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パルマへの要望
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なんだかんだと夏季休暇が終わるまでの休学予定だったはずのパルマを秋深まった今でも側に置いていることに申し訳なさを覚え、そろそろ帰すべきだろう。
ちょうど、兄に届ける葡萄酒のこともあるのでタイミング的には助かるのだ。
「パルマ、話があるのだけど……」
私に声をかけられて、何か悟ったのかビクッとしているパルマ。
「……なんでしょうか?」
「うん、夏季休暇明けには、トワイスに帰すつもりだったんだけど、遅くなってごめんね。
一度トワイスに帰らない……?」
「厄介払いですか?」
「うぅん、とんでもない!
パルマがいてくれる方が、私はとても助かる!
でも、お願いしたいことがあるのと、そろそろ復学しなさい」
「お願いは聞きますけど……復学は……」
「復学して、来年は、こちらの文官登用受けるんでしょ?
そうすると、学園にいた方があなたのためよ?
パルマが、いらないわけじゃないのはわかってるでしょ?
必要だからこそのトワイスへの帰還よ!
お兄様と私の橋渡し、もちろんしてくれるわよね?」
「そう言われると、仕方がありません……
アンナリーゼ様の仰せのままに」
「ありがとう!頼りにしているわ!」
パルマには、今後も兄と私の調整役をしてもらうつもりだ。
だからこそ、パルマと兄との関係も深いものにしておかなければならない。
向こうにいる間は、兄が甲斐甲斐しく世話をしてくれるだろう。
殿下の秘書官なんだから、兄もそれなりに成長もしているはずだ。
「あと、トワイスでも、領地で作った葡萄酒を流行らせてほしいのよ!
お兄様に手紙は書くけど、パルマもしっかり宣伝してくれると助かるわ!
頼りないのよね……お兄様って」
私がそう零すと、クスっとパルマは笑う。
思い当たるところがあるのだろう。
兄がエリザベスに叱られている……そんな姿でも思い出したのだろうか?
「わかりました。
葡萄酒なのですが、どなたにお渡しになるのですか?
やはり王太子殿下ですか?」
「そう、殿下とハリーね。
後は、酒好きなお兄様の友達かしら?
葡萄酒が、受け入れられるといいのだけど……
そちらも、配る方を20本と最上級の葡萄酒を限定50本持って帰ってもらうことに
しているからお願いね!」
「1番高いものですね?」
「うん、売値は、ビタ一門値引きしないでね!
値引きするんだったら、補填してもらいますから!ってお兄様に言っといて。
あと『ハニーアンバー』って言うお店を立ち上げたから、次からの購入は
そちらからしてって言っといて頂戴」
わかりましたと頷いている。
なんとなく、こうやって課題を与えれば、事もなさげにパルマは達成して私の元に戻ってくる。
「パルマが、次に私の元に来るときは、もっと成長しているのでしょうね?
とても楽しみだわ!」
「できれば、アンナリーゼ様の側で成長したいところです」
「うーん、でも、遠くにいるからこそ、成長が目に見えてわかるものだし、
評価もしやすいわ!
まだ、パルマはこれから伸びる人材なのだから、たくさんのことをいろいろなところで
学びなさい。
社会に出るとなかなか難しいこともあるのよ!」
そうですか……と、少し寂しそうにしている。
私は、仕方なさげに笑って、座っているパルマに近づき後ろから両肩に手を置く。
「そんな顔しないで!
私、本当にパルマには期待しているのだから!
できるよね?私が出す課題なんて、ディルが出す課題に比べれば全然優しいもの
でしょ?」
「いえ、難しい課題ですよ!
なんたって、サシャ様をうまく丸め込まないといけないので……」
「お兄様なんて、少々のおべっか使えば動いてくれるわよ!
なんたって、お兄様だもの!」
「アンナリーゼ様には甘いですけど、僕には厳しいですよ……」
「そうなの?」
「そうです……でも、とてもアンナリーゼ様を大切にしていることは知っているので
尊敬してますよ!博識ですしね!」
兄を褒められると、私も嬉しい。
たった二人の兄妹だ。
大好きな兄を慕ってくれる人が目の前にいると思うと嬉しくてたまらないのである。
「そうそう。
お兄様の頭の中にある知識を全部抜いてくるくらいに成長してくれると嬉しいわ!
あと、少し誰かに体も鍛えてもらった方がいいわ!
学園に行って、信頼できる友人もたくさん作りなさい!
きっと、助けてくれる日が来るから。
パルマは、私が出した課題を簡単にできると信じているわ!」
パルマの肩に置いていた右手で、パルマの頭をクシャッと撫でる。
手からパルマが恥ずかしそうにしているのを感じ取れる。
私もまだまだ大人だと言い難いが、パルマはまだまだ子供だ。
今は、何よりも成長できる期間なのだから、頑張ってもらいたい。
大人と子供の微妙な時期でもある。
そういう時期に感じるものは、大人になったときに必要な感性もあるのだ。
学生時代は、楽しかったと思える想い出を作ってほしい……大人になった私のエゴなのかもしれないが、それだけは、願わずにはいられない。
そして、そんなパルマが、成長をして側に侍ってくれることを切に願うばかりだ。
2日後、パルマは早速トワイス帰ると準備をしていた。
私にもその日のうちに引き継ぎをし直してくれる。
パルマから引き継ぎを受けてわかったが、私の作った仕事の流れに無駄があったと手を加えてくれており、とても分かりやすく、効率も上がっている。
やはり、頭のいいパルマに任せてよかったと思える。
そのことも、きちんとパルマには伝えたら、とても嬉しそうにしてくれた。
それから、私が頼んだ葡萄酒を持って、兄の元へと旅立った。
再来年の春に会いましょう!
パルマの成長に期待しているわ!そう、心の中で応援し、パルマの乗る馬車を見送るのであった。
ちょうど、兄に届ける葡萄酒のこともあるのでタイミング的には助かるのだ。
「パルマ、話があるのだけど……」
私に声をかけられて、何か悟ったのかビクッとしているパルマ。
「……なんでしょうか?」
「うん、夏季休暇明けには、トワイスに帰すつもりだったんだけど、遅くなってごめんね。
一度トワイスに帰らない……?」
「厄介払いですか?」
「うぅん、とんでもない!
パルマがいてくれる方が、私はとても助かる!
でも、お願いしたいことがあるのと、そろそろ復学しなさい」
「お願いは聞きますけど……復学は……」
「復学して、来年は、こちらの文官登用受けるんでしょ?
そうすると、学園にいた方があなたのためよ?
パルマが、いらないわけじゃないのはわかってるでしょ?
必要だからこそのトワイスへの帰還よ!
お兄様と私の橋渡し、もちろんしてくれるわよね?」
「そう言われると、仕方がありません……
アンナリーゼ様の仰せのままに」
「ありがとう!頼りにしているわ!」
パルマには、今後も兄と私の調整役をしてもらうつもりだ。
だからこそ、パルマと兄との関係も深いものにしておかなければならない。
向こうにいる間は、兄が甲斐甲斐しく世話をしてくれるだろう。
殿下の秘書官なんだから、兄もそれなりに成長もしているはずだ。
「あと、トワイスでも、領地で作った葡萄酒を流行らせてほしいのよ!
お兄様に手紙は書くけど、パルマもしっかり宣伝してくれると助かるわ!
頼りないのよね……お兄様って」
私がそう零すと、クスっとパルマは笑う。
思い当たるところがあるのだろう。
兄がエリザベスに叱られている……そんな姿でも思い出したのだろうか?
「わかりました。
葡萄酒なのですが、どなたにお渡しになるのですか?
やはり王太子殿下ですか?」
「そう、殿下とハリーね。
後は、酒好きなお兄様の友達かしら?
葡萄酒が、受け入れられるといいのだけど……
そちらも、配る方を20本と最上級の葡萄酒を限定50本持って帰ってもらうことに
しているからお願いね!」
「1番高いものですね?」
「うん、売値は、ビタ一門値引きしないでね!
値引きするんだったら、補填してもらいますから!ってお兄様に言っといて。
あと『ハニーアンバー』って言うお店を立ち上げたから、次からの購入は
そちらからしてって言っといて頂戴」
わかりましたと頷いている。
なんとなく、こうやって課題を与えれば、事もなさげにパルマは達成して私の元に戻ってくる。
「パルマが、次に私の元に来るときは、もっと成長しているのでしょうね?
とても楽しみだわ!」
「できれば、アンナリーゼ様の側で成長したいところです」
「うーん、でも、遠くにいるからこそ、成長が目に見えてわかるものだし、
評価もしやすいわ!
まだ、パルマはこれから伸びる人材なのだから、たくさんのことをいろいろなところで
学びなさい。
社会に出るとなかなか難しいこともあるのよ!」
そうですか……と、少し寂しそうにしている。
私は、仕方なさげに笑って、座っているパルマに近づき後ろから両肩に手を置く。
「そんな顔しないで!
私、本当にパルマには期待しているのだから!
できるよね?私が出す課題なんて、ディルが出す課題に比べれば全然優しいもの
でしょ?」
「いえ、難しい課題ですよ!
なんたって、サシャ様をうまく丸め込まないといけないので……」
「お兄様なんて、少々のおべっか使えば動いてくれるわよ!
なんたって、お兄様だもの!」
「アンナリーゼ様には甘いですけど、僕には厳しいですよ……」
「そうなの?」
「そうです……でも、とてもアンナリーゼ様を大切にしていることは知っているので
尊敬してますよ!博識ですしね!」
兄を褒められると、私も嬉しい。
たった二人の兄妹だ。
大好きな兄を慕ってくれる人が目の前にいると思うと嬉しくてたまらないのである。
「そうそう。
お兄様の頭の中にある知識を全部抜いてくるくらいに成長してくれると嬉しいわ!
あと、少し誰かに体も鍛えてもらった方がいいわ!
学園に行って、信頼できる友人もたくさん作りなさい!
きっと、助けてくれる日が来るから。
パルマは、私が出した課題を簡単にできると信じているわ!」
パルマの肩に置いていた右手で、パルマの頭をクシャッと撫でる。
手からパルマが恥ずかしそうにしているのを感じ取れる。
私もまだまだ大人だと言い難いが、パルマはまだまだ子供だ。
今は、何よりも成長できる期間なのだから、頑張ってもらいたい。
大人と子供の微妙な時期でもある。
そういう時期に感じるものは、大人になったときに必要な感性もあるのだ。
学生時代は、楽しかったと思える想い出を作ってほしい……大人になった私のエゴなのかもしれないが、それだけは、願わずにはいられない。
そして、そんなパルマが、成長をして側に侍ってくれることを切に願うばかりだ。
2日後、パルマは早速トワイス帰ると準備をしていた。
私にもその日のうちに引き継ぎをし直してくれる。
パルマから引き継ぎを受けてわかったが、私の作った仕事の流れに無駄があったと手を加えてくれており、とても分かりやすく、効率も上がっている。
やはり、頭のいいパルマに任せてよかったと思える。
そのことも、きちんとパルマには伝えたら、とても嬉しそうにしてくれた。
それから、私が頼んだ葡萄酒を持って、兄の元へと旅立った。
再来年の春に会いましょう!
パルマの成長に期待しているわ!そう、心の中で応援し、パルマの乗る馬車を見送るのであった。
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