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初めての誕生日会前日
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領地に引っ越してきて2週間がたとうとしている。
私は、さらに引越しをすることになっているので何もするなと言われており、大人しくジョーと遊ぶ日々を送っているところだ。
明日、1歳となる我が子は、それはそれは美しい子になった。
ジョージアと同じトロっとした蜂蜜色の瞳ももちろん可愛いのだが、キラキラと光る銀髪は、見るものの目を奪う程である。
なんていうか……大人になったら……いや、もう少しおしゃべりができるようになったら……引く手あまただろう。
ここ数日見ていると……見た目はもちろん申し分がないのだが、興味を持ったものや行動が私そっくりなのだ。
特に父とノクトあたりは、手を離さないような気さえする。
いや、密かにノクトは、もうおじいちゃん気取りで接しているんだった。
「1番初めになんていうだろうねって話してたんだけどね……
まんまなのかママなのか……どっちとも判別がつかなくて笑っちゃったよ」
「たぶん、両方だと思いますよ!」
「おっ!経験者は言うね!」
ジョーの部屋で遊んでいると、2児の母でもあるリアンはおかしそうに笑う。
「レオノーラは初めてしゃべったのはまんまでしたし、ミアはママでしたよ。
二人目は上の子を見て成長するのか、言葉も早く覚えましたから、一緒のように
育てても全く別になりますね」
「確かに……レオは物怖じしない感じがするけど、ミアは少し人見知りでお兄ちゃんの後ろに
くっついている感じだものね。それがまた、可愛いのだけど!
うちの子は、どんな風に育つのかしら?」
抱き上げるとかなり重くなった。
成長していることに喜びを感じて、明日の誕生日の話になる。
「そういえば、領地全体でお祭りをするのだと聞き及んだのですけど……本当ですか?」
「本当よ!別にそんなつもりはなかったんだけどね、せっかくなんでやりましょうって話になったの。
っていっても、領民から何かをもらうわけでなく、おめでとうって言葉をかけてもらえれると嬉しいね
って話よ。
食べ物とか配ろうかって話にもなったの。
ちょうど葡萄酒の入れ替え作業もあるから、それもやりつつのどんな具合か飲んでみたいっていうのが
多分本音よね。
そこにおいしいご飯つけてくれって話なのかな?と思って、お祭りにしちゃった」
そんな軽い感じで話しているけど、意外と金欠になりつつあるので、結構いたい出費でもあった。
でも、まぁ……せっかくなので、させてもらおう。
こんな美人さん、もっと領地のみんなに知ってもらいたいという欲もあった。
「結構なお金かかってますよね?領地全体にって今、おっしゃってましたから……」
「そうね。だから、投資してたお金の一部取り崩しちゃった!
お兄様も一緒のところに投資してたから、株価が下がった!って向こうでとてもとても嘆いている
かも知れないわ!
まぁ、お兄様だけならいいんだけど……もしかしたら、公とか公世子様とか南の領地の領主たちも
嘆いてるかもしれないかな?」
「えっ?ていうと、そんなにお金を動かしたってことですか?」
「そうね。元々アンバーのお屋敷の資金を運用してたものだから、そろそろ温めてないで使おうかなって
思って。
わりと、結構な額になったのよね!」
そう、わりと結構な額になったのだ。
私は、ホクホク顔でいるが、きっと、そこに関わっている人たちは、ゴッソリ現金に換えた私を恨んでいるだろう。
まぁ、知ったことではない。
銀髪を撫でながら、ジョージアにも絶対領地に来ないよう手紙を送っておいたので、明日の領地は、夕方からどんちゃん騒ぎになるだろう。
楽しみだなと、明日に思いを馳せる。
「アンナ様、明日の話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
デリアが部屋に入ってきた。
明日の取り仕切りをデリアとナタリーがしてくれるらしい。
発案者であるセバスは、住民登録の件で、忙しいため手伝っていないそうだ。
「いいわよ!何かしら?」
「お祝いの食べ物ですが、何にしましょうか?」
私は、悩んだ。
夕飯は各自で作ってもらうとして、何かおかしが欲しい。
誕生日と言えば、甘いものな気がする。
「デリア、甘いお菓子を配りたいのだけど……何がいいかしら?腐りにくいものがいいわよね!」
「では、クッキーとかどうですか?簡単に焼けますし、腐りにくいです」
リアンの提案に、いいねと返答し、お祝いの品が決まった。
では、厨房に行ってきますね!と言って出て行こうとするデリアを呼び止める。
「私も作っちゃダメかな?ジョーのお祝いのことだし……」
仕方ないですねとデリアは私にいい、リアンにレオとミアを連れてくるように伝える。
三人でジョーの面倒を見ておいてと言うつもりらしい。
レオとミアとを部屋に連れてきたリアンと入れ替わりに、私はデリアと部屋を出、厨房へと足を運ぶ。
よく使いこまれているキッチンでは、作り手がせわしなく動き回っている。
デリアは、その中でとても小柄な女性を連れてきてくれた。
「こちら、キティです。お菓子作りが得意なので、一緒に作ってもらいましょう」
「あの……初めまして、奥様」
ペコっと頭を下げる。
私は、まだこっちの方は掌握していないので、デリアに紹介してもらったキティという子をしげしげと見てしまった。
それを何か問題があるのかと勘違いしたようで、慌てて謝り始めた。
「あっ、えっと、ごめん、キティ。何も問題ないわ!ごめんね、不躾に見ちゃって……」
「いえ、大丈夫です。こちらこそ……すみません」
小動物とかリスとかを思い浮かべるような可愛らしいこの少女に私はニコリと笑いかけると、何故か、惚けてしまった。
「キティ?大丈夫?」
「あ……はい、大丈夫です。あの……その……」
「誕生日祝いにクッキーを焼きたいの!
いっぱい焼かないといけないし、私も手伝わせてほしいんだけど、いいかな?」
「とんでもございません!奥様が、そんな……」
貴族の奥様ってお菓子は作らないらしい……なので、恐縮されてしまった。
いや、私、貴族だけど、普通じゃないからね!
自分で思っててなんだけど、私、やりたいことは何でもやりたいのだ。
「キティ、私にクッキーの焼き方を教えて!引っ越しが終わるまで、仕事止められてるの。
お願い!お願い!!お願い!!!」
調理場の隅でのやり取りだが、私がキティを拝み倒しているからかみんなが見ていた。
それにさらに慌てるキティ。
見かねたデリアが間に入ってくれる。
「アンナ様、一応、公爵なのですから、もう少し品よく頼んでください。
そして、キティ。諦めなさい!アンナ様と一緒に領地全員分を今から明日の夕方まで焼くのよ!
他の方も手が空いてたら手伝ってあげて!自分の仕事を置いてまでは、しなくていいですからね!」
デリアが、間に入ってくれたおかげでなんとか話はまとまった。
侍女やメイドたちも、時間があれば手伝ってくれるよう声をかけてくれたらしい。
実は、ノクトが領地に来たときに砂糖を大量に持ってきてくれたおかげで、クッキーを焼くことができる。
これ、人気取りとか言われるのかしら?
難しいはね……その辺。でも、お祝いだからってことで喜んでくれると嬉しいな。
「よし、やるぞ!」
私は腕まくりをする。
隣でキティが、あわあわしていたが、いざお菓子作りに入ると懇切丁寧に教えてくれる。
初めて作ったクッキーは、見事にできた。
私一人では、少ししかできなかったが、この屋敷にいる侍従たちがデリアから話を聞き、入れ替わりたち替わりで手伝ってくれる。
休憩をはさみながら、山のようなクッキーを見てうんざりしながら、次はこれを小分けする作業に入る。
冷えたクッキーを執務室に運んでもらう。
半日以上焼き続けて、4万枚ほどのクッキーが焼けた。
ここで、デリアと二人、小さな封筒を作り5枚ずつ入れていく。
これは、地道な作業だ……と、投げ出そうとしたところにウィルが帰ってきた。
「ウィル!手伝って!」
「げっ……」
「逃がさないから!!」
ウィルの腕を取りソファに座らせ、前にクッキーを置く。
そして、私たちと一緒の作業をする。
チクチクと内職をするように……どう考えても、公爵と伯爵がやるような仕事ではない。
「アンナリー……」
「きた!デリア、確保よ!」
執務室の扉を半分開いて、こっちを見て閉じようとしたセバスをデリアが確保した。
ナイス!デリア。
そのまま、ウィルの隣に連行して座らせ、同じように作業をするようデリアが指示をする。
「よぉ、セバス!」
「あぁ……ウィル……」
二人の間で何かを感じたようで頷いてる。
そして、公爵、伯爵、男爵は内職を再開する。
「アンナリーゼ様!ただいま戻りました!」
「ちょうどいいところに!ナタリー!!」
「なんですの?これは……クッキーですか?」
チクチクとやらされているウィルとセバスを見て、段々怒りの雰囲気を出すナタリー!
えっ?何かまずいことしたかしら……と焦る私。
「アンナリーゼ様、何故、私を呼んでくださらないのですか?
ウィルやセバスより断然役にたって見せます!」
「うん、今まで出かけていたからね……仕方ないよね?ナタリー、今からでもお願いでかしら?」
満面の笑みでデリアの隣に座り、作業にイソイソと取り掛かる。
さすが令嬢。手早い……
ウィルやセバス、私が1つ完成させるまでに3つから4つは出来上がっている。
デリアといい勝負をしているのだ。
私、不器用なのかしら?確かに刺繍とかはあんまり得意ではないけど……
それにしても……なんであんなに早いの!!
ナタリーとデリアの活躍のおかげで、配るクッキーは無事包まれた。
「……みんな、ありがとう!」
疲労困憊のみんなを労う。
はぁ……私もとっても疲れた……かくして、明日のジョーの誕生日会ならぬ生誕祭。
袋詰めされたクッキーを見ながら、楽しい1日になることを祈るばかりである。
私は、さらに引越しをすることになっているので何もするなと言われており、大人しくジョーと遊ぶ日々を送っているところだ。
明日、1歳となる我が子は、それはそれは美しい子になった。
ジョージアと同じトロっとした蜂蜜色の瞳ももちろん可愛いのだが、キラキラと光る銀髪は、見るものの目を奪う程である。
なんていうか……大人になったら……いや、もう少しおしゃべりができるようになったら……引く手あまただろう。
ここ数日見ていると……見た目はもちろん申し分がないのだが、興味を持ったものや行動が私そっくりなのだ。
特に父とノクトあたりは、手を離さないような気さえする。
いや、密かにノクトは、もうおじいちゃん気取りで接しているんだった。
「1番初めになんていうだろうねって話してたんだけどね……
まんまなのかママなのか……どっちとも判別がつかなくて笑っちゃったよ」
「たぶん、両方だと思いますよ!」
「おっ!経験者は言うね!」
ジョーの部屋で遊んでいると、2児の母でもあるリアンはおかしそうに笑う。
「レオノーラは初めてしゃべったのはまんまでしたし、ミアはママでしたよ。
二人目は上の子を見て成長するのか、言葉も早く覚えましたから、一緒のように
育てても全く別になりますね」
「確かに……レオは物怖じしない感じがするけど、ミアは少し人見知りでお兄ちゃんの後ろに
くっついている感じだものね。それがまた、可愛いのだけど!
うちの子は、どんな風に育つのかしら?」
抱き上げるとかなり重くなった。
成長していることに喜びを感じて、明日の誕生日の話になる。
「そういえば、領地全体でお祭りをするのだと聞き及んだのですけど……本当ですか?」
「本当よ!別にそんなつもりはなかったんだけどね、せっかくなんでやりましょうって話になったの。
っていっても、領民から何かをもらうわけでなく、おめでとうって言葉をかけてもらえれると嬉しいね
って話よ。
食べ物とか配ろうかって話にもなったの。
ちょうど葡萄酒の入れ替え作業もあるから、それもやりつつのどんな具合か飲んでみたいっていうのが
多分本音よね。
そこにおいしいご飯つけてくれって話なのかな?と思って、お祭りにしちゃった」
そんな軽い感じで話しているけど、意外と金欠になりつつあるので、結構いたい出費でもあった。
でも、まぁ……せっかくなので、させてもらおう。
こんな美人さん、もっと領地のみんなに知ってもらいたいという欲もあった。
「結構なお金かかってますよね?領地全体にって今、おっしゃってましたから……」
「そうね。だから、投資してたお金の一部取り崩しちゃった!
お兄様も一緒のところに投資してたから、株価が下がった!って向こうでとてもとても嘆いている
かも知れないわ!
まぁ、お兄様だけならいいんだけど……もしかしたら、公とか公世子様とか南の領地の領主たちも
嘆いてるかもしれないかな?」
「えっ?ていうと、そんなにお金を動かしたってことですか?」
「そうね。元々アンバーのお屋敷の資金を運用してたものだから、そろそろ温めてないで使おうかなって
思って。
わりと、結構な額になったのよね!」
そう、わりと結構な額になったのだ。
私は、ホクホク顔でいるが、きっと、そこに関わっている人たちは、ゴッソリ現金に換えた私を恨んでいるだろう。
まぁ、知ったことではない。
銀髪を撫でながら、ジョージアにも絶対領地に来ないよう手紙を送っておいたので、明日の領地は、夕方からどんちゃん騒ぎになるだろう。
楽しみだなと、明日に思いを馳せる。
「アンナ様、明日の話をしたいのですが、よろしいでしょうか?」
デリアが部屋に入ってきた。
明日の取り仕切りをデリアとナタリーがしてくれるらしい。
発案者であるセバスは、住民登録の件で、忙しいため手伝っていないそうだ。
「いいわよ!何かしら?」
「お祝いの食べ物ですが、何にしましょうか?」
私は、悩んだ。
夕飯は各自で作ってもらうとして、何かおかしが欲しい。
誕生日と言えば、甘いものな気がする。
「デリア、甘いお菓子を配りたいのだけど……何がいいかしら?腐りにくいものがいいわよね!」
「では、クッキーとかどうですか?簡単に焼けますし、腐りにくいです」
リアンの提案に、いいねと返答し、お祝いの品が決まった。
では、厨房に行ってきますね!と言って出て行こうとするデリアを呼び止める。
「私も作っちゃダメかな?ジョーのお祝いのことだし……」
仕方ないですねとデリアは私にいい、リアンにレオとミアを連れてくるように伝える。
三人でジョーの面倒を見ておいてと言うつもりらしい。
レオとミアとを部屋に連れてきたリアンと入れ替わりに、私はデリアと部屋を出、厨房へと足を運ぶ。
よく使いこまれているキッチンでは、作り手がせわしなく動き回っている。
デリアは、その中でとても小柄な女性を連れてきてくれた。
「こちら、キティです。お菓子作りが得意なので、一緒に作ってもらいましょう」
「あの……初めまして、奥様」
ペコっと頭を下げる。
私は、まだこっちの方は掌握していないので、デリアに紹介してもらったキティという子をしげしげと見てしまった。
それを何か問題があるのかと勘違いしたようで、慌てて謝り始めた。
「あっ、えっと、ごめん、キティ。何も問題ないわ!ごめんね、不躾に見ちゃって……」
「いえ、大丈夫です。こちらこそ……すみません」
小動物とかリスとかを思い浮かべるような可愛らしいこの少女に私はニコリと笑いかけると、何故か、惚けてしまった。
「キティ?大丈夫?」
「あ……はい、大丈夫です。あの……その……」
「誕生日祝いにクッキーを焼きたいの!
いっぱい焼かないといけないし、私も手伝わせてほしいんだけど、いいかな?」
「とんでもございません!奥様が、そんな……」
貴族の奥様ってお菓子は作らないらしい……なので、恐縮されてしまった。
いや、私、貴族だけど、普通じゃないからね!
自分で思っててなんだけど、私、やりたいことは何でもやりたいのだ。
「キティ、私にクッキーの焼き方を教えて!引っ越しが終わるまで、仕事止められてるの。
お願い!お願い!!お願い!!!」
調理場の隅でのやり取りだが、私がキティを拝み倒しているからかみんなが見ていた。
それにさらに慌てるキティ。
見かねたデリアが間に入ってくれる。
「アンナ様、一応、公爵なのですから、もう少し品よく頼んでください。
そして、キティ。諦めなさい!アンナ様と一緒に領地全員分を今から明日の夕方まで焼くのよ!
他の方も手が空いてたら手伝ってあげて!自分の仕事を置いてまでは、しなくていいですからね!」
デリアが、間に入ってくれたおかげでなんとか話はまとまった。
侍女やメイドたちも、時間があれば手伝ってくれるよう声をかけてくれたらしい。
実は、ノクトが領地に来たときに砂糖を大量に持ってきてくれたおかげで、クッキーを焼くことができる。
これ、人気取りとか言われるのかしら?
難しいはね……その辺。でも、お祝いだからってことで喜んでくれると嬉しいな。
「よし、やるぞ!」
私は腕まくりをする。
隣でキティが、あわあわしていたが、いざお菓子作りに入ると懇切丁寧に教えてくれる。
初めて作ったクッキーは、見事にできた。
私一人では、少ししかできなかったが、この屋敷にいる侍従たちがデリアから話を聞き、入れ替わりたち替わりで手伝ってくれる。
休憩をはさみながら、山のようなクッキーを見てうんざりしながら、次はこれを小分けする作業に入る。
冷えたクッキーを執務室に運んでもらう。
半日以上焼き続けて、4万枚ほどのクッキーが焼けた。
ここで、デリアと二人、小さな封筒を作り5枚ずつ入れていく。
これは、地道な作業だ……と、投げ出そうとしたところにウィルが帰ってきた。
「ウィル!手伝って!」
「げっ……」
「逃がさないから!!」
ウィルの腕を取りソファに座らせ、前にクッキーを置く。
そして、私たちと一緒の作業をする。
チクチクと内職をするように……どう考えても、公爵と伯爵がやるような仕事ではない。
「アンナリー……」
「きた!デリア、確保よ!」
執務室の扉を半分開いて、こっちを見て閉じようとしたセバスをデリアが確保した。
ナイス!デリア。
そのまま、ウィルの隣に連行して座らせ、同じように作業をするようデリアが指示をする。
「よぉ、セバス!」
「あぁ……ウィル……」
二人の間で何かを感じたようで頷いてる。
そして、公爵、伯爵、男爵は内職を再開する。
「アンナリーゼ様!ただいま戻りました!」
「ちょうどいいところに!ナタリー!!」
「なんですの?これは……クッキーですか?」
チクチクとやらされているウィルとセバスを見て、段々怒りの雰囲気を出すナタリー!
えっ?何かまずいことしたかしら……と焦る私。
「アンナリーゼ様、何故、私を呼んでくださらないのですか?
ウィルやセバスより断然役にたって見せます!」
「うん、今まで出かけていたからね……仕方ないよね?ナタリー、今からでもお願いでかしら?」
満面の笑みでデリアの隣に座り、作業にイソイソと取り掛かる。
さすが令嬢。手早い……
ウィルやセバス、私が1つ完成させるまでに3つから4つは出来上がっている。
デリアといい勝負をしているのだ。
私、不器用なのかしら?確かに刺繍とかはあんまり得意ではないけど……
それにしても……なんであんなに早いの!!
ナタリーとデリアの活躍のおかげで、配るクッキーは無事包まれた。
「……みんな、ありがとう!」
疲労困憊のみんなを労う。
はぁ……私もとっても疲れた……かくして、明日のジョーの誕生日会ならぬ生誕祭。
袋詰めされたクッキーを見ながら、楽しい1日になることを祈るばかりである。
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