!殿下はご存じかどうか知りませんけど、私、ジョージア様と10ヶ月?くらい別居状態だったん
ですよ!」
「はぁ?ジョージア殿と別居?それはなんで?」
「知らないです。出産した日から屋敷に帰ってこなくなりました。第二夫人の住む別宅から……」
「アンナ!それは、俺から、アンバー公爵に抗議の手紙送るから詳しく!」
「殿下、アンバー公爵なら、目の前にいますけど?」
あぁ、ややこしい!となんか頭抱えてぼやいている殿下を見て笑ってしまった。
「それで?今は、戻ってきているのか?」
「ジョージア様は、本宅に戻ってきていますよ!私が、領地に引っ込んだので本宅の管理を任せて
あります。
っていっても、筆頭執事が優秀なので、ジョージア様がいてもいなくても全部うまいことして
くれますから、実際は何もしていないと思いますよ?
ちなみに、ジョージア様もアンバー公爵ですからね。
私は、一代限りのアンバー公爵に公から任命してもらいました!」
「なるほどな。で、理由は領地改革だけでないんだろ?
領地改革くらいなら、別に爵位まではいらぬだろうから……」
「殿下もやっぱり王族なんですね?」
「当たり前だ!勉強は常にしておる!」
殿下すごい!って褒めたら、逆にもっと勉学に励めと叱られてしまった。
私、これでも、学園にいたころより、ずっとずっとずぅーっと勉強はしている。
本もたくさん読んだし、主に領地管理簿だけど……おもしろい器の本とか変わった服を作るとか、領地で出来そうなことはないかと常に模索しているのである。
「茶化すのは、それくらいにして……」
「そなたが、茶化しているんだと思うがな?」
「そうでした、すみません。ある貴族を根こそぎ潰すために公爵位をいただきました」
「えらく物騒な話だな?」
「そうですか?よくある話だと思いますよ?
そのうち、殿下の側でも起こるんじゃないですかね?気を付けてくださいね!
例えば、第二夫人が、奥様邪魔で仕方がなくて毒を盛るとか。
うちの場合、盛った相手が悪かっただけですけどね!
うちの子に毒を盛ったから、おいたも過ぎると許せなくて!」
「アンナ……?おいたで貴族をつぶすのか?」
「おいたでって言いますけど、一応公国の法律には、アンバー公爵家に生まれる、蜂蜜色の瞳を持つ子を
害したもしくは害そうとしたもの及び一族について死刑とするだったかな?そういう法律が
あるんです」
「珍妙なそんな法律があるのか?」
「殿下……トワイスにも同じ法律がありますから、探してよく読んでおいてくださいね!
うちの子どもに害をなしたら……殿下と言えど死にますよ?」
「公爵位だろ?何故法律で守られる?普通、王族の方が上であろう?」
「アンバー公爵家も正当な王家の血筋だからですよ。ロサオリエンティスってわかりますよね?」
さも、当たり前のことのように、私はロサオリエンティスのことを話す。
殿下ももちろん知っているというふうに私に話を続けてきた。
あんまりおもしろくなかったが、常識であるのでうんうんと頷いておく。
「あぁ、この国の前身だな。それが?」
「ちょっと、違います。ロサオリエンティスが、原初の女王そのものです。
原初の女王が、蜂蜜色の瞳の持ち主だったのですよ。
女王を色濃く残すのが、アンバー公爵家です。
そして、その法律は、トワイス、ローズディア、エルドアの三国共にある法律ですよ!
だから、ちょっかいかけてきた第二夫人を含め男爵家取り潰しするために、私は公爵位を得ました。
公爵位があると責任もありますけど、自由に領地の裁可ができるので楽なんです」
殿下は、アンナらしいと呆れているわけだが……別にわざわざ爵位を得てまで誰かを断罪したい人間なんていないはずだ。
そこは殿下に勘違いされては困る。
そうそう公爵位なんてとれるものではないので、ロサオリエンティスの計らいもあってありがたくいただいておいたのだが、自分の肩では荷が重いこともわかっている。
「それで、その爵位で好き勝手やっているのか?」
「失礼ですね!まだ、何もしていませんよ!少々、公と公世子様に、おいたした男爵のお仕置きように
下調べしてくれって言っただけです」
「あと、俺に御用達の看板くれともいっていたな……」
あはは……と空笑いをしておくと、変わってなくてよかったと言ってくれる。
結婚式から2年も会っていなかったのだ。
手紙のやり取りはしていても、私は心配されていたのだろう。
「殿下、ありがとうございます」
「なんだ?しおらしいな。看板くらい」
「他にも……心配してくれて……」
「当たり前だ。いつまでたっても俺とハリーとそなたは幼馴染なんだ。気にしないでいる方が難しい。
ローズディアからアンナの噂が絶えることがないのも事実だ。
それに、シルキーの心を鷲掴みにして離さないんだ……ライバルとしては、手ごわいよ」
「そんなことないでしょ?シルキー様は、とても、殿下のこと大事にされていますよ?」
「そうか?未だにアンナリーゼは、アンナリーゼはって言っておるぞ?」
「私が少々特殊だからでしょう?私、シルキー様と出会てよかったです」
「それは、元気になった本人に言ってやってくれ!」
「わかりました、そういたしましょう!」
では、部屋に着替えを準備するから……もう少しここで待っていてくれ……と言って、殿下は部屋を出て行った。
ここ、執務室なんだけど……他国の私がいていいのだろうか?そんな風に思っていたら、兄が帰ってきた。
パルマとは連絡がつき、明日朝一で合流してくれるらしい。
私も今晩の話をして王宮、それも殿下の部屋に泊まる話をして、僕は知らないよ……見なかったし聞かなかったし、触れないっとフラフラとソファに座り込む兄を見つめておくのであった。
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